ビジネスパーソンインタビュー

「趣味の時間が消えたら、人生が無色になった」最上もがを休業から救った“好きなもの”との物語

「好きなことをする時間」が消えてしまった、大人たちへ。

「趣味の時間が消えたら、人生が無色になった」最上もがを休業から救った“好きなもの”との物語

新R25編集部

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2020/11/04

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11月4日、いい推しの日。

推しを持つ者たちが、推しの魅力を全力でプレゼンする、YouTube生放送番組「クラフトボスHOTpresents推しプレゼン全国大会」が開催されます。

クラフトボスHOT Presents 推しプレゼン全国大会【バーチャルYouTuber】 #HOTに推しを語れ

好きなものを好きだと、胸を張って言えること。とても素敵で、幸せなことだと思います。

でも、会社と自宅を往復する日々のなかで、気づけば「趣味の時間」なんてまったくない…という人も、少なくないと思うのです。仕事に打ち込むことも大切だけど、それだけでいいんだっけ…?

今回はそんな疑問を、本大会で審査員を務め、ド級のゲームオタクとしても有名な最上もがさんにぶつけてきました。

みなさんもぜひ、ご自身の日々と照らし合わせながら読んでみてください。

〈聞き手=サノトモキ〉

【最上もが(もがみ・もが)】女性アイドルグループでんぱ組.incの元メンバー。現在はタレント、モデル、女優など幅広く活躍。ゲーム、アニメ、漫画など二次元趣味をこよなく愛する。個人事務所・スプレマシー所属

「ゲーム断ち」をしたアイドル時代。「何のために生きてんだっけ?」

サノ

最上さんが所属していたアイドルグループ・でんぱ組.incは、「メンバー全員生粋のオタク」であることが特徴でしたが…

最上さんは生粋の「ゲームオタク」だったんですよね?

最上さん

ゲームもそうですし、漫画、アニメ…とにかく2次元の世界にのめり込んでました。

とくにラグナロクオンラインというネットゲームには10年間くらいハマってて…自分でも「一生このままなんだろうな」と思うくらいずっとやってましたね。

全然働きたくなくて「ずっとゲームやってたい…」と思ってたので、短大卒業後もしばらくは自室でネットゲームの生活を送ってました

最上さん

でも、父親がリストラにあって、そうも言ってられなくなってしまって。

日雇いのバイトを始めたときに、たまたまでんぱ組.incのプロデューサーにスカウトしていただいたんです。

サノ

日雇いのバイト先で!?

最上さん

踊りも歌もできなかったけど、「まる1日ネットゲームやってるって生粋のオタクじゃん。ぜひ入ってほしい!」と説得されて、加入を決めました。

だからぼく、ラグナロクオンラインをやってなかったら、今ここにいないんですよね。

芸能の仕事なんて1ミリも考えたことなかったし、普通にニートだったと思います。

20代で仕事に打ち込んだ人が直面する「仕事一色の寂しさ」

サノ

ただ、働きだすと趣味との距離感が変わってしまう人も多いと思うんです…

最上さんは、アイドルになってからはいかがでしたか?

最上さん

じつはぼく、アイドルになったときに「ゲーム断ち」をしたんですよ。

ゲーム断ち?

最上さん

ゲームがあったら仕事を疎かにしてしまうとわかっていたので。

一人暮らしを始めるときに、そもそもPCを持ってこなかったんです。

集めてきた大事なアイテムもネトゲでできた仲のいい友達に全部あげて、「やめます!」って伝えて。

サノ

プロ意識がすごい。

でも、ずっと大好きだったものをそんなすぐにやめられるものなんですか?

最上さん

7、8年くらいは本当にやりませんでしたね。ただそれは、ゲーム断ちをしたってだけじゃなくて。

寝る時間もほとんどないくらい働いたり、休みの日も仕事の準備をしたり…ずっと仕事脳になって、「好きなことをする時間」が日常から消えちゃったんですよ。

そのうち、アニメや漫画にもあんまり没頭できなくなっちゃって、それがすごく寂しかったですね。

こういう状態の人、ホントにたくさんいると思う…

最上さん

それで、わりと最近…「何を楽しみに生きてるんだっけ」というのが、わかんなくなっちゃったんですよ。

これ、30歳前後でみんなわりと経験することだと思ってるんですが、わかります?

サノ

…わかるッ!(27歳)

立ち止まったときに、ふと「あれ、自分なんでこんなに頑張ってたんだっけ…」みたいな。

最上さん

ですよね!?(笑)

20代で仕事をがむしゃらに頑張って、30歳くらいである程度の結果を出せると、「じゃあこの先どこを目指そう」って考えるじゃないですか。

サノ

…わかるッ!(27歳)

最上さん

ぼくもでんぱ組を脱退して少し時間に余裕ができたときに、「どう生きてるのが楽しかったんだっけ」と、立ち止まって考えたんですね。

もちろんそこで、仕事面で新しい目標を見つけられたらいいと思うんですけど…

少なくともぼくは、「仕事しかない人生って、すごく彩りがないな」と感じてしまったんです。

わ・か・る~~~!!!!!(27歳)

最上さん

それでここ2年くらい、「趣味の時間」を意識的に取り戻すようにしたんですよ。ゲームやアニメはもちろん、今までやったことのなかった乗馬も始めたりして。

そうしたら、仕事ですごく不安に思っていたことも、しょうもない悩みに思えるようになったんです。

自分の世界が「仕事一色」だったからこそ、仕事での心配事が心を埋めちゃってたんだなって気づいたというか。

サノ

仕事以外を充実させるようにしたら、仕事にも前向きに向き合えるようになったと。

これ、めちゃくちゃ大切なことな気がするぞ。

「好き」に突き動かされていたあのときが、一番楽しかった

最上さん

あと、いざというとき自分を救ってくれるのって、やっぱり「好きなもの」だと思うんですよね。

ぼく、でんぱ組をやめたあと、芸能の世界をやめようと思ってたんですよ。

もちろんアイドル時代はすごく楽しかったし、まわりの人も「続けてほしい」と言ってくれてたんですけど…自分なりに全力で駆け抜けて、燃え尽きてしまった感じがあって。

サノ

そうだったんですね…

最上さん

それで仕事をお休みした時期に、本当に無気力になっちゃって。

とりあえずアニメを流したりとかしてたんですけど、全然集中できないし、本当に一日中ぼーっとしていて…

でも、そこから復活させてくれたのがゲームだったんですよ。

最上さん

何も楽しめなくなっちゃって、「人生で一番楽しかった瞬間っていつだったっけ」とぼんやり考えたときに、「やっぱりネトゲをやってたときだな」と。

申し訳ないけど、アイドルをやってたときより、あのときって思ったんですよね。アイドルは本気で戦ったからこそ、楽しいだけじゃなく、プレッシャーもいっぱいあった。

ネトゲをやってたときの、ただ「好き」だけに突き動かされてたあのときが、一番だったなって。

サノ

…!

最上さん

そこで、PCを買いなおして、ラグナロクオンラインに復帰したんですよ。

昔の友達に「一緒に復帰しない?」って連絡したら、「おおお、いいよ!」って乗ってくれて。

それで二人でイチから始めたんですけど、もうすっごい楽しくて。楽しすぎてちょっと、オトナな額の課金もしちゃったんですけど…(笑)。

「『まあいいじゃん、頑張って働いてきたし!』って (笑)」

最上さん

それで、「楽しい」って感覚を取り戻したその1カ月間で、めっちゃ前向きになったんです。

めちゃくちゃ助けられました、ラグナロクオンラインには。

サノ

この話、開発者さんに届いてほしいな。

最上さん

“好き”の豊かさが人生を豊かにするんだなと、すごく思ったんですよね。

今は無限にやらないように数分で終わるゲームを選んだり、ちゃんと大人な遊び方をしてはいますけど…

趣味って、「自分を取り戻せる時間」だと本当に思うので、大切にしようと思ってます。

熱量を失う大人が多いからこそ、「好きを語れる人」が羨ましい

サノ

最上さんが審査員を務める「推しプレゼン全国大会」は、誰かの「好きを全力で表明する姿」を応援してますよね。

最上さんは、自分の好きなものをオープンに言えない時期もあったんですか?

最上さん

学生時代はコソコソしてましたね…(笑)。

最上さん

今よりオタク文化への偏見が強かったし、自分でも勝手に恥ずかしいと思ってました。今は時代が変わってきてて、なんならオタクのほうが多いくらいだと思うんですけど。

でも、ファンの子たちから、「アイドルが好きって学校で言えない」みたいなことはときどき聞きましたね。

サノ

そんな声も…

最上さんは、「好き」はオープンに言えたほうがいいと思いますか?

最上さん

うーん…個人的には、無理してまで言う必要はないと思います。

「自分と推しだけの世界」っていうのも、すごく素晴らしいものなので。

作品さえあれば、そんなに頑張って共有しなくてもオタク文化は衰退しないと思うんですよ。

なんかかっこいい

最上さん

でも同時に、「好きなものについて誰かに話す楽しさ」というのは、推しを持つものが味わえる特権だとも思うんですね。

相手もハマってくれたらすごくうれしいし、考察を話したり聞いたりするのも楽しい。それって、1人で楽しむのとはやっぱり違う楽しさなんですよ。

あと単純に…「好きなものについて熱く語ってる人」ってめっちゃよくないですか

サノ

どういうことですか?

最上さん

ぼくの妹も、すごいオタクなんですね、BL(ボーイズラブ)の。

ひとつのアニメーション映画のために20回以上映画館行ってるんですよ。一緒に観たときは、「今日で12回目…」って言ってました…

でもぼく、その姿がうらやましいんです。心の底から楽しんで、本当に幸せそうな顔でしゃべってる。この子は本当に楽しそうな人生だなって。

好きを堂々と語れる人がうらやましいの、なんかわかる気がする

最上さん

ぼくもそうでしたけど、大人になるとそういう熱量って失ってしまうので。

妹は26歳なんですけど、本当に趣味一直線なんですよ。働くのも趣味のため。休日のオタ活のために、1週間頑張る。

好きなものに一直線な姿は、まわりから見ても魅力的だと思います。

「絶対、好きなものを好きって言ったほうがストレス発散になるけどね」

サノ

最後に、もっと「好きを表明できる人」が増えるために、変わったほうがいいと思うことはありますか?

最上さん

そうだなあ…まず、「好きなもの」って思い入れやこだわりがあるからこそ、多様性を認め合うのが難しい分野だと思うんですよね。

SNSで「このアニメよかった~!」と投稿すると、「え、じゃあ当然このアニメも観てるよね?」とか「このグッズ持ってて当たり前だよね?」みたいな声がすごく集まるんですね。

よく見る光景

最上さん

好きだからこそ、「好きならこうあるべき」みたいに自分の好きのかたちを相手にも求めてしまう人がわりといるんです。

それで言いにくくなってる人もきっといると思う。ぼくも好きなアニメとか言いにくくなりましたし。

だから、誰かが「好き」を言ってるところに自分の「好き」を被せない人が増えたらいいなと思います。愛し方は、それぞれでいいと思うので。

サノ

好きを表明するにも、適切なTPOがあると。

最上さん

あと、最近のSNSって何か少しきっかけが生まれたら、芸能人を総叩きにするじゃないですか。

あれ、ストレス発散とかってよく言いますけど、本当に悪口を言うことによってストレス発散になってるのかなって。

好きなものを好きって言うほうが、発散になるけどね!」って言いたいです。

最上さん

誰かの悪口言ったりするのって、自分の心にも悪いと思いません?

気持ちよさもあるのかもしれないけど…罪悪感というか、後味が良いとはあんまり思えなくて。ネガティブな感情も生まれてると思うんですよね。

でも、「好きなもの」についてどれだけ話しても、ネガティブな感情って生まれないじゃないですか。せっかくなら、その気持ちよさを選べたほうが幸せなのになって思います。

サノ

本当にそうですね。

「推しプレゼン全国大会」を観た方が、ちょっとでも「好き」を表明することが素敵だと思えたらいいなと思いました。

最上さん

嫌い」より、「好き」が拡がっていくほうが素敵だと思います

ぼくも、審査員頑張ります!

今日はありがとうございました!

大人になって、仕事を頑張りすぎてしまいがちなR25世代。

「とにかく頑張らなきゃ!」と力が入るなかで、気づかないうちに心が疲れてしまっていることもあると思います。

そんなときは、ぜひ最上さんの言葉を思い出して、「好きの時間は、“自分を取り戻す時間”」だと思って意識的に増やしてみるといいかもしれません。

僕も、「好き」を熱く語れる自分になって、仕事も人生も楽しみたいと思います!

【「推しプレゼン全国大会」11月4日21時~YouTubeで放送予定!】

クラフトボスHOT Presents 推しプレゼン全国大会【バーチャルYouTuber】#HOTに推しを語れ

11月4日(いい推しの日)21時~、「ラフトボスHOTpresents推しプレゼン全国大会」がYouTubeにて生放送!

記念すべき第1回のテーマは、「あなたの推しバーチャルYouTuber/LiverについてHOTにプレゼンしてください!」。

厳選なるリモート審査をくぐり抜けた参加者たちが、生放送で「推しとの出会いを通して、あなた自身がどう変わったか」を盛り込んだ3分間の最終プレゼンテーションを披露します。

こんな時代だけど、これから寒くなるけれど、そんな今だからこそ、心からHOTになれる時間が必要だと思うから。

胸を熱くさせる推しプレゼン、そして審査員として語る最上さんのHOTな姿、お見逃しなく!

〈取材・文=サノトモキ(@mlby_sns)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉

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