ビジネスパーソンインタビュー
過剰なストレスが、全身を壊していく
締め切りが近い仕事を先延ばしにすると肥満、老化も!? 「慢性的なストレス」の恐怖
新R25編集部
ビジネスパーソンを支える一番の資本といえば…「カラダ」。仕事のパフォーマンスは、カラダの調子で決まると言っても過言ではありません。
そこで新R25では、ストレスケアや睡眠、食事…パフォーマンスを上げるための“カラダハック”を解説する特集「カラダアップデート」をお届けします!
日々邁進するビジネスパーソンにとって、“ストレス”は最大の敵。
ストレスに打ち勝つ方法を模索しているR25世代の力になりそうな書籍が『最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法』です(実践型オンラインプログラムも販売中)。
著者は、1年間に5000本もの科学論文を読みこむことから「日本一の文献オタク」と呼ばれる鈴木祐さん。メンタリストDaiGoさんが尊敬する人物としても知られています。
鈴木さんの“十八番”である、さまざまな文献をもとにしたアプローチが刺激的な本書から、すぐに取り入れられる「ストレスとの向き合い方」を抜粋してお届けします。
過剰なストレスが、全身を壊していく
あなたが締め切りの近い仕事を先延ばしにしていたとしましょう。
なんとなくネットで時間をつぶしている間にも頭の隅には仕事のプレッシャーがこびりついており、あなたの感情システムは徐々に「脅威」モードに切り替わっていきます。
ほどなく、脳の原始的なエリア(扁桃体)が騒ぎ始め、内分泌系に対策を取るように指示。
これを受けた内分泌系は体の各所にシグナルを送り、アドレナリン、コルチゾール、ACTHといったストレスホルモンを吐き出させます。
これらのホルモンは、いずれも体を戦闘状態にするスイッチです。
アドレナリンやACTHが心拍数を上げて外敵の襲撃にも素早く反応できる態勢を整え、コルチゾールは過度の炎症反応で体が動かなくなってしまうのを防ぎます。
このシステムは、原始の社会であればうまく働きました。ライオンやヒョウに襲われたときは瞬時に全身を興奮状態に切り替え、すぐさま逃げるか戦うかのどちらかを選択。事態が終わればストレスホルモンは役目を終え、すみやかに体はもとにもどっていきます。
しかし、仕事を先延ばしにしていると、パニックを起こした脳はコルチゾールを増やすように指示を出し続け、少しずつ私たちの体はストレスホルモンに慣れてしまいます。覚せい剤の常習者に似たような状態です。
いったんこうなると、事態は一気に悪化していきます。
本来ならばコルチゾールが免疫システムのバランスをとっていたのに、もはやブレーキは完全に壊れたも同然。暴走した白血球が細胞を傷めつけ、やがて心疾患、肥満、老化の促進といった症状が現れ始めます。
最初の小さなストレスがホルモンの連鎖を生み、最後には全身を壊していくわけです。
人体のストレス処理系は、あくまで森やサバンナで出会う緊急の危機に対応するために進化してきたシステムです。
短期的に終わる急性のストレスをさばくのは得意ですが、現代の慢性的なストレスに立ち向かうようにはできていません。
果たして、このミスマッチを解決するにはどうすればいいのでしょうか?
ストレスを感じたときに効く“魔法の一言”
自分が大勢の前でスピーチをする場面を想像してみましょう。
あなたの頭には「セリフを忘れたらどうしよう……」「笑われるかもしれない……」といった思考がうずまき、ほどなく全身にストレス反応が起きます。
アドレナリンのせいで心臓は高鳴り、緊張で手が震えだすかもしれません。
こんな状況で、もっとも応急処置の効果が高いのが「リアプレイザル」です。
名前は難しそうですが、やることは簡単。
スピーチの直前にストレス反応が起き始めたら、「楽しくなってきたぞ!」や「興奮してきたぞ!」と自分に言い聞かせるだけです。
ハーバード大学のアリソン・ブルックス氏は、300人を集めた実験で「リアプレイザル」の効果を証明しました。
すべての被験者に「スピーチ」「カラオケ」「数学のテスト」などを指示したところ、自分のストレス反応を「楽しくなってきた」とポジティブに解釈したグループは、それぞれ17〜22%も成績が良くなったのです。
ブルックス博士は言います。「私たちは自分の感情をコントロールし、意図的に影響を与えることができる。自分のストレスをいかに言葉や思考に変換するかで、どんな感情も再構築できるのだ」
たとえば、いきなり道端で知らない人に怒鳴られたとしましょう。
普通なら「なんだこいつ!」と頭に血がのぼる場面ですが、一歩引いて「何か悪いことがあったのかもしれない」などと考え直してみるのも「リアプレイザル」の一種です。
それだけで、ある程度は感情の波がおさまっていくはずです。
さらに、リアプレイザルは、使えば使うほどあなたをストレスに強くする性質も持っています。
被験者の脳をfMRIで調べたある実験では、嫌な体験をポジティブに解釈しなおした直後から扁桃体の活動が低下し、「リアプレイザル」が上手くなった被験者ほどネガティブな体験に脳がパニックを起こさなくなりました。
つまり「リアプレイザル」は感情の筋トレとしても使えるわけです。
ハマるとやめられない「超正常刺激」の正体
さらに、考えるべきは「超正常刺激」の問題です。
動物行動学の父であるコンラート・ローレンツ氏が発見した現象で、自然界には存在しないものに対して本能が反射的に作動してしまう状態を意味します。
ミヤコドリという鳥は、本能的に大きな卵を選んで育てようとする性質を持ちます。
そのため、研究者が本物の卵より大きな人工のボールを与えてみると、ミヤコドリは自ら産んだ卵を捨ててボールを温めようとします。
これは、ミヤコドリのなかに「大きな卵を育てたほうが元気な個体が生まれる」とみなすプログラムしか備わっていないからです。
自然界には巨大なボールなど存在しないため、「これは偽物かもしれない」と疑うようなシステムを実装する必要がありません。
その結果、ミヤコドリは簡単にダマされてしまうわけです。
しかし、鳥たちを笑ってばかりもいられません。
現代においては、動物より人間のほうが超正常刺激に振り回されています。大事なのは、現代にあふれる超正常刺激の存在に気づき、自分の反応を調節していくことです。
遠ざけるべき超正常刺激は様々ですが、まずおすすめしたいのは「デジタル環境」のコントロールです。
インターネットやスマホは私たちの生産性を高めたいっぽうで、弊害ももたらしています。
アメリカ医療情報学会が「インターネットおよびビデオゲーム中毒」を正式な診断名に推奨したのは2008年のこと。
ハーバード大学の調査によれば、ネットユーザーのうち5〜10%は依存傾向にあり、回線につながらない状況では、彼らはギャンブル中毒に似た禁断症状を示します。
ほかにも、スマホの使用時間が長い者ほど社会不安のレベルが高いとのデータや、自宅でスマホを使い続ける人は仕事のストレスが回復しないといった報告もあり、デジタルデバイスが現代人のメンタルに負荷をかけているのは間違いありません。
Webライターが「デジタル断食」で得た、想像を超える効果
2012年、IT系のライターだったポール・ミラー氏が、興味深い実験を行いました。仕事の種だったスマホとネットを止め、1年におよぶ「デジタル断食」を行なったのです。
当時26才の彼は、IT業界の高速なペースに本を読む時間も家族と過ごすヒマもなく、脳がパンク寸前でした。
この時の心境を、彼は「ウェブブラウザの向こう側には『本当の生活』が待っているのではないかと思った」と記しています。
その効果は、想像を超えるものでした。
仕事に支障が出たかと思いきや逆に生産性が上がり、かつてのペースを上回るスピードで原稿を書き上げたというのです。
「自分でもどうやったのかはわからないが、いつの間にか小説を半分書き上げ、毎週のようにエッセイを編集部に送っていた。
ある月などは、編集長から書きすぎだと叱られたほどだ。こんなことはこれまでになかった。確かに退屈は感じたし、多少の孤独にも襲われた。
でも、それが僕に良いペースを与えてくれた。刺激のなさと退屈のおかげで、本当に大切なものをやり抜くモチベーションが生まれたんだ」
さらにデジタル断食の初歩として効くのは、あらかじめSNSやメールのチェック時間を決めておくことです。
ブリティッシュコロンビア大学の実験によれば、スマホの通知を切ってメールチェックの回数を1日に3回までに減らした被験者は、仕事中の緊張やストレスがやわらいでいます。
やり方は簡単で、「12:00〜12:30までメールチェック」「インスタグラムは月・水・金だけチェックする」とスケジュール帳に書き込んでおくだけ。
それだけで、あなたの生産性と幸福度には大きな差が出ます。
最初は軽い不安に襲われるかもしれませんが、少しずつ「興奮」の感情システムが落ち着き、やがて「満足」のシステムが起動していくはずです。
ドアッジ博士(精神科医のノーマン・ドアッジ氏)は、デジタル断食を「失恋」にたとえています。
大好きなネットやゲームから引き離された直後には、多くの患者が異性から振られたかのような反応を示すからです。
しかし、そのうち悲しみは穏やかな退屈とさびしさに変わり、しばらくすると穏やかな安らぎが取って変わります。
その間も頭のなかではニューロンの配線がつなぎ直されており、あなたの脳は文字通りリセットされるのです。
ストレス反応は決して悪者ではありません。古代の環境では私たちを外敵から守り、生き延びる動悸を生み出すために役立ってくれた大事な機能です。
問題なのは、ストレスが慢性化してしまうことです。超正常刺激のようなストレスは、気づかぬうちにあなたの命を削っていきます。
たかがストレス対策とあなどることなかれ。
ストレスのコントロールとは、人生の支配権を自分の手に取り戻す作業でもあるのです。
現代人のパフォーマンスを最大化させる秘策が詰まった一冊
同著では進化論をベースに、現代人が抱える日々の不調や不満の「共通項」を分析。
パフォーマンスを邪魔するさまざまな要因を、柔軟に解決する秘策が詰まっています。
不調を抱えながらも「悪いのは自分」だと言い聞かせ、不安な気持ちを押し殺してがんばってきた方は必読。
“日本一の文献オタク”である鈴木さんが、ストレス社会をしたたかに生き抜くヒントをくれるはずです。
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