「取引先と社内で合計30個くらい買ってます」

「義理って本当はいい言葉なのに」GODIVAの想いと、バレンタインに苦しむ女性たちの本音

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今日2月14日は、言わずと知れたバレンタインデー。しかし、2月はじめから、GODIVAが新聞に出したある広告が話題となりました。
出典

ゴディバジャパン社提供

日本は、義理チョコをやめよう

「バレンタインデーは嫌いだ、という女性がいます。その日が休日だと、内心ホッとするという女性がいます」

「それはこの国の女性たちをずっと見てきた私たちゴディバも、肌で感じてきたこと

これに対し、ネット上では(おもに)女性たちから賛同の声が続々と挙がります。広告の意図を、ゴディバジャパン広報の埋田(うめだ)麻衣さんに聞いてみました。

フランス人社長が、日本に住むうちに気付いた“女性の不満”

埋田さん

埋田さん

これは、ゴディバジャパン社長からのメッセージ広告です。社長はフランス人ですが、日本に長く住むなかで、「バレンタインデーが憂鬱だ」という女性がいることを、以前からよく聞いていたんです。

あげる人が幸せじゃないと、チョコレート会社としてはやはりよくないんじゃないかと。なので、「嫌な義理チョコを贈るのをやめて、楽しいバレンタインを過ごそう」という趣旨の広告を出すことにしました。
――社内で反対意見はなかったんですか?
埋田さん

埋田さん

当然、賛否がありました。GODIVAのチョコにも用途として「義理用」もあるだろう、と。

でも本文をきちんと読んでもらえれば、「楽しいお祭りのはずが、社内の調整のための日みたいになっているのはよくない」という意図が伝わるだろう、となりました。
――男性からは「会社でチョコをもらったとき、どうリアクションしていいか分からない」という意見もあるようですが…。
埋田さん

埋田さん

それも近い話ですよね。当然、男性からそういう意見が出ているのも知っていました。義理って、『義理人情』とか『義理堅い』とか、本当はいい言葉じゃないですか。

ところがチョコレートになると、あげるほうももらうほうにもイヤな言葉になってしまう。この現状を変えたい、と思ったんです。

3万円以上の出費も。“義理チョコ文化なくなってほしい”と願う女性たち

なるほど…。しかし、女性たちは実際どれくらい「面倒くさい」と感じているの? ということで周囲の会社員女性たちにも、話を聞いてみることに。

まず、「バレンタインデーの義理チョコは面倒くさい、しんどいと思う?」と聞いてみると、アンケートを取った15人中9人が「面倒くさい・しんどい」と回答。その実態とは?
「毎年、単価1000円のものを30個くらいは買ってます…。渡す相手はほぼ取引先です」(28歳・広告営業)

「5個くらいで、1個1000~3000円ほどなので2、3万円の出費ですね。痛すぎる」(25歳・広告営業)

「取引先と社内の男性、合わせて30個ぐらいあげてます。安くても3万円ぐらいかかる。めんどくさすぎます。正直楽しみが一切ない」(31歳・広報)

「あげてるのは、仕事では年に4~5個。1個あたり1000~2000円。プライベートの義理は負担に感じないけど、仕事の義理はしんどいです。(今回の広告を見て)ゴディバ様ありがとう!って思いました」(27歳・IT事務)

「会社では、バレンタイン時期に1人1000円くらいを強制的に回収され、新人がチョコを買いに行かなくてはいけない。正直面倒だし、『義理チョコ』という文化が早くなくなってほしい…と思ってます」(27歳・制作)

さらには、

「自分も流行をゲットしておきたいので、チョコを買いに行く機会があるのはいいことだと思う。ただ、会社を背負っているプレッシャーも感じるので、なるべくセンスがいいものに…というしんどさがあります。自分のためだけだったらそこまで絶対調べないので」

という意見も…。

「甘いもの苦手」「クオリティ下がった」など、いらないコメントに大ブーイング

しかし、男子としてはもらえるのをちょっと楽しみにしてるところもあったんだけど…。と、よくよく聞いてみると、「男性陣のリアクションや、もらった後のコメントに引いている」との声もあるよう。
「あげたチョコに対して“センスないね”って言われました! どういうこと!?」(28歳・広告営業)

「会社のおじさんから『なんか去年よりクオリティ下がったね』って言われました。なんで批評してくるのか分からない」(24歳・広告営業)

「照れ隠しなのか『俺、甘いもの苦手なんだよねー』という謎のひとこと。じゃあ、返せよ!」(25歳・デザイン)

気持ち悪いおじさま(※取引先)から本命だと勘違いされました!」(26歳・広告営業)

…ということで、今日「義理チョコ」をもらったR25男子は、「女性にしっかり感謝の気持ちを伝える」「間違っても余計なひとことを言わない」ように気を付けましょう(こちらの記事も参考に)。

ちなみにゴディバジャパン・埋田さんからは、「今回の広告のおかげで、『GODIVAもらったらそれは義理じゃないってことじゃん』というウワサも広まってるみたいですよ」という耳寄りな情報(?)も。

果たしてGODIVAの勇気あるメッセージは、バレンタインデーにどんな影響をおよぼすのでしょうか。

〈取材・文=天野俊吉(新R25編集部)〉