凡人が「壮大な生き方」を真似しても苦しむだけ

「無理に働く必要はない」というひろゆきにツッコんだら、「肉屋を応援する豚みたい」と論破された

ライフスタイル
あなたはなんのために働いていますか?

突然失礼しました。

社会人として生きるなら、働くことに意義を見出し、自分を磨いていきたいもの。

しかしひろゆきさんは、5万部(電子込み)を突破した著書『1%の努力』のなかで、「働かないアリであれ」つまり「無理に働く必要なんてないんだ」と強く主張します。

たしかにひろゆきさんのように生きられるならいいかもしれませんが、普通の会社員である僕らからすると、「働くのが辛いから、無職で生きよう」とはちょっと思えないです。

つまりこれは、ひろゆきさんだから言える強者の理論完全なる極論です!

そこで今回は、ひろゆきさんに「働かないで暮らすって無理じゃない?」とツッコんできました。

〈聞き手=福田啄也〉
【西村博之(にしむら・ひろゆき)】1976年、神奈川県生まれ。中央大学卒。1999年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2003年「未来検索ブラジル」取締役に就任。2005年にはニワンゴの取締役に就任(のちに辞任)。2015年には英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に

「服もタバコも自分で買ったことない」どうやって手に入れている…?

福田

福田

1%の努力』に、「働かないアリになれ」と書かれていました。ひろゆきさんが「働く必要はない」と提唱されていることはわかりましたが…

ただ、そう言われても僕のような人間が「よし、無職になろう!」って思えないんですよ。

今日はそこをツッコませていただきます。
常識にとらわれないひろゆきさん。取材前に、「現場入りしていたはずのひろゆきさんがいなくなる」というプチ事件がありました(どこに行っていたのかは不明)
ひろゆきさん

ひろゆきさん

辛い思いしてまで働く必要はない」ってそんなにおかしいですかね?

そもそも、「自分が何のために働いているのか」ってちゃんと考えたことありますか?
福田

福田

まあ…多くの人はお金を稼ぐためでしょうね。
ひろゆきさん

ひろゆきさん

それならやっぱり、ムリして働く必要はないんじゃないかな。

日本って“お金を稼ぐよりも、モノを得ることのほうが圧倒的に楽”な社会なんですよ。

たとえば僕、30歳超えるくらいまでタバコを買ったことがなかったんです
福田

福田

えっ、どういうことですか?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

福田さん、知らない人に道端で「20円くれ」って言われたらどうしますか?
福田

福田

シカトします。気持ち悪いし。
ひろゆきさん

ひろゆきさん

ですよね。

でも1本20円のタバコだったら、喫煙所でタバコを吸っている人に「1本ください」って言えば、9割の確率でもらえるんですよ

僕はそれを続けていたので、タバコを買う必要がなかったんです。
40を超えた大人がそれはどうなんだろうか…?
福田

福田

タバコ1本ならそうかもしれませんけど…

じゃあ、ひろゆきさんがもっと欲しいものがあったときはどうするんですか?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

読みたい本があったら、友だちに買わせますね

こんな面白い本があるんだけど、読みたくない?」って言うと、だいたい買ってくれます。

ゲームとかも、人気のやつだったらみんな持っているので貸してもらいますね。
福田

福田

小学生みたいだな…
ひろゆきさん

ひろゆきさん

基本的に、服も自分で買わないんですよね。

今着ている服も友だちからもらったものです
福田

福田

そんなことありますか!?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

服って簡単にもらえるんですよ

高校生のときとか、友だちの家に行ってTシャツを借りることがあるじゃないですか。

それを着たまま帰っちゃって、気が付いたら自分のものになっている…なんてことがありませんでした?
福田

福田

えっ、あったのかな…? どうだろう…
ひろゆきさん

ひろゆきさん

なかったんですか?
あった気がしてきた
福田

福田

(ヤバイ、洗脳されはじめてきてる。立て直さないと…)

ふ、服はなんとかなるとして、さすがに食べ物は厳しくないですか?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

そうですかね? 

大学生のときとか、学食で友だちに「一品ちょうだい」って言ったら恵んでもらえましたよ。

なんだったら10人くらいにもらってたので、僕の皿が一番豪華でした(笑)
福田

福田

それはまわりの人が優しいだけな気もしますけど…
ひろゆきさん

ひろゆきさん

お酒も、友だちに「オレんちで飲み会しよう。お酒とつまみ持ってきて」って誘えば、自分で買わなくても集まってくる。

そうやっていれば、別にお金がなくてもいいんですよ。
それはどうなんだろうか…?(2回目)
福田

福田

(これはラチが明かないな…)

じゃあ…家の家賃はどうです? 

さすがに友だちの家にずっと住むわけにもいかない気がしますが…
ひろゆきさん

ひろゆきさん

「1日泊めてくれない?」と頼める友だちが7人もいたら、1週間は宿代ゼロで住みますよね?

それを4回繰り返したら、1カ月分の家賃は必要なくなります。
福田

福田

いやいや。

毎週他人の家に居座ってたら「さすがに自分で部屋を借りろよ」って言われませんか…?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

でも、家にいる友だちに「帰れよ」って言います?

相手からしたら食費とか割り勘にすればお得にもなるから、むしろ喜ばれると思いますけどね。
福田

福田

そうなのかな…(帰れって言う気がするけど…)
今確信しました。この戦いに「勝ち」はない。せめて引き分けを狙います
ひろゆきさん

ひろゆきさん

僕みたいな生活をしている人って、意外とたくさんいると思うんですよね。

プロ奢ラレヤーさんなんか、僕にすごく近いんじゃないかなって思います。
おごられて生きる…!?  21歳・無職・既婚の“プロ奢ラレヤー”に価値観を揺さぶられた|新R25 - シゴトも人生も、も

おごられて生きる…!? 21歳・無職・既婚の“プロ奢ラレヤー”に価値観を揺さぶられた|新R25 - シゴトも人生も、も

※人に奢られることを仕事にしている23歳。空き家をもらうとか、車をもらいかけることもあるらしい
福田

福田

あ~、言われてみれば…彼も嫌なことを全部やめて、人に奢られる生活をしていますもんね。
ひろゆきさん

ひろゆきさん

日本はみんな裕福だから、「いらないものください」って言うだけでお金がなくても生きていけるんです

“お金のために働く”という行動は、「誰にも邪魔されない家がほしい」「有名ブランドの服がほしい」とかいった欲があるんだったらやればいいんじゃないのっていうぐらいのことなんですよ。

ひろゆきさんが語る「時給無限」になる方法

ひろゆきさん

ひろゆきさん

そもそも、“働いて稼いだお金”も“働かないでもらうお金”も価値は一緒なんだから、働かないでもらったほうがお得じゃんって思うんですよね。
福田

福田

…働かないでもらうお金ってどんなものがあるんでしょうか?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

たとえば、クレジットカード会社にもよるけど、飛行機が6時間くらい遅延したら、保険がおりて「下着代」とかもらえるんですよ。

ユニクロに行くと、その金額分は服を買えるんです。
ひろゆきさんの奥様による「だんな様はひろゆき」より。トラブルは保険がおりるから好きとおっしゃってました
ひろゆきさん

ひろゆきさん

ほかにも、モスバーガーはネットで注文すると、10円もらえるんですよ。

500円のバーガーで10円もらえたら利率は2%なので、すごくお得じゃないですか。
福田

福田

でも10円ですよね? ケチくさいような…
ひろゆきさん

ひろゆきさん

いやいや、自由に生きているだけでお金がもらえるって、「時給1万円」の人より上なんですよ。
これはまた極論をブチかましてくる
ひろゆきさん

ひろゆきさん

時給1万円って、結局は人生の1時間を奪われるってことですよね。

一方で、何もしないで10円もらえる行為が1000回重なったら、1万円と同じ利益になる。こっちは消費した時間はゼロ。

つまり、何もしないでお金をもらっている人は、「時給無限」なんですよ。
福田

福田

なんというパワーワード…

ちなみに、ひろゆきさんってお金を稼ぎたいって思ったことはあるんですか?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

うーん、やっぱり、辛い思いをするくらいだったらお金なんていらないと思う派なんですよね。

日本は必ず福祉が助けてくれるので、困ったら納税者に感謝しながら生活保護をもらって暮らせばいいんですよ
危なっかしい発言ですけど、いい笑顔だったので掲載します

「人生に壮大な目的がある人」を真似しても、苦しむだけ

福田

福田

ただ…働いていないと「自分の人生はこれでいいのか」と自己嫌悪に陥ってしまいそうじゃないですか?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

「自分の人生の意味」みたいな、立志伝中の人のようなことを考えるから苦しくなるんです。

人生に壮大な目的があって、一生をかけて達成している人はめちゃくちゃ数が少ないから物語になっているんですよ

それを真似しても苦しむだけだと思います。
「普通の人なんて、『毎日楽しく暮らして死にました』っていうのがほとんどですから」
福田

福田

凡人は「人生の意味」なんて考えなくていいと…?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

毎日普通に楽しく飯食ってます」って人がニュースに出てこないのは、世の中の大多数がそういう人生を歩んでいるから。

犬が人を噛むとニュースにならないけど、人が犬を噛むとニュースになる」という言葉があって、ニュースになるのはすべて不自然で滅多にない出来事です。

その不自然なニュースだけを見て、「自分もこんなふうに頑張って生きるべきなんだ!」って考えるのは「誤解」なんじゃないですか?
福田

福田

うっ…
ひろゆきさん

ひろゆきさん

たとえばサッカー選手になりたい人は、「サッカーが好き」っていうのがまずあって、そのあとで「どうせやるなら強いチームで」とか「世界でやってみたい」って、夢が大きくなるわけじゃないですか。

いきなり「俺はサッカーで名を上げるんだ」っていう動機でサッカーを始める人はいないと思います。
福田

福田

そもそも「何かをなさないと」という目的で生きていくのは変だってことですかね…
ひろゆきさん

ひろゆきさん

そんなことを考えなくていいんですよ。

僕の人生の優先順位は「睡眠」がもっとも高いんですけど、それが働くことにつながってない。でも、人生は幸せですよ
完全に説き伏せられてしまいました

「コンビニでトイレを借りても、何も買わなくていい」もっと自分本位に生きるべき?

福田

福田

「働かない生き方」という考え方は少し理解できてきましたが…正直まだ実践までは難しいです。

ちゃんと働かないと親や社会に申し訳ないと思ってしまいます。
ひろゆきさん

ひろゆきさん

多分そこが、僕とズレているところでしょうね。

僕はなんでも「自分本位」なんです。

福田さんの考え方は「他人本位」。学校で宿題を忘れて怒られたときに申し訳ないと思うタイプですよね?
福田

福田

そうですね…僕がルールを破ってしまっていると思うので…
ひろゆきさん

ひろゆきさん

でも、自分で「宿題をやりたい」なんて言ってませんよね

もし、自分から言って宿題をやってこなかったら嘘をついたことになりますけど、勝手に組み込まれたシステムのなかで怒られても何も思いません
福田

福田

そう思えないんですよ…
ひろゆきさん

ひろゆきさん

悪い人につけこまれるタイプですね(笑)
ええ…それは痛感してます
ひろゆきさん

ひろゆきさん

多くの日本人は「他人本位」で、まわりから何かをもらうことに対して「申し訳ない」と感じる人は多いですよね。

たとえばコンビニでトイレを借りたとき、「何か買わなくちゃいけない」と思うとか。
福田

福田

そうですね…何も買わずに出ていくと失礼な気がします。
ひろゆきさん

ひろゆきさん

でも、それは他人の考えを勝手に類推して縛られているにすぎないんです。

実はお店にとってはトイレを借りたからといって、あなたが何か買っても買わなくても、どちらでもいいんですよ。

むしろ、何も買わないほうが、レジの仕事が減ってラクだったりする

レジの人になんとなく悪いって思うのは、他人本位に縛られてるからなんですよ。
福田

福田

他人や社会の考えを勝手に作り出して、自分の首を絞めることになっていると…?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

なんか、「肉屋を応援する豚」みたいだなって思います。
みなさん、ひどすぎると思いませんか?
福田

福田

ぼ、僕が…肉屋を応援する豚…?
ひろゆきさん

ひろゆきさん

最近、この「肉屋を応援する豚」という言葉がマイブームなんです。

いつか自分が殺されてしまう状況の豚が、肉屋の営業を心配してしまい、最後には屠畜される」という状況。

結局のところ自分たちの不利益になっているのに、「まわりに悪いから」と思ってしまう人が多いんですよ。

福田さんもそうじゃないですか?
福田

福田

はい…
ひろゆきさん

ひろゆきさん

もっと自分本位で生きていいと思うんですよ。

結局、まわりの目を気にして幸せになれることなんてないし、「自分が何をして生きていきたいか」ということにしか答えがないと思うんです。

そのうえで「働きたい」なら働けばいいし、働くことで辛くなるなら、まわりの目を気にせずに働かないという選択肢をとるのが、人として当たり前の気がするんですよね。
なんか、生きづらそうですね(笑)

終わり際にひろゆきさんに言われたこの言葉がずっと頭に残っています。

自分のなかの常識とひろゆきさんの常識がかけ離れていて、インタビューのあとに、自分の生き方に自信が持てなくなりました。

27年生きてきた自分はすごく狭い価値観に縛られていたのではないか…。

“働かなくても生きていける”という今、改めて「自分がなんのために生きて、働いているのか」を考え直してみようと思います。

あと、何を言ってもひろゆきさんに論破されるのでめちゃくちゃ疲れました…。

〈取材・文=福田啄也(@fkd1111)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉

99%の努力から『1%の努力』へ

1%の努力

1%の努力

「この本では、あなたに『サボる才能』があるかを試し、それを磨いていくための『7つの話』をしようと思う。目的は1つ。死ぬまでの『幸せの総量』を増やすためだ

ひろゆきさんの思考法や生き方は、これまで多くの書籍で書かれてきましたが、「これまで努力してきたこと」について触れることはありませんでした。

人生を幸せに生きるために「サボる」。「なんで自分は頑張っているんだろう?」というときに読んで見てはいかがでしょうか?