西岡壱誠著『東大集中力』より

「集中力=頑張る力」は間違い。実はこれが、集中する一番手っ取り早い方法なんです

仕事
あなたは、自分の「集中力」に自信がありますか?

もし「自信がない」と答えるのなら、集中力を「気合いで作業に取り組みつづける力」と捉えているからかもしれません。

現役東大生・西岡壱誠さんは、「『集中力=頑張る力』という考えは間違い。誰でもあるステップを踏むだけで手に入れることができる」と、言います。

無名高校のビリで偏差値35だった西岡さんは、この「頑張らずに集中する方法」を実践し、見事東大に合格したそう

ビジネスマンの多くが知りたいであろう「集中力」の上げ方。西岡さんの著書『東大集中力』のなかに、その答えがありました。
東大集中力

東大集中力

集中するための必須行動は「切り捨て」

みなさん、「集中する」ってどういうことだと思いますか?

おそらくみなさんの中で、「集中」と聞いたときに想像するイメージというのはたくさんあって、そのどれもが正解なのだと思います。

しかし、実は「集中する」というのは、おそらくみなさんが想像すらしていないような、意外なものなのです。

実は「集中する」ことの本質というのは、「切り捨てる」ことなのです。

このイメージをきちんと理解していないと、うまく集中することができなくなってしまうのです。

つまり、集中というのはいろんなことをしたり、考えたりする状態ではないということです。

むしろその逆で、他の意識をシャットアウトして、何か1つのものを選んでそこにすべての意識を持ってくることなのです。

そう考えた時に、「集中」するためにはあることをしなければなりません。

それがなんだか、みなさんはもうわかりますね?

…そう、選択です。

自分が何に対して集中したいのか、そしてそれ以外の何を切り捨てなければならないのかを考えるという取捨選択の過程が、実は絶対的に必要なのです。

そして、「集中する対象の選択」=「目標設定」すること

なんの目的で今、目の前のことに一生懸命頑張っていて、どういう目的を達成できれば成功になるのか、きちんと言える状態になっていると、「集中する対象」が見えているわけなので、どんな物事でも集中できるようになります。

しかし、そうしたことがしっかり見えている状態でないなかでいくら頑張っても、他のことに気を取られたり、目的と違うところで意識を持っていかれたりして、あんまり効率が上がらないのです。

とにかく目標を設定して、集中しなければならない相手の輪郭をはっきりと捉えること。

それによって、いらないところに労力を割かないようにすること。これが必要なのです。

目標を明確化するテクニック①数字を1つ決める

さてここからは、目標を明確化するためのテクニックをご紹介するのですが、実はこれ、本当に簡単です。

とても簡単な工夫をするだけで、いい目標を立てることができるようになります。

それは「数字で1つ」、目標を決めるというものです。

「次のテストで80点取る!」「この本を30ページ読む!」という風に、目標に1つだけでいいので数字を入れて、設定するのです。

「え?そんなことでいいの?」と考える人もいるでしょうが、実はこれが一番手っ取り早い方法なんです。

例えば、僕はこんな集中力の実験をしたことがあります。

ほとんど同じレベルの学力の子2人に協力してもらい、1人には「次のテストで良い点が取れるように頑張ろうね」と言いました。もう片方の子には「次のテストで、80点が取れるように頑張ろうね」と言いました。

結果は、前者が58点後者が76点でした。

結局、後者は80点に到達できなかったのですが、しかし結果として「良い点」を取ろうと頑張っていた子よりも点数を獲得することができたというわけです。

これは、「目標を数字で明確に設定した方が集中できる」ということを表していると思います。

80点を取ろうとしていた子に聞いたところ、「80点を取るために、20点分は落として良くて、その分点数を取らなければならないところに集中して勉強した」と語っていました。

逆に「良い点数」という漠然とした目標を持っていた子は、「満遍なく点数を取るために、広く勉強していた」と語っていました。

この2人の集中度を考えた時に、きっと「ここで点を取れば行ける!」と具体的な目標が見えていた方が集中できていたのだと思います。

だからこそ、結果として80点に到達しないまでも良い点数が取れたのではないでしょうか。

これは別に勉強に限った話ではありません。

「今日はタスクをたくさんこなそう」ではなく「今日は5つタスクをこなそう」と考えたり、「この本を早めに読み終えよう」ではなく「この本を3日で読み終えよう」と考える。

そうすると、結果的には5つはまっとうできなくても、3日では読み終わらなくても、そういう数値的な目標設定をしない時に比べて格段に集中して良い結果を得ることができます。

それはなぜかというと、数値の目標というのは他のものに比べて明確に「切り捨て」を行うことができるからです。

「たくさん」では抽象的すぎて、3つでも6つでも9つでもよくなってしまいます。それでも「5つ」と決めて、「5つ」のみ集中する…。

これは他の選択肢を切り捨てて、「5つ」のために集中しているということに他なりませんよね。

目標設定の中に数字があると、より具体的に目標を設定できて、そのおかげでさまざまなことを切り捨てられるようになるというわけです。

だからオススメなのは、「目標の中に1つ、数字を入れること」。

そしてその上で、長期的な視野に立って、将来性を見据えて目標設定をしていくのも非常にオススメです。

「どれくらいの数字を入れたらいいんだろう?」というのが見えにくい場合に、「長期的な目標」から短期的な目標に落とし込んでいくというわけです。

つまり、長期的な目標を立てて、その目標のために必要な数字を考えて、そこから逆算して今の数字を作っていくということです。

例えば「この資格を取るためには、どの参考書を何冊くらい終わらせないといけないんだろう?」と考え、資格試験までの日数で割り算して、じゃあ毎日20ページは進めないと、3冊終わらせられないな!」と考えていくという手法です。

こうすることで、先ほどの目標設定の「数字」にある程度の妥当性が生まれます。

妥当だと思う数字…つまりは「納得できる」数字で目標設定をすることができるというわけです。

集中して何かを達成しようとすると、どうしても「短期的にがっつり本腰を入れて、一気に終わらせる」みたいなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、それよりもまずは長期的な視野に立って物事を考えてみるのがオススメです。

目標を明確化するテクニック②指標を1つ選ぶ

目標を明確化するためにもう1つオススメなのは、指標を1つ選ぶというやり方です。

「集中」=「取捨選択」だということは何度もお話ししてきましたが、これをもっと徹底してみましょう。

実は意外とよくあるのが、「あれもこれも望みすぎて、集中できない」というパターンです。

例えば「次の会議のために資料を作成しよう」と考えた時に、みなさんは何に気を付けて資料を作成しますか?

わかりやすさを重視するための言葉選びでしょうか?

何を聞かれても大丈夫なように詳細を詰めておくことでしょうか?

それとも見やすいようにレイアウトをこだわることでしょうか?

多分、10人いたら10通りの「気を付けるべきポイント」があるはずですし、きっとそのすべてを追ってしまうこともあると思います。

簡潔にまとめながらも詳細に、レイアウトに気を付けながらも他のものにも意識を向ける…。

そんな風に頑張ろうとすると、それこそ何に「集中」すればいいかわからなくなってしまうのです。

先ほど僕は「数字で1つ目標を決める」という話をしましたが、数字で測れる指標が複数ある状態というのは「選べていない」状態に他なりません。

いろんなものを同時に追い求めるのは大変な行為です。

まずは1つ決めて、「とりあえずこの指標だけを追求しよう!」というものを作ることが重要なのです。

「簡潔さ」なら簡潔さを、「詳細」なら詳細を、「レイアウト」ならレイアウトを、なんでもいいから1つに絞って作成するようにしましょう。

いっぱいいろんなものを頑張ろうとするのは得策ではありません。

1つに絞って、そこに特化して努力をしていくのです。

オススメなのは、何に特化するのかを自分に宣言するやり方です。

付箋で「レイアウト!」などと書いて、見えるところに貼っておくのです。

こうすることで、自分が今何に特化して集中するのかということをつねに把握することができます。

「え?でもそれだったら、1つのことにしかこだわれないじゃん」という人もいるでしょうが、大丈夫です。

1つのことに特化した後で、次のものを決めて特化すればいいのです。

レイアウトを頑張ったのなら、次は詳細を、その次は簡潔さを…そんな風に、どんどん次のものを選んで進めていくのです。

要は、いっぺんに違うことをやろうとするのではなく、集中するべきものをきちんと決めて、それを極め終わってから次のものを選べばいいのです。

別の山を同時に攻略することはできません。1つの山を登り終わった後から、次の山へ向かう。

そうすることで初めて、多くの山を攻略することができるのです。

指標を一元化し、その指標を宣言しながら努力していく。

これだけのことで、集中力は変わってきます。

みなさんもぜひ試してみてください。

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