ビジネスパーソンインタビュー
「最近はエロ漫画から着想を得てます」
センスの源、ここにあり。「仕事というゲームを攻略する」倉持由香の“オタク仕事術”
新R25編集部
前回、『新R25』のインタビューに登場し、「イメージが変わった」…など、大きな反響があった倉持由香さん。
ただ、記事には入れられなかった、多岐に渡るお話も面白すぎたんです!
もっといろんなテーマで、倉持さんに話をきいてみたい!ということで、再び登場いただくはこびとなりました。
【倉持由香(くらもち・ゆか)】1991年生まれ。グラビアアイドル、タレント。SNS上で「グラドル自画撮り部 部長」として活動。キャッチコピーは「尻職人」
天野
ビジネス書の執筆依頼も来てるそうですね。すっかりビジネス人材な倉持さんですが、前回取材して感じたのが倉持さんの根底にある「オタク力」の強さです。
ということで今回は、倉持さんの「オタク論」を存分にお話しいただきたいんです。
倉持さん
そっちのほうが前回より圧倒的に話しやすいですね!
「コマがほとんどケツ!」エロ漫画好きのオタク視点を、構図に生かす
倉持さん
私はゲームとかサバゲーとか、いろんなオタクを自称してますけど、一番何のオタクなんだと言われたら、「女体オタク」なんですよね。
天野
女体オタク…。それがグラビアの活動に生きることもあるんですか?
倉持さん
子どものころから『cream』『サブラ』などのグラビア誌を読みあさってたんで、グラビアのアイデアはほぼ「男性向けコンテンツ」から来てますね。
最近はほとんど「エロ漫画」から着想を得てます。
天野
読んでてそんなにアイデアが湧いてくるものでしたっけ。
どういうところに注目してるんですか?
倉持さん
エロ漫画って、やりすぎなぐらいコマいっぱいに「エロい部分」を強調するじゃないですか。
「コマのほとんどがケツだな!」みたいな。
「コマのほとんどがケツ」を再現する倉持さん。ありがとうございます(直視できなかった)
天野
たしかに! ちょっと現実離れしてる構図というか。
倉持さん
そう、現実離れしてるグラビアがあったら面白くないですか? 私はそれを3次元で再現したいんですよ!
倉持さんはイラストもめっちゃ研究している。これはファースト写真集に掲載した自作イラスト。うますぎる!
天野
逆に、オタクの視点で見てダメなグラビアとかもあると?
倉持さん
コスプレしてるグラビアなのに、「このキャラはこんなことしない!」ってコを見るとちょっと悲しいな~って思いますね。
たとえば、この前「レッドブル」の企画で春麗(『ストリートファイター』シリーズ)のコスプレをしたんですけど、春麗は拳法家だから、ご飯を食べるときも手を合わせるとか、礼儀正しいだろうなと。そういう感覚です。
あっ、この春麗見たことある!
倉持さん
本当に愛を持ってやってることなのか、仕事でやらされてるだけなのかって、オタクは厳しくチェックしちゃうんですよね。
別にそんなに細かいことまで再現しろってわけじゃなく、「少し調べればわかること」をやってないのはよくないですよね。
「ちょっとでも知ってるか、0の状態か」の違いって大きいです。
SNSでの活動と、写真集のタイトルを連動させる! 驚異のマーケティング視点
天野
そういうこだわりが自分の作品には込められてるんですか?
倉持さん
相当こだわってますね。たとえば私のファースト写真集、『#東京尻百景』(双葉社、2014年)ってタイトルなんですけど。
最初はちがうタイトルでほぼ決まってたのを、これに変えてほしいって提案したんです。
天野
へえ…なぜこのタイトルがよかったんですか?
倉持さん
どうしても“ハッシュタグ”になるタイトルにしたかったんですよね。
そうすれば、「買いました」「ポチりました」みたいなツイートとか、タイトルを自動で投稿するような業者ツイートも、全部ハッシュタグとして機能するじゃないですか。
天野
あ~なるほど! タイトルを書いただけで、自動的にタグ付けしてるってことか!
倉持さん
そう、それで追いやすくして、「リプでお礼を言ってまわろう」って考えたんですよ。
当時Twitterでフォロワーを増やそうと、「5分に1回尻を載せよう」とか頑張ってた時期だったんで、相乗効果があると思ったんです。
タレント本人からお礼がくるっていう付加価値が写真集につく、と。
今すぐSNSコンサルを開業したほうがいい
「結局私は仕事オタク」“倉持由香”というキャラクターのパラメータを上げている
天野
女体以外で言うと、倉持さんはゲーム好きですよね。
ゲーム関連のお仕事がかなりたくさん来てるらしいですが、いくら好きでも大変じゃないですか?
倉持さん
スマホゲームのお仕事とかたくさんいただいてるんですけど、まったくやってない状態で現場に行くことはないようにしてます。決まった時点で即ダウンロード。レベル上げしたり攻略Wikiを見たりします。
どんなにほかのお仕事でヘロヘロ状態でも、最低でも“チュートリアル”まではやるようにする。
ダウンロードすらしないで来るタレントの子もたまにいるんで、それは失礼だなと。
天野
そんなにちゃんとやれる理由とかあるんですか?
倉持さん
それこそ私は、グラドルのなかでもかなりインドア派なほうだから、時間があるんですよね(笑)。家にいるからできてしまう。
あとは…
倉持さん
私は「仕事オタク」なんだと思います。結局仕事が趣味なんですよ。
天野
仕事オタク! 意識が高い経営者がよく言いそうなワードですけど…
倉持さん
別にすごい意識が高いというわけでもなくて、「仕事というゲームを攻略していく」みたいな感じなんですよね。
倉持由香っていうのも芸名なんで、そういう名前のキャラクターを操作している感覚ありますよ。
「Call of Duty」みたいなFPS(一人称視点)じゃなくて「スプラトゥーン」みたいなTPS(三人称視点)。RPGの視点とか。
※操作者(プレイヤー)の視点がどこにあるかという違いです
天野
引いた視点で客観的にプレイできてると。
倉持さん
ボス(仕事)を倒すために必要なスキルは何だろう?って考えるとか。
所持金やギャラ、住む家が変わったら「自分のステータス値」が上昇したなって感じるんですよ。
レベルが上がってくほど厳しいバトルになるけど、成果報酬や経験値も増える(笑)。そう思ったらめちゃくちゃ楽しいですよ!
なんでも「推しを作る」ことで、新しい仕事にもハマれる
天野
倉持さんは、大相撲、競馬とか、新しいお仕事にもいろいろチャレンジしてるじゃないですか。
「新しいものにハマるコツ」とかあるんですか?
倉持さん
なんでも“推し”をつくっちゃうといいですよ。
大相撲なら、好みのお尻の力士を探してみる。お尻だけに“推し力士(おしりきし)”…
天野
おしりきし。
なぜ今日一番のニヤリ顔
倉持さん
私は栃ノ心関が推し力士です。
“推しウマ”はモズカッチャン。牝馬なのに名前がダサかわいくないですか?
天野
まあ…そうですね。
倉持さん
ピンと来てないかもしれないですけど、そういうちょっとしたことでも、「推し」と決めると仕事以外でも気になるんですよね。
モズカッチャンがエリザベス女王杯(GI)を勝ったときなんて、自分のことのように号泣しましたよ。
天野
入りは「お仕事」で、興味なかった状態からよくそこまでになれますよね。
倉持さん
自分はこのウマを推してる!っていう気持ちなら、それについて調べることがただの「オタク活動」になるんですよ。
だから楽しくて、どんどん「競馬ノート」とか作っちゃうんですよね。
これが倉持さんの「競馬ノート」!
こちらは「大相撲ノート」
オタクは排他的なのにおせっかい。「クソリプおじさん」は倒しても経験値にならない
天野
逆に、オタクのデメリットというか短所を感じることもありますか?
倉持さん
「排他的なのにおせっかい」なところですかね。
最近eスポーツブームで、格ゲーのお仕事もするんですけど、いまだに「格ゲーは男の世界。女は入ってくるな」って言われることもあるんですよ。
天野
ええ…。おせっかいというのは?
倉持さん
聞かれてないのにいろいろ押し付けるのはよくないなと。そういう意味でグラドルにとって一番身近な敵は、「クソリプ飛ばしてくるおじさん」。
2年前に『RPGツクール』の企画で「グラドルクエスト」っていうオリジナルゲームを作らせてもらったんですけど、そのときも、主人公のグラドルが戦うザコモンスターは「クソリプおじさん」にしました。
ちなみに倒しても大した経験値がもらえないから、戦ってもムダなんです。
天野
なんですかそのパンチが効いた設定。
倉持さん
あと、最近の悩みは「シェフおじさん」。
天野
シェフ?
倉持さん
「自炊したよ」って写真をSNSに載せると、「親子丼には三つ葉をのせてください!」っていうめっちゃ細かい指摘をしてくる(笑)。
「三つ葉、ご家庭に常備されてないよ!」
倉持さん
三つ葉警察が出動してくるんですよ(笑)。別にあなたが食べるわけじゃないんだからよくない?って思っちゃいます。
はじめてベースを弾いてみた動画をアップしたら、ベース好きな方々から「手首が硬い」「指で弾けよ」ってたくさんリプが来たり。麻雀で「やったー! あがれたよ!」って写真を載せたら「何で三色狙わないんだ」「三色見えてるだろ」ってやたら三色同順(上級者が狙うといわれる役)を押し付けてくる三色おじさんもいます。
この前なんてスイカ食べてたら「虫歯になりますよ!」ってリプが来ましたからね(笑)。もうすごい警察来たなと(笑)。
天野
何食ったってなるわと(笑)。
倉持さん
もうおじさんを集めるポケモンマスターの気持ちになるしかないんですよ。
メモ帳に「クソリプおじさん」の分布図とか図鑑を書いて耐えるしかない。これもそのうち書籍化しようと思ってます。
クソリプおじさんの恐怖におびえる
倉持さん
でも、最初に私も「キャラがわかってないコスプレはダメ」って同じようなこと言ってますからね。
自分の得意領域のことはめっちゃ早口で文句言いに行っちゃうんですよ。シュバババ!って。
天野
倉持さんもそれは同じだと…
倉持さん
でもそれじゃダメなんですよね。ベースを叩かれたときも「いやいや、初心者が頑張ってるんだからまずホメてくれよ!」って思いましたもん。
初心者をホメないと市場が広がらない。排他的にならないでお互いをホメることを覚えないとダメですね。オタクは。
天野
つまり、どういうことでしょう?
倉持さん
要は、オタクは全員「人のクソリプ見て我がクソリプ直せ」ってことなんですよ。
天野
…名言ありがとうございました。
というわけで、倉持由香さんにはこれからも定期的に、さまざまなテーマでお話をうかがっていきます。
ききたいテーマがある人は、こちらの新R25公式アカウントまでリプライを送ってください!
くれぐれもクソリプはやめてくださいね(迫真)。
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=飯本貴子(@tako_i)〉
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