ビジネスパーソンインタビュー
地方でビジネスを成功させるポイントがわかる!
堀江さんに「なんで“田舎のパン屋”なんてやってるんですか?」って聞いたらめっちゃ勉強になった
新R25編集部
「新R25ワイドショー」がリリースされました。
新R25ワイドショーでは、毎日1~2個更新するこだわりの「テーマ」に対して、アプリから会員登録したユーザーが自由に自分の知見を回答を投稿することができます。
そんな「新R25ワイドショー」のテーマを著名なビジネスパーソンの方にぶつけ、深掘りインタビューさせていただく特集をスタート…!
本日登場するのは、新R25ではおなじみの堀江貴文さんと、堀江さん発案のエンタメパン屋「小麦の奴隷」を展開する、株式会社こむぎの代表・橋本玄樹(はしもとげんき)さんです。
「小麦の奴隷」とは?
小麦の奴隷は堀江さんのオンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校(以下、HIU)」から生まれた、いま話題のフランチャイズのエンタメパン屋。地方活性ベーカリーとして、2020年4月に北海道の大樹町に1号店をオープン。看板商品の「ザックザクカレーパン」は「カレーパングランプリ2020」で金賞を受賞し、現在は全国11店舗まで急拡大しています。
堀江さん・橋本さんが「地方のパン屋がアツいんじゃないか?」と目をつけたワケが知りたい…!
そこで今回、新R25ワイドショーからピックアップしたテーマはこちらです。
田舎町の小さなパン屋は、どのようにして話題の人気店になったのか?
堀江さんが「小麦の奴隷」をフランチャイズ展開するに至った、3つのビジネスチャンスと戦略を聞きました!
地方で話題の“エンタメパン屋”はオンラインサロンから始まった
渡辺
「小麦の奴隷」は、堀江さんのオンラインサロンから生まれたんですよね?
堀江さん
そう。HIU(堀江さんのオンラインサロン)で「誰か大樹町でパン屋やりたい人いない?」って呼びかけたら何人か手を挙げたんだけど、橋本くんが「もう大樹町にきました」っていち早く行動して。
橋本さん
3カ月後には大樹町に移住してましたね。
さすが堀江さんのサロンメンバー。行動力を体現されている
堀江さん
橋本くんはHIUに入った当初、赤鬼の格好をしながら足踏みマッサージをするお店を青山でやってたんだけど…
渡辺
青山でそのコンセプト、特殊すぎません?
堀江さん
ははは(笑)。
橋本さん
そうですね(笑)。
なかなか事業がうまくいかなかったところにパン屋の企画が持ち上がったので、飛びつきました。
堀江さん
橋本くんが大樹町に移住してからは、クラウドファンディングでお金を集めて、シェフを募って…秒で「小麦の奴隷」が立ち上がったね。
人気商品の「ザックザクカレーパン」も彼のアイデアですよ。
【地方パン屋のチャンス①】地方の飲食店はDX化の穴場
渡辺
そもそも堀江さんは、どうしてこの「地方のパン屋」というビジネスにチャンスを感じたんですか?
堀江さん
いまは地方が面白いと思っていて。
地方の人って、こう言っちゃなんですけど、ガツガツしてないじゃん?
渡辺
そうかもしれないですね。
堀江さん
のんびりしてる人が多くて新しいことをやらないから、いろいろなものが時代遅れになってるのよ。
だからDX(Digital Transformation:デジタル技術による生活やビジネスの変革)の文脈でも、地方はチャンスだなと思ったんだよね。
渡辺
「小麦の奴隷」独自のアプリにも力を入れてるんですよね?
堀江さん
そう。パンをアプリで注文できれば、ネット決済もできて、待ち時間もないし、店員と接触する必要もないじゃん?
しかも、プッシュ通知が送れるから、お客さんがリピートしてくれるのよ。
渡辺
たしかに、プッシュ通知は効果絶大ですね…!
はじめて店舗に来てもらったときにアプリをダウンロードしてもらう流れを作っちゃえばいいですし。
堀江さん
そう。プッシュ通知が最強のマーケティングツールだってことに、飲食店の人は意外とまだ気づいてないんだよね。
渡辺
たしかに、そういう意味では地方の飲食店の方がチャンスありそうですね。
でも、なぜパン屋に目をつけたんですか?
堀江さん
長崎のど田舎にある福江島っていうところに、場違いなほどオシャレで都会的なパン屋があってさ。
「こんなオシャレなパン、福江島で売れるんですか?」って聞いたら、「毎日完売です」って言われて、衝撃を受けたのよ。
渡辺
毎日完売…すごいな。
堀江さん
地方飲食店の成功ポイントは、まずは「外食する習慣があるジャンル」を狙うこと。
パン好きの人って、毎日パン食べるじゃん? でも、菓子パンとか惣菜パンを毎日自宅で焼くのは大変だから、絶対に外に買いに行くわけ。
「まあ正直、俺はパン食べないんだけど」え、食べないんですか!?
渡辺
なるほど。地方にも当然パン好きの人はいますよね。
でも、なんであえて北海道の大樹町からスタートさせたんですか?
堀江さん
大樹町は人口5000人くらいの町だから、ここで成立したら全国1万店舗とかまで一気に拡大できると思ったんだよね。
渡辺
なるほど。フランチャイズ展開を見越しての実験だったと。
ちなみに、現在フランチャイズ店舗で一番売れてるのは、茨城県笠間市という町なのだそう
【地方パン屋のチャンス②】「冷凍生地」×「良質な小麦粉」で味と効率を担保
堀江さん
ちなみに、この事業をやるうえでもう1つチャンスだと思ったポイントがあるんだけど、「小麦の奴隷」ではパン工場で形成した「冷凍パン」を使ってるのよ。
各店舗は、ネットの注文システムから仕入れた冷凍パンを、発酵させて焼くだけ。
渡辺
冷凍パンを使うと、味は落ちたりしないんですか?
堀江さん
俺もはじめそう思ってたんだけど、全然落ちない。
パン作りって粉を水と混ぜてこねるところが一番難しいんだけど、だったらそれは工場で一括してプロにやってもらって、冷凍した生地を全国の店舗に送ったほうがいいじゃん?
渡辺
そうですね。
堀江さん
それよりも重要なのは、小麦粉なんだよ。
渡辺
小麦粉がパンの味を左右するということですか?
堀江さん
そう。小麦粉って、実は何十種類もグレードがあって。
みんながふだんスーパーで買う小麦粉って、一番低いグレードの粉なのよ。
渡辺
そうなんですか。小麦粉に“質”ってあるんですね。
堀江さん
自宅で焼いたパンが時間経つとおいしくなくなるのは、安い粉を使ってるからで。
でも意外とみんな、それを知らないんだよね。
堀江さん
プロ向けにはもっと高いグレードの小麦粉を卸してるんだけど、田舎のパン屋って量をたくさん作らないから、良質な小麦粉を卸してもらえないわけ。
しかも回転が悪いから、古い粉を使ってたりするし。
渡辺
そうだったんだ…
堀江さん
でもウチは(フランチャイズで展開してるから)良質な小麦粉を大量に安く仕入れることができるし、店舗で生地を作る必要もない。
その結果、「小麦の奴隷」は素人でも店舗運営できるようになってるんだよね。
今年中には、さらに50店舗オープンする予定なのだそう。すごい勢いで拡大してます
【地方パン屋のチャンス③】SNS活用とエンタメ性の高いプロモーション
渡辺
ちなみに、大樹町で一号店をオープンしたときにはどうやって宣伝したんですか?
橋本さん
基本的にはSNSですね。
堀江さん
もう地方でもSNSは圧倒的に普及してるから、みんなスマホで地域の情報とか調べてるんだよね。パン好きはオシャレなパン屋の情報を仕入れてる。
だから、地方でもSNSはめっちゃ大事。
橋本さん
あと、オープン前に100個無料のキャンペーンを打ち出してスタートしたら、「ザックザクカレーパンがタダでもらえる」と話題になって、ズラーっと行列ができましたね。
渡辺
100個無料。それ、かなりインパクトありそうですね。
堀江さん
でも、カレーパンの原価70円ってくらいだから、100個配ってもたった7000円でしょ?
渡辺
たしかに…そんなもんか。全然安いですね。
堀江さん
地方ってリアルのエンタメがあまりないから、お店ができてそういうキャンペーンを始めたら、みんなワクワクして並んじゃうんだよ。
渡辺
それは目に浮かびます(笑)。
堀江さん
だから「小麦の奴隷」って、実は広告宣伝費ゼロなわけ。
橋本さん
それでもオープンして3カ月で、カレーパン1万個売れましたからね。
渡辺
人口5000人の町で、1万個…!? それ、めちゃくちゃすごくないですか?
ちなみに、浮いた広告費で、お土産に持っていきたくなるオシャレな紙袋を作ったそう。これも賢い戦略ですね
「パン屋」の可能性と、地方のさらなるビジネスチャンス
渡辺
「小麦の奴隷」はこれからどんどんフランチャイズ店舗を拡大していくと思いますが、それ以外にも堀江さんが抱いている構想はありますか?
堀江さん
俺、パン屋はちっちゃなコンビニみたいになる可能性があると思ってるんだよね。
まずはスイーツとかコーヒーとか、パンの周辺商品からどんどん増やしていって。
渡辺
なるほど。食器とか雑貨とか、どんどん広げていけそうですよね。
堀江さん
そう。「小麦の奴隷」ってオープン月は1日50万とか売ったりするんで、もうコンビニの平均日販と一緒なんだよね。
でも、パン屋のほうがコンビニより利益率が高いし、冷凍生地を使えば朝早くから仕込みをする必要もないから、労働環境だって整備できる。
渡辺
なるほどなぁ…「パン屋」ビジネスのスケール、想像以上でした。
ちなみに、地方の飲食ビジネスは他のジャンルでもチャンスありそうですか?
堀江さん
全然あると思う。
さっきも言ったけど、もともとどんな地方の人でも食べる習慣があるジャンルが狙い目で、たとえば「中華」とか。
中華ってメニューはたくさんあるけど、中華鍋1つでワンオペでできるじゃん? 立ち上げやすいから、「ワンオペカウンター飲み中華」をやってみるとか。
渡辺
なるほど…!
「地方の習慣」を起点に、「立ち上げやすさ」「DX化の余地」「エンタメ性UP」あたりに注目すればいいのか。勉強になります。
堀江さん
チャンスだらけだと思うし、これからは「地方で働くことがカッコいい」っていう価値感を広めたいよね。
橋本さん
「小麦の奴隷」のフランチャイズ加盟店も募集してます(笑)。
DX化、SNS活用、エンタメ性…
「小麦の奴隷」の成り立ちを取材していくうちに見えてきた地方のビジネスチャンス。
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