ビジネスパーソンインタビュー
投資家大注目の現役東大生社長・加茂倫明が語る「人を巻き込む方法」と「器の広げかた」

「僕がどれだけ“いい人”でいられるかが重要」

投資家大注目の現役東大生社長・加茂倫明が語る「人を巻き込む方法」と「器の広げかた」

新R25編集部

Sponsored by 株式会社POL

2019/05/22

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現役東大生でありながら数々の投資家から注目を集める、加茂倫明という起業家をご存じですか?

・2016年、
東京大学2年次

株式会社POL
を創業(現在も在学中)
・元ガリバーインターナショナル(現IDOM)専務取締役の吉田行宏氏を
共同創業者に巻き込む
・元グリー執行役員兼開発本部長の梶原大輔氏を
技術顧問に巻き込む
・現在社員数40名。
平均年齢は32歳
・社員にはベンチャー役員経験者も複数
・サービス立ち上げ直後から
強い投資家陣を
巻き込むことに成功
・新卒採用も実施。
2019年は12名入社

ご覧いただいてわかるように、とにかく人を“巻き込む力”がスゴイとウワサなんです。

この巻き込み力は、若手ビジネスパーソンにとっても、上司や先輩の力を借りながら大きな成果を目指す上で求められるスキルです。

彼はなぜ、学生でありながらそこまで多くの人を巻き込み、起業家として応援してもらえるのか。今回は、そのヒミツを取材してきました。

【加茂倫明(かも・みちあき)】東京大学工学部3年生。高校時代から起業したいと考え始め、その後ベンチャー数社で長期インターンを経験。2015年9月からは半年間休学してシンガポールに渡り、REAPRAグループのHealthBankにてプロダクトマネージャーとしてオンラインダイエットサービスの立ち上げを行う。2016年に株式会社POL設立

〈聞き手=宮内麻希(新R25編集部)〉

宮内

加茂さんは会社の代表とはいえ、まだ現役の東大生ですよね? ここまで人を巻き込めてるのって、やっぱりこう、高学歴で見た目がいいからなのでは…と…?

いきなりごめんなさい!!

加茂さん

いえいえ、とんでもないです(笑)。

でもたしかにPOLには、新卒含め優秀なメンバーがたくさんいます。社員の平均年齢は30代で、みんな僕より経験豊富で実力もある。応援してくれる投資家さんもいて、創業して間もないベンチャーなのに、クライアントには大手企業が多数。

共同創業者の吉田も初めて会って2時間しか話してないのに、一緒にやることを決めてくれましたからね。

やっぱすごかった

加茂さん

でもこれ、すべてはPOLが“デカくて良い旗”を掲げてるからだと思うんです

若手が人を巻き込むには、“デカくて良い旗”を立てるしかない

宮内

“デカくて良い旗”ってどういうことですか?

加茂さん

旗とは、ビジョンのことです。

たとえば、投資家さんに事業をプレゼンするとき、

このビジネスは絶対に儲かるから投資してください!

と伝えるのと、

僕はこの事業で、社会をこう変えたいんです。なおかつこの市場はチャンスがあって、絶対に儲かるから投資してください!

と伝えるのでは、後者の方が応援したくなるじゃないですか。

宮内

間違いないです。

加茂さん

人を巻き込むには、その場でメリットを提供するか、感情を動かすかのどちらかしかないんです。でも、こんな若造がメリットなんてすぐに提供できるわけがない。

だったら、相手の感情を動かすしかないんですよ。そのためには、自分がやりたいことを「〜を助けたいから」「〜な社会をつくりたいから」みたいに旗(ビジョン)に変換して話すことが大事なんです

宮内

POLの場合はどんな旗だったんでしょう?

加茂さん

最初の資金調達をしたのが、2017年の4月「LabBase」という1つ目のサービスをリリースした直後だったのですが、これは端的に言うと「理系学生向けのスカウト型就活サービス」なんですよね。

理系学生が研究内容等を登録しておくと、企業からスカウトが来て、研究に集中しながらそれを活かせる企業とつながることができるというサービスです。

加茂さん

そこで、僕はサービスをこうプレゼンするわけです。

「POLは理系学生や研究者のさまざまな課題を解決し、彼らがもっと活躍できる環境をつくります。それによって、今後社会を大きく前進させる科学技術の発展スピードを速め、日本社会の発展に貢献します。そして、その構想の一歩目として、収益化が比較的早くでき、僕が学生であることを活かせる“人材の領域”を選びました」

宮内

ステキな“旗”だ…

加茂さん

もちろんこの後にサービス内容に関しても説明するんですけど、もしこの“研究関連市場の課題を解決して、科学と社会の発展を加速する”という旗がなかったら、今ほど良い条件で投資を受けられなかったと思うんです。

メンバーを口説くときも同じで、この旗がなかったら採用も苦戦していたかもしれないです。

デカくて良い旗を掲げることで、目の前の具体的なビジネスアイデアだけを語るよりも、より優秀な人を巻き込むことができます。

宮内

なるほど…勉強になります。

加茂さん

サービスのユーザーに対しても同じことが言えますよね。

今の時代はモノもサービスも飽和状態になってきていて、表面的なメリットや機能を提供するだけでは大きな差を出しづらいんです。

じゃあどこで選ばれるのか? それこそが、“感情を動かせるかどうか”だと思うんです。

ブランディングや様々なユーザーコミュニケーションも含めて「なんかこのサービス好きなんだよな」と思ってもらえるかどうか。

加茂さん

なのでこれからは、事業においても組織作りにおいても “エモい会社”が勝ち残るんじゃないかと。

宮内

エモってemotional(感情)からきてますもんね。「エモい」という言葉が流行ってるのはそういう文脈なのかも…

加茂さん

だからこそ、POLでは「ビジョンを語って感情で人を巻き込む」ことに注力した経営をしたいと思っています。

誰よりも会社や事業のことをエモく語れるように、常に自分の言葉を研ぎ澄ましておくことは意識してますね。

“意識の高い学生”だった加茂さんが、まわりに頼ることができるようになったきっかけとは?

宮内

加茂さんは昔から、人を巻き込んだり、誰かに頼ったりすることが得意だったんですか?

加茂さん

いえ、昔は苦手でした。

創業する前は、インターンでシンガポールに行って事業を立ち上げたり、セミナーに参加したりする、いわゆる“意識の高い東大生”だったんです。そのときは、「優秀だね」「学生なのにすごいね」と言われることが圧倒的に多くて。

宮内

私も、灘高→東大という経歴を見た瞬間、「絵に描いたようなエリートだ」と思っちゃいました。

加茂さん

そこだけ見ればそりゃそう思いますよね(笑)。だからこそ、当時は「できない」「知らない」「わからないから教えてほしい」なんて言えなくて、今思うと格好つけていたなと。

でも、起業するときに大きな壁にぶち当たったんです。

加茂さん

たとえば、習い事でやっていたピアノ、受験勉強、インターンなどはどれも自分さえ頑張れば成果を出すことができたんですけど、「会社を経営する」というのは全然違いました。

自分に足りない部分をまわりに頼らないと、大きな成果が出せないんです

宮内

やりたいことの規模を大きくしようと思うと、チームプレイは欠かせないですね。

加茂さん

そうなんです。あと、共同創業者である吉田との出会いも大きかったです。僕は、人生で出会った人のなかでダントツで彼を尊敬してるんです。

【吉田行宏(よしだ・ゆきひろ)】元株式会社ガリバーインターナショナル(現株式会社IDOM)専務取締役。創業4年でガリバーを全国展開させ同社を株式公開に導く。10年で1000億の売り上げを達成した日本でも数少ないハイパーグロースカンパニー。 FC事業、経営戦略 ・ マーケティング・人事・教育 ・ IT・財務等の担当役員を歴任。 2012年に退任するまでの18年間、一貫して人事・評価制度の構築、運営及び社員・幹部育成、教育を行い、独自の研修や育成理論を構築する。 ガリバー退任後は、若手経営者の育成支援と、共同での新規事業創造の為、株式会社アイランドクレアを設立。現在25社以上の企業の役員、戦略顧問、出資支援を行っている

加茂さん

彼と初めて話したときに、自分の高くなりすぎた鼻がリセットされた感覚があって。レーダーチャートの全方位で負けていると感じました(笑)。

そうなるともう、できない自分も全部素直にさらけ出して、「勉強させてください」というスタンスで対峙するしかなかったんですよね。

宮内

それ以降、吉田さん以外の人への接し方も変わったんですか?

加茂さん

変わりましたね。この前、起業前から付き合いのある大学の友人とご飯に行ったんですけど、「加茂、すごい変わったな」って驚かれたくらい(笑)。

昔は尖っていたそうです

加茂さん

結局、“弱みを見せた方が人は助けてくれる”ということがわかったので、今では会社のメンバーに対しても「記憶力悪くてごめんやけどあれどうなってたっけ?」とか「これ教えてほしい!」と素直に言うようにしています。

人に協力してもらうためには、“ありのままでいることが大事”というのは大きな学びでした。

「本当の自信」を持つには、成功体験と失敗体験のバランスが大事

宮内

ただ、“ありのままでいること”もまた難しいと思うんです。

「期待に応えなきゃ」「成長したい」と思うほど、できなくても「できます!」と言ってしまったり…

加茂さん

そうですよね。若ければ若いほど、実力とは反対に背伸びしたくなってしまう気持ちはよくわかります。

でもそれって、結局自分に自信がないからなんですよね

宮内

うっ…図星です。

加茂さん

本当の意味で自分に自信を持つことができれば、ありのままでいられるんですよ。

加茂さん

そして、本当の自信を持つには「成功体験と失敗体験のバランス」が大事だと思ってます

宮内

どういうことですか?

加茂さん

成功体験は当然自信になりますが、それだけだとどんどん鼻が高くなってしまいます。

すると格好つけることが日常になって自分の弱みを見せられなくなり、失敗することが不安になってくるんです。

宮内

なるほど。

加茂さん

一方で、失敗をすると何かしらの形で“人に頼る”瞬間がありますよね。

そのときに「意外とみんな自分を助けてくれるんだ」とか、「自分の弱みをさらけだしても大丈夫なんだ」という気づきが得られます。

そういう経験を経て「失敗してもなんとかなる」と思えることが、本当の自信だと思うんです

だから僕は、自信をつけたいと思ったら、成功も失敗もバランス良く経験できる環境に身を置くことが大事だと思っています。

人を巻き込める「器の大きい人間」になるためにできること

加茂さん

でも…結局のところ人を巻き込むのに大切なことって、僕がどれだけ“いい人”でいられるかどうかだと思うんです。

宮内

…!? かなりシンプルな結論ですね?

加茂さん

いい人というと抽象的ですが、たとえば「器の大きさ」。

なぜなら、自分より器の大きい人を巻き込むことはできないと思うからです。

加茂さん

これは経営者に限った話ではなく、どんな組織であれ、トップに立つ人の器の大きさでどこまでいけるかが変わってくると思っています。

なので、「自分の器や人間力を磨いていかないと、会社は小さくまとまってしまうな」という危機感は常に持っていますね。

宮内

なるほど。でも、器や人間力を磨くと言っても…どうすればいいんでしょう?

加茂さん

そうですね…たとえば、自分より器の大きい人と接してみるとか、電車でお年寄りに席を譲るとか。

宮内

そんなことでいいんですか!?

加茂さん

はじめは「徳を積もう」みたいな感じで背伸びしてやっていることも、やってるうちに自然にできるようになっていきますよ。

LabBaseをはじめた当初も、口ではデカい旗を掲げて「理系学生や研究者の課題を解決して科学と社会の発展を加速するぞ」なんて言ってましたけど、その時から心の底から200パーセントそう思えていたかと言われると、おそらくノーなんです

当時の想いの強さは今に比べると10分の1くらいでした。

宮内

そうだったんですね。

加茂さん

そこから、研究者と会って話した人数を自分の個人的なKPIに置いたんですよね。

彼らと対話していくうちに、自然と「研究は面白いし、世界を変えるようなすごい可能性がある」「研究者の役に立ちたい、幸せにしたい」と心の底から思えるようになっていた自分に気がつきました。

そうすると、事業をプレゼンする自分の言葉にもどんどん力が出てきて

宮内

心からビジョンを描けないことに悩んでいる人も多いと思うので、勇気をもらえる話です。

加茂さん

だからまずはあれこれ考えず、“器を広げる方向”へ自分を持ってくのが良いと思います。自分の性格も、視座も、器の大きさも、すべて自分で変えられる

「おばあちゃんに優しくしている」とか言うと小さなことに思えるかもしれませんけど、 僕はこの“小さなこと”の積み重ねが、最終的にはPOLがどこまで素敵で偉大な会社になれるかに関わってくると本気で思ってますから。

いい人であれ

文字にするとあたりまえに見えますが、社会に出て目の前の仕事に忙殺されている私たちは、ついつい忘れがちなことなのかもしれません。

加茂さんが学生でありながら、起業家としてここまで多くの人を巻き込み活躍されているヒミツは、ビジネスモデルや事業戦略を越えた“人としてのあり方”に隠されていたのかも。

最後にひとつだけ…。人の内面ってやっぱり、見た目にあらわれるんですね

〈取材・文=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=中澤真央 (@_maonakazawa_)〉

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