対する日本はたった6%なのに…

利用率98%!? いまさらに思える「QRコード決済」が中国で爆発的に普及しているワケ

お金
NTTドコモが今年度中にQRコードを利用した決済サービスをコンビニなどで開始するらしい。

ボクらにとってQRコードというと“ガラケー”時代の古い技術のように思えるが、政府は訪日外国人の利便性向上のために、現金以外での支払い(キャッシュレス決済)の起爆剤として期待しているようだ。

中国はいまや“超キャッシュレス社会”! 都心部では約98%の人がモバイル決済を利用

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中国のモバイル決済サービス「ウィーチャット・ペイ」
実は、紙幣に対する信用が薄い中国では急激にキャッシュレス化が進んでいる。なかでも特にQRコード決済が普及しており、『人民網日本版』によると、都市部に絞ったアンケートで「中国では回答者の98.3%が過去3ヵ月の間にモバイル決済を『利用した』と答えた」という驚くべきデータも! 対する日本は、日本銀行の調査によると2016年11月時点でたったの6%…。

いったいなぜ、中国ではこれほど普及しているんだろう? 中国のIT事情に詳しいライター・山谷剛史さんに聞いてみた。

中国でQRコード決済が流行った理由は、店側の導入コストがほぼゼロだから

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「大きな理由は導入コストですね。電子マネーのように専用機器を購入する必要がなく、店内にあるスマホやディスプレイにQRコードを表示したり、QRコードが印刷された紙を置くだけで来店客は決済が可能。店側の導入コストはほぼゼロなので、個人商店が多い中国で人気が出るのは必然でした」

いまの日本では想像できないかもしれないが、中国では道ばたの露天商までもQRコード決済を導入している。彼らは現金での支払いを拒否することすらあるとか。

カンタンに量産できる“紙のQRコード”が便利! テーブル会計やシェアサイクルでも大活躍

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ほとんどコストがかからずに量産できるQRコードがもたらすメリットは大きい。

「たとえば、飲食店の各テーブルにQRコードを貼っておく。食べ終わったお客さんはテーブルでQRコード決済をして、店を出る前に支払った証拠をスマホで見せればOK。いちいちレジに並んで現金で支払うのに比べて会計がスムーズになります」

なるほど! 会計場所を分散させて行列を解消。これは店舗側だけでなく、利用者にも嬉しいメリットだ。
中国で移動革命を起こしている「シェアサイクル」でもQRコードの特性がうまく使われている。代表的なサービスである「モバイク」では、街なかに置かれている専用の自転車にQRコードが貼りつけられている。利用者はそれをスマホで読みとるだけで決済が完了し、ロックが解除されてすぐに乗車できる。

さすがに自転車の一台一台に電子マネーリーダーなどを取り付けるのは(コスト的にも)難しいが、印刷したQRコードならばどこにでもペタペタ貼れる。前時代的に思えるやり方だが、この柔軟さは大きな魅力だ。
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世界150都市で導入されている「モバイク」。今年8月には札幌にも上陸した。
一方で、爆発的普及のウラにはやはり課題もある。

「中国では、店が用意したQRコードの上にニセのQRコードを貼りつけ、送金先を変える事件がありました。それ以来、シールの貼り方がおかしくないか二度見、三度見しています」

新しい技術が開発されれば、悪用も生まれるのが世の常…。被害に遭わぬよう気をつけながら、キャッシュレス決済の流れについていきたいところだ。

<取材・文=黄 孟志(かくしごと)>