ビジネスパーソンインタビュー
ひろゆき著『無敵の独学術』より
「日本語を読めない人」が多数派になりつつある。ひろゆきが推薦する“人生に役立つ2冊の書”
新R25編集部
コロナ禍で時間に余裕ができ、「新しいことを始めたり学び直したりしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか?
「プログラミングやウェブデザイン、料理や外国語、スポーツといったことまで、だいたいのことは独学でも学べてしまう」と、2ちゃんねる開設者のひろゆきさんは言います。
独学でプログラミングや外国語などを習得した経験をもつひろゆきさんは、一体どのような学びのプロセスを踏んできたのでしょうか...?
新著『無敵の独学術』より、「独学のコツ」や「理路整然とした話し方のコツ」など、一部抜粋してお届けします。
読解力がなければ、必要な情報にたどりつけない
独学というか、社会で生きていくうえで必要な情報をきちんと手に入れるためにも、文章を読み、そこに書かれていることを正しく理解する力は欠かせません。
知識というのは、多くが文字の状態で記録されています。
たとえば、コロナ関連の新しい情報を調べようとすると、英語圏の情報にきちんと当たれるかということも重要なのですが、そもそも文字が読めて読解力がないと必要な情報を見つけることができません。
文章の読解力に加え、映画や小説など第三者がつくったものを知っていくうちに他人の体験が自分の知識になったりもするので、さらに理解力が増したりもします。
そうやって新しい情報や知識を手に入れることで、人生がより楽しくなったり、給料が上がったりしていくのです。
そのためには、やはり「読解力」は養っておいたほうがいいです。
読解力がない人が多数派の時代?
「日本語を読めない人」が、もしかしたら多数派になりつつあるのかもしれないと感じます。
たとえば、「子育て」専業主婦・主夫と「子育て&フルタイム労働」のどちらがラクか、という問いがあったとします。
僕は「子育ても大変だけれど、それにフルタイム労働が加わればさらに大変」と思うわけですが、その意見に対し「専業主婦・主夫がいかに大変か」という主張を延々としてくる方がいたりします。
もちろん専業主婦・主夫も大変だと思います。
ただ、そこにフルタイム労働が加われば、さらに大変になるのは明らか。
そういったこちらの意図を読み取れず、脊髄反射的に一言だけを切り取って判断され反論されたら、話が噛み合わない状況に陥ってしまいます。
また、僕の子ども時代の感想について答えたことに対し「ひろゆき氏が子どもだった時代とはもう違う」と噛みつかれたこともありました。
でも、子ども時代に経験したことに対する当時の感想が、時代によって変わっていくほうがおかしいのですね。
ほかにも、
「女性は容姿がよければ結婚ができて一生食いっぱぐれないが、男はイケメンでも20歳過ぎて仕事ができないと行き詰まると考えるような男の人には、女性の生きにくさが見えていない」
的なことを言ったら、
「ひろゆきは、女は顔がよければ何をしても食いっぱぐれないと思ってるのか!」
といった具合に誤読されたりもします。
「と考えるような男の人には」と書いているので、僕自身の考えではないことは明白なのに、そこを読解しないで反論してくる人がいるのを見ると、日本語を読めない人はやはり多いのかも...と思ってしまうのです。
長文を読むのが苦手だというのは仕方のないことですが、それであれば、なるべくたくさんの文章を読むようにするとか、自分のレベルに合わせて訓練を積み重ねていくのがいいと思うのです。
どんな本を読んだらいい?
読解力を身につけるためには本などを読むといいのですが、やはり自分が面白いと思う本を読むのがベストだと思います。
自分がいかにたくさん本を読んでいて、いかにすごい本を読んでいるか、いかに難しい本を読んでいるかをアピールしてくる人はクズなので、そういう人がすすめてくる本を読んではいけません。
「ヘルマン・ヘッセの小説を読んでいる俺、カッコいい!」みたいなパッとしない人は、すすめてくる本も、大概、びっくりするくらいつまらない本だったりします。
実際に面白い本を読んでいる人は、「俺、100冊も読んだよ」なんていう読書自慢をしません。
「最近読んだ本で面白いのがあった?」と聞けば、「〇〇が面白かったよ。なんでかっていうとね...」という感じで、どこが面白いかを説明してくれると思います。
ちなみに僕は、電子書籍を読むこともありますが、紙の本のほうが好きです。
紙の本は「真ん中くらいのページのこの辺りに、こういうことが書いてあった」と物理的な感じで記憶に残るので、何かと便利だなと感じます。
余談ですが、僕は長時間座っていることに耐えられないので、紙の本を読んでいるときは寝転んでいるのですが、座っていても寝ていても読解力の習得には差が出ないと思うので、ラクな感じで読むことをオススメしたいと思います。
ひろゆきが考える「いい本」とは
ちなみに、僕が考える「いい本」とは、次の4つの条件を満たしているものです。
無敵の独学術①今後10年以上も影響を与える技術や文化に関する話について書かれている
②結論に至る経緯と理由に筋が通っている
③資料から組み立てられていて、個人の感想を書いているわけではない
④一般的な“常識”とは違う結論や発見がある
そういった意味でも、宮本武蔵の『五輪書(ごりんのしょ)』とイスラム教の聖典である『コーラン』は大いに役立つ一冊だと思います。
どちらも著作権フリーですから、読みたければネット上で簡単に見つけて読むことができます。
宮本武蔵が無敗の理由がわかる『五輪書』
『五輪書』は負け知らずに生きた宮本武蔵の兵法書ですね。
これを読むと、なぜ武蔵は無敗だったのかがわかるのですが、書かれていることによると、向かってくる敵が2人だろうが複数人だろうが、武蔵は常に「1対1」の状況をつくることに注力していたのですね。
この状況がつくれたら、「1対1」で勝つ力さえ身についていれば、相手が何人だろうが一緒という話なんです。
独学においても、「果たしてどこから手をつけたらいいのかわからない」という状況に陥って、手も足も出ない、みたいなことになりがちです。
そういうときは、この『五輪書』で武蔵が実践していることがすごく役に立ちます。
まずは最初の敵を見定めて、それを片づけることだけを考えればいい。
「いちばん厄介そうなこと」をまず片づけ、それ以外のことは置いておく。
そうやって一番の厄介ごとを片づけたら、次は「2番目に厄介なこと」だけを片づける。
それが終わったら3番目。
やらなければいけないことの整理にもなりますよね。
そうやって、やらなければいけない厄介事は常にひとつしかない、という状態にしていけば、仕事をこなすのもラクになるわけです。
イスラム教の考えの軸を知れる『コーラン』
もう一冊のオススメ、『コーラン』の紹介もしておきます。
イスラム教の考えはすべて、このコーランによって決められています。
コーランに書かれていないものは正しくないし、書かれているものは正しい。
なので、コーランを一度読んでおけば、「イスラム教の人ってこう考えるよね」という「軸」が手に入ります。
某米調査機関によれば、世界のイスラム教徒は16億人(2010年時点)。
キリスト教徒は21億7000万人で、世界第2位の宗教ですから、コーラン一冊を読むだけで、それだけ大勢のイスラム教徒にとっての「考え方の基礎部分」を理解できる。
つまり、効率がすごくいいのです。
このような感じで、名著として残る本は時代を超えて人々に読み継がれ、役に立ってきたものです。
それらを自分の知識にできるというのに、「なんだか小難しそう」というような理由で敬遠していては、かなり損をしてしまうので気をつけましょう。
ひろゆきさんの独学論が詰まった一冊
「信頼できる『と、思われる』インフルエンサーなんかに頼っていないで、『なんで?』『どうして?』と自分のアタマで疑問を抱き、自分の力で情報をとりにいく癖をつけたほうがいいと思うのです」。
最新刊『無敵の独学術』は、ひろゆきさんが大切にする「学ぶための前提」や「学ぶうえで必要なこと」といった、独学を志す人にとっての土台や支柱となるようなトピックスを集めた一冊。
独学で何か新しいことを始めようと思っている方、自分軸で持論をもてるようになりたい方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
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