ビジネスパーソンインタビュー
「僕みたいに調子に乗りがちな人は、心に留めておくべき」
勝ちたければ、ナメられろ。中田敦彦が何度も引用している“ド真ん中バイブル本”とは?
新R25編集部
「新R25ワイドショー」がリリースされました。
これは「ビジネスパーソンの知見が集まるスマホ版ワイドショー」をコンセプトにしたサービスで、構想から約1年近くかけて開発を進めてきたもの。
編集部が毎日更新するこだわりの「テーマ」に対して、新R25アプリから会員登録したユーザーが自由に自分の知見を回答することができます。
新R25では、そんな「新R25ワイドショー」のテーマを著名なビジネスパーソンの方にぶつけ、深掘りインタビューさせていただく特集をスタート…!
本日登場するのは、芸人・アーティスト・YouTuberとあらゆるジャンルで活躍されている中田敦彦さんです。
【中田敦彦(なかた・あつひこ)】1982年生まれ、大阪府出身。慶應義塾大学在学中に藤森慎吾とお笑いコンビ「オリエンタルラジオ」を結成し、2004年にNSC(吉本総合芸能学院)へ。同年、リズムネタ「武勇伝」でM-1グランプリ準決勝に進出してブレイクし、2016年には音楽ユニット「RADIO FISH」の楽曲「PERFECT HUMAN」を大ヒットに導き、NHK紅白歌合戦にも出場。現在はオンラインサロン「PROGRESS」やYouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」などを運営
中田さんといえば、登録者数401万人(2021年7月現在)のYouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」で、話題の本をユニークに紹介する解説動画が人気。
週3冊の本を読んでいるという多読な中田さんの“特別な一冊”が知りたい!ということで、今回ピックアップしたテーマはこちら。
中田さんの心に刻まれている“バイブル本”とは…?
〈聞き手=渡辺将基(新R25編集長)〉
“名前はよく聞くあの名著”から、中田さんが学んだこと
中田さん
新R25「ワイドショー」で来ましたか…
渡辺
そうなんです。中田さんはワイドショーにちょっと苦い思い出があるかもしれないですけど…
「政治家からハリウッドスターから散々こき下ろしてたんですね」「調子こいてるのもあったと思います」「『ヤバイヤツだなアイツ』っていう評判になってて」。ワイドショーのコメンテーターに起用され、辛口コメントをしてみたら大失敗したエピソードはこちらの動画で観られます…
中田さん
僕、コメンテーター下手でしたからね(笑)。
渡辺
いえいえ(笑)。
今回はそんな「新R25ワイドショー」のテーマのなかから、多読な中田さんが大切にしている「バイブル本」を聞いてみたいなと。
中田さん
なるほど!
僕、いま週に3冊のペースで本を読んでるんですけど、そのなかで「この本は特にいい本なんだなぁ」って気づく瞬間があって。
渡辺
どういうときにそう思うんですか?
中田さん
「あの本にも書いてあったことなんですけど…」って、自分が何度も話に引用するときですね。“論文の良し悪しが科学者からの引用数で決まる”みたいな感覚。
渡辺
なるほど。中田さんがよく話にあげる本をぜひ教えていただきたいです。
中田さん
ド真ん中なんですけど、『孫子の兵法』です。
中国春秋時代の軍事思想家・孫武による兵法書
渡辺
よく聞く一冊ですが…
戦争に関わらない現代人にも学びがある本なんですかね?
中田さん
「自分、軍師じゃないんで…」って思いますよね?
でもこの本の内容って、現代の人間関係やビジネスに、めちゃくちゃ当てはまるんですよ。
中田さんが孫子から学んだこと①「勝ちを確信したときだけ戦え」
中田さん
「孫子の兵法」のコアメッセージは「いかに戦争をしないか」なんですけど…
渡辺
いかに戦争をしないか、ですか?
中田さん
もう少しくわしく言うと、『孫子の兵法』には「こうだったら戦っていい」っていう条件が書いてあるんです。
それってなんだと思いますか?
渡辺
なんだろう…
中田さん
正解は、「絶対に勝てると確信できたときだけ戦え」なんですよ。
「戦っていい」条件が、めちゃくちゃ厳しいんです。
渡辺
勝ちを確信したときに戦えば、戦争にすらならないということか…
中田さん
その意味では、「宣戦布告」は本当に取り扱い注意なんですよ。
最近、Netflixで『暴君になる方法(How to Become a Tyrant)』っていう番組を観たんですけど…
※ヒトラーや、サダム・フセインなど、かつて暴君と呼ばれた独裁者たちを比較するNetflixオリジナルのドキュメンタリー
中田さん
独裁者たちは最期、非業の死を遂げてバッドエンドになってるんです。
彼らは共通して、勝てない相手に宣戦布告してるんですよ。
「勝てない敵と決して戦うな」という孫子の教えを、歴史上の暴君はなぜか守れないんです。
ちなみに、現在バッドエンドになってない唯一の暴君が「北朝鮮」とのこと。「軍事力を持ってるのに、先に手を出さないでしょ? 手立てはあるのに攻めないのって、実はクレバーなんです」
中田さんが孫子から学んだこと②「敵を作らない目標を掲げろ」
渡辺
でも、挑戦を宣言すること自体はすごくポジティブなことでもありますよね?
中田さん
そうですね。ただ、孫子は「特定の競合を倒すこと」を目標に掲げるのは得策ではないと言ってるんです。
中田さん
たとえば、『ONE PIECE』のルフィも「海賊王に俺はなる」って大きな目標を立てて宣言してますよね。
でも、「特定の誰かを倒す」とは言ってないんです。
渡辺
たしかに、特定の敵の名前は出してないのか。
中田さん
そう。実は誰もディスってないし、攻撃的じゃない目標を掲げている。
理想的な“目標の掲げ方”はこれなんです。
もしルフィが特定の敵を名指しして「お前を倒す」と宣言したら、その人はルフィと仲良くできないじゃないですか。
渡辺
そうですね。名指しされた人もそうだし、その仲間も。
中田さん
それどころか、圧倒的な力で「麦わらの一味」ごと潰される可能性がありますよね。
うかつに宣戦布告するダメージの大きさを、孫子が教えてくれるんです。
渡辺
なるほど…
中田さん
だから僕がいま掲げてるのは、「エンターテインメント界のドンになる」っていう、よくわからない目標で(笑)。
渡辺
エンタメ界のドン…存在してそうですが、たしかに明確なドンがいるわけではないか…
中田さん
そうなんですよ(笑)。
目標を掲げるなら、みんなが応援しやすい、“潰されにくい”ものにしたほうがいいんです。
中田さんが孫子から学んだこと③「ライバルにはナメられろ」
中田さん
とは言え、“いつか勝ちたい、追い越したい”相手がいる場合もあるじゃないですか。そういうときにはどういう態度で接するべきか。
これは、「兵は詭道(きどう)なり」って言葉で解説されてるんです。
渡辺
詭道?
中田さん
詭道=ダマすってことなんですよ。
ライバルがいたら、普段は「いかに自分を弱く見せるか」を考えて、ダマしていろと。
「絶対に歯向かいません」って下手にでておいて、最後のトドメだけ静かに一瞬で刺す…これが孫氏の勝ち方なんです。
渡辺
すごい怖い(笑)。ライバルにはナメられつづけたほうがいいってことですよね?
中田さん
ハッキリ言います。
…勝ちたければ、ナメられろ! これです。
これが今日一番のパンチラインになります
中田さん
ナメられるヤツほど、最後に笑うんですよ。
「ナメられたくない」って思ってるうちは、決して勝てないんです。
渡辺
中田さんがそれを実感した経験ってあるんですか?
中田さん
ありますね…
みなさんご存じかもしれないですけど、「まだ勝てないだろ」って人にケンカを売ってしまったことが(笑)。
あ
渡辺
ありましたね(笑)。
でも中田さん、たしかに当時と印象違いますよね。すごく柔らかい雰囲気になった気がします。
中田さん
当時はヒゲ生やして革ジャン着てましたからね(笑)。
あのときの僕は、まさに「ナメられたくなかった」んですよ。だから勝てなかった。
調子に乗りがちな自覚があるからこそ、いつも孫子を心の片隅に置いてます。
孫子の教えで自らを律している中田さん
渡辺
なるほどなぁ…
じゃあ、僕らが「あの企業・あのサービスに勝ちたい」と思っていても、それを公にするタイミングはよく考えたほうがいいってことですね。
中田さん
考えたほうがいいです。「勝つと宣言したときには、すでに勝っている」というのが勝者の絶対条件なので。
渡辺
あれ? でも中田さん、「YouTubeの登録者数でヒカルさんを抜く」って宣言してましたよね。
つまりそれは、もう勝利が“見えている”ということでよろしいですか?
「………」
中田さん
いやいやいや!ヒカルさんになんて、全然勝てないです。僕は。
渡辺
あれ? 急にナメられようとしてません?(笑)
「でも、本当にまだまだだと思ってますから(笑)」
中田さんが「新R25ワイドショー」で聞いてみたいテーマは?
渡辺
中田さんのバイブル本、とても面白かったです。
最後に、中田さんだったら「新R25ワイドショー」でどんなテーマを投げかけてみたいですか?
中田さん
おすすめのルーティーンとか聞いてみたいですね。
毎日やってることとか習慣がその人を作ると思うので、そういう意味で「このルーティーンがいい」という知見は、すごく気になります。
渡辺
それでいうと、中田さんはいろんな習慣を上手に取り入れてるイメージがありますね。
中田さん
僕は他人のルーティーンを真似してパワーアップするのが得意なんですよ。
ルーティーンって実は真似しやすいし、1週間やっちゃえば自動操縦的に体に覚え込ませられるので、考える必要がないんです。
中田さん
僕はもうルーティーンでしか生きてないので、何時に何を食べるかも決まってます。
人間って、どうでもいいことに脳を使いすぎてるんですよ。
渡辺
中田さんは、多くのことをルーティーン化することで大事なことを考える時間を増やしてるんですかね?
中田さん
まさにそうです。
「人間は1日10回しかよい意思決定をできない」っていう説があるんです。
だから僕は、どうでもいいことはできるだけ自動化することで、大事な意思決定のときに余裕を持って10枚のカードを切れるようにしてるんですよ。
渡辺
僕、朝出かける前にモノを探してる段階でその10枚を使ってる気がします…
中田さん
ドラえもんが四次元ポケットの中をガチャガチャ探してる状態と一緒ですね(笑)。
それでいうと僕、ドラえもんの道具って5個くらいにしぼれると思うんですよね。
ドラえもんにコンサルしはじめる中田さん
中田さん
「ドラえもん、よく考えて。のび太くんの悩みのパターンって5パターンくらいしかないじゃん?道具を5個にしぼったら、ドラえもんがやること少なくて済むし、ポケット置いて22世紀に戻れるよ?」って(笑)。
渡辺
実はドラえもんに必要なのはルーティーンかもしれないですね(笑)。
ちなみに、いま中田さんが実践しているルーティーンをひとつだけ聞いてもいいですか?
中田さん
朝6時から7時までの1時間、必ずニュースをチェックして、A4のメモにまとめてます。
渡辺
毎日1時間? それを続けられるのはすごいですね…
中田さん
朝に仕込んだニュースを、オンラインサロンの配信で話すまでが1つの流れ。
「インプットの時間を決める」「インプットはアウトプットとセットにする」この2つがおすすめです。そうすると、ニュースの内容がよく頭に入るんですよ。
渡辺
それ、いいですね。
一流ビジネスパーソンのルーティーン、たしかに気になるので「新R25ワイドショー」で聞いてみたいと思います!
中田さん、ありがとうございました!
現代にも通じる、勝負の鉄則と教訓が詰まった「孫子の兵法」。
ブレイクの突風が過ぎ去っても、幾度となく立ち上がってきた中田さんだからこその重みを感じるセレクトでした。
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〈取材=渡辺将基(@mw19830720)/文・構成=天野俊吉(@amanop)&山田三奈〉
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