ビジネスパーソンインタビュー

田中角栄「今日は君の奥さんの誕生日だろ?」元秘書が語る“応援される人”だけが使う言葉

どうしたら“応援される人”になれる…?

田中角栄「今日は君の奥さんの誕生日だろ?」元秘書が語る“応援される人”だけが使う言葉

新R25編集部

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2024/01/31

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人から応援される人であれ

伝説の政治家・田中角栄の元秘書で、株式会社一柳アソシエイツ代表取締役・一柳良雄(いちりゅう・よしお )さんの著書『応援される人 42の言葉』(日経BP)の冒頭は、こんな言葉からはじまります。

一柳さん自身も“人からの応援”に背中を押され、これまで「ベンチャー支援」や「経営塾の開塾」、「TVキャスター」など、さまざまなチャレンジをしてきたのだとか。

でも…どうしたら“応援される人”になれるの…

そのヒントを、同書から一部抜粋してお届けします!

一柳さん

応援される人=巻き込む人

「人が応援してくれる」 「人からの応援の力を得る」 とは、どういうことか?

それは言い方を換えれば「あなたの目標達成、夢の実現のために、人を“巻き込む”」ということでもあります。

相手からすれば、あなたに“巻き込まれる”ことによって、自分も幸せになれる、ということです。

もっといえば、あなたが相手を巻き込むことで、相手の目標達成や夢も叶えることができる…そうなれば最高ですよね。

一柳さん

巻き込みの天才・田中角栄

私の人生の中で、「この人は“人を巻き込む天才”」と心から思える人物がいます。

田中角栄

元内閣総理大臣(第64・65代)で、日中国交正常化を実現させたほか、『日本列島改造論』を提唱し、国のインフラ整備を進め雇用の創出、経済の発展を進めた、戦後を代表する政治家といえるでしょう。

私はこの田中角栄先生の通産大臣時代に、秘書として仕えていました。

角栄先生の「人から応援され、人を巻き込む力」。

そのベースにあるのは、間違いなく「本気で世の中の役に立ちたい」という志と「夢を追いかける姿勢」だったでしょう。

角栄先生には世間一般的に「お金の力を使って権力を握り、事をなす金権政治家」というダーティなイメージがあることも事実です。

しかし、傍でその活躍を目の当たりにしてきた私だけでなく、多くの人が実感していることがあります。

それは、角栄先生は「儲けるために政治をしているわけではない」ということ。「世の中(この国)をより良いものにするため」に、政治を行っていたということです。

この国をもっと良くする、素晴らしい未来をつくる…そんな夢を追いかけていた人だったのです。

その志、夢を実現させるための行動を、多くの人が応援し、巻き込まれていきました。

もしそこに「自分だけ良ければいい」「世の中の役になんか立たなくていい」などといった思いがあったとしたら?それがにじみ出ていたとしたら?誰も応援などしないはずです。

素晴らしい夢を知り、その夢の実現に向けて懸命に努力する姿を見て、「この人の夢が実現したなら、きっと良い世の中になるはずだ」と共感する。

そうして人は、その人に“巻き込まれて”いくのです。

一柳さん

田中角栄「敵をつくらないことが大事だ」

「応援される」という観点からすれば、角栄先生が選挙において多くの票を獲得する“選挙の天才”であったことはよく知られています。

そんな角栄先生がよくおっしゃっていたことがあります。

敵をつくらないことが大事だ

角栄先生によれば、本当に自分を応援してくれる人、巻き込むべき人との出会いの素地をつくるためには、まず敵をつくらないことだ、というのです。

敵をつくるということはつまり、相手のネガティブな部分のみを重視してしまう、ということです。

したがって、敵をつくらないようにするには、まず相手のポジティブな部分、つまり相手の“良いトコ”に着目すればいいわけです。

この人はこんな良いトコを持っている人なんだ」という前提で、相手と接してみる

すると相手も、こちら側の好意、自分に対するポジティブな思いを自然と感じるわけです。

一柳さん

応援される人は、相手に寄り添い“表す”

角栄先生は立場や世代を超えて、多くの人々と気さくに話すことでも有名でした。

相手が一般市民であったとしても、「やあやあ!そういえばあなたのところのおばあちゃんは元気?」などと、声をかけるのです。

自分のことのみならず、自分の親族のことまで気にかけてくれている…これに魅力を感じない人は少ないでしょう。

角栄先生は、相手のバックグラウンドに関する情報を常に把握することにも注力していたのです。

大蔵(現・財務)大臣時代、ある部下に「今日は君、早く帰りなさい。今日は君の奥さんの誕生日だろ?花でも買っていきなさいよ」と言って早く帰らせたというエピソードも、有名なものです。

(相手の)奥さんの誕生日を調べる」…そんな作業を、人知れず行っていたわけですね。

1971年の日米繊維交渉(初の日米貿易摩擦と言われています)のとき。

通産大臣の角栄先生はアメリカとぎりぎりの交渉を続け、それこそ寝る間もないくらい大忙しです。 当然、通産省も戦場のようにバタバタしていました。

そんな中でも、角栄先生の知人からは身内の結婚式や葬儀などの知らせが次々と入ります。

その知らせを受け取っていたのは、スケジュール担当の私でした。

公務で忙しい大臣にその都度報告をするのは邪魔だろうと考えた私は、翌日になってまとめて、「これこれこれらの案内が届きました」とお知らせしたのです。

すると…。 「君!なんでそのときすぐに報告しないんだ!」 と、角栄先生から思い切り怒鳴られたのです。

「結婚式などの祝い事は、まあ後になってもいいだろう。しかし誰かが亡くなったという知らせは、真っ先に報告しろ!もしかしたら、駆けつけられるかもしれないじゃないか!

相手の悲しみに寄り添い、それを“表す”ことを、角栄先生は常に最も大切にしていたわけですね。

角栄先生から最もひどく怒られた思い出です。

一柳さん

「ちょっとした感動」がエネルギーを生む

相手の“良いトコ”を見つけ、着目する。相手のバックグラウンドを知る。相手の趣味や好みを知る。

どれも決して大変な作業ではありません。しかし、そんな小さな気配りが、人に感動を与えるものなのです。

人間は感動すると脳内にドーパミンやアドレナリンが分泌されると言われています。

そして脳細胞が活性化して、大きなエネルギーが発生するのだとか。

そのエネルギーがあなたに「応援」というかたちで返ってきたら?それはあなたの心強い味方となります

実はかくいう私も角栄先生に倣って、関係各位の奥様方の誕生日を調べるなどしているのです。

どうでしょう?まず手始めに、あなたの周りの人たちの誕生日を調べてみては?

そして「おめでとう!」のメッセージを送ってみましょう。

“ホンモノ”にふれる経営塾塾長の金言集

偉大な政治家の言葉を通して、シンプルながら本質的な“人間力の真髄”にふれられる同書。

仕事やコミュニケーションのコツなど…「官僚」という安定を捨てて、天下りもせずにベンチャー起業を成功させた一柳さんのマインドも学べます。

これからの未来をよい方向に変えていきたい方は、ぜひご一読を。

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