いしかわゆき著『書く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜』より
「書く」が続かないのは、“秒でできる状態”じゃないから。無理なく習慣化するコツ3つ
新R25編集部
自己発信することでキャリアが広がるようになった今、SNSやブログなどで「何か書いてみよう!」と挑戦する人が増えています。
でも、「何を書けばいいのかわからない」「この文章でいいのか?」などとつまづき、結局「続けられなかった…」と落ち込んだ経験はありませんか?
そんな方にぜひ手にとってほしいのが、新R25でも活躍しているフリーランスライター・いしかわゆきさんの著書『書く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜』。
ルールにこだわらずに本音を書き続けることで、さまざまな夢を叶えてきたといういしかわさん。
「どんなにノウハウやテクニックを学んでも、そもそも書くのが好きではなかったら続けるのはつらいこと。でも、『書きたい』気持ちを育みながら書き続けてさえいれば、勝手に文章はうまくなっていく」と言います。
書きたい気持ちを高め、「書く」ことを無理なく楽しく続けるにはどうしたらいいのか?
書くことを習慣化するコツや、日常生活でのネタの探し方など、「書く」以外にも応用できるヒントを一部抜粋してお届けします!
習慣化するコツ①目に入るところに置く
「文章を書けない」理由のひとつに、そもそも文章を書くことが「習慣になっていない」という要因があります。
文章を書くたびに気合を入れて、すべての力を振り絞って「エイヤッ!」と書いていたのでは、エネルギーをものすごく消耗してしまいますよね。
ヘタをすると「疲れるからもう書きたくない…」と、「書く」ことに対してネガティブになってしまったりすることも。
ヘトヘトになって帰ってきて、「あぁ、文章書かなきゃなぁ」となるのでは、楽しくないですし、長く続きませんよね。
そうならないためにも、毎日の生活のなかに無理なく「書く」ことを組み込むのがポイントです。
時間を新たにつくるのではなく、日常に落とし込む。
つまり「習慣化」するのです。
ポイントは、最初から大きな改革をするのではなく、少し変わったとしてもまったく苦じゃないところからはじめること。
最初に教えたい、今すぐに実戦できる簡単な方法は、書くためのツールを「目に入るところに置いておく」こと。
たとえば「読書」を習慣にするためには、本を本棚にしまっておくのではなく、リビングのテーブルやベッドサイドなど、生活の動線で自然と目に入る場所に置いておくのがポイントとなります。
これを「書く」に応用するなら…
書く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜・スマホのホーム画面にメモアプリを置く
・リビングやベッドサイドに手帳を広げて置いておく
・パソコンのブックマークに「書く」ためのツールを入れる
など、なにも考えずにサッと取り出せる、あるいは生活をしているなかで目に入る場所に「書く」ツールを置いておくのがオススメです。
わたしは右利きなので、電車などの移動中も片手で書けるように、メモ帳やブログのアプリはスマホのホーム画面の右端に並べています。
手持ち無沙汰になるととりあえずスマホを取り出す人は、開くアプリをゲームからメモ帳アプリに変えてみるところから、「書く」習慣が身についていきます。
「スマホで文章なんて書けないよ」と思うかもしれませんが、つねに持ち歩いているものなので、これで書けるようになると習慣化が一気に加速します。
実際にわたしも、スマホを使って書くことが一番多いですし、この文章も半分はスマホで書きました。
手帳も同様に、いつも食事に使っているテーブルの隅っこに置いています。
少し邪魔なときもあるのですが、食事をして食器を片付けて一息ついたあと、テレビを観ながら手帳を開く習慣がつきました。
手書きから習慣にするのであれば、ペンもセットで置いておくと、取りに行く手間が省けるので忘れずに。
つまり「書く」を習慣にするポイントは、「秒で書ける状態」にしておくこと。
「書きたい」という気持ちは、いつ生まれるかわかりません。
泡となって消える前に文字として定着させてあげられるよう、視界に入るだけでなく、すぐに文字を紡げる状態をつくっておきましょう。
習慣化するコツ②5分だけやる
わたしはことあるごとに目標や計画を立てて、自分を鼓舞するのが好きです。
「毎日1時間の筋トレをする」「毎朝7時に起きる」「ブログを1カ月間、毎日更新する」など。
でもあるとき、一見自分を高みへと連れていってくれそうな目標こそが、自分を三日坊主にさせていることに気づきました。
習慣化が苦手な人は、「高めなハードルを設定しがち」です。
新しいことをはじめるとき、やる気に満ち溢れているとき、「変わりたい」という思いが強いとき、多くの人は実力よりも高い目標を設定してしまいます。
「どうせやるなら、きっちりこなしたい!」と、つい頑張ってしまうのです。
でも確実に習慣にしたいのなら、ハードルはうんと低いほうが長続きします。
習慣を長続きさせる魔法の言葉は、「5分だけやろう」です。
たとえば、「毎日、記事をひとつ書く」という目標を立てたとしましょう。
仕事に余裕があったり、休日で時間があったりするときは、「意外といけるかも」とスイスイこなせるかもしれません。
でも、仕事でクタクタになって帰ってきたときはどうでしょう。
スマホに指を滑らせるのですら億劫になって、「もう明日でいいかなぁ…」なんて気持ちになってきます。
そんなとき、「5分だけやろう」と頭のなかで唱えてみると、「1文字でもいいから、今日あった出来事を書いてみようかな」なんて思えてきます。
そして、5分だと思って書いているうちに夢中になって、10分、30分と経ち、気がつけば1記事分を書きおえている…なんてこともあるかもしれません。
実際に、わたしは仕事に着手するときもこの感覚でやっています。
手をつけたくないほど面倒な仕事があって1週間ぐらい放置していたのに、「このままじゃ永遠にやらないから、5分だけ進めよう」と思って着手すると、キリのいいところでおわらせたくなってそのまま完成しちゃった、というパターンが多いのです。
人はやる気があるから行動するのではありません。
行動するからやる気が出るんです。
最初の一歩さえ踏み出せれば、勢いでタタタッと10歩ぐらい歩いちゃうものなんです。
やる気がみなぎっているときは、「自分ならできる!」と、根拠のない謎の自信に押されてハードルを高く設定しがちですが、一度落ち着いて。
まずは一歩でもいいから、毎日着実にこなしていくことが大切です。
はやる気持ちをグッと抑えて、うんと低いハードルを設定してみましょう。
習慣化するコツ③思考停止時間を活用する
個人的にはこれが一番オススメしたい習慣化のコツ!
毎日忙しい人でも、意外と頭が休んでいる時間はあります。
その「なにかやってるけど頭は休んでいる時間」に「書く」を組み込むのです。
とくに、「時間を一切無駄にしたくない」という効率重視の人にはぴったりのやりかただと思います。
わたしも、毎日いろんなことをこなさなくちゃいけないなかで、「なにかをやるために時間を設けるのはもったいないなぁ」と思ってしまうタイプです。
だって、1日はたったの24時間。
日中は仕事をしているからこそ、自由時間は漫画を読んだり昼寝をしたりと好きなことに充てたいし、自分の生活リズムを崩すのは嫌じゃないですか。
それに、なにかをやってもやらなくても一切支障のない時間を使いながら、「気づけば文章がスラスラ書けるようになっちゃった!」ってほうがおトクですよね?
というわけで、実際に生活のなかで使える時間の例を見てみましょう。
書く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜・電車で移動している時間
・ランチを食べている時間
・駅から家まで歩いている時間
・テレビを観ている時間
・湯船に浸かっている時間
他にも、人によってはいろんな「思考停止時間」があると思います。
もちろん、思考を止めて脳を休めるのも大切なので、すべての時間を活用する必要はありませんが、どれかひとつでも「書く」時間に充ててみると、あっという間に習慣になっていきます。
たとえばわたしは、「ゆぴの10分日記」という500~800字程度の記事を書いています。
「帰り道の10分間で書くひとりごとのような日記」と銘打っているとおり、当時の最寄駅から自分の住んでいたマンションまでが自分の歩く速度でちょうど10分程度だったので、毎日その時間を執筆に充てていました。
「毎日更新していてエラいね!」とまわりからは言われていたのですが、本人としては、「だって10分間歩いているあいだ、やることないし…」くらいの熱量でした。
要するに、わたしはその10分間の、「なにかしようがしまいが、どっちでもいい時間」
これを使っただけなのです。
SNSをぼーっと眺めていようが、なにも考えずに歩みを進めていようが、とくに得られるものがないのなら、その時間を使ってなにかをしたほうがいい。
しかも、そうやって「ながら」で書いたものに少しずつ読者がついて、いろんな仕事につながっていったので、本当に儲けものでした。
時間を取ってやるよりも、「ながら」で書くからこそ、あとから得られるリターンもとても大きく感じられますよね。
「私にも書けそう!」と背中を押してくれる優しい一冊
「書く」ってもっと自由でいいんだなあ…。
同書を読み終えたとき、真面目に考えすぎていた気持ちがほろほろと崩れていくような感覚になるはずです。
何かを始めようとするとき、つい「完璧にしなきゃ」「頑張らなきゃ」と思ってしまいがちですが、「自分が思っている以上にハードルを下げて取り組んでいいんだ」と思える、実践に基づいた“ゆるく楽しく続けるコツ”が詰まっています。
いしかわさんの優しい言葉の数々に、「これなら書くことを楽しく続けられそう」と背中を押してもらえる一冊です。
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