脅威だけど…そもそもなんのためにやってるの?

経済制裁されてもお構いなし。北朝鮮がミサイルを撃ちつづける理由って?

  • 社会・政治
  • 2017.10.04
  • by アバンギャルド

北朝鮮によるミサイル発射のニュースが続いている。2017年に入ってミサイル発射は実に10回。最近では5月から6月にかけて4週連続で発射しており、アメリカが経済制裁や先制攻撃を匂わせているのもお構いなしといった印象だ。

そもそも、なぜ北朝鮮はミサイルを撃ちつづけるのだろう? アメリカと戦争になったらさすがに負けてしまうと思うんだけど…。日本国際問題研究所で北朝鮮に関する研究を続ける、飯村友紀氏に話を聞いた。

北朝鮮を「核保有国」と認めていないアメリカに軍事力をアピールし、対話の機会を持ちたい

出典

ロイター/アフロ

6月、経済制裁を決定された際の北朝鮮代表団

「一番の狙いは、『アメリカと対等以上の立場で協議にのぞむこと』です。アメリカは北朝鮮を核保有国と認めておらず、一対一での話し合いにも応じようとしません。そこで、『自分たちの核ミサイル技術はここまで進んでいる。アメリカ本土を攻撃しようと思えばいつでも実行できるぞ』と軍事力を見せつけることで、脅威に感じたアメリカが直接対話に応じるのを待っているのでしょう』(飯村氏・以下同)

なるほど。でも協議の場をもって、北朝鮮はなにをしたいのだろうか?

休戦状態の朝鮮戦争を“終わったこと”にして、韓国にいる米軍に撤退してほしい

飯村氏は、「休戦状態になっている朝鮮戦争の平和条約締結と、韓国にいる米軍の撤退」が主な狙いだと話す。

現在韓国と北朝鮮は、1950年に勃発した朝鮮戦争を休戦している状態だ。休戦協定を結んだ1953年以降、朝鮮半島は南北で分断されている。

「今は休戦していますが、北朝鮮は朝鮮半島の統一を諦めたわけではありません。そんな北朝鮮にとってやっかいなのが、韓国に駐留している米軍の存在。そこで、アメリカとの対話のなかでは朝鮮戦争を『終わったこと』にして、在韓米軍を遠ざけたいのです。朝鮮戦争以来駐留している米軍も、戦争が終われば韓国に残る理由は薄れますので。北朝鮮は『米軍さえいなくなれば、核を保有していない韓国はどうにでもなる。自分のペースで統一政策をゆっくり進めればよい』と考えているのかもしれません」

出典

ロイター/アフロ

1950~1953年に起きた朝鮮戦争。その影響で、アメリカは同盟国である韓国にいまだ米軍を駐留させている

最悪のシナリオは核の流出…中東に武器を輸出するための“技術アピール”という説も

また、ほかにも北朝鮮による「武器を輸出して外貨を稼ぐための技術アピール」といった目的が考えられるという。

『時事ドットコム』の記事「武器輸出、数十分の1に=北朝鮮、有事を短期戦と想定-韓国専門家」によると、2016年の北朝鮮の武器の輸出金額に関しては以下のような推測がある。

北朝鮮幹部出身の韓国政府系専門家は22日、北朝鮮の昨年の武器輸出を3000万~5000万ドル(約33億~55億円)と推計していることを明らかにした。1980年代のピーク時は年間約10億ドルに達したといい、国際的な制裁措置などにより、数十分の1に減少したことになる。

出典https://www.jiji.com

経済制裁により輸出量は年々減少しているようだが、ミサイル発射は北朝鮮の直接的な経済効果にもつながっているようだ。

さらに、『現代ビジネス』の記事「元経済ヤクザだからわかる、北朝鮮『過剰な挑発』の真意」では、核兵器を他国に輸出する可能性まで指摘されている。

第三諸国に核爆弾を流出させれば世界中から非難され、激しい経済制裁を受けるのだが、これに耐えられるのも、これ以上ないほど強い経済制裁をすでに受けている北朝鮮ただ一カ国。

イランを始めとして「核」が欲しい国はたくさんある中で、核マーケットは北朝鮮が独占しているのだから、核実験はミサイルとは違う面でのショーケースと言えるだろう。

出典http://gendai.ismedia.jp

これは世界に核兵器が広がってしまう、“最悪のシナリオ”といえるだろう…。水面下で北朝鮮と貿易を続ける国が存在する限り、他国へのアピールとしてのミサイル発射や核実験はそう簡単になくならないかもしれない。

出典

ロイター/アフロ

ミサイル発射や核実験がニュースになるのも、北朝鮮の狙い通りということか…

飯村氏は、このタイヘンそうな状況について、

「アメリカや韓国は、交渉の席に着く用意があることを示したり、北朝鮮の体制を転覆させることはないというメッセージを送ったりしながら、核・ミサイルの放棄を求めていくことになるはずです。『核・ミサイル開発の一時凍結』が当面の目標でしょう」

と話す。アメリカをはじめ各国が「アメとムチ」のバランスをどうとるのか、そして北朝鮮がどのように応じるか注目したい。

〈取材・文=藤原逹矢(アバンギャルド)〉