ビジネスパーソンインタビュー
樺沢紫苑著『精神科医が見つけた3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』より
簡単に幸せになる手段は「食」。幸福物質を刺激する、1000円で幸せになれる“食べ方”
新R25編集部
「仕事を一生懸命頑張れば、幸せになれる!」
そう信じて、日々業務に勤しんでいる方も多いのではないでしょうか?
しかし精神科医の樺沢紫苑さんは、「よくある“幸せになる方法”は、たいてい間違っています」と言います。
頑張っても幸せになれないなら、何をすることで幸せになれるのでしょうか...?
樺沢さんの著書『精神科医が見つけた3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』より、精神医学・脳科学に基づく実用的な「幸せになる方法」について一部抜粋してお届けします。
食の「好奇心」が、学びや仕事にも影響する
あなたの会社から100メートル以内に、「ランチのおいしい店」が必ず一軒はあるはずです。
あなたの自宅、最寄り駅から100メートル以内にも「おいしい店」が必ず一軒はあるはずです。
もし思いつかないとしたならば、それはあなたが知らない、行っていないだけです。
会社や家の近くに「おいしい店」があるとすれば、週1、月1でリピートする。
それだけで、日々の幸福度は大きくアップします。
「食」に関心がある人とない人の違いは何でしょう。
それは、「好奇心」のあるなしです。
好奇心があるので、「食べに行きたい!」と思うのです。
「好奇心」の強い人は、1つの分野に限らず、様々な分野へと足を踏み入れていきます。
結果としてさらに好奇心が広がる。
「新しいお店に行ってみる」という行動は、紛れもなく「コンフォートゾーンを出る」つまり「挑戦する」という行為です。
「新しい店、おいしいお店の発掘に全く関心がない」という人は、「コンフォートゾーンから出られない人」です。
それは、「食」に限らず、「学び」や「仕事」にも影響してくる。
「家の帰り道にあるラーメン屋に寄る」ことすら抵抗(恐怖)を感じる人は、新しい仕事を任せられるチャンスが来ても「自分には無理」と断ってしまう可能性が高いのです。
日々の生活の中で、常に「小さなチャレンジ」を繰り返す。
そのトレーニングとして、「食」や「グルメ」を活用するのは、敷居が低く、とてもお勧めの方法と言えます。
まずは「会社」のそばにある、「気になる店」にランチに行ってみてはどうでしょう?
「好奇心」があるから、0→1の発想ができる
狭い分野で同じことばかり考えていると、「いいアイデア」や「斬新な発想」を得ることはできません。
普段の仕事と全く別な「遊び」をすることが、気分転換になり、脳のトレーニングになり、創造性を鍛えることにつながります。
「好奇心」は、AI時代を生き残る重要なキーワードです。
「好奇心」があるから、0→1の発想ができる。
片や現在のAIが得意とするのは、ビッグデータの分析です。
0→1の発想はできない。
ゼロからイチを発想し、イノベーションを起こす人こそが、AI時代に生き残る人であり、成功する人。
その「資質」は、好奇心にあるのです。
鍵は“ドーパミン×オキシトシン”。「食」で幸せになる5つの方法
ドーパミン的欲求(成功)は、逓減(ていげん)しやすい。
しかし、オキシトシン(つながり、感謝)との掛け算で、逓減しづらい、持続しやすい欲求に変えられます。
その一番シンプルな方法「食」で幸せになる方法についてお伝えします。
誰にでも関係があり、誰にでもできる方法ですから、ぜひご活用ください。
① 食と人に感謝する
「いただきます」「ごちそうさま」。
食事の前と後に言う言葉を誰に向けていますか?
食材への感謝、調理してくれた人に対する感謝、目の前にある食事に関わる全ての人たちへの感謝。
今、一緒に食事をしてくれている家族や友人への感謝。
今、食事が食べられる自分のシュチエーションへの感謝。
神様への感謝。
あらゆる人たちへの感謝の気持ちが凝縮されたのが、「いただきます」と「ごちそうさま」です。
「おいしい!」は、ドーパミン的幸福なので逓減しやすい。
しかし、「感謝」の気持ちを持っていただくことで、最初の一口から、最後の一口までおいしくいただくことができます。
② 「食べに行く」ではなく「会いに行く」
食にこだわる人は「行きつけの店」を持っていますが、なぜその店に何度も通うのかというと、「おいしいものを食べる」というのは当然として、シェフ、大将、おかみさん、店長、ホールスタッフ、ソムリエ、バーテンダーに会いに行くから。
これもまた「ドーパミン×オキシトシン」の掛け合わせ。
単なる「料理」だけだと、ドーパミン的幸福の逓減効果によって絶対に飽きが来るのです。
少なくとも、「最初食べた感動」よりは減じます。
それでも、何度も行きたくなるのは、「人」の魅力があるから。
「その人が作る」料理が食べたいし、「その人の接客」を受けて楽しみたいのです。
つまり、「食」を媒介に「人」とのコミュニケーションを楽しむ。
これが、真のグルメの楽しみ方だと思います。
③ ゆっくり食べる
食欲にマインドフルネスをかけ合わせると、「食欲の暴走」、食によるドーパミン的幸福の暴走を防ぐことができます。
言うなれば、「今、この一口」に集中する。
せっかく「おいしい店」に行っても、ほとんど味わわないで、パクパク、パクパクと食べる人がいますが、非常にもったいないことです。
視覚、嗅覚、味覚を研ぎ澄まし、盛り付けの美しさを楽しみ、香りを楽しんで、その一口をじっくりと味わう。
そうすると、同じ一食でも、ものすごく満足度が高まります。
④ 大切な人と食事をする
「誰と行くか?」というほうが、実は「どの店に行くか?」よりも重要です。
同じ店に行くにしても、「自分の大切な人」「気心の知れた友人」「気の合う仲間」と行くほうが、より「楽しい時間」、より「幸せな時間」を過ごせることは間違いありません。
「まずい店」は嫌ですが、ある程度以上の「おいしい店」であれば、「おいしい」×「人と過ごす幸せ」、つまり「ドーパミン的幸福×オキシトシン的幸福」で、非常に素敵で素晴らしい体験ができるのです。
「行きつけの店に連れていってもらう」ということは、その人のコンフォートゾーンに入れてもらうこと。
つまり、相手のパーソナルな領域(私的な領域)に入ることと同じであり、それは1つの「自己開示」でもあります。
「自分の行きつけの店」に連れていく、ということを互いに繰り返すことは、その人と「仲よくなる」近道であり、「幸せな食事時間」を増やすということにつながるのです。
⑤ 一食入魂
「満腹になれば、なんでもいい」という人もいますが、それを積み重ねても「なんでもいい人生」にしかならない。
私は、1日の最後のポジティブ日記に「今日のランチはとてもおいしかった」という1行を書きたいのです。
それは、間違いなく人生の幸福度を高めます。
他の人と会食するときも、目的や相手の好みを考慮して、最高、最善の店を選びたい。
結果として最高の時間が過ごせるし、相手との関係性も深まります。
たかが一食ではありますが、そこに多大なエネルギーを注ぎ込むことに私は喜びを感じます。
「一食入魂」とでも言いましょうか。
「食」はドーパミンの源です。
「おいしいものを食べる」だけで、モチベーション物質、ドーパミンは分泌されます。
「ウィルパワーを温存する」よりも、「モチベーションを大きく高める」ほうが、仕事に有利なのです。
一食入魂。
たかが一食。
されど一食。
食事は1日3回も食べます。
一食、一食の「満足度」「幸福度」を高めることができれば、間違いなく、1日が終わったときの「満足度」「幸福度」も高まる。
「極上のランチ」といっても1000円あれば食べられます。
つまり、誰でもできて即効性がある、極めてコスパの高い「幸せになる方法」が、「一食入魂」。
食にこだわり、食を通して幸せになるということです。
精神科医が教える「幸せになるための実践的なガイドブック」
「私たちは漠然とした『幸せ』を強く望むものの、具体的に何をすれば『幸せ』になるのかをわかっておらず、間違った努力をして『幸せ』への道筋をおそろしく遠回りしている」と樺沢さんは言います。
同書は、ありきたりの「幸福論」ではなく、精神医学・脳科学に基づいた「幸せになるための実践的なガイドブック」として、「幸せ」への道筋がハッキリと示されている一冊です。
仕事や学びと密に結びついている「幸福」の正体について、同書で学んでみませんか?
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