エリック・バーカー著『残酷すぎる成功法則』より

“シリコンバレー最強の人脈男”も実践。ハードルの低い人脈づくりの5ステップ

仕事
世の中に流通している本の量は数知れず。

その多くはもちろんビジネスパーソンの学びになるものですが、どの本が自分のためになるのか、選ぶことすら難しいですよね…。

そこで新R25では、ビジネスの最前線で活躍する先輩たちに「20代がいいキャリアを積むために読むべき本」というのをピックアップしてもらいました。

それがこの連載「20代の課題図書」。
第2回の推薦者は、起業家のけんすうさん

Twitterで本をオススメすると、その販売数が伸びるとも言われるけんすうさんが選んだのは、エリック・バーカーさんの『残酷すぎる成功法則』。

経験則だけで語られがちな「成功法則」を、科学的なエビデンスをもって解き明かした全米ベストセラー本です。

「親切な人が成功する」「好きな人と結婚すれば幸せ」「名刺を配れば人脈ができる」

これらの一般常識は、本当に正しいのでしょうか。同書から抜粋した3記事を通して、けんすうさんも絶賛する「真の成功法則」を見ていきましょう!

徹底検証!「人づき合いの良い人間」は得をするか損をするか

興味深いことに、飲酒の習慣がある人の収入は、飲まない人の収入を10%上回っている

ただし喫煙する人にこの傾向は見られない。

また、少なくとも月に一度酒場に行く人(お酒のつき合いがある人)は、単に飲酒の習慣がある人の収入をさらに7%上回った。

なぜ飲酒が収入の増加をもたらすのだろう?

飲酒は喫煙と違って社会活動であり、飲酒の増加は社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)の増加をもたらすからだと研究者たちは推測している。

言い換えれば、飲酒によって人びとと親しくなり、人脈が構築されるからである。

また、つながりの薄い知り合いを多く持つほうが、最先端のことを見聞きする機会に恵まれる。

社会学者、マーク・グラノヴェッターの画期的な説、「弱い紐帯の強み」によると、絶好の機会が、親しい友人からもたらされることは意外に少ないという。

日ごろ親しい仲間は、同一の情報を共有しているからだ。

それに大きなネットワークを持っていれば、次の仕事に就いたときにも役立つ。

さらに、「ネットワーキング(人脈づくり)は兼業等による給与の増加、ひいては、時間の経過とともに給与の増加率とも相関していることが、マルチレベル分析によって示された」という研究結果もある。

実際、会社は従業員の採用を決める際、候補者のネットワークの規模を重要な要素にすべきかもしれない。

社員の人脈は最終的な収益に影響してくるからだ。

MITが行った調査によれば、「人づき合いが多いIBM社員ほど、業績が良かった。その差を数値で表せば、彼らは平均すると1通ごとのメール連絡で948ドルの収益をあげていた」という。

シリコンバレーで最も人脈を持つ男

成功するには人脈をつくる必要があるとなると、あなたは抵抗を感じずにそれを築けるだろうか?

この質問に答えるために、アダム・リフキンについて取りあげてみよう。

シリコンバレーで最高のネットワーカー、アダムはシャイな内向型人間である。

皆からは「パンダ」というニックネームで呼ばれている。

パンダのネットワークづくりの秘訣は何かといえば、友だちになる、ただそれだけのことだ。

私が人脈づくりについてズバリ尋ねると、パンダはこう答えてくれた。
受けとるより与えるほうが良いです。

ほかの人に何かしてあげられる機会を探すのです。

たとえば、知識を提供したり、もしくは、相手はまだ知らないかもしれないけど、関心がありそうな人に引き合わせてあげたりするのです。

大事なのは、ネットワーキングが取引にならないこと。

見返りを求めて、何かを提供するとうまくいきません

それより、あなたと相手の共通点に、純粋に興味を示してみてください。

出典 『残酷すぎる成功法則』

ご近所と知り合うのは良いことだ。友だちをつくるのは良いことだ。

ところがビジネスの友人となると、「ネットワークづくり」などという言葉を使い、何やらあざとい感じになる。

でも、友だちになることに焦点を合わせれば、問題は解決する

要は、見方を変えてみることだ。

時間もプレッシャーもかからない人脈づくりの5ステップ

では、友だちづくりを実際にスタートするにはどうすればいいか?

その過程を簡単にし、時間を節約し、プレッシャーも減らせる素晴らしい方法がたくさんある。

①元々の友人たちからスタートする

ネットワークをつくる手っ取り早い方法は、街角で名刺を配ることではない。

長年の友人たちと旧交を温めることだ。

そうすれば、後ろめたさは微塵もない。

彼らはすでにあなたの友人なのだから。ただここ1年近況を報告し合っていないだけだ。

絶好の出発点であり、人脈づくりにともなう気苦労もない。

ただフェイスブックやアドレス帳を開いて「最近どうしてる?」というメールを毎週何通かずつ送ればいい。

ご無沙汰している友人たちのほうが、新たに発掘する人脈よりあなたの仕事の強力な後援者になりうることは、調査でも示されている。

②スーパーコネクターを見つける

ネットワークのなかの全員が、均等につながっているわけではない。

ケロッグ経営大学院教授のブライアン・アジーとAT&T副社長のシャロン・ダンラップは、ネットワークづくりには必ず80/20の法則があることを発見した。

あなたはおそらく少数の“スーパーフレンド”を介して大多数の友人たちと会っている。

“スーパーフレンド”とは、ちょうどパンダのような友だちだ。

フェイスブックやアドレス帳を眺めれば、限られた数の友人を通じて大半の友だちと会っていることに気づくだろう。

そこでまず、“スーパーフレンド”と連絡を取り、「この人と会ってみるといいよ、という友人はいる?」と訊いてみよう。きっと、思いがけない収穫が得られるにちがいない。

③時間と予算を用意する

ネットワークを広げたいと思っている人は多いが、その実、初対面の人と会うために前もって時間を空けておいたり、毎週50ドルを人脈づくりのコーヒーやランチ代に充てたりするほど優先している人となるとわずかだろう。

ベストセラー作家のベン・カスノーチャは、すぐれたネットワーカーはあらかじめ人脈づくりに一定の時間とお金を割り当て、いつチャンスが訪れても困らないようにしていることに気づいた。

大学生たちも、金曜と土曜の晩はパーティに行く心づもりでいるので、友だちづくりに困ることはない。

同じやり方をしてみよう。

友人間の争いの最大の原因として、じつは意外なものが学術的調査で明らかになった。

それは、相手と会う時間を優先的につくらないことだった。

時間は有限でかけがえのないものだ。

つまり時間をつくることは、相手が自分にとっていかに大切で、どれほど気にかけているかを示す最も基本的な方法だ。

だから、あらかじめ時間を割り当て、友だちづくりを「やりたいこと」から「必ずやること」に確実に格上げしよう

お金で幸福を買えるか否かについては多くの議論が交わされているが、1つの領域にかぎっては、調査で結論が出ている。

すなわち、お金は、大切な人のために使えば間違いなく幸福をもたらすということだ。

というわけで、さっそく友だちにメールをして、コーヒーをおごろう。

④グループに参加する

いわゆるネットワーキング・グループのことではない。

あれはどこかぎこちないし、1つ間違えると野暮そのものだ。

かといって、ただパーティを開くのでは、頻度が少なすぎて着実な成果に結びつかない。

毎週、ランチできる友人はたくさんいるだろうか?

毎週日曜にフットボールの試合を観るグループはどうだろう?

ちゃんと活動している読書会は知っているだろうか?

どれも受け身ながら楽しく交流でき、自然な形で人とつながれる。

調査によれば、長年の友人と新しい人たちが混ざっているグループが、ネットワーク形成には1番いい。

好きな人たちといい時間を過ごしながら、偶然、予期せぬ素晴らしいものとの出会いに恵まれるからだ。

1000人の被験者をその幼少期から死亡まで追跡調査した「ターマン調査」は、あなたが誰とつき合うべきかについてこう述べている。

「あなたがどんな人間になるかは、関わるグループによって決まることが多い。たとえば健康状態を良くしたいなら、健康な人びととつき合うことが、最も効果的で、体調改善への早道である」。

また調査によると、人は、1つだけでなく、いくつもの社会集団に帰属するほうが、困難から立ち直る回復力が高まり、ストレスを乗り越えやすくなるという。

⑤つねにフォローアップをする

私たちは多くの人びとと出会うが、その後に時間を取ってフォローアップし、友人関係になることは稀だ。

ノートルダム大学の研究者は、ほぼ2週間ごとに連絡を取りあうことが、親密な友情を持続させる方法であることを発見した。

とくに親しい間柄でなければ、そこまで頻繁に連絡を取る必要はないが、それでも基本原則は変わらない。

すなわち、折にふれ近況報告をすれば良い。

そのために必ずしも長い時間をかける必要はない。

週に何通かメールを送るだけでも、長いあいだには大きな違いを生む

パンダのネットワークは膨大だが、彼は驚くほどわずかな時間でそれを維持している。

彼は、毎週友人たちにメールで送る前ふりの話をいつも用意している。

このちょっとした気づかいで、彼は人びとを助けると同時に、ごく自然に関係を維持している(この行為はまた健康維持にも役立つ。長期にわたる調査で、最も長寿な人びとは、最も周りから助けられる人ではなく、最も周りを助ける人であることが明らかになった)。

それでは仕事仲間と友情を築くのはどうだろう?

それもまた素晴らしい。

調査によると、仕事のチームがすぐれた業績をあげられるかどうかは、メンバーがたがいをどう思っているかにかかっている。

チームのコミュニケーションと有効性を改善するものは何か?

それは、仲間と冗談を飛ばしあうことだという。

職場で誰が最も業績をあげているかを知るには、ランチのテーブルを見ればいい。

MITメディアラボの研究員、ベン・ウェイバーによると、「昼食時に大勢とテーブルを囲んでいる者が、実質的に高い業績をあげている社員だとわかった」という。

彼らは大きなネットワークに属し、仕事仲間がどんなことに従事しているのかをよく把握している。

また、職場でいろいろなグループの友人を持っていることも、大きな収穫に結びつく。

職場で比較的分断されている人びとの橋渡しができるような者は昇進が早く、また同僚に先がけていろいろな情報を耳にするので仕事での機動力に優れている。

スタンフォード大学ビジネススクールのジェフリー・フェファーに「職場で成功したいときに、1番やってはいけないことは何ですか?」と単刀直入に尋ねたところ、答えは、「社内力学に参加しないこと」だった。

職場のゴシップはときに致命傷になりうるが、同時に、有益な情報源にもなりうる。

調査によると、その70~90%は真実だからだ。

しかも、毎週メールで届く社内報には絶対に載らない情報である。

職場で成功したかったら、社内で何が起きているのか知らなくてはならない。

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