堀江貴文著『東京改造計画』より
【先行公開】ネット投票ができないのは権力者のせい。ホリエモンが"オンライン化"すべきだと考える3つのこと
新R25編集部
5月30日に発売される堀江貴文さんの著書『東京改造計画』。
7月に都知事選を控える東京都民に対して、37項目の「東京改造計画」が提言されています。
「大麻解禁」「東京都のオール民営化」などセンセーショナルな見出しが公開されたため、発売前にもかかわらずSNS上では多くの賛否の意見が集まりましたが…
新R25では特別に、その中身を一部抜粋して先行公開。
堀江さんの「正論」「極論」「暴論」のなかから、まずは「堀江さんが”オンライン化”を推奨する3つのこと」をご紹介します。
東京都がオンライン化すべきこと①「3密」な選挙
2020年6月18日に東京都知事選挙が告示される。投開票日の7月5日まで、3週間弱の選挙戦が始まる。
新型コロナウイルス騒動でみんながパニックに陥っている中、今こそネット選挙導入のチャンスだ。
不在者投票(事前投票)は地域の区民センターで実施され、何百人、何千人という有権者が出入りする。
投票当日は、小学校の体育館に朝から行列ができるほどだ。
投票券をもらうときには係の人間との短い会話もあるし、「3密」(密閉・密集・密接)の3要件が揃ってしまっている。
「紙」を直接手渡され、誰が触ったのかわからない鉛筆を握って名前を記入する。
投票を締め切ったあとには、さまざまなウイルスが付着しているに決まっている「紙」をワラワラとつかみながら開票する。
こんなアナログ極まる選挙は、いい加減にやり方を変えるべきだ。
「公職選挙法を改正するための手続きに時間がかかる」という言い訳が出てくることは、容易に想像できる。
ならば超法規的措置を使ってでも、今回の東京都知事選挙に限ってはネット選挙へ舵を切るべきだ。
こういうときにネット選挙ができなければ永遠にできないだろう。
公職選挙法改正によって、2013年7月の参議院選挙からネット上の選挙運動が解禁された。
公示から投票日まで、ウェブサイトやブログ、SNSやLINEを使った宣伝活動が自由化されたのだ。
遅きに失したとはいえ、これは昭和のまま止まっていた日本にとって大きな前進だった。
ネット上の選挙運動解禁に加え、投票もスマホひとつで完了できるようにするべきだ。
そうすれば、投票所までわざわざ出かけるのが面倒くさい若者の棄権率を下げられるし、足が悪い高齢者の棄権防止にもなる。いいことずくめではないか。
「若者の政治離れ」「若者の投票率が低い」などと政治家は言うが、問題はいつまでも政治をオンライン化できない政治家にある。
SNSの使い方が下手な政治家はネット選挙が導入されると都合が悪いのだろう。
今回の都知事選もネット選挙が解禁されたら、僕のようなネット上のフォロワーが多い人間にかなり有利になる。
小池百合子氏が負ける可能性も出てくる。
だから結局、今回もネット選挙は解禁しないだろう。
いつの時代も権力者は既存のルールが変わらないほうが都合がいい。
だから政治にはイノベーションが起こらないのだ。そのツケを払わされるのは、いつだって国民であり、都民である。
「3密」がダメと言っているにもかかわらず、従来どおりのアナログ選挙を実施するのは矛盾でしかない。
技術的にできるのだから、やるべきだ。
都民の皆さん、よく考えてほしい。このままでいいのか?
東京都がオンライン化すべきこと②学校
新型コロナウイルス騒動を受けて、全国の小中学校、高校の9割が休校を決めた。
ワクチンや治療薬・特効薬の開発によって新型コロナウイルスを征圧できたとしても、そのうちまた新しいものが出現する。
そのときに今回のようなドタバタ劇を再び繰り返すようではいけない。
パニックを教訓として、東京都内の公立小中学校でオンライン授業を導入すべきだ。
そもそも1カ所に子どもたちが集まる必要がない。
教室に集合して対面式の授業を受けるのではなく、自宅にいながらタブレット端末やスマホで授業を受けるのだ。
年間カリキュラム全体の7割、まずはせめて5割をオンライン化したい。
名目は「感染症対策」でいい。
授業のオンライン化もできない学校に、教わることはそもそもない。
考えてみれば、すでに何十年も前から代々木ゼミナールや駿台予備学校ではオンライン授業が実践されてきた。
東京の小中学校でオンライン授業を導入すれば、ただでさえブラック労働、超長時間労働で疲弊している教員の負担を大幅に軽減できる。
もはや全国の先生みんなに同じような授業をさせる必要はない。
たとえば国語は「今でしょ」でお馴染みの林修先生の授業を動画撮影し配信する。
たまたま入った学校の先生に教わるより、日本一教え方が上手い林先生の授業をオンラインで受けたほうがよっぽど学びになる。
オンライン配信ならアーカイブ化された授業動画を自分のペースに合わせて早回ししたり、反復したりできる。
偏差値50以上の優秀な生徒は、この方式で教育課程のカリキュラムを余裕でこなせるだろう。
では現場の先生は何の仕事をするのか。
授業についていけない偏差値50未満の子どもたちをターゲットに、チューター(個人指導の教師)として進捗サポートをするのだ。
ある程度意識が高い子は自分から授業を受けるが、難しいのは授業を聞く気がない子だ。
そういう生徒に勉強へのモチベーションをもたせるのは難しい。
現場の先生は「教えること」ではなく生徒の勉強習慣やモチベーション維持を丁寧にサポートすることがメインになっていく。
これは極めて重要な仕事だ。
林先生のような名物教師のオンライン授業を自宅で受け、授業についていけない生徒にはチューターがつく。
この二本柱でオンライン授業は可能になる。
今どき、教育もすぐにオンライン化できないなんて終わっている。
危機のときこそ、平時に放置してきた問題が浮き彫りになる。
世界に遅れをとるIT化・オンライン化を今こそ教育分野で一気に進めるべきなのだ。
そして、オンライン授業を導入すれば、広大なスペースを占める学校の土地と建物が空く。
都がもつ学校の不動産を売却したり民間企業に貸し出したりすれば、大きなキャッシュを生み出せる。
学校のスペースは、どう考えてもあんなに必要ないのだ。
小学校と中学校を実質的に縮小し、教育のスマート化、スモール化を進めたほうがいい。
チューターやティーチング・アシスタントが少人数教育をする体制を組めば、教育施設は巨大な学校ではなく、地域の児童館や公民館レベルの大きさに縮小できる。
「感染症対策」というお題目は、今なら多くの東京都民の心に刺さると思う。
毎年冬になるたび、なぜインフルエンザが全国的に蔓延するのだろう。
インフルエンザは子どもから子どもへ、そして子どもから家族へと伝染する。
学校に行くと、子どもは狭い教室に机を並べて密集して一日を過ごす。
給食の時間は、向かい合ってベチャクチャしゃべりながら食事を取る。休み時間や放課後になると、濃厚接触の連続でツバを飛ばしながらギャーギャー騒ぐ。
インフルエンザの感染者が1人出れば、たちまちクラス中に広まるのは当たり前の話だ。
「全校生徒を1カ所に集める」という旧式の発想を、そろそろあらためるときが来ている。
なぜ何百人もの全校生徒を、1カ所に集合させなければならないのか。軍隊で兵隊に号令をかけ、戦争に駆り立てる。そのための教育のなごりだ。
校庭や体育館に全校生徒を集め、「気をつけ!」「休め!」「右へならえ」と怒鳴り散らしながら生徒たちを強制的に拘束する。
これは完全に軍隊教育だ。
詰め襟の制服なんて軍服そっくりだし、女の子が着るセーラー服は海軍の水兵服がモデルだ。
オンライン教育が実現すれば、生徒を型にハメる軍隊式の教育は一掃できるし、制服なんて一瞬で廃止できる。
「右へならえ」の軍隊式教育は高度経済成長時の日本にはずいぶんと貢献した。
決まりきったことをひたすらがんばれば結果が出た時代には、余計なことを考えずに「右へならえ」をする人間が優秀とされたのだ。
しかし今、時代は大きく変わっている。
スマホ1台で世界が一変するような変化の速い時代において、「右へならえ」をする人間では対応できない。
さらに言うと「右へならえ」をする人間はもはやロボットに代替される。
これからの時代は、先がわからない。変化が激しく、ルールもコロコロ変わる。
そんな時代に人間はいかにあるべきか。
僕たちは常に自分の頭で考え、変わり続けないといけない。
しかし教育だけは昔のままだ。一向にアップデートしない学校に何の疑問ももたず通い続けているのはおかしい。
まずはオンライン授業を導入し、学校に集まる時間自体を短縮する。
それだけで凝り固まった子どもたちの脳みそは解放されるだろう。
学校以外の友達と外に遊びに行ったり、自分でYouTube を見たり、ゲームにハマッたりしたほうがよっぽど有益だ。
昼間に子どもが自宅にいるとなると、親が共働きできなくなるという懸念もあるだろう。
共働き世帯に対しては経沢香保子さんが立ち上げた「キッズライン」のような、ベビーシッターサービスを使える補助金やクーポンを出せばいい。
ペストでケンブリッジ大学が長期休校になったとき、学生だったニュートンは故郷に疎開してあの「万有引力」を発見したと言われている。
ニュートンに限らず、若い人たちの可能性を学校だけに閉じ込めてしまってはいけない。多様な世界に触れることによって才能は輝き出す。
世の中は「外圧」でしか変わらない。
今こそ一気に教育を変えるチャンスなのだ。
東京都がオンライン化すべきこと③オリンピック
新型コロナウイルス騒動によって、2020年夏に開催予定だった東京オリンピックが1年延期された。
せっかく準備期間が1年延びたのだから、今からできる改革にぜひ手をつけたい。
スタジアムではない日常の空間を使って、競技を実施するのはどうだろう。
たとえば渋谷の246(国道246号)で、100メートル走の決勝を開催するのも面白いと思う。
100メートル走ならば、競技そのものは一瞬で終了する。
アスリートの足を保護する樹脂を、爆速で路上に敷けば準備完了だ。
2016年夏、ブラジルのリオデジャネイロで開かれたオリンピックでは、マラソンのゴール地点が町中にあるカーニバルの会場だった。
リオのカーニバルでは、何キロもある直線道路を1時間くらいかけてひとつのチームがゆっくり進む。
客がカーニバルを観覧する常設スタンドが、マラソンのゴール地点になったのだ。
2007年夏に大阪で世界陸上が開かれたとき、大会の直前に為末大選手が東京・丸の内でハードル走を披露したことがある(「東京ストリート陸上」)。
東京オリンピックでも、あれと同じことをすれば盛り上がる。
設備費なんてほとんどかからないわけだし、こっちのほうが絶対楽しい。
また、会場に入るためのチケットを買えなかった人たちのために、パブリック・ビューイングの設置場所を増やしたい。
5Gの通信を使えば、8Kカメラで撮影した超高精細映像を瞬時に伝送できる。
2019年にラグビーのワールドカップが開かれたとき、NTTドコモが8Kのテスト放送をしていた。あの映像は臨場感がハンパではない。
スタジアムは人混みがすごいし、トイレには行列ができる。
数百人単位の会場でパブリック・ビューイングを開けば、空調が効いていて涼しいし、トイレにも並ばなくて済む。解説も生放送で聞ける。
ウィズコロナの時代には後方の席でライブ鑑賞するよりも、パブリック・ビューイングのほうが臨場感もあるし人気が出るかもしれない。
自宅でも今まで以上に楽しめるようにすべきだろう。
また新型コロナウイルスを過剰に恐れる人たちの反応を逆手にとって、個人競技は一部オンライン配信にしてしまってもいい。
各国代表の選手たちはわざわざ東京に集まらずに地元からそれぞれリモート配信すればいいのだ。
棒高跳びなどの記録を競い合う競技なら可能だろう。
今後は、人々の生き方が大きく変わる。
大規模なイベント、大人数による密集はもはや時代錯誤だ。
東京オリンピックは新しい生き方の象徴にならなければいけない。
思考停止の都民に告ぐ、ホリエモンの「東京改造計画」
『東京改造計画』僕は空気を読まない。
媚びない。
権力にもメディアにも都民にもいい顔をしない。
大いに批判され嫌われるであろう。
でも、それでいい。
誰かが強い意志をもって強い提言をしなければ東京は変わらない。
コロナ時代の新しい首都のカタチを皆さんと一緒に考えていきたい。
『東京改造計画』の前書きに書かれた堀江さんの言葉です。
コロナウイルスという「外圧」に晒されたボクたちは、変化を余儀なくされています。
その新しい変化の兆しとなる7月の都知事選挙の前に、「どんな東京に暮らしたいか?」ということを考えてみましょう。
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