ビジネスパーソンインタビュー
なぜか、たなか(元ぼくりり)もいるよ!
「1億年経っても変わらない、仕事の真理を教えようか」箕輪★狂介が語る“仕事と遊び”
新R25編集部
「これからは、遊びが仕事になる時代だ」「上手に遊ぶと、仕事へのメリットも大きい」。ビジネスの世界では、そんな言葉を聞くことが多い。
しかし、「最近の若者は遊ばない」なんて言われることも…。
R25世代は、どのように“遊ぶ”べきなんだろう?
今回お話を伺ったのは、最近歌手「箕輪★狂介」をプロデュース(?)したことでも話題となった、編集者の箕輪厚介さん。編集者という本業がありながら、歌手活動にもコミットするのはなぜなのか。
箕輪さんの思考に迫っていきます。
〈聞き手=長谷川リョー〉
箕輪さん
ちょっと待ってて、今メイクするから。
長谷川
「狂介と厚介は別人格」の設定はどこへ…
箕輪さん
そんなのもうなくなってるよ!
長谷川
そうなんですね。あともうひとつ質問なんですが…
長谷川
なぜたなかさん(故・ぼくのりりっくのぼうよみ)がここに…?
たなかさん
来ちゃいました。
箕輪さん
さっき一緒にカラオケに行ってて。インタビューがあるって言ったら来たそうだったから、連れてきた。
長谷川
ノリが軽い。先が思いやられるな…
【箕輪厚介(みのわ・こうすけ)】1985年生まれ。2010年に双葉社に入社。広告営業などを経て2014年より編集部に異動し、『たった一人の熱狂(見城徹)』『逆転の仕事論(堀江貴文)』などを担当。2015年幻冬舎に入社した後、NewsPicks Book編集長として『多動力(堀江貴文)』『人生の勝算(前田裕二)』『お金2.0(佐藤航陽)』などの話題作を生み出しつづけている。2019年4月に、突然「箕輪★狂介」として歌手デビューを発表。代表曲に「You Know What?」「徒花」がある
R25世代はどうやって遊べばいい?⇒「恥ずかしいと思うこと」をやって、メンタルの筋トレをしろ
長谷川
この連載では、さまざまな仕事人に「R25世代はどのように遊ぶべきなのか」について聞いています。
箕輪さんは、なぜ編集者という本業がありながら、歌手デビューしようと思ったのでしょうか?
箕輪さん
わかんない。
最初は、昔から知り合いだったレコード会社の人に「“箕輪厚介を元気付けた曲”みたいなコンピレーションCD作りましょう!」って言われてたんだよね。
それが、飲んでて記憶がないうちに、気付いたらデビューすることになってた。
(ホントめちゃくちゃだなこの人…)
長谷川
「大人の悪ふざけ」という感じですかね?
箕輪さんにとって歌手活動はどのような位置付けなんでしょうか?
箕輪さん
あえて言えば「修行」かな。
長谷川
修行?
箕輪さん
前にホリエモン(堀江貴文さん)が、「オレ、1年に3回、恥ずかしいと思うことをわざとやって“修行”してるんだよね」って言ってたの聞いて、「やっぱホリエモンってすげえな」と思ったんです。
あれだけの地位があるのに、あえて恥かくことをしてる。それで、自分も「修行」をしなきゃいけないなあと。
「R-1ぐらんぷり」に出てたりするのは「修行」だったのか…
箕輪さん
「R25世代はどう遊んだらいいのか」って話で言えば、なんでもいいから「修行」したり「修羅場」をくぐったりしろ!と言いたい。
オレが書籍を編集した人は“前科のある人”が多いんだけど、そういう人って修羅場をたくさん経験してる。話してみるとわかるんですよ。「この人、地球が滅亡するようなピンチでも動じないだろうな」って。
恥をかけばかくほど「余裕」と「年輪」ができて、世間の声に動じなくなっていく。それって生物としてすげーカッコいいんだよね。
長谷川
歌手活動もそれになってますか?
箕輪さん
なるよ。「修行」って、メンタルの筋トレになるんですよ。
おばあちゃんたちの前で歌ったイオンモールのライブも、最初に会場入りしたときは「(人が少なすぎて)なんだよこれ!」ってなった(笑)。
でも、やってみるとけっこう盛り上がって。「マジかよ」「無理だわ」っていう負荷を繰り返していくと、気づいたらタフになってる。乗り越えれば乗り越えるほど、「負荷」が楽しみになってくるんだよね。
R25世代はどうやって遊べばいい?⇒「遊ぶ前に、自分の本業をやりきること」
長谷川
ほかに、若者が何をして遊ぶべきか、という教えってありますか?
箕輪さん
これは強調して言いたいけど、まずは自分の本業を本気でやりきること。これがないと、遊びもクソもない。
長谷川
本業…。箕輪さんは現在も、編集者として仕事をされてるんですよね?
箕輪さん
うん、今日も朝5時から書籍のリライトをしてました。
長谷川
歌手もそうですし、オンラインサロンやYouTubeなど、いろいろ遊んでる箕輪さんが、なぜいまだに「編集者」として地味な仕事も続けているんですか?
箕輪さん
それはもう、オレがオレで存在するための「マナー」ですよ。
「空手の型」みたいな。歌舞伎役者がどれだけ六本木で遊んでても、帰ったら歌舞伎の型やるみたいなもの。
長谷川
どんなに突飛な活動をしていても、原点は「編集者」であると。
箕輪さん
そうそう。たとえばぼくりりくんの何がすごいかと言えば、やっぱり「ずっと歌ってきたこと」「音楽をやってきたこと」なわけですよ。
自分がなぜこんなふざけた歌手活動をできてるのか、なぜオンラインサロンに人が集まるのかって、自分が「ヒット作を編集しつづけてきた」からでしかないんです。
それを認識しないと、ただ担がれた神輿になっちゃう。
長谷川
仕事の現場でよく、「ちゃんと遊ぶことが仕事に活きる!」というベテランがいるんですが、その前に仕事をやりきるべきなんですね…
箕輪さん
うん。それに、単純に編集者としての仕事が一番苦しいんだけど一番好きなんですよね。早朝、作業を終えたときにアドレナリンがブワーっと出る瞬間とか、何度経験しても気持ちいいもん。
それは、SNSに書く必要のない、本当の満足感。
自分にとって、「ツイッターで承認されなくても気持ちよくなれるぐらいの“軸”は何か?」を考えてみてほしい。
SNSに書く必要のない満足感を仕事で得てる…箕輪さんから出てくるのは意外な言葉ですが、すごく重要なことのような気がします
R25世代はどうやって遊べばいい?⇒「遊ぶように楽しめることを仕事にする」のは当然
長谷川
仕事自体を、遊びのように好きになっているってことなんですね。
最近、「好きなことを仕事にしよう」という風潮が強いと思うんですが、それについてはどう思いますか?
箕輪さん
しよう、というか…「好きなことを仕事にしなきゃ頑張れない」よね。これ、1億年経っても変わらない仕事の真理だと思う。
これからの時代、100%までの仕事ならAIができる。でも、人間は本当に好きなことをやっていれば、100%まででいいのに120%までやるでしょ。そこの20%だけが、価値になるんですよ。
長谷川
そこそこでもいいのに、「好きなこと」だから人並以上のことができるんですね。
箕輪さん
その通り。その「情熱」なんだよ。
いわゆる「自己啓発本」「オンラインサロン」というものを、多くの人はバカにするじゃないですか。
でも、若者に必要なのは「コレが好きで好きで、仕事なのに遊びみたいにできる」っていう姿勢や情熱だと思う。
そう考えたら、「ビジネス書」や「自己啓発本」ってすげーいいものですよ。
歌手という遊びを通じて学んだことは?
長谷川
箕輪さんが、「歌手」という遊びを通じて、何か学んだことってありますか?
箕輪さん
「才能って本当にあるんだ」ってことを学んだね。
箕輪さん
「ビジネス書はいいものだ」って言っておいてアレなんだけどさあ、ぶっちゃけビジネス書ってパターンでできてるのよ。
よく、「同じことの繰り返し」って批判する人がいるんだけど、そんなのオレが一番よくわかってる。これ、まためちゃくちゃ叩かれそうだけど(笑)。
長谷川
いやいや! …わかりますよ。
箕輪さん
ビジネスの本質って、結局同じようなところに辿りつくから、それを調味料で味付けするというか。オレ、自分がやってることは“単なるマジシャン”だと思ってたの。
だから、「有名人やアーティストの才能も、作り上げられたものなんじゃないか?」っていう気持ちがあった。
でも、ぼくりりくんの書いた詞を見た瞬間、「これは才能だ!」って思ったんだよね。
長谷川
たなか(ぼくりり)さんは箕輪さんに「徒花」という曲を提供してますが、なぜ曲を書こうと思ったんですか?
たなかさん
最初、食事の場で箕輪さんと会ったんですが、「お前、全部“ぼうよみ”だな!」みたいに雑にからまれたんです(笑)。
よく見てると、楽しそうなんですけど、むなしそうにしてるときもある。「時代の寵児」を求めているファンの目には届かない「暗い側面」があると思ったんです。
売れっ子ともてはやされて、メディアに出て、有名人と対等に話して、お金もいっぱい稼いで…。みんながうらやむ人の、リアルを描きたいと思いました。
「“見上げた空は真っ黒だった”って歌詞、すごくない? 普通空を見上げたら“青かった”って書くでしょ」(箕輪さん)
箕輪さん
たなかくんよく見ててくれてうれしいな~。抱いてもいい?
たなかさん
絶対に嫌です。
長谷川
ちょっと感動して損した。
箕輪さん
「才能が存在する」って思ったのにはもうひとつあって。
長谷川
なんですか?
箕輪さん
1回、『スッキリ』のなかで曲を歌ったのね。それが放送されるっていうから、「オイ!みんな見ろ!」って奥さんと子どもをテレビの前に集合させたのよ。
それ見てビックリしたね…才能がなさすぎて。
お子さんは絶句していたそうです
箕輪さん
こんな歌がヘタなヤツを、絶対にテレビに出しちゃいけないって思ったもん。
ウチの奥さんは正直者だから「ねえ、これヤバくない? ヘタすぎない!?」って大騒ぎしてた。
長谷川
それでどうしたんですか…(笑)?
箕輪さん
「うるせえ!」って言って部屋に帰ったよね。
まわりが「箕輪さん、歌いいですよ!」とか言うからテレビ出たのに、とんだ裸の王様だったんだよ!
「ヘタならおだてないでくれよ!ってレコード会社の人に言ったら、『いいとは言いましたけど、ウマいとは言ってません』って…!」
おわりに
長谷川
前回、起業家のけんすうさんに取材したとき、箕輪さんのことを「第1部『編集者編』が終わって、第2部『歌手編』が始まってる状態」だと語っていました。
多くの人が箕輪さんの「第3部」を楽しみにしていると思うのですが…なにか構想はあるんでしょうか?
箕輪さん
いろんな人に聞かれるんですけど、マジでなにもないです。
ただ、恥かくことは続けたい。夏フェスでも出ようかな。
それでいうと、ホリエモンが「いっしょにステージに上がりたい」って言ってきてるんだよね…
たなかさん
いいですね!僕、2人用に曲作りましょうか?
長谷川
またすごい話になってきた。
編集者としての「軸」を持ちつつ、進化のために「恥」をかきつづける…。
箕輪さんの“遊び”に対する哲学が垣間見える2時間でした。ありがとうございました!
トイレにメイクを落としに行った箕輪さん
なんだよこの顔!ゾンビじゃん!!
完。
〈聞き手=長谷川リョー(@_ryh)/文=半蔵門太郎(@hanzomontaro)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=二條七海(@ryuseicamera)〉
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