ビジネスパーソンインタビュー
ひろゆき著『無敵の独学術』より
ひろゆきが語る“論破力”の秘訣。簡単に「論理的な話」ができるようになるコツとは
新R25編集部
コロナ禍で時間に余裕ができ、「新しいことを始めたり学び直したりしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか?
「プログラミングやウェブデザイン、料理や外国語、スポーツといったことまで、だいたいのことは独学でも学べてしまう」と、2ちゃんねる開設者のひろゆきさんは言います。
独学でプログラミングや外国語などを習得した経験をもつひろゆきさんは、一体どのような学びのプロセスを踏んできたのでしょうか...?
新著『無敵の独学術』より、「独学のコツ」や「理路整然とした話し方のコツ」など、一部抜粋してお届けします。
論理的に話すコツは「整合性の通った式」通りに話すこと
ありがたいことに、僕は「アタマがいい人」というカテゴリーに入れられることがあったりします。
なんでも、「論理的な話ができるから」ということらしいですが、論理的な説明なんてやろうと思えば誰でもできます。
ちょっとしたコツがいるだけです。
本当にアタマがいい人にあるのは「ほかの人が気づかないものを見つけられる能力」で、僕にあるのは「アタマがいい人が見つけたものを使う能力」でしかありません。
たとえば、テレビは現代人であれば誰にでも使えるものですが、もしも太古の人類が「テレビをリモコンでつけている人」を見たら、「こいつ、天才じゃん!」と大騒ぎになると思います。
でも、こちらはアタマのいい人がつくったテレビを、自分でつくったわけでもないリモコンで操作しているだけなのですね。
つまり僕がやっているのは、テレビを操作しているのを見た太古の人類から「すごい!」と思われているレベルのことで、そこには独自性も何もないのです。
僕は単に論理的に整合性の通った式をしゃべっているだけです。
「1+1=2」と言っているレベル。
「(1+1)×2=4」という式を、「まず1+1で2になって、それに2を掛けるから4になるんです!」と説明しているにすぎないのです。
ひろゆきさんが実践する、「論理的な話し方」をする思考法3つ
論理的思考と言われても、どうしたらいいのかいまいちピンとこないという人もいると思います。
そういう人はどうしたらいいのか、僕なりに考えてみたのですが、まずは「自分がなぜそう思ったのか」というのを正直に認めることから始めるのがいいのではないかと思っています。
① 「個人的な感情」を隠さない
たとえば、「AさんとBさん、どちらの言っていることが正しい?」という判断を、僕がしなければならないとします。
僕はAさんのほうが好きで、Bさんが嫌い。
そういう背景がある場合、「Aさんの意見が正しい」と言ってしまう場合がある。
これはまったく論理的ではありません。
個人的な感情が混じってしまっているからです。
でも、多くの場合、人は
「Aさんの意見を推します。なぜなら、私はAさんのほうが好きだから」
なんて言わず、たとえそう思っていても隠そうとします。
もっともらしい理由をつけて、それこそ「論理的にみえる」説明をしようとするのですね。
でも僕は、個人的な感情を隠さないようにしよう、ということを最近は意識的にやっています。
「Aさんが好きだから、Aさんを推したい」という自分の感情をきちんと認識する。
そのうえで、「Aさんが好き、という感情を完全に切り離した場合、どっちが正しいだろう?」と考える。
自分の感情を認め、それをひとまず置いたうえで「どっち?」「どう考える?」ということをやると、論理的思考をするしかない状態になります。
これは、わりと重要なことです。
② 結論よりも「思考プロセス」を大切にする
論理的思考を鍛えるためには、「調べないでどうやって答えを出そうか」というふうに、自分のアタマで考える癖をつけることも、けっこう大事だったりします。
結論はそれほど重要ではなく、「どういうふうに考えた結果、その答えに行きついたのか」という思考のプロセスの部分のほうがずっと大事です。
たとえば以前、グーグルの入社試験の面接で「日本に電柱は何本あるでしょう」という問題が出されたことがあるそうですが、当然ながら「何本です」などという知識の有無を問われているわけではありません。
面接官が知りたいのは、その答えにたどりつくまでの思考のプロセスの部分だからです。
これはあくまで僕の考え方ですが、ちょっとシミュレーションして箇条書きにすると、こんな感じです。
無敵の独学術・電柱は、電線に流れる電気を各家庭に分岐している
・つまり、日本の世帯数と電柱の数は同じくらい?
・でも、発電所から各家庭までの電線を引くための電柱も必要だ
・だから、電柱の数は世帯数よりも多いはず
・日本の世帯数はおおよそ5000万
・電柱はそれより多いはずだから6000万本くらい?
・ただ、日本には集合住宅も多い
・集合住宅に住んでいる複数世帯の電柱は1本で済むはず
・また、日本の人口は都市部に集中している
・このあたりを加味したとして、世帯数と同じ5000万本くらい?
ちょっと長くなりましたが、こういう「答えがわからないもの」に対して自分でどうやって考えて答えを導き出すかという能力は、なんでもスマホでググってばかりいると身につきにくいです。
もちろん、調べることも大事ではあるのですが、どうしてそうなったかを考える能力は、安易に答えを知ることができると身につきにくかったりするのです。
なので、たとえば時事問題ひとつにしても、「これはどういうことなんだろう?」と疑問に思ったことがあれば、すぐさま答えだけを調べようとしないで、自分である程度の推測を立てて考えてみる。
そのうえで、信頼できる情報を集め、事実を探ってみるといいと思います。
③ 理解してもらえる言葉で話す
自分の主張を理解してもらうためには、相手の理解度に合わせて、相手の理解できる言葉で話をしなければ意味がありません。
学びの基礎として、論理的思考は大事ですし、普段から鍛えておいたほうがいい。
でも、世の中がすべて理屈で動いているわけではないこと、そして、理屈はさておき、相手に理解してもらいたいのなら、最低限、相手に伝わる手段を選ばないとそれは無理なんだということはアタマに入れておいたほうがいいです。
ちなみに、僕がアタマがいいなと感じる人の多くは、合理的な考え方が上手で、状況に合わせて必要な要素を組み合わせることができている、というのが実感としてあります。
正しいか正しくないかの理屈より、相手の納得感が大切
一方で、リアルな社会では、「論理的であるかどうか」よりも、相手が納得できる理屈をもってこられるかどうかということがけっこう重要視されます。
たとえばですが、近々サッカーのワールドカップが開催されるとします。
そのとき、「日本チームを応援するのとベルギーチームを応援するの、どちらが正しい?」という話になったとしましょう。
当たり前ですが、どちらのチームを応援しようと間違いではないので、「正しい/正しくない」という次元の話ではありません。
ただ、日本人の多くは日本のチームを応援するので「日本チームを応援するよ」と言うと、みんな納得してくれます。
そこにあるのは正しいか正しくないかの理屈ではなく、相手に納得してもらえる材料だけです。
同じ流れで、会社で新商品をつくって売り出そうという話になったとします。
つくるのは日本の企業だけれど、それを日本とベルギーで販売する予定があるというとき、商品のイメージカラーは赤と青のどっちにしましょう?という話になった場合。
サッカーの日本チームのイメージカラーは青、ベルギーは赤だから、やっぱり赤より青ですよね?と提案してみる。
論理的には、自分たちがつくろうとしている商品と、ワールドカップのチームカラーなんてまったく関係がないんです。
でも、相手の人が納得しやすい材料をもってくるだけで、意外とすんなり意見を受け入れてもらえたりします。
リアルな社会は案外、論理だけでは動いていないんですね。
ひろゆきさんの独学論が詰まった一冊
「信頼できる『と、思われる』インフルエンサーなんかに頼っていないで、『なんで?』『どうして?』と自分のアタマで疑問を抱き、自分の力で情報をとりにいく癖をつけたほうがいいと思うのです」。
最新刊『無敵の独学術』は、ひろゆきさんが大切にする「学ぶための前提」や「学ぶうえで必要なこと」といった、独学を志す人にとっての土台や支柱となるようなトピックスを集めた一冊。
独学で何か新しいことを始めようと思っている方、自分軸で持論をもてるようになりたい方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
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