日本はどんどん置いていかれてる!?

「今日も現金を使いませんでした」中国の“スマートな1日”を現地の日本人がレポート!

社会・政治2018.03.28by 新R25編集部

「もはや中国は世界屈指のIT大国」「日本は中国に置いていかれてる」

そんな言葉が近年ささやかれるようになってきた。

数年前までは日本の後追いのような印象だった中国の経済は、近年急成長。ボクたちの知らぬ間にすっかり様子が変わっているようだ。

しかし、断片的な情報に触れているだけだと、なかなかその実態を掴みきれない。そこで、中国在住のブロガー・海辺暁子さんに中国の“スマートな1日”をレポートしてもらうことに!

【07:30】地下鉄の改札はスマホで通る
【08:30】無人コンビニで朝食を買う
【12:00】財布を持たずにランチに出かける
【16:00】アポの移動にシェアサイクルを活用
【19:00】飲み会の費用はアプリでワリカン
【23:00】終電を逃したらアプリでタクシーを呼ぶ

葛上

葛上

海辺さん、よろしくお願いいたします。

海辺さん

海辺さん

はい! 中国では現金を持つ人がどんどん減っています。お金の支払いはもとより、何をするにもとりあえずスマホ。

現代の中国人はスマートフォンを駆使し、“スマート”に日々を過ごしています。その様子をお伝えしますね。

【07:30】地下鉄駅の改札はQRコードで通る。常に持っているスマホで完結するのが便利

海辺さん

海辺さん

家を出て、これから出社します。

以前は地下鉄に乗るのに交通カード(交通系ICカード)を利用している人が多かったのですが、2017年末に優れたアプリが登場しました。

地下鉄乗車アプリの「METRO大都会」。スマホだけで改札が通れるアプリです。

画像はAppStoreおよび「METRO大都会」のスクリーンショット

編集部・葛上

編集部・葛上

日本でいうモバイルSuicaみたいなものですね。どんな仕組みなんですか?

海辺さん

海辺さん

アプリでQRコードを表示し、改札のリーダーに読み込ませると自動的に運賃が引き落とされる仕組みです。

出典

海辺さん撮影

中心部のレンズにQRコードを読み込ませる

編集部・葛上

編集部・葛上

タッチするだけの交通カードのほうが便利では?

海辺さん

海辺さん

そう思うかもしれませんが、まわりの中国人に話を聞いたところ「交通カードを忘れることはあっても、スマホを忘れることはないから便利」とのこと。

私も中国ではスマホ中心の生活のため財布は持ち歩いておらず、うっかり交通カードを忘れてしまうことがあるんです。

編集部・葛上

編集部・葛上

なるほど。

海辺さん

海辺さん

そうなると現金で券売機を利用するしかないのですが、これがなかなか使いづらい。紙幣に少しでもしわがあると戻ってきたり、タッチパネルが反応しなかったり…

中国では現金用の券売機はもはや「過去の遺物」なのか、メンテナンスされる様子もなく、操作にムダに時間がかかるんです。

編集部・葛上

編集部・葛上

そうなんですね。思っている以上にスマホ依存の社会なんだな…

【08:30】会社の最寄駅の無人コンビニで朝食を買う。扉を開けて閉めるだけなので購入がスムーズ!

海辺さん

海辺さん

会社の最寄りの南京東路駅に着きました。

写真は超ミニサイズの無人コンビニ「魔盒 CITYBOX」です。朝ごはんをここで買おうと思います。

出典

海辺さん撮影

編集部・葛上

編集部・葛上

これがコンビニ…?

海辺さん

海辺さん

コンビニというよりも自動販売機のほうが適切かもしれませんね(笑)。今回は中国で圧倒的に普及しているメッセージアプリ「WeChat(微信)」を使って買うことにします。

WeChatはLINEに似たアプリで、あらゆる場面で使える便利な支払い機能(WeChat Pay)も備わっているんです。

編集部・葛上

編集部・葛上

最近は日本でもLINEが「ウォレット」という機能を押し出して、同じような立ち位置を狙っているようです。

出典

海辺さん撮影

海辺さん

海辺さん

今回はクッキーを買いましたが、ほかにフルーツやドリンク類もあります。 

スマホの決済アプリでQRコードを読み込むとドアが開き、商品を手にとってドアを閉めると自動的に会計が済みます。パッケージに通信のためのシールが貼ってあるため、持ち出した商品が判別できるようになっているんです。

とても便利ですが、すぐ近くに通常のコンビニがあるからか、ここで買い物をしている人はあまり見かけません。

編集部・葛上

編集部・葛上

開けて閉めるだけって、めちゃくちゃラクですね! 会社の自動販売機とかもこのシステムにしてほしい。

海辺さん

海辺さん

今はまだQRコードをスキャンする手間がありますが、顔認証が導入されているものも現れているので、今後はもっとラクになりそうですね。

編集部・葛上

編集部・葛上

ちなみに、もっとコンビニらしい「無人コンビニ」はないんですか?

海辺さん

海辺さん

ありますよ。

こちらの写真は以前訪れた、本格的な無人コンビニです。革新的なイメージがありますが、まだ爆発的に広がってはいません。

出典

海辺さん撮影

無人コンビニの「Bingo Box」

海辺さん

海辺さん

先ほどの自動販売機のようなミニサイズのコンビニと同じように、決済アプリを活用して、店員なしでのサービスを実現しています。

編集部・葛上

編集部・葛上

万引きとか起きないんですか?

海辺さん

海辺さん

当然、対策はされています。まず入店するにはWeChatでQRコードを読み取って解錠しなければならないので、その瞬間に誰が入店したのかがわかります。

さらに不正を防ぐ要素として、“信用スコア”というものがあります。決済サービスは、ユーザーの正しい利用を促すために、「滞納することなく支払いをしている」「プロフィールを正確に記入している」「交友関係の広さ」「利用額の多さ」などの観点からスコアを算出しています。

こうした不正の可視化が犯罪を起きにくくしているわけです。

信用スコアの可視化をするサービス「芝麻信用」のスクリーンショット

海辺さん

海辺さん

と、色々語ってしまいましたが、実は写真の無人コンビニ「BINGO BOX」は昨年で閉店しています。

設置場所の問題で行政指導が入ったとの話もありますが、真相は明らかではありません。

編集部・葛上

編集部・葛上

そうなんですね。

海辺さん

海辺さん

ことビジネスにおいては、中国ならではのスピード感ゆえ、しばしばこういうことが起こります。

最近では画像認証などを商品の特定に使うよりスマートな無人コンビニの挑戦もありますが、まだ普及には至っていません。

編集部・葛上

編集部・葛上

でも、そういうスピード感含めてやはり日本よりもいろんなことが進んでますね…

ニュースで信用スコアの話を見かけたときに「監視社会だ!」なんて批判的な声も日本ではあがっていましたが、実際のところ、中国ではどのように捉えられているんですか?

海辺さん

海辺さん

神経質になってまで気にしている人は、まだまわりにいませんね。信用スコアは高くなると特典があるので、高スコアになろうと努力している人は一部にはいるようです。

たとえば、シェアサイクルの保証金(預かり金)が無料になったり、賃貸の敷金が無料になったりします。

編集部・葛上

編集部・葛上

へー! もし僕がこのサービスを使っていたら、RPGのレベル上げみたいに、意味もなくスコアを上げる努力をしてしまいそう。

【12:00】財布を持たずにランチへ。混雑時でもスムーズに会計が可能

海辺さん

海辺さん

お昼になったので、ランチを食べにいきます。中国ではカフェ、レストランからローカル食堂まで、スマホで決済できないお店はほぼ皆無なので、財布は必要ありません。

出典

海辺さん撮影

出典

海辺さん撮影

ローカルな食堂でもスマホ決済が可能

海辺さん

海辺さん

先ほどWeChatで支払うシーンがありましたが、同じような機能を持つ「アリペイ(支付宝)」という決済アプリもあり、多くのお店にこのふたつのアプリの札があります。

編集部・葛上

編集部・葛上

なぜそれほどまでに普及しているのでしょう?

海辺さん

海辺さん

中国でここまでスマホ決済が普及した大きな理由は、システム導入の手軽さでしょうね。

出典

海辺さん撮影

海辺さん

海辺さん

このようにQRコードを印刷して貼っておけば、誰でも集金ができます

極端にいえば、私でも明日からスマホ決済を利用したお店を開くことができてしまうんです。

編集部・葛上

編集部・葛上

確かに、シールをペタッとはるだけなら誰でもカンタンに導入できますね。

海辺さん

海辺さん

お客さんはこのQRコードをWeChatもしくはアリペイで読み取り、料金を入力して「支払いボタン」を押すだけで支払いが完了します。

出典

海辺さん撮影

購入者が数人いても同時に支払いができるため、混雑時でもスムーズ

海辺さん

海辺さん

もともとバーコードリーダーを導入していたお店であれば、お客さんがQRコードを提示し、店側が読み取るという逆パターンもあります。

ここでもつり銭のやりとりや、小銭を出し入れする手間が省けてスマートです。店員は現金を扱わないため衛生的ですし、つり銭の渡し間違えもありません。

編集部・葛上

編集部・葛上

中国のビジネスパーソンはスマホだけ持ってランチにいけるというわけですね。

【16:00】アポの移動には乗り捨てできるシェアサイクルを活用! 30分17円ほどでリーズナブル

海辺さん

海辺さん

他社との合同会議のため、外出します。

場所は日系企業が多い「古北(グーベイ)地区」。私の職場からは20分ほど地下鉄に乗り、そこからさらに20分ほど歩かないといけません。

編集部・葛上

編集部・葛上

ちょっと歩くには遠いですね。

海辺さん

海辺さん

そうですね。上海には駅から離れた場所に位置するオフィス街や繁華街もあるんです。

歩けなくはないけれど、時間を短縮したい時はシェアサイクルが便利です!

出典

海辺さん撮影

海辺さん

海辺さん

駅前で空いている自転車をゲットしました。

現在「mobike(モバイク)」「ofo(オフォ)」が2大シェアサイクルとして幅を利かせています。オレンジの自転車がmobike、黄色がofoです。中心部の駅前であれば見つからないことはまずありません。

私はmobikeとofoどちらのアプリも入れているので、どちらかを見つければOK。目的地までラクラク向かい、すぐに到着しました。

編集部・葛上

編集部・葛上

シェアサイクルは急に広まった印象ですが、 ユーザーとしてはどのあたりが特に便利ですか?

海辺さん

海辺さん

そこらじゅうにある白い枠線のなかであれば、どこに駐輪してもいいのが嬉しいですね。

乗り捨てが自由で気軽に使えるという点が、3年足らずで爆発的に広まった理由ではないでしょうか。もはや流行りというより、庶民の足としてすっかり定着した印象があります。

編集部・葛上

編集部・葛上

日本のシェアサイクルだと駐輪スペースで料金を支払いますが、中国のシェアサイクルはどうやって料金の支払いなどおこなっているのでしょう?

海辺さん

海辺さん

シェアサイクルのアプリで自転車についているQRコードを読み取ると、鍵が開きます。

目的地に着いて施錠すると、利用時間に応じてアプリから代金が自動で引き落とされる仕組みです。

出典

海辺さん撮影

QRコードは主に2箇所にあり、どちらを利用しても大丈夫

出典

海辺さん撮影

QRコードをアプリで読み込むと開錠される

海辺さん

海辺さん

30分1元(約17円)とリーズナブルな料金設定であるため、50元(約850円)ほどチャージしておけばしばらく使えます。

編集部・葛上

編集部・葛上

これがあれば、移動用の自転車を自分で持つ必要はなくなって、嗜好品としての役割と二極化していきそうですね。

ほかにもシェアサービスは普及しているんですか?

海辺さん

海辺さん

新しい挑戦は見かけます。たとえば「シェア傘」なんてものもあります。

出典

海辺さん撮影

傘のシェアリングサービス「摩傘」

海辺さん

海辺さん

ただ、私もアプリはダウンロードしているものの、使ったことがありません。

編集部・葛上

編集部・葛上

なぜですか? 便利そうなのに。

海辺さん

海辺さん

「朝家を出るときには雨が降っておらず、駅に到着したときや帰りに降っている」という状況があまりないのに加え、写真のような置き場に忘れずに返さないといけないのがめんどくさいんです。

編集部・葛上

編集部・葛上

たしかにそうか…

海辺さん

海辺さん

傘を持ち歩くのが好きではないので、このシェア傘を上手く利用したいとは思っているのですが。

中国人いわく「これはシェアではなく、レンタルだね。昔あったビデオやDVDみたいな」とのこと。

納得すると同時に、DVDレンタルはもう過去のものなのかという現実に一抹の寂しさも感じました…

【19:00】WeChatでワリカンもできるので、飲み会で細かいお金のやりとりする必要もない

海辺さん

海辺さん

社外での会議は終わり、これから友人と飲みに出かけます。

編集部・葛上

編集部・葛上

お疲れさまです! ここでも何か新しいサービスが登場するんですか?

海辺さん

海辺さん

お会計の際に便利なのが、さきほどから登場しているWeChatです。

代表者が店にまとめてWeChat(もしくはアリペイ)でサッと支払い、そのあとみんながその人にWeChatで送金すればワリカンが一瞬で終わるんです。

出典

海辺さん撮影

海辺さん

海辺さん

アプリ上で友達になっていればメッセージ画面で送金できますし、友達になっていなくても、QRコードを読み取って支払えます。

このラクさは体験したらやめられません。

編集部・葛上

編集部・葛上

いいですね! 実はLINEでも同じことができるんですが、決済機能を使っている人が少ないため、アプリを使ったワリカンはまだ普及していない印象です。

【23:00】終電を逃してもアプリでその場にタクシーが呼べて、支払いも一瞬

海辺さん

海辺さん

会計はスムーズだったのに、終電を逃してしまいました…

編集部・葛上

編集部・葛上

やってしまいましたね。

海辺さん

海辺さん

上海は終電が早いんです。そこでタクシー呼び出しアプリ「滴滴(didi)」を利用することにしました。

編集部・葛上

編集部・葛上

日本でいう「Uber」みたいなサービスでしょうか。どんな風に使うんですか?

画像は「didi」のスクリーンショット

海辺さん

海辺さん

まずはGPSで現在地を伝えます。行き先のみ入力し、数秒~数分待つと「ジャーン」という効果音と共に、運転手が見つかったという知らせが届きます。

この段階で運転手の名前、ナンバー、あと何分くらいで到着するかまでわかるので安心です。リアルタイムでタクシーの場所も把握できます。行き先はすでに入力してあるので、乗ってから説明する必要もありません。

料金は下車時にアプリ経由で支払いますが、私はすでにdidiとアリペイを紐付けているので到着すると自動的に支払いが完了します。暗証番号を入れるだけのカンタン決済。到着→「再見!(さようなら)」で終了。

編集部・葛上

編集部・葛上

ラクでいいですね!

海辺さん

海辺さん

もし乗車中のサービスに満足できなれば、運転手に対するレビューが書けます。

悪い評価が集まると利用されなくなってしまうので、より多くのお客さんに乗ってもらうために、運転手は必死でいいサービスを提供するようになっています。

画像は「didi」のスクリーンショット

海辺さん

海辺さん

ちなみに朝早い出発のときも、アプリでカンタンに予約ができるので利用価値大です。

従来の「タクシー会社を探す→電話する→時間と行き先を説明する」というめんどくさい作業が数秒で完了します。

おわりに

海辺さん

海辺さん

今日も現金は使いませんでした。

編集部・葛上

編集部・葛上

ほんとにまったく使わないんですね。

海辺さん

海辺さん

現代の中国はとにかくなんでもスマホで済ませられます。財布は忘れても(というかそもそも持っていませんが)、スマホだけは絶対に忘れられません。逆にスマホを無くしたら大変です。

笑い話ですが、現金が入った財布を持っている人が少ないため、ここ最近はスリも商売あがったりだとか。

スピード感を持ってチャレンジし、ブラッシュアップしながらさまざまなサービスを完成させていく姿勢は、中国が急速に発展している理由のひとつではないかと感じます。

編集部・葛上

編集部・葛上

なるほど。日本も見習わないといけませんね。

これまで断片的に知っていた中国のスマートな生活の全貌が見えました。レポートありがとうございました!

〈文・撮影=海辺暁子/編集=葛上洋平(新R25編集部)

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