本田直之・松尾大著『人生を変えるサウナ術』より

多忙なビジネスパーソンに、あえて「サウナ」を進める5つの理由

ライフスタイル
日々の業務に追われていて、まったく息抜きが出来ていない…

そんな風に感じているビジネスパーソンは少なくないのではないでしょうか?

息抜きもできず、自分を追い込むだけの仕事のやり方では、いいアイデアは生まれず、生産性が落ちていく“負のスパイラル”に陥っていっていくばかりです。

でも、時間はないし気持ちは焦る…! どうすれば? 

そこでおすすめするのが「サウナ」だと『人生を変えるサウナ術』の著者であるレバレッジコンサルティング代表取締役社長・本田直之さんと、サウナブームを先導してきた“ととのえ親方”こと松尾大さんは言います。

そんなおふたりが同書で語った、ビジネスパーソンがサウナに行くことで得られる5つの効能とは? 

サウナの効能①「短時間で血管が鍛えらえ、リフレッシュ効果が得られる」

サウナの効果で最も代表的なのは、運動後に得られるのと同じ爽快感リフレッシュ効果だ。

2019年に医学雑誌に掲載されたドイツの研究によると、25分間のサウナ浴と30分間の休憩によって心臓にかかる負荷は、中程度の強度のエアロバイクを漕いだ人々にかかる負荷に相当し、サウナには軽いトレーニングと同程度の心臓や血管を鍛える効果があるという。

「運動したいけどなかなかまとまった時間が取れなくて運動があまり好きではない」という読者の方には、かなり期待と可能性を感じていただけるニュースではないだろうか。

サウナがほかの運動と異なるのは、30分~1時間というごく短時間の間に運動と同様の効果を得られる点と、ただウナや水風呂に入って休憩するだけでよく、特別な身体能力や技能、努力を必要としないことである。

筋トレや運動はあまり好きでも得意でもない、やろうと思ってもなかなか時間が取れない、長続きしない、という人にも今すぐ取り入れて頂けるという点で、サウナは万人に効果のあるリフレッシュ法だと言えるだろう。

サウナは、汗をかく機会の少ない現代人がしっかり汗をかいて身体の調節機能を保つための、運動以外の唯一の方法であるかもしれない。

サウナの効能②「天然の睡眠薬と言われるほど、睡眠の質が改善」

睡眠に関する悩みを抱えたビジネスパーソンにも、ぜひサウナをおすすめしたい。

サウナに入った日の夜というのは本当によく眠れるし、「サウナに入れば睡眠薬は必要ない」とフィンランドでも言われるほど、睡眠効果が高いからだ。

帯広の北斗病院と慶應義塾大学に勤務し、がんの遺伝子検査を専門とする“サウナドクター”こと加藤容崇医師は、この「サウナが睡眠に与える影響」を検証すべく、サウナに入った日と入らなかった日の自身の睡眠状態を計測した。

すると、サウナに入らなかった日の夜は、脳や身体の疲労を回復させる深い睡眠の割合が全体の14%程度だったのに対し、サウナに入った日の夜は約28%と、全体に占める深い睡眠の割合が2倍近くになっていた。

すなわち、サウナに入った日のほうが睡眠の質が改善し、ぐっすり眠れていたのである。
「できるだけ長く眠り、しっかり疲れを取りたい」と考えている人は多いが、忙しいビジネスパーソンにとって、十分な睡眠時間を確保するのはなかなか難しい。

また「睡眠時間は取れているけれども体質的に睡眠が浅く、なんだか疲れが取れた感じがしない」という人もいるだろう。

であれば、サウナの力を借りて、睡眠の長さよりも質を高められないか、試してみるのはいかがだろうか。

サウナの効能③「『アイデア』や『インスピレーション』が生まれる」

考えられる仮説は「サウナがアイデアを生み出す場として機能している」ということだ。

NEW STANDARD株式会社(2019年8月にTABI LABOから社名変更)の代表取締役社長・久志尚太郎氏に話を聞いた。

久志社長は中学卒業後に単身渡米、16歳でアメリカの高校を卒業&起業、外資系IT企業を経て世界各国の放浪といった異色の経歴を持ち、2014年に再び起業、ローンチしたウェブメディア『TABILABO』は一大メディアへと成長し、ミレニアル世代に向けたアイデア・ライフスタイルを発信している、今、日本を代表する若手起業家のひとりだ。

また、サウナブームにはいち早く目をつけてフィンランド政府機関のVisit Finlandに観光資源としてのサウナ活用を提言。社内には熱波師の資格を取るほどサウナに熱狂している社員もいるほどだ。

マインドフルネスやウェルネスなどの時代の流れもあり、サウナを活用した数々の企業プロモーションも手がけている。

海外で制作が進んでいるサウナのドキュメンタリー番組「PERFECT SWEAT」には、日本古来のサウナ文化を発見するナビゲーターとしても出演する。日本サウナ界の中心人物でもある。

久志社長はサウナでアイデアが生まれるメカニズムについて、次の通り解説する。

「サウナに入る前には頭の中にいろんな思考が渦巻いている。『やばい、明日までにやらなきゃいけないんだった』『疲れたなぁ』『今日の上司マジでムカついたなぁ』『あれ、どうやって処理しよう』。

サウナに入ってこれらの思考に何が起きるのかというと、重要度が低いものと緊急性が高いものがスッと消える

熱くて複雑な思考ができないなかで、重要度が低いものは『くだらないからいいや』となるし、緊急度が高いものは『これはどのみちすぐやらなきゃいけないんだから、サウナから出たらサクッと終わらせよう』となるからだ。

そして、日頃後回しにされがちな『重要度が高く緊急性が低いもの』、つまり『本当に考えなきゃいけないもの』だけが残り、じっくりと考えやすくなる。

頭の中が一旦ゼロにリセットされ、忙しい日常の中で隅に追いやられていた潜在的な思考が『アイデア』や『インスピレーション』として顔を出す」

サウナはひとりで考え事をするのに良い空間ではあるが、久志社長が指摘する通り、確かに熱過ぎてそんなに複雑な思考はできない。

同時に考えられるのはせいぜい1〜2個の本当に重要なものだけだ。そうやって強制的に雑念が取り払われた純度の高い思考が、結果的に「アイデア」として結晶化する

従って、普段はあまり深く考えていない人が「サウナの神よ、アイデアをください!」とお参りに行くようにサウナに行っても、求めるものは得られないかもしれない。

あくまで複雑な思考の補助として、サウナという空間を利用するのがいいだろう。

サウナの効能④「短時間で気分転換をして、生産性アップ」

また、先述の久志社長はこのようにも語る。

「サウナに入っていなかったら、こんなに仕事はできてなかった。ずっと休みなく仕事をしているなかで、サウナに入っている時間だけが自分を唯一強制的に休ませてあげられる時間であり、サウナに入っていなかったらかなり精神的にまいっていたと思う。サウナには相当救われた」

もちろん、なるべくバランスの取れた働き方のなかで、リラックスのためにサウナに入るのは理想的だ。

しかしながら、仕事の山場で忙しさとストレスが最大限に高まったときにも、サウナは心強い味方として僕らを支えてくれる。

ヤフー株式会社のCEO・川邊健太郎氏も21歳で起業して最も忙しかった時期にサウナに出会い、いまや館山のご自宅にプライベートサウナをつくるほどの、筋金入りのサウナーとなった。

「ある日ものすごく働いて疲れたという日があって、夜中の2時くらいに勇気を出してサウナに行ってみたんです。すると、面白いくらいに気分がリラックスして翌日の仕事もはかどったんですよ。

それまでも休みの日などに1日釣りなどをして気分を変えていたことはあったんですけど、これだけ短時間の間に気分転換のできるものはサウナ以外にないように思います」

サウナの効能⑤「心身がととのう。結果モテる」

断言しよう、サウナを習慣にするとモテる

「そんなバカな」と思われる方もいるかもしれないが、フィンランドには「女性が一番美しいのはサウナを出た後の一時間」ということわざもある。

すっぴんの顔にサウナに入って血行が良くなったことで「天然チーク」がのせられ、女性本来の自然な美しさが引き出されるのだ。

といっても、日本では「サウナから出たばかりのすっぴんの女性」に会う機会はめったにないので、男性からしたら「どんな感じなんだろう?」と気になるだろうし、美容や恋愛に悩む女性にとっては少し気になる言葉だろう。

まず美容の効果で言うと、サウナで汗をかくことが習慣化することにより、老廃物の排出や物質交換が進み、肌のコンディションが良い状態で保たれる。

しかし美肌効果だけで「サウナ=モテる」と結論づけてしまうのはいささか乱暴というものだろう。僕らはむしろ他のところに、より大きな理由があると思っている。

サウナに入ると体の調子が良くなり、メンタルも安定する。ストレスの要因が減るし、ちょっとしたことがあってもイライラしにくくなる。

幸せを感じやすくなり、ポジティブな感覚は研ぎ澄まされる一方で、ネガティブな感覚には鈍感になっていく。

そうして自分がどう変化するのかというと、「余裕のある、良い人」に自然になれる。人としてととのって、魅力的な人間になれるのだ。

人はみんな他者から良く思われたり、好かれたりしたくて、自分の中では「ちょっと自分の意思にはそぐわないな」と思っても、つい良い人のフリを必死に演じてしまったりする。

理想の自分と本当は心が狭くてケチな自分とのギャップに苦しんで、自己嫌悪に陥ったりすることもある。

しかしサウナに入って根っからの良い人になってしまえば、そんな風に無理に自分を良い人に見せようとする必要もなくなるし、自己嫌悪に苦しむこともなくなる。

そうして、段々と自分のことも肯定的に捉えられるようになり、自信もついてくる。自信がつくから、以前なら尻込みしていたようなことも「やってみようかな」と思えるようになるし、失敗しても「単に運が悪かっただけだな」と思える。

上手くいけばますます自信がつく

ポジティブなフィードバックが続いて、どんどん魅力的な人間になり、結果的に異性からのモテにもつながる。

「いきなりそう上手くはいかないだろう」と思う人もいるだろう。しかし、「自分に自信がない」「もともと暗い性格で…」という人たちにこそ一度サウナを習慣にしてみてほしい。

もしかすると、今までとはまったく違った自分に出会えるかもしれない。

「サウナ」を新しい角度から考察するビジネス書

人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか?

人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか?

以上、短時間のサウナで得られるという5つの効能を紹介しました。

サウナは「たった1000円ちょっとで心と身体のコンディションをととのえてくれる夢のような場所はビジネスパーソンにとって最も合理的なサードプレイスでもある」とも同書内では語られています。

サウナに興味がわいてきた方は、『人生を変えるサウナ術』を手に取ってサウナに足を運んでみてはいかがでしょうか?

その際は、サウナ→水風呂→外気浴のサイクルを実践するのがオススメですよ!