

自分のなかの「小人」に聞け
"やめちまえ"と強い言葉を使うメリットとは?『ドラゴン桜』桜木流「人を動かす交渉力」
新R25編集部
自分の意見をはっきり相手に伝えることができない…。
ボクは決して人見知りではないのに、つい相手の顔をうかがってしまうんです。この悩みってどうやったら解消されるのでしょうか…?
そんな悩みを聞いてくれたのは、龍山高校で大胆な学校改革を進める桜木建二先生。彼の発言力はボクらとは比べものにならないくらいすごいんです。
(C) 三田紀房 / コルク
全校生徒に「お前ら一生だまされ続ける」って言ってました
なぜ、彼の言葉には人を動かす熱がこもっているのか?ボクらにも同じようなことができるのか? これらの疑問を、桜木先生その人に直接ぶつけてみました!
〈聞き手:ライター・サトートモロー〉
【桜木建二(さくらぎ・けんじ)】元暴走族の弁護士。経営破綻状態となった落ちこぼれ高校、私立龍山高等学校の運営問題を請け負うこととなった。龍山高校を進学校にする構想をその時練り、特別進学クラスを新設し、1年後には同校初の東大合格者を出した
強い言葉で相手の「本当の感情」を引き出す

ライター・サトー
桜木先生は、相手に対して強い言葉を使う機会が多いです。
正直「そこまで言わなくても…」という印象もありますが、これってどうしてなのでしょうか?

桜木先生
オレが強い言葉をぶつける理由は、相手のなかに眠る「強い感情」を引き出したいからだ。

ライター・サトー
というと?

桜木先生
相手に対して、「失格」とか「やめちまえ」という言葉を使う。すると、「そんなことはない!」と強い否定が返ってくるだろう。
(C) 三田紀房 / コルク

桜木先生
人間が本当に協力し合いたいなら、お互い何を考えているのか知るのが一番。
相手は、感情的に反論すると、自分が本当は何をしたかったかに気づくんだ。そこで初めて自分のこだわりを際立たせることができるようになる。
人は結局、自分で納得したことしか行動に移せない生き物だからな。
事実を突きつけることが成功への最短の近道

桜木先生
あと、勘違いしているかもしれないが、オレは基本的に事実しか言わない。

ライター・サトー
そうなんですか!?

桜木先生
人を動かすには「正しく事実を理解させること」が最も早い近道になる。
たとえば、昔教えた水野と矢島、そして今教えている天野と早瀬の4人は、みな東大に行くことのできる可能性が十分あった。
だがそれは、今すぐ習慣を切り替えて1年間必死に頑張って、初めて成し遂げられることだろう。

ライター・サトー
なるほど。

桜木先生
あいつらを本気にさせるのに、今持っている実力を勘違いさせるような発言はできない。
だからハッキリと、「お前らは東大へ行ける。でも今のままじゃ全然ダメだ」と伝えるんだ。
だが、世の中はそうなっていない。「事実を直接的に言う」っていうのは避けるべき、というのが社会的な常識になっているだろう。

ライター・サトー
そうですね。時間をかけて、ゆっくり説明するのが正しいとされています。

桜木先生
オレからしたら、長期間をかけて人を変えるメリットなんてない。
もし20年かけて変化させて、何の成果も得られなかったとしたら、やり直しなんてきかないからな。
事実を突きつけて、正しく受け止められる人間は信頼できる

ライター・サトー
たとえ事実を言ったとしても相手を怒らせてしまうことってありますよね?
そうなった場合はどうすればいいのでしょう?

桜木先生
怒りを覚える人間には2つのパターンがある。
1つはそのまま去っていくもの。こっちは気にしなくていい。
もう1つは、どんなに怒り狂ってても、夜寝る前になったら冷静になって「ムカつくが、あいつの言うことももっともだ」と思う人間。
つまり事実を正しく受け止められる人間は成長の可能性を秘めている。

ライター・サトー
なるほど。だから、全校集会で桜木先生が言った事実をちゃんと受け止められる生徒は見込みがあるってことですね。
(C) 三田紀房 / コルク

桜木先生
そうだ。発言をちゃんと理解して、東大を受けると決めた生徒には、どんな事実を告げても受け止められると信じている。

ライター・サトー
しかし、なぜ生徒をそこまで信頼できるのでしょう?

桜木先生
オレ自身、昔は暴走族でろくに何も考えずに過ごしてきた。あの時の俺は、龍山高校でくすぶっている奴らと同じで、何者でもなかったんだ。
だがオレは、こうして弁護士になることができた。機会さえあれば、どんな人間にも変わるチャンスがあると思っている。
(C) 三田紀房 / コルク
グレていたときの桜木先生
「自分はビビりだ」と思うやつは、「人と話す」努力が足りていない

ライター・サトー
桜木先生がなぜ強い言葉で相手に接するのか、よくわかりました。
ただ、私はかなりビビリな性格なので、ハッキリとした物言いができません。
どうやったら、先生のように相手とコミュニケーションが取れるようになりますか?

桜木先生
ビビりな性格は治すことができる。

ライター・サトー
本当ですか? 32歳になっても治ってないってことは、今さら変えられないんじゃないですか?

桜木先生
ハァ~…
幼稚園を見に行ってみろ。

ライター・サトー
えっ、幼稚園?

桜木先生
幼稚園に入ったばかりの子供たちは、まったく新しい環境に置かれて、見知らぬ人間とコミュニケーションをとることになる。
彼らは、一切緊張していないように思うか?

ライター・サトー
いえ。きっと多かれ少なかれ、みんなドキドキしていると思います。

桜木先生
そうだろう。緊張しない人間なんていないんだ。
いいか。世の中で才能と呼ばれているものは、すべて「経験」のたまものなんだよ。
成功している経営者のなかには、元々どもりで話すことが苦手だったのに、今では誰よりもスピーチが上手なんてエピソードをよく耳にするだろう?

ライター・サトー
そういう苦手を克服した話、ビジネス書やテレビの特集で聞いたことがあります。

桜木先生
人前でも緊張せずに話せる人間は、「このシーンでどうやったら緊張せずに話せるか」という工夫をしまくって、たくさん緊張する場面をこなしてきた。
「気弱だ」「緊張しやすい」を口にする奴は、努力そのものを放棄しているんだよ。

ライター・サトー
うぐ。たしかに緊張しそうなシーンには、なるべく出くわさないようにしています…

桜木先生
努力が足りないことをまず認めろ。
「あの人は特別」と、努力している人間を妄想の枠にくくる発想は捨てるんだな。
スイマセン…

ライター・サトー
では、今からどうやって「人にハッキリものを伝える」経験を積み重ねたらいいですか?

桜木先生
これは、営業マンにも使える話だが、まずは身近な人とのコミュニケーションで「交渉」を試みるんだ。

ライター・サトー
交渉、ですか。

桜木先生
自分の意見を伝えるための経験を積むのには、「交渉」と捉えたほうがわかりやすい。
たとえば友人との旅行の行き先を、自分の行きたいところにうまく交渉するんだ。

ライター・サトー
プライベートで、うまく交渉の経験を積み重ねるんですね。

桜木先生
交渉と聞くと、どうしても仕事の印象が強くなるが、日常でもたくさん練習するチャンスはある。

ライター・サトー
なるほど。桜木先生が普段から強い言葉を使えるのは、それに慣れているってことでしょうか?

桜木先生
オレの場合、弁護士なんて仕事をしているから、クライアントは大抵が切羽詰まった状況に置かれている。そんな相手を前に、俺はあらゆる困難を乗り越える経験を何百回と重ねてきたんだよ。
それを考えれば、10代の学生に対して「ハッキリ事実を伝える」なんて楽勝だな。
(C) 三田紀房 / コルク
自分を変えるための方法「心のなかに小人を飼え」

桜木先生
あと、小心者の自分を変えたいならば、受験生にも教えているアドバイスがある。
自分のなかに小人を飼うんだ。

ライター・サトー
どういうことですか?

桜木先生
今お前のなかには、100人の小人がいるとしよう。
彼らに「Aから始まる単語を覚えることはできる?」と問うと、そのうちの1人が「YES」と答える。
次に「Bから始まる単語は覚えられる?」と聞くと、また別の小人が「YES」と答えるんだ。

ライター・サトー
つまり、自分のなかで「できること」を確認するってことでしょうか?

桜木先生
そうだ。試しにやってみるぞ。
ハッキリとして言葉を相手に伝えるというゴールがあるとして、その第一歩は「心のなかで、思いを言語化させる」だ。これはできるか?

ライター・サトー
はい、それならYESです。

桜木先生
じゃあ今度は、「その思いを日記に書く」だ。できるか?

ライター・サトー
はい、できます。YESです。

桜木先生
それなら次は、「一番信頼している人にそれを言う」だ。
…こんな感じで、自分のなかの小人の「YES」で、行動に移せるだけの勇気を自分のなかで完成させるんだ。

ライター・サトー
なるほど。今の自分でも始められることから変えていくのが大切なんですね。ハッキリとわかりました。

桜木先生
いきなり大胆なことをしようなんて思わなくていい。今すぐできる、小さな挑戦を今日始めるんだ。
一見、相手のことを煽っているように見える桜木先生。しかし彼の言葉が人を惹きつけるのは、相手のことをちゃんと理解して、事実を理解させるためにやっていたんですね。
今すぐ強い言葉を発するには、ボクはまだまだ準備不足でした。同じようにコミュニケーションで悩んでいる方がいれば、まずは自分の身近な「交渉」から始めてみませんか?
もし、それが難しいならば、自分のなかにいる小人に問いかけることからでも行動してみましょう!
〈取材・文=サトートモロー(@tomorrow_p_sato)/編集=福田啄也(@fkd1111)〉

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