マコなり社長YouTubeチャンネルより

半日で企業の戦略を考える“外資系コンサル”から学んだ、仕事のスピードを圧倒的に上げる方法

仕事
仕事で提案資料を作るとき、まず最初にやることは何でしょう?

クライアントの商品・サービスの理解、競合分析、最新トレンドのチェック…など、まずは情報収集にいそしむのではないかと思います。

しかし、日本最大級のプログラミングスクール「TECH::EXPERT」「TECH::CAMP」を運営する株式会社divの代表、真子就有(まこ・ゆきなり)さんによると、「仕事ができる人は情報を調べない」とのこと。

では、仕事のできる人は一体まず何をしているの…?
【真子就有(まこ・ゆきなり)】株式会社div代表取締役。1989年生まれ、福岡市出身。青山学院大学卒。大学在学中からプログラミングを独学で学び、大学4年次に起業。2014年よりプログラミング教育事業をスタート。2016年に開始した「TECH::EXPERT」は日本最大規模のエンジニア養成スクールとなっている。2015年Forbes誌「注目のUnder30起業家10人」に選出。現在、従業員数200名。YouTubeチャンネル「マコなり社長」は開始8カ月で登録者数15万人を突破

情報を集めるまえに◯◯をしろ

今回は、仕事力とは「仮説力」であるという話をします。

これは、私が直属の部下にアドバイスしていることです。今回の話は、私が起業したてのころに外資コンサルのエリートの方に聞いた驚きの仕事術がもとになっています。

初めてこの仕事のやり方を聞いたときに感銘を受けて、ずっと実践してきました。

結論から言うと、この仕事術は、情報を集めたり分析したりする前に「自分の頭だけで仮説を立てる」というものです。

この話を聞いても、理屈ではわかっていても具体的にはどうすればいいの、と疑問を持つ方が非常に多いです。

そこで今回は、具体的をかなり手厚くして、できる限りイメージしやすくしました。

頭の良いエリートが仕事でどのように考えているのかを知って、みなさんの明日からの仕事に役に立ててほしいなと思います。

外資エリートの仕事術とは?

みなさん、「知的でハードな仕事をしている人」とはどんなイメージですか?

医者、エンジニア、弁護士…などありますが、よく返ってくる答えのひとつとして「マッキンゼーの戦略コンサルタント」があるのではないでしょうか。

マッキンゼーとは、世界トップクラスの外資系戦略コンサルタントの会社です。ひとつのプレゼンに対して数千万円以上かかるという、就職偏差値74の超難関企業です。

戦略コンサルとは何十年もその会社にいる社長・役員を唸らせるような、ロジカルで納得感のある提案をゼロからする仕事です。

私は22歳のころ、10年以上マッキンゼーに勤めた人と話す機会があり、そのときに「10時間のフライトの間に、大企業の役員を納得させるような提案をゼロから作った」という話を聞いたんです。

当時、今よりさらに若造だった自分は、

「たった半日でどうやってそんなハイレベルな提案書を作るんですか? やはり向こうの会社のことをしっかりリサーチすることから始めるんですか?」と聞いてみました。

すると、びっくりする答えが返ってきました。

いや、ほとんど調べないよ。いちいち調べていたら時間が足りないから、最初の数時間で一気に結論まで作り切る

これにはとても驚いたのを覚えています。頭のいい人は膨大な情報を一気に頭に叩き込んで、緻密に分析して賢い提案を作る、というイメージを抱いていたからです。

それから時間が経ち、経営者として短時間で質の高い戦略の意思決定をしなきゃいけない立場にあって、「ほぼ調べずに仮説だけで結論を出す」重要性を痛感するようになりました。

驚きの事実ですが、仕事ができる人ほど、しっかり調べないんです。

仮説ファーストの仕事術の具体例

ほぼ調べず、仮説だけで結論を出す。この仕事のやり方を「仮説ファースト」と名付けました。

なぜ仮説ファーストによって仕事の質が劇的に上がるのか。具体的な例でイメージを掴んでもらいます。

ある2人のコンサルタントが、渋谷にある赤字のラーメン屋の経営者から業績改善の依頼を受けました。

1人は年収400万の新人コンサルタントAさん。

もう1人は年収2000万で「仮説ファースト」を大事にするエリートコンサルタントBさん。

2人ともラーメン業界については特に詳しいわけではありません。何か秘策を持っているわけではなくて、ゼロから自分で提案を作る必要があります。

新人コンサル・Aさんの場合

まず、Aさんはラーメンビジネスに詳しくないので、情報を集めようとしました。たくさんの情報をインプットすれば、どこかに答えがあるはずだと考えたからです。

いざ調べ出してみると、お店の収支、顧客データ、店の前の人通りの数、店まわりの競合環境、ラーメン業界全体のトレンド、成功したラーメン店の事例など、際限なく情報がありました。

しかし、情報は細かく調べだすとキリがなく、それぞれのデータに対していくらでも解釈できてしまいます。だから、どんなに調べても本質的な問題は見つかりません。

たとえば、直近で麺の原価が上がっているのに気付いたとします。

その原因が、小麦の材料費が業界全体として上がっていることだとしたら、考えても意味ないですよね。どうしようもできないことですから。

でも、仮説を持たずに調べてしまうと、「高騰している小麦をもっと安く仕入れる方法はないのか?」と考えてしまします。

調べることには膨大な時間を消費します。みなさんも何か調べていると、関連している情報をどんどん見てしまうことはありませんか?

Aさんはどんなに情報を漁っても、いい提案が浮かびませんでした。

そうこうしているうちに、何のヒントも得られないまま提案の日を迎えます。

Aさんは追い詰められた結果、途中で思い浮かんだ「斬新な新商品をつくる提案」に無理やりロジックを詰め込んで発表することになりました。

もちろん、クライアントの評価はイマイチでした。

エリートコンサル・Bさんの場合

Bさんはまず、何も調べずに最初に仮説を立てます。

今回は赤字ラーメン店の業績改善です。利益を出すには売上を上げるかコストを下げるかしかありません。なので、売上とコストをそれぞれ因数分解しました。

売上=客単価×客数(新規客+リピート客)

コスト=変動費(材料費など)×客数+固定費(家賃など)

つまり、どんなに情報を漁ろうとも、最終的な提案としては、客単価を上げる、客数を増やす、変動費を下げる、固定費を下げる、しかないわけです。

この前提を置くだけでもかなり思考は絞り込まれます。

さて、ここから「仮説ファースト」の原則に基づいて仮説を積み上げていきます。

今回の案件は、いくら何も調べていないとは言っても、何も情報を持ってないことはありません。依頼を受けた時点でクライアントが悩んでいることや店の印象など、調べなくても一定の情報を持っているはずなんです。

Bさんはもともとクライアントからこういった話を聞いてました。「うちの店は古くて根強いファンはいる、特に競合のラーメン屋が近くにできたわけでもなく、ここ数年でジワジワとお客さんが減ってきている」。

Bさんはその一言をもとに、次のような問題に対する仮説を立てました。

・赤字に転落したのは客数が減ったから

・客数が減ったのは魅力的な飲食店がまわりに増えて、相対的な魅力が減ったから

・周囲には客層がかぶる1000円以下のチェーン店が増えている

・味はよくてリピート客はいるが、新規客が減っている

そしてその問題仮説に対して、解決策の仮説を出しました。

問題に対する仮説がいくら正しかったとしても、それを解決できなければ何の意味もないからです。それは、次のようなものでした。

新規客を増やすために、外国人旅行者向けの集客を強化する

これをやる理由は、品数の多いチェーンには太刀打ちできないこと、そしてチェーンではない老舗という価値が海外客向きに優位性になることからです。

そして、いよいよ仮説を立証するために調査分析のアクションプランを作ります。調べることは、この3つだけです。

・客数の推移

・3年前と現在の飲食店の分布

・リピート客の変化について

仮説が明確なのでかなり絞り込まれていますよね。Bさんは調査の結果、自分の問題仮説がおおむね正しいことがわかりました。

最後に、外国人客を増やすという自分の解決策について調べることにしました。調べる項目は下記です。

・渋谷駅周辺の外国人旅行客数

・海外レビューサイトでの評価

・老舗の方が海外旅行客に人気であるというデータ

こちらもおおむねね間違っていないことがわかったのて提案を作ります。

Bさんが調査・分析に使った時間は、Aさんの10分の1以下でした。

さらに早めに大枠の提案をつくれたので、細かい各論を詰めることもでき、見やすい、綺麗なキーノートをつくれました。

仮説ファーストBの提案は論理が積み上がっていて根拠もしっかりしているのでクライアントは納得して満足してもらうことができました。

「仮説ファースト」で生産性が高まる理由

さて、具体例を通じて「仮説ファースト」のパワーを感じてもらえたかと思います。

最初から調べるのではなく、まず仮説を立てることで圧倒的に生産性を高めることができます。その理由は大きく2つあります。

①細部に無駄な時間を使わずに済む

仕事ができない人は各論に時間を使ってしまい、本論の重要なところに時間をかけません

結果、時間ギリギリで追い込みをかけて質の低い提案になります。
逆に、仕事ができる人は細部は後回しでもっと大事な根幹を最初の段階で一気に詰めます

仕事ができない多くの人は、調査や人にアドバイスをもらうことに時間をかけてしまいますが、そういった作業のほとんどは各論にしか貢献しません。

本当に大事な本論は、最初に仮説を立てるからこそすぐに掴むことができるのです。

②論理の組み立て直しが減る

仮説のロジックが積み上がっていれば、もし仮説が間違っていたとしてもすぐに軌道修正ができます

宝探しをイメージするとわかりやすいです。Aさんは無人島で地図を持たずに勘だけで宝探しをしている状態でした。今自分がどこにいるかをわかっていないんです。

一方でBさんは、仮説という地図を最初に描いて進みました。その地図は実際とはずれているかもしれません。

ただ、実際に行ってみて地図が違えば修正をすればいいんです。「ここに宝はない」とバツをつけておけば、いつかは本質的な問題という宝を見つけ出すことができます。

なぜ仮説を立てられないのか

仮説を立てるのが大事、というのは誰もが一度は聞いたことがあるとは思います。

では、なぜできないのか。

それは、「自分の考えがもし間違っていたら怖い」「人に馬鹿にされたらどうしよう」という恐怖があるからです。

だから必死に調べて自分を安心させる根拠を探そうとするんです。

その恐れが、「まず自分の頭だけで考えてみる」というもっとも生産的な行動をさまたげてしまいます。でも、勇気を出してほしいんです。

あなたが自分の頭で考えた結論が、まったく的外れなんてことはありません。

しっかりと考えたことで結論が異なるのは、前提となっている条件や価値観が違うからに過ぎません。そこに正しいも正しくないもないんです。

どんなに頭の良い上司も偉い人も正解はわかりませんから。

生産性の高い人になるには、受験勉強からずっと刷り込まれた「誰かの作った正解を探す」という考え方をやめて、「自ら問い(仮説)を作り出す」という考え方にシフトしないといけません。

誰だって、子どものころは「なんでこうなの?」「自分はこう思う」と無邪気に伝えられたはず。

誰かに怒られたり、否定されたりして一度失ってしまった自信を取り戻し、明日からは勇気を持って、自分の頭で仮説を生み出していきましょう!

まとめ

①企画・提案を考えるときは、調査・分析をする前にまず自分なりに仮説を立ててみる

②仮説は「問題仮説」と「解決仮説」を作る

③それぞれの仮説を立証するために調査・分析をする

④もし仮説が崩れたら仮説を組み直す

出典 【エリートの仕事術】仕事力とは「仮説力」である

出典Youtube

真子さん(まこなり社長)のYouTubeチャンネルには仕事に役立つ話が満載です!

今回の動画で語られていた「情報を集めるよりも、まず仮説を立てる」という話のように、私たちが今まで何となく「正しい」と信じ込んできたやり方をアップデートすることで、明日からの仕事の取り組み方が変わっていきます。

そんな、“知らないと損をする仕事の話”をまとめてインプットできるのが、真子さんのYouTubeチャンネル

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