樺沢紫苑著『学び効率が最大化する インプット大全』より

ビジネスも恋愛もうまくいく。変化や流行が読めるようになる「観察力」の磨き方

仕事
我々が1週間で接触する情報は140個にものぼると言われていますが、そのなかで記憶に残っているのは、なんとたったの3%だそう。

そう語るのは、40万部のベストセラーとなった『学びを結果に変える アウトプット大全』の著者、樺沢紫苑(かばさわ・しおん)先生

精神科医の仕事をこなしつつ、作家として30冊の書籍を出版、メルマガやYouTubeを毎日更新と、膨大なアウトプットを継続する樺沢先生は、少ない時間で効率よくインプットをおこなう達人でもあります。

どうすれば最大効率で情報収集できるのか、樺沢さんの新著『学び効率が最大化する インプット大全』でその方法に迫りましょう!

観察力を磨くことのメリット

子どもの頃、「シャーロック・ホームズ」にはまった人は多いと思います。

私も中学の頃に読んだ『緋色の研究』の一節が今でも忘れられません。

ホームズが初めてワトソンと出会うシーン。

部屋に入って来たワトソンに、いきなりホームズはいいます。

「アフガニスタンにおられたのでしょう?」

ワトソンは驚きます。

ホームズは、なんの予備情報もなく、純粋に観察だけでワトソンが元軍医でありアフガニスタンにいたことを見抜いてしまったのです!

観察っておもしろい!自分もこんな観察力を身につけたい!

そんなことを思った私は現在、「人を観察する職業」ともいえる「精神科医」をしています。

観察力もかなり磨かれて、初診の患者さんが診察室に入ってきてから座るまでの15秒で、ある程度診断の候補を絞ることができます。

観察力を磨くと、4つのメリットが得られます。

①コミュニケーション力がアップする

人を観察することは、「言葉(言語情報)」ではなく外見、つまり視覚情報を集めることを意味します。

観察力が高いということは、相手の非言語情報をたくさん集めることができますので、非言語コミュニケーション能力が高まるのです。

非言語情報を集めることで、相手が何を考えているのかも正しく洞察できるようになります。

相手の気持ちがわかるということは、ビジネスにおいても、恋愛や人間関係の構築においても圧倒的に有利です。

②人間関係が良好になる

あなたの妻や恋人が、髪型を変えた。

家から帰ってきたあなたは、それにまったく気がつかない。

女性は思いっきり不機嫌になる。

もしあなたが、玄関を入った瞬間に「あっ髪切ったんだ、その髪型すごく似合うね」といえば、機嫌は一気によくなるでしょう。

細かいところまで見てくれている」ということは、「自分に対して興味・関心を持っている」ということ。

ちょっとした相手の変化を言葉にするだけで、相手との親密度がアップします。

③自己成長のスピードがアップする

観察力とは、脳への情報の入り口です。

観察力のない人は、1本の映画から「30」の情報しか取れませんが、観察力が高い人は、1本の映画から「100」の情報を取れます。

同じ時間で同じ映画を観ているのにインプット量は3倍となります。

結果として、自己成長のスピードも3倍です。

また、きちんと観察をすることで、意思決定と行動がスピードアップし、突発的な出来事にも臨機応変に対応できるようになります。

観察力を高めることで、情報収集量がアップし、インプット時間をかけずにどんどん成長できるのです。

④ビジネスで成功する

通勤途中に新しいラーメン屋さんがオープンしました。

観察力が高い人は、オープン当日に気付きますが、観察力が低い人は、1週間経っても気付きません。

観察力が高いと、「変化」に気付きやすくなります。

それは、流行に敏感になるということ。

次に何が流行するかも見えてきます。

最近、アウトプット系の本が増えているので、「アウトプット」をタイトルにしたアウトプットの決定版を出せば売れるかもしれない、と予測できる。

結果、それが的中して『アウトプット大全』がベストセラーとなりました。

変化や流行が読めれば、ビジネスで成功することは簡単です。

それができるようになるためには、観察力を磨くことです。

観察力を磨けば、人間関係もビジネスもすべてうまくいくでしょう。

観察力の磨きかた

観察力を磨くと絶大なメリットがあるとお伝えしました。

では、具体的にどうすれば観察力は磨かれるのでしょうか?

①アウトプットを前提にする

あとでブログに書こう」と思うだけで、詳しく観察するようになります。

昔、スープカレーのホームページをやっていたときに、それを実感しました。

骨付きチキンは「ボイル」なのか「焼き」なのか。

ブロッコリーが1個なのか2個なのか、茄子は素揚げしてあるのか?

普通の人は気にしないところも、すべて観察してメモしていかないと、記事としてまとめられません。

これを繰り返すことで、見た瞬間に把握できるようになります。

②ホームズ流観察トレーニング

電車に乗っている人を見て、その人の職業、あるいはその直前に何をしていたのかをあてるというゲームです。

たとえば、金曜夜10時の電車。

スマホでメールを打っている20代後半女性。

顔がほんのり赤いので飲み会帰り。

服装はフェミニンなワンピースでお化粧もしっかりしているので、会社の飲み会ではなさそう

おそらくは、異性と会っていた

まだ、10時と時間が早め。

つまり1次会で帰っているので、それほど深い関係ではない

彼氏なら付き合い始めたばかりか、彼氏未満の親しい友人

メールは、「今日は食事どうもありがとうございました」的な内容。

楽しそうな表情が見られるので、明らかに相手に強い好意を抱いている

彼氏未満の相手ともっと親しくなりたい、と思っている。

そんなところであろうか。

正解かどうかはわかりませんが、ここまで妄想できれば、間違いなく観察力は磨かれます。

③「なぜ?」を突き詰める

ほとんどの人は、日常生活の中で「あれっ?」と思っても、それを放置します。

たとえば、街を歩いていて行列ができていたら…。

普通に通り過ぎる人がほとんどでしょうが、私は「これ、なんの行列ですか?」と聞いてみます。

新作ゲーム発売の行列とわかれば、若者をそこまで熱中させるゲームがあるのかとわかります。

あとでさらにそのゲームについて、ネットで調べてみます。

観察+なぜ?」によって新しい世界が広がります。

さらに「なぜ?」によって、次の新しい観察が生まれるので、観察力がどんどん鍛えられます。

こうした「なぜ?」を突き詰めるクセをつけることが、流行に敏感になることであり、結果として仮説を立てて、未来予測もできるようになります。

「観察+なぜ?」を繰り返すことで気付きの連鎖が起きるのです。

④相手の気持ちを読んでみる

人と話をしているときに、常に「今、何を考えているんだろう?どう感じているだろう?」を表情、動作、視線など非言語情報から読みとるように努力します。

たとえば、精神科医の私の場合、「抗うつ薬を処方しますね」と患者さんに質問した瞬間に、患者さんの表情がどう変わるのか観察します。

やわらかな表情が見られれば、「薬が処方されて安心した」ということ。

怪訝な表情をしたのなら、「薬は飲みたくない」ということ。

薬の効果や安全性について、いつも以上に詳しく説明するようにします。

あるいは、友人と話しているときに、相手の心の中を読んで、それを相手にいってみる。

「昨日、何かいいことあったでしょう?」

的中すると「えっ!どうしてわかったの」と相手はびっくりします。

相手の表情を観察して気持ちを探る

相手の真意がわかれば、どんなに人生は楽になるだろう」と思うことはありませんか。

特に好きな人がいる場合。

相手が自分に好意を持っているのか、いないのか。

誰でも知りたいですよね。

告白すれば相手の気持ちはすぐにわかりますが、「もし告白しても断られたら傷つくので、告白できない」という人がほとんどです。

しかし、勇気を出して告白しなくても、相手があなたに好意があるのか、一瞬でわかる方法があります。

相手の表情から相手の心を読むことは、それほど難しくありません。

たったひとつ質問するだけで十分です。

ある質問をして、そのときの相手の表情の変化を鋭く観察します。

これで、相手が何を考えているのかを、かなりの精度で予想することが可能です。

私は、これを「リトマス法」と呼びます。

「リトマス法」とは、シナリオ用語で「ある刺激(言葉、事件、道具)を与えて、登場人物の感情を浮かび上がらせる技法」のこと。

酸性、アルカリ性を判定するリトマス試験紙が語源です。

あなたの意中の人に、「今度、ごはんに行きませんか?」と質問します。

あなたのことが嫌いでも「いえ、結構です」と瞬間的に断る人はまずいません。

そうですね」とあいまいな答えが返ってきます。

仮にあなたのことが大好きだとしても、「行きたいです!」と即答する人も少ない。

女性は自分を軽く見られたくないので、「そうですね」とやはりあいまいな返事が返ってきます。

彼女の真意はどちらでしょう?

それは、「表情の変化」に表れます。

食事に誘った瞬間、表情が曇る。

ネガティブな表情が出た場合は、困惑している、つまりあなたに対して好意を持っていないということです。

食事に誘った瞬間、表情が明るくなる。

微妙な笑顔、ポジティブな表情が出た場合は、ウェルカムのサインです。

人間、自分の気持ちを隠そうと「取り繕い」の心理が働きますが、質問された直後は本音が一瞬だけ表情に表れるのです。

リトマス法はあなたの仕事にも応用できます。

たとえば、私が不眠症の患者さんの診察をしていて、診察の最後に「睡眠薬を出しましょうか?」と質問します。

薬を飲みたいのか、本当は飲みたくないのかが、一瞬の表情変化に表れます。

最初のうちは難しいかもしれませんが、普段からいろいろな場面でこのリトマス法を練習していくと、極めて高い確率で、相手の心の中の本音の「イエス」「ノー」を読みとることができるようになります。

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