八木仁平著『世界一やさしい「才能」の見つけ方』より
「遺伝で才能は約50%決まる」という事実を、才能研究家が「素晴らしい」と断言する理由
新R25編集部
「自分には才能がない」
自身のことをそう評価したことはないでしょうか?
「才能さえあればもっと活躍できたはず」「〇〇さんは才能があるからいいな」と思うことがあるはず。
そんな一部の人間しか持ってないと思われている「才能」を「誰でも見つけることができる」と、自己理解の専門家である八木仁平さんは『世界一やさしい「才能」の見つけ方』で語っています。
同書では、「才能」のメカニズムから、才能を見極めるためのフローなどを丁寧に解説。
今回は、「才能は遺伝で決まっているのか?」というお話について一部抜粋してご紹介します。
「遺伝で才能は約50%決まる」という事実を前に、どう生きるべきか
才能について頻繁に聞かれるのがこの質問です。
「才能は遺伝で決まっているんですか?」
確かに、これはとても気になりますよね。
行動遺伝学の研究によると、「才能の約50%が遺伝で決まる」とされています。
また残りの半分は、育った環境で決まると言われています。
そして、思春期を過ぎるまでは才能は変わることがあるものの、年齢が上がるほどに変わりづらくなると言われています。
つまり、大人になってから何とか自分の才能を変えようとしても、変えづらいということです。
「ないものねだり」をする人はいつまでも不幸
ここまで読んで、もしかすると「自分の才能は変えられないのか」というネガティブな気持ちになったかもしれません。
僕は、才能を変えるのが難しいという事実を「ものすごく素晴らしいこと」だと感じます。
ですが、「素晴らしいなんてとんでもない、自分が嫌いだから何とか変えたくて仕方ない」と思う方がいるのも理解できます。
僕にも、自分を変えようと必死に努力をしてきた経験がありますから。
それなのになぜ、才能は変えられないことを素晴らしいと思うのか。
それは、自分のままで生きるしかないと「諦めること」ができるからです。
そして、「この自分で生きるしかない」と決まっている状況のほうが、確実に幸せになれるからです。
こんな研究があります。
数百人に、いくつかの柄の中から好きなポスターを選んで持ち帰ってもらうという内容です。
参加者は2つのグループに分けられました。
グループ1
「1ヶ月以内に他のポスターと交換可能」と伝えられたグループ
グループ2
「これが最終決定であり、一度選んだポスターは けっして交換できない」と伝えられたグループ
両グループの満足度を調べたところ、グループ2のほうがはるかにポスターを気に入っていることがわかりました。
もっといいポスターが選べるかもしれないという可能性を残されたグループ1よりも、後戻りできない選択をしたグループ2のほうが満足できていたということです。
多くの人はグループ1のように自分の持っていないものに目を向けて、ずっと追い求める人生を生きてしまいます。
この研究からもわかるように、それではいつまで経っても自分の人生に満足することはできません。
ないものねだりを続けていると、不幸になってしまうのです。
「良い性格・悪い性格」は存在しない
才能はある程度決まっていて、今から変えることはできません。
ですが、変えられるものもあります。
それは「才能の捉え方」です。
才能の捉え方はすべてあなたに委ねられています。
自分の持っている才能のポジティブな点に目を向けて、とことんつかい倒してやろうと覚悟を決めたときに、人生を丸ごと受け入れて、本当の自分で生き始めることができます。
「そうは言っても、自分の才能がどうしても役に立つと思えない」と思う人もいるでしょう。
僕もずっとそうでした。
ですが、実際は「才能に優劣は存在しない」のです。
例を挙げて説明しましょう。
人間の性格は大きく分けて2つ「外向型」と「内向型」があります。
「あれ、才能の話をしていたのに性格という言葉が出てきた」と思う方もいるかもしれません。
この本での才能の定義である「つい、やってしまうこと」は、性格にもそのまま当てはまります。
そのため「性格」も「才能」と同じ意味の言葉としてつかわせていただきます。
2つの性格を簡単に説明すると、このような違いがあります。
・外向型……活発で社交的
・内向型……繊細で控えめ
あなたは、自分を外向型だと思いますか?
内向型だと思いますか?
僕は自分を内向型だと考えています。
実は、長い間心理学者の間では「外向型」のほうが幸せな性格だと考えられていました。
そのため、「内向型の性格をどうすれば外向型に変えられるか?」が研究されてきました。
つまり、「内向型=悪」と考えられていたのです。
これでは、内向型の人が「自分を変えたい」と思ってしまうのも無理はありません。
しかし、最近の研究ではそれがくつがえされ始めています。
内向型は幸福度が低いと言われていましたが、実際はそうではなかったのです。
新しくわかってきているのは、このような事実です。
・「外向型にならなければいけない」と思っている。内向型の人は不幸
・「内向型の自分に満足している」内向型の人は幸福
つまり、自分のことを受け入れると幸福で、受け入れていなければ不幸だということ。
性格自体に優劣があるわけではなく、その性格をどう捉えるかがすべてなんです。
この結果にはみなさんも納得感があるのではないでしょうか?
内向型であっても、一人の時間を楽しんでいる人は、とても幸せそうに見えます。
僕自身も、内向型であることを受け入れた瞬間から、外向型に憧れることがなくなりました。
これまでは「内向型のせいで」と思っていましたが、今では「内向型のおかげで」と思えるようになりました。
その結果、自分が楽しいと感じる「読書」や「文章を書くこと」に時間をつかうようになり、とても幸せに生きることができます。
そして、成果もついてきています。
「自分を変えるには?」ではなく「自分を活かすには?」と考える
「才能の約50%が遺伝で決まる」とわざわざ伝えたのも、「今の、この自分で生きよう」と思ってもらうためです。
その覚悟を決めない限り、自分の才能が見つかった後も「もっと良い才能が欲しかった」「あの人みたいな才能が欲しい」とないものねだりを続けてしまい、10年経っても20年経っても、自信を持つことができず幸せになれないからです。
いくらノウハウを学んで才能を見つけたとしても、根っこの部分で「自分を変えたほうがいい」というマインドが残っていたとしたら、「この才能を活かしきる」という覚悟が決まらず、また他の誰かのようになろうとし始めてしまいます。
定年が間近のタイミングで、「定年後は自分の才能を活かして生きたいので、自己理解プログラムを受けようと思いました」と来てくださる方がいます。
そのたびに、嬉しい半面、非常にもどかしい気持ちになります。
この人の素晴らしい才能が、これまでの人生の数十年の間に見つけられていたとしたら、どれだけ一日一日が豊かになっていただろうと思うと、とてもせつない気分になるのです。
もちろんいつから始めても遅くはありません。
けれど、本記事を読んでくださっている方に提案したいのです。
「一生自分と付き合っていくのだから、才能を見つけるのは人生で一番若い今、終わらせてしまいませんか?」
そして、与えられた才能を受け入れ、活かし切る人生をここからスタートしませんか?
自分の才能を見つける技術を磨く
『世界一やさしい「才能」の見つけ方』は、自分だけの強みの発見から、それを活かす方法まで多くの文献を参考に書かれています。
同書には巻末特典として「才能を見つける→活かす→育てる」を実践できるフローチャート、才能の具体例1000リスト、才能を発見できる300の質問などが用意されています。
「自分には才能がない」とすでに諦めてしまっている方こそ、今から新しいキャリア・人生を見つけにいってみませんか?
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