ビジネスパーソンインタビュー
いい会社を見抜く方法は? 今入るべき会社は?
日本の就活システムにモノ申す! 各界で活躍するビジネスパーソンが提唱する「新・就活ルール」
新R25編集部
経団連は、2021年卒の学生採用から「採用選考に関する指針」、いわゆる「就活ルール」を撤廃することを決定。現行の「6月選考開始」という取り決めがなくなることとなりました。
そんな旧来の就活ルールが変わりゆくタイミングのなか、各界で活躍するビジネスパーソンたちにも「いい会社を見抜く方法」や「企業側がいい人材を採用する方法」についてクエスチョンを投げかけてみました。
就職活動中の学生のみならず、キャリアに迷うR25世代、自社の採用や広報を考える人もチェックしてみてください!
三浦崇宏「ルールを運用する側でなく、つくる側に行こう」
【三浦崇宏(みうら・たかひろ)】TheBreakthrough Company GO代表取締役兼PR/CreativeDirector。早稲田大学第一文学部を卒業後、博報堂入社。マーケティング、PR、クリエイティブ部門を経て独立、2017年に株式会社GOを設立
✔三浦崇宏が考える「いい会社を見抜く方法」
三浦崇宏
いい会社を見抜くというのではなく、自分がいい会社にできるところを探すというマインドセットにしたほうがいい。
✔三浦崇宏が「就活生にオススメしたい、入るべき会社」
三浦崇宏
優秀な学生の進路として、人材の社会的価値を最大化するためにはこんな感じがいいと思う。
S 起業
A スタートアップ
B 官僚
C 資格業
D 大企業
今は、
S 官僚
A 資格業
B 大企業
という状況。
来年、むしろ明日社会のルールがどうなってるかわからない時代だから、ルールを運用する側にいくのではなく、ルールをつくる側に行かないといけない。
✔三浦崇宏が考える「企業側が、魅力的な人材を採用するには?」
三浦崇宏
ほんとうにいい人材は企業に入らなくてもいい時代。だからこそ、企業に入ることで、より大きく、早く社会に影響を与えられることを示さないといけない。
1.ビジョン(企業の目指すべき場所、思想)
2.環境(個人のポテンシャルを最大化できる仕事内容、仕事仲間)
3.条件(賃金や福利厚生)
この順番で考える。
そして、いつだって重要なことは徹底的に嘘をつかないこと。優秀な学生は嘘を見抜くから信用されない。
✔三浦崇宏が考える「こんな就活ルールをつくるべき」
三浦崇宏
年齢で能力の優劣が決まらない時代。若いとか、大人とかではなく、それぞれ違う時代のバックグラウンドを生きる人間として考えなくてはいけない。
だから、新卒一括採用は明日にでもやめたほうがいい。新卒でも学生でもなく、人間の採用をしたほうがいい。
北野唯我「会社ではなく、事業やチームに就職する意識で」
【北野唯我(きたの・ゆいが)】兵庫県出身。神戸大学経営学部卒業後、博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。その後ボストンコンサルティンググループを経て、2016年にワンキャリアへ参画、執行役員に就任。2019年1月から子会社の代表取締役、社外IT企業の戦略顧問も兼務。デビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が発売2カ月で10万部、続く著書『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩むすべての人へ』(日本経済新聞出版社)は発売3週間で5万部突破のベストセラーに
✔北野唯我が考える「いい会社を見抜く方法」
北野唯我
「誰にとってもいい会社」は「どうでもいい会社」になりえる。
伝説の投資家、ピーター・ティールが「幸福な企業はみな違っているが、不幸な企業はみな同じだ」というように、大事なのは、
1.「誰にとっても不幸な企業」を選ばないこと、
その上で
2.「自分に合う会社」を見つける努力をすること、
だと思います。
方法はぜひ『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)と『転職の思考法』(ダイヤモンド社)をお読みください。
✔北野唯我が「就活生にオススメしたい、入るべき会社」
北野唯我
伸びている事業を持っている会社。あるいは、自分が大好きだと思えるサービスやプロダクトを売っている会社。
ちなみに、そもそも、会社ではなく「事業に就職する」「チームに就職する」という気持ちで企業を選んだほうがいいかと思います。
✔北野唯我が考える「企業側が、魅力的な人材を採用するには?」
北野唯我
今は「嘘はバレる」時代。その上でいい人材を採りたいなら2つあります。
1つは「今働いている従業員の満足度をあげること」。
2つめは「体臭を出すこと」。
つまり、社内のカルチャーが自然と社外に出てしまうような会社を作ることです。
✔北野唯我が考える「こんな就活ルールをつくるべき」
北野唯我
現実的な折衷案としてありえるのは、
「(年2〜3回のピークシーズンを前提とした)通年採用・全学年採用」。
「部門別採用の浸透」かと思います。
麻野耕司「粗利率が高い、成長率が高い、平均年齢が低い会社を狙え」
【麻野耕司(あさの・こうじ)】モチベーションエンジニア。リンクアンドモチベーション取締役、ヴォーカーズ取締役副社長など。クチコミサイト「Vokers」を展開。4月3日には著書、『THE TEAM 〜5つの法則〜』が発売となる
✔麻野耕司が考える「いい会社を見抜く方法」
麻野耕司
Vorkersの社員クチコミを見れば会社のことは大体分かります(笑)。
ただし、他人にとって良い会社が自分にとって良い会社かどうかは分からないので、自分の目で見て、自分の頭で考え、自分の心で決めることが最終的にはとても大切です。
✔麻野耕司が「就活生にオススメしたい、入るべき会社」
麻野耕司
「成長できる会社」ですね。若いうちはやりたいことが変わりやすいので、やれることを増やしておくと良いでしょう。
「粗利率が高い」「成長率が高い」「平均年齢が低い」の3つがそろっている会社がオススメです。
「粗利率が高い=付加価値が高く、能力が問われる仕事」「成長率が高い=仕事が増えていて、経験がなくても大きな仕事が回ってきやすい会社」「平均年齢が低い=若手に機会が与えられやすい組織」だからです。
✔麻野耕司が考える「企業側が、魅力的な人材を採用するには?」
麻野耕司
外面ばかりお化粧するのをやめて、中身=会社や組織の実態を良くするべきだと思います。
…そしたらVorkersのクチコミスコアも良くなり、いい人材に選ばれるようになります!今の時代はクチコミサイト、SNSなどで組織の実態は筒抜けです。
はあちゅう「ネットの世界を知っていて、損することはない」
撮影=長谷英史
【伊藤春香(はあちゅう)】ブロガー・作家。「ネット時代の新たな作家」をスローガンに読者と直接つながって言葉を届ける未来の作家の形を摸索中。著作に『半径5メートルの野望』『「自分」を仕事にする生き方』『仮想人生』などがある。noteの月額課金制マガジン「月刊はあちゅう」も好評
✔はあちゅうが考える「いい会社を見抜く方法」
はあちゅう
会社は結局人の集まりでしかないから、
「この人みたいに働きたい」
「この人みたいになりたい」
と思える人のいる会社に行くのがいい。
私もOB訪問をたくさんしました。
今はSNSもあるので、憧れの社会人を見つけてみてください。
その人のいる仕事場で働く自分をイメージしてみて、ワクワクするなら、きっと相性が良いと思います。
✔はあちゅうが「就活生にオススメしたい、入るべき会社」
はあちゅう
IT業界の、大企業になりすぎていない会社か、外資系の会社。働き方も、仕事内容も進んでいるところが多いから。
その後転職するにしても、ネットの世界を知っていて、損することはありません。また、転職をする人が多いのもポイント。
やりたいことが決まっている人はピンポイントで行きたい会社に行けばいいけど、よくわからない人は、やりたいことが見つかったときにもフットワーク軽く転職できるような場所にいたほうがいいかも。
✔はあちゅうが考える「企業側が、魅力的な人材を採用するには?」
はあちゅう
魅力的な仕事をすることと、ロールモデルになりそうな人物のSNS発信やメディア出演に寛大になること。
若者はめっちゃネット見てます。
✔はあちゅうが考える「こんな就活ルールをつくるべき」
はあちゅう
個性を殺すリクルートスーツの一斉廃止。
えとみほ「自由に生きれば生きるほど、『元○○』の肩書きが大事になる」
【江藤美帆(えとみほ)】Jリーグ栃木SCマーケティング戦略部長。スナップマート創業者(現顧問)。高収入リモートワーク求人サイト「コデアル」アンバサダー
✔えとみほが考える「いい会社を見抜く方法」
えとみほ
可能であれば、企業のトップと直接会って話ができるところがいいと思います。
そもそも他人が思う「いい会社」と自分が思う「いい会社」は全然違うかもしれないですし。
恋愛と同じで、フィーリングは大事かなと。
✔えとみほが「就活生にオススメしたい、入るべき会社」
えとみほ
2パターンあって、1つはとにかくみんなに「すごいね」って言われる名のある企業とか職業ですね。
この先何をやるにしても「元Google」とか「元官僚」とかはプラスに働きますし、自由に生きれば生きるほど、こういう肩書きは生きてきます。
もう1つは、20代のうちにトラックレコードが作れる業界。下積みを何年もやって…ってところより、なる早で「あれオレ」ができるところがいいです。(※あれオレ...プロジェクトや作品の具体名を出して「あれはオレの仕事」と言うこと)
いずれにせよ、ひとつの会社で一生を終えることは稀な時代になりますから、転職・ステップアップ前提で考えたほうがいいと思います。
✔えとみほが考える「企業側が、魅力的な人材を採用するには?」
えとみほ
やはり、働き方や生き方の多様性を提示することかなと。
いまの就活生は子どもが少なくなって、大半大事に扱われていますから、我々からすると「え?」と思うようなワガママを言われることもあるかと思いますが、ちゃんと彼らの望みを汲み取ってあげれば、意外に居心地よく感じて定着してくれる子も多いなと感じています。
✔えとみほが考える「こんな就活ルールをつくるべき」
えとみほ
インターンからの採用が禁止されるということで話題になりましたが、逆にインターンをしないとその会社に就職できないくらいであってもいいと思います。
実際に働いてみないとわからないことも多いですし、雇用のミスマッチは企業も社員もお互い不幸になりますから。
鈴木涼美「正社員採用は、30歳以上に限るべき」
【鈴木涼美(すずき・すずみ)】慶應義塾大学、東京大学大学院卒。AV女優、日経新聞記者を経て作家として活動。著書に『おじさんメモリアル』(扶桑社)、『オンナの値段 鈴木涼美のオンナの現代資本主義論』(講談社)など
✔鈴木涼美が考える「いい会社を見抜く方法」
鈴木涼美
会社との相性なんて恋愛と一緒で人の話は参考にならないので、二点だけ注意してフィーリングで選んで嫌だったらやめればいいのです。
注意すべきは会社(社長でもつくっている商品でもブランド力でもいい)に惚れられるかどうかと、自分の優先順位でどうしても譲れない条件だけ満たしているか。
恋愛中は不条理も苦じゃないのと一緒で、会社に恋していれば勤務時間がブラックだろうと死ぬほどくだらない慣習があろうと耐えられるし、逆に会社に惚れていないとお金と時間にうるさいせせこましい会社員になります。
どうしても譲れない条件とは、私の場合は都内以外には住めない、ということでしたが、給料や地理的なことなどです。
鈴木涼美
働きやすさなんていうのはメンタリティの問題なので数値化できるものではありません。
会社の業績は資料でわかりますし、正直、OB訪問や会社説明会などに通っても、自分が働きやすい環境であるかどうかはわからないのでそれほど必要ないかな、と思っています。
多くの場合、本当に辛いストレスなどがある場合、それは会社の体質よりも直属の上司や隣の席の先輩など、属人的な要素が原因である場合がほとんどだからです。
✔鈴木涼美が「就活生にオススメしたい、入るべき会社」
鈴木涼美
個人的におすすめなのはかつて公営だった会社です。JR、東京メトロ、日本郵政、NHKなど。意外と民間より自由で挑戦的なことにも前向きです。
あとずっとおすすめなのは東京都(都庁)。あらゆる職種、業種があり、社風は極めて自由、女性も多く、徹底した科挙制(幹部試験制)なので学歴関係なく上り詰められます。
✔鈴木涼美が考える「企業側が、魅力的な人材を採用するには?」
鈴木涼美
何十社も受けているようなザ・就活生にまともな人はいないと思います。
中途採用を増やし、学業そっちのけで就活しているような人をとらないことです。
私は正社員採用を30歳にすべきだと考えています。せめて25歳。
✔鈴木涼美が考える「こんな就活ルールをつくるべき」
鈴木涼美
大学生の就活禁止。
正社員採用を一律30歳以上に限る。
30歳以下は非正規・学業・バイト・留学などにあてる。
今までの就職活動の概念をくつがえすような挑戦的なコメントもあるなかで、学生には「自分がいい会社にする意識を持つ」「チームに就職する意識を持つ」など主体的な行動を求める声、企業側には「嘘をつかない」「カルチャーを発信する」など企業体質の積極的なアピールを求める意見が多い印象でした。
それぞれの立場にいる人は、本記事に寄せられた回答をどう感じたでしょうか?
〈構成=天野俊吉(@amanop)〉
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