初対面で次の仕事につながる『自己紹介2.0』より
意識すべきは“時間軸”。自己紹介には「最強の型」と「最弱の型」があります
新R25編集部
「私、××会社の○○と申します。現在は○○をやっていて~」
どんな環境でも初めて人と会うときに、必ずおこなわれる自己紹介。でも、つい形式的な紹介に終始してしまいがちですよね。
しかし、『自己紹介2.0』の著者である横石崇さんは「自己紹介を極めると、仕事も人生も大きく変わっていく」と主張します。
20年近く企業のブランディングや組織開発、人材育成といった多くのプロジェクトプロデュースに携わってきたなかで、自己紹介の大切さに気づき、その研究をしてきたという横石さん。
その研究結果をまとめた同書のなかから、「最強の自己紹介の型」について紹介します!
自己紹介の「最強の型」と「最弱の型」
突然ですが、ここで問題です。
次に紹介する事例のうち、どちらの自己紹介のほうが、相手の心を揺さぶることができると思いますか。
ここではマッサージ師を例にしています。一方は、「最強の型」、もう一方は「最弱の型」です。
ちなみに、どちらのほうがより「興味をそそられたか」という視点で考えると、正解の手がかりになるかもしれません。
『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0 』【A】
はじめまして。わたしはマッサージ師の◯◯と申します。
横浜にある小さな店で、10年ぐらい勤めています。
将来的に、これまでのスキルを活かして、全国展開のマッサージ店の起業を視野に入れています。
『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0 』【B】
はじめまして。◯◯と申します。
わたしは一瞬で相手のどこが疲れているかを見抜くことができます。
なぜなら、マッサージ師として、この10年間で1万人以上の身体をほぐしてきたからです。
もしよければ、ちょっと肩を診させてもらえませんか?
おわかりになったでしょうか。答えは、【A】が「最弱の型」で、【B】が「最強の型」です。
それはなぜか。これから説明します。
「現在」から語るか、「未来」から語るか
2つの型を簡単に構造化してみるとこうなります。
【A】現在 → 過去 → 未来
【B】未来 → 過去 → 現在
【A】が「現在から始まって、未来を語る」のに対して、【B】は「未来から始まり、現在できるお願い」で終わっています。
いずれも似たような自己紹介に見えますが、実は圧倒的な差があります。
相手との「未来」で「提供できる価値」は何なのか。それが示されているのが一番の違いです。
それぞれの型を見ながら、1行目から具体的に比較して解説していきましょう。
『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』【A】
はじめまして。わたしはマッサージ師の◯◯と申します。
自己紹介といえば、このフレーズがスタンダードであり、ほとんどの人が疑いもなく、ここから始めることでしょう。
最初に名前を名乗って、「いま」の自分が所属している会社や部署、肩書きといった属性を伝えます。
『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』【B】
はじめまして。◯◯と申します。
わたしは一瞬で相手のどこが疲れているかを見抜くことができます。
初っ端から、相手との「未来」において「提供できる価値」が何なのかを簡潔に提示しています。
相手との間で生まれる「未来」を意識しているために、この時点ではまだ「マッサージ師」という職業や職能は伏せられたままですが、「どういうことだろう?」と相手の中に好奇心や期待感を生み出すことができます。
この、「未来」から語ることができるかが、最強の自己紹介への第一歩です。
「提供できる価値」を提示できる人は、どんどん自分なりの意味づけをしていってください。
しかし、まだ自分の価値を提示することに難しさを感じている人や、学生や経験が浅い社会人の方もいると思います。
その場合は、将来やりたいことや譲れない価値観など、未来に向けた自分なりの「目的や信念」を提示するだけでも、効果があります。
未来を裏付けるための「過去」
それでは2行目を比べてみましょう。
いずれの型でも今までの実績や経験といった「過去」が語られています。
同じ「過去」ではあるのですが、言い回しや表現が異なるだけで相手に残す印象は変わってきます。
『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』【A】
横浜にある小さな店で、10年ぐらい勤めています。
『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』【B】
なぜなら、マッサージ師として、この10年間で1万人以上の身体をほぐしてきたからです。
「過去」というのは、今までの経歴や実績を伝えればいいので、比較的に語りやすい部分と思われがちです。
ただ、語りやすいからこそ、差別化が求められるのです。
いかに端的な言い回しで、相手のはらに落ちるか。そこからいかに期待を生み出して、次につなげることができるのかがポイントです。
【A】では、地域や店舗規模といった事業の内容について語っていますが、【B】では、今までに施術を行った顧客の具体的な数を伝えたり、提供できる価値の裏付けを行い、1行目で語った内容の信用度を高めています。
地域性や事業の規模を伝えるのが悪いと言っているわけではなく、1行目で述べた「提供できる価値」に対する根拠があるかないかが大切なのです。
相手の中に余白をつくる「現在」
最後に、3行目には何が書かれていたのでしょうか。いわゆる自己紹介の結びにあたるわけですが、ポイントは「その先の展開へと続いているか」です。
つまり、相手があなたに興味を持って反応を示したり、質問をしたりして、お互いに言葉のキャッチボールができる内容かどうかです。
『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』【A】
将来的に、これまでのスキルを活かして、全国展開のマッサージ店の起業を視野に入れています。
『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』【B】
もしよければ、ちょっと肩を診させてもらえませんか?
【A】は未来に向けて自分が何を目指しているのか、何をしたいかのビジョンが本人の立場で語られています。
でも、【B】は「お願い」です。つまり、「いま」目の前にいる相手ができることや相手にしてほしい要求が含まれています。
それによって、相手の受け止め方が異なるのは当然です。
自分が起業をして全国展開を狙っているという目標を一方的に語っても、「なるほど、そうですか」と、会話の行き止まりが見えてしまいます。
ですが、「未来」に向けてできる「お願い」をするなど、相手とのやりとりを想定した文脈にあわせて、夢や目標を自然に語ると、自己紹介のあとの会話につながっていきます。
また、「肩を診させてもらえませんか?」というフレーズは、実際に肩を診させてくれるかはさておき、マッサージに対する自信の表れを感じ取ってもらえるでしょう。
仮に肩を貸してくれなくても、会話が弾んでいくことは明らかではないでしょうか。
「名詞」ではなく「動詞」で語る
ここまでは、「未来→過去→現在」の順番で語ることの有効性を見てきました。
ぜひ、型にあわせて自己紹介をつくってみてください。そして実は、もう1つ大事なことがあります。
それは「名詞」ではなく「動詞」で自己紹介をするということです。
最弱の型【A】では、勤めている会社や肩書きといった「名詞」を軸にした表現が中心でした。
一方で最強の型【B】は「動詞」が主役です。もう一度例文を見てみましょう。
『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』【B】
はじめまして。◯◯と申します。
わたしは一瞬で相手のどこが疲れているかを見抜くことができます。
なぜなら、マッサージ師として、この10 年間で1万人以上の身体をほぐしてきたからです。
もしよければ、ちょっと肩を診させてもらえませんか?
通常であれば、「マッサージ師」で語るところを「見抜く」という動詞で語っています。
しかも、この自己紹介では、マッサージ師の本質的な価値を「揉む」ではなく、「疲れの部位を見抜く」に主眼を置いたことで、その人のユニークさや魅力が感じられるようになっているのではないでしょうか。
会社や肩書きというのは、せっかくの個性を枠にはめてしまう恐れがあります。人は枠にはまった途端に考えるのを止めてしまいます。血液型などは典型的な例です。
「あの人はB型だから」とか「A型ってこうだよね」と、人を4つに分類をしてしまうといった単純化は、大事なものを見落とすこともあります。
人の思考は、動詞で語ることで、枠から抜け出すことができます。
柔軟に物事を考えるために動詞で発想をしていくことは、自己紹介に限らず、人生を豊かにする思考方法です。
自己紹介をアップデートしたいと思ったら書籍をチェック!
自己紹介を強化することで、次々と新しい仕事が増えていったという横石さん。
『自己紹介2.0』のなかにはほかにも、「自分を知るための7つの道具」や「相手の期待をマネジメントする方法」も紹介されています。
たかが自己紹介、されど自己紹介。「紋切り」の自己紹介から脱するために、手に取ってみましょう!
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