ビジパの悩みインサイト
「部下を下に見すぎです」Z世代を率いるカリスマ社長に“叱れない上司&叱られたい部下の悩み”を相談したら全てを見透かされた
新R25編集部
「複雑なはずのビジパの悩みを、単純化して取材していた」「本質的じゃない悩みをでっちあげていた」
という反省のうえ、「個人のリアルな悩みにひもづいた取材」を改めてしていくことを方針とした新R25編集部。
今回は、新R25インターン・りんたろうの「上司にちゃんと叱られたい」という悩みと、叱れないおじさん上司の「部下を叱ったり、アドバイスをしたりすることにためらいがある」というダブルの悩みについて。
上司と部下の想いのすれ違いに、着地点はあるのでしょうか…?
叱られる側・叱る側にはそれぞれの思いが。どうすれば…?
渡辺
この前、りんたろうが我々サイバーエージェントの人事部長、曽山(哲人)さんに社内チャットで「お世話になっております」って連絡していて。
社内の人だから、「お疲れさまですのほうが適切だよ」って指摘を受けてたんだけど、「ちゃんと言ってくれるんだ!」って感動してたんだよね。
りんたろう
そうなんです。なんか大学に入ってから、ダメなところをダメだと言ってくれない場面が多いなと思ってて…ほとんど叱られた経験がないというか。
渡辺
ダメだって言われたいの?
りんたろう
言ってほしいです。
米久保
それは、叱られる機会が少ないからそう思うんじゃん…多い側からしたら、もう大丈夫って感じ(笑)。
渡辺
今って、マネジメント側が若者に対して腫れ物に触るようになってるわけじゃん。
何か言ったら「パワハラ」って言われるのかなって。
米久保
フィードバック自体はいいけど、そこに愛情があるかどうかが大事かも…
期待して言ってくれているのがわかれば、何言われても平気です。
渡辺
りんたろうは?
りんたろう
ぶっちゃけ、体育会系ばりにきてくれても全然いい。高校時代、ラグビー部ではボコボコに言われてましたし。
監督がめっちゃ怖くて、ひたすらダメなところを言われたんだけど、いいところもちゃんと言ってくれて。それで成長できた実感があるんです。
渡辺
昭和っぽいぶつかり感があったからこそ、後々強い絆ができたとか、感謝してるっていうケースはすごく聞くかも。
自分も、言い合わないと距離が縮まらないと思いつつ…その熱量がないから、マネジメント側として足りないなと思うことはあるんだよね。
でも、そもそも“伝えるべきことかどうか”という判別が難しい。
渡辺
「ちゃんと伝えるべきこと」なのかどうか、いったん悩むよね。俺のただのエゴや趣味なんじゃないかって。
今は、伸び伸びと発想力を持ってイノベーションを起こそうっていう時代だから、そうやって自発性や自由さを重視すると、指摘する行為からは遠ざかる。
りんたろう
難しいですね、塩梅が。
こっち側も叱ってほしいタイプと、あまり叱らないでほしいタイプがいるから、自分はどちらなのかを示さなきゃいけないかもしれない。
渡辺
そう、個別最適解だなとは思うね。
「叱られたい若者」と「叱れない上司」の関係性をどうすり合わせていくといいのか、長けてる方に聞いてみたいかも。
ということで、今回悩みを相談したのは、どっち側の気持ちもわかってくださりそうなこの方。渡辺に代わり、副編集長の天野が話を伺いました。
【片石貴展(かたいし・たかのり)】株式会社Yutori・代表取締役社長。アパレル企業史上、最短で東京証券取引所グロース市場へ上場を果たす。社員の平均年齢は20代前半で、現在100人以上の組織を率いている。自社チャンネルにて公開した評価面談でのコミュニケーションが話題に
「意外と天然?」「もらって生きてきた人」早速見抜かれました
天野
僕は今37歳で、りんたろうは23歳。叱ってほしいZ世代と、叱りづらいおじさん世代のダブルで悩みがあるんです。
ゆとりさん
「叱りニキ」で呼ばれてるってことですかね。僕は今日。
天野
そうです。で、まずは部下側の話から。リアルな気持ちを教えてほしいなと。
りんたろう
僕は、「できる」と思われがちなんです。雰囲気で“ミスをしない前提”で見られて、80%できていればOK、残りの20%のミスは言ってもらえないまま、みたいな状態がけっこうあって。
ゆとりさん
たしかに優秀そう。でも意外と天然で、抜けてるところもありそうだけど。
天野
どういうところを見てそう思ったんですか?
ゆとりさん
見た目がかっこよくて、育ちもいい感じがするけど、そういう人って愛情とか友情とか、“もらって生きてきた”ケースが多いじゃないですか。
もらって生きてきた人って、自分では細かいことに気を遣わなくても、安心・安全な環境で過ごしてきた場合が多いんだよね。そういう人特有の抜け感、ある種の愛嬌がありそうだなと思いました。
うちの会社にも多いんですよ、そういう子。
「MBTIも動物占いも使います」。人格部分に踏み込んでもいい…?
天野
上司として、そういう“お坊ちゃん育ち”みたいな人をどう指導してるんですか。
ゆとりさん
うちは評価がシステマチックで、メンバー、リーダー、プロデューサー、役員という4レイヤーでそれぞれ6グレードぐらいに分かれていて。
その職種×レイヤーで、クリエイティブ職のリーダーレイヤーはこういうことを達成してないといけない、という能力を定義しています。
僕自身が伝えるときは、メンタルモデル*を大事にしています。
*認知心理学用語。過去の経験や環境に基づく、無自覚での自分の行動や思考の起点となる価値観
ゆとりさん
5歳の自分が大人の自分を操縦してるみたいなイメージで、自分の操縦士はどういうかたちなのかを理解しないと、自分のことを正しく認知できないんです。
天野
インナーチャイルド的な。
ゆとりさん
そうそう。だから、僕は割と根本的なトラウマとかコンプレックスなどに踏み込んでフィードバックしますね。
天野
各メンバーの内面や育ち、生育環境的なところを考えるということですか?
ゆとりさん
環境がどうだったかというよりは、その人自身がその結果、どういうメンタルモデルをもっているのかを見極める。
そのうえで、2〜3年ぐらいの時間軸で、徐々に変容していったらいいなという視点です。
天野
会社として、そういう観点からフィードバックすると決めてると?
ゆとりさん
(社内では)その特殊能力を持っているのは僕ぐらいなんですけど…ベースはこの考え方です。
表出しているミスは氷山の一角にしか過ぎなくて、ミスの根っこを見ることが一番大事。この子のこういう経験が、今のこういうミスにつながってるんだ、と理解する。
天野
それこそ我々がZ世代を叱れないのって、「人格に踏み込んじゃダメだ」という思いがあって。
よくないなと思いつつ、表層的なアドバイスにとどまっちゃうことが多くて。ゆとりさんはなぜ踏み込めるんでしょう。
ゆとりさん
さすがに人格否定はしないっすけど、気づいていないことが罪だと思っているので。
ゆとりさん
根っこにある何が仕事のミスにつながっているのか、あるいは成長の停滞感につながっているのかって、自分自身で理解するのは難しいじゃないですか。
だから、根っこが見える“虫眼鏡”をあげる。認知のきっかけをつくって、それにどう向き合うのかというアドバイスをしてる感じです。
天野
なるほど…
ゆとりさん
ここが悪いからこう直せというよりは、「今こういう部分がある、それをポジティブなかたちに変換するのはこれぐらい時間がかかるだろう」、「別にすぐに直せとは思ってないけど、徐々にわかるんちゃうか」みたいな感じ。
りんたろう
叱るっていうよりも?
ゆとりさん
叱るって意識はまったくないかな。
気づかせるときに率直な物言いになるから、結果的に叱られたという受け取られ方はあるかもだけど。
天野
手がかりをあげるんですね。
ゆとりさん
僕なりに「その子はこういう人間じゃないか」っていう考察を話す感じです。
天野
おじさん側としては、後輩と話しているときに、その子の内面にむやみに触れていいものか、すごく躊躇するんだよな…
ゆとりさん
今だと、ラクなのはMBTIとか。
りんたろう
え、MBTI使うんですか?
※日本MBTI協会が定義する「MBTI」とは異なる「16Personalities」のことを指していますが、便宜的に「MBTI」と発話している箇所を使用しています
ゆとりさん
うちはMBTIや動物占いも、具体的な解決策として役立つというスタンスです。
天野
ええー!
ゆとりさん
MBTIにはいくつか見方があって。
あれは自分で診断していくから、自分が認知している自分の姿、あるいは自分の理想の姿が浮き彫りになるわけで。
それがこちらの解釈と合っていたら、その子は客観的な認知ができてることになるし、めっちゃずれてたら「こいつ全然自分のことわかってないじゃん」って。
ゆとりさん
内面を素手で触りにいくとお互いにウッてなるけど、一個「MBTI」みたいなクッションを挟むことで、エンターテインメントとしての相互理解のコミュニケーションになるから面白くなるし、若い子も受け入れやすくなるんだよね。
今の若い人、プロフィールにMBTIの診断結果を書くじゃないですか。
僕らの世代だったら、何かのかたちに自分をはめるのはダサいよねって考え方だったと思うんですよ。
天野
そうかも。
ゆとりさん
今の子は、自ら自分自身をカテゴライズする。
表面的な“多様性”という言葉で「何でもいいじゃん」ってなりすぎた結果、外からの重力と質量が失われて…不安の裏返しで「自分はENFJなのでこういうキャラです、こういうふうに理解してください」っていう。
平成時代は外圧が強かったから、わざわざカテゴライズされにいくことはなかったけど、今は自分で型にはめにいかないと不安な時代だよね。16種類の何かに自分を当てはめるってなかなかすごいことだよなと思ってます。
「フィードバックやアドバイスで個性をつぶしてしまうんじゃないか」問題
天野
叱れない側は、パワハラになるんじゃないか、個性をつぶしちゃうんじゃないかっていう苦悩があると思ってるんですけど…
ゆとりさん
僕は、つぶれるのは個性じゃないと考える派なので。
フィードバックによってなくなる個性なんて、しょぼって思っちゃう。
天野
そんなん個性じゃないじゃんっていう。
ゆとりさん
うん。なんなのそれ。ぬるすぎ。
天野
「こういう本読んだほうがいいよ」とか「こういうやり方したほうがいいよ」とか、自分の成功体験を伝えるわけですけど、同時に、自分の成功体験が必ずしも今の正解とは限らないよなと自問しちゃって。
そこの葛藤はないですか?
ゆとりさん
そもそも僕は、「こういうことしたらいいよ」ってあまり言わないかもしれない。
そもそも、環境と責任が人をつくると思うんですよね。
この子にこういう課題があるなら、次こういう仕事をやらせようってできる。でもまあ、会社員の人はちょっと難しいかもしれないですね。
りんたろう
それ、キッズ側の言い分があって。
「守破離」って言葉があるじゃないですか、型を学んで(守)、それをやりきってから自分のやり方を探していこうぜ(破・離)みたいな。でも、その「守」を教えてくれない。「自分のやり方でやってみな」って。
天野
まさにその問題だ…僕が「こうやれ」とか「これはするな」って言うのは“悪”なんじゃないかって。
ゆとりさん
へー。何でそう思うんですか?
「守破離」といっても、業務的な話ですよ。それは「ダメなものはダメ」じゃないですか。
天野
たとえば新卒に連絡の仕方を教える場合でも、コミュニケーションの方法や当たり前がどんどん変わっていると思うと、正解も変わってるのかなって。
ゆとりさん
それは逆に、自分の影響を過信してて、部下を下に見過ぎってことだと思います。
天野
下かあ……なるほど…
ゆとりさん
思いやりハラスメント(笑)。
僕は、「何か言ったとしても、部下が自分自身で取捨選択をして、自分がなりたい姿に変容していけるだろう」と思ってる。
でも、今おっしゃってたのは「自分が言ったことが相手にすごく強い影響を与えて、かつ相手は、それが正しいかどうか判断できない」という見方じゃないですか。
天野
めちゃくちゃそうだ。影響力を過信しすぎってことか…
ゆとりさん
率直に言うと、相手をアホって思ってる部分があるのかもしれない。
アホ…
ゆとりさん
だって、自分の言ってることが間違ってることもあるじゃないですか。
相手だってコミュニケーションのなかで適宜取捨選択をしているのに、自分のベクトルにグイッて向かうだろうという前提は、やや恐ろしいですね。恐ろしい人間ですよ!(笑)
りんたろう
たしかに、僕ら側からしたら、そんなにすべてを受け入れるわけじゃないから、ガンガン言ってくれたほうがうれしい。
天野
もう一つは、世間的に「アップデートしないとやばいよ」っていう圧力がめちゃくちゃあって。
30代以上って、自分を疑わなきゃいけないっていう圧がけっこう強いから、教える自信がどんどん崩壊してきちゃう。
ゆとりさん
たぶんすごいあれですね、減点法で人のことを見てますね。
天野
おおおお……!
ゆとりさん
自分のことも、そういうふうにとらえてるんじゃないですか?
天野
なんか怖い、泣いちゃうかも…減点法というと?
ゆとりさん
だって1個ミスったら自分の評価が下がるってことでしょ。
天野
はい。間違ってはいけない、と。
ゆとりさん
自分を見る目と人を見る目は連動しているから。人に対しても減点法で見ちゃってるんじゃないかな。
天野
そうなのか…
ゆとりさん
そもそも言ってることが合ってるか間違ってるかって、人間関係においてあまり関係ないと僕は思うんですよね。
だから部下とどう健全な関係を築くかという場合に、メインとして「叱る」という概念があるのは違うのかなって。
合ってるかどうかじゃなくて、下からすれば、上が理解しようとしてくれてるかどうかがすごく大事。
りんたろう
その通りですね。僕は理解してほしいんだなって…今、自分の悩みが解体されました。
ゆとりさんは若者世代の社員をどう見ている?
ゆとりさん
けど、天野さんの悩みはめっちゃわかります。
僕らは、ひと回り上の世代から「これが正しいんやー! バーン!」ってぶつけられまくった世代だから。
天野
その反動なのかもしれない。
ゆとりさん
Z世代はまたその反動で、自尊心がめっちゃ高いから、僕らは狭間の葛藤世代というか。
天野
理解できると思うのもおこがましいと思うフシもあるし。
ゆとりさん
だから、理解しようとしてるってことですよね。
ただし僕は、その人にとって常に最善のことを自分が言い続けられるともまったく思っていない。
天野
ゆとりさんは、理解しようとするために何をしているんですか?
ゆとりさん
聞くことじゃないですか。いい質問をたくさんすることだと思いますよ。
天野
いい質問って…?
ゆとりさん
その人の本質を見ようとすればするほど、どうしても家庭環境や、小中学校のクラスでの立ち位置、見た目、コンプレックスなど、エグいところに入っていっちゃうから、そこのさじ加減はあると思うけど、とにかく、その人を知る質問をすることです。
天野
その人の本質にタッチしていけるような目線で、とにかくいろいろと聞いてみる。
ゆとりさん
りんたろうさんの場合は、目に浮かぶじゃないですか。たぶん、いじめられたこととかないですよね?
りんたろう
ないですね。
ゆとりさん
運動神経もある程度よくて。実行委員とかそういうのもやったり?
りんたろう
中学高校のときは…
ゆとりさん
生徒会長?
りんたろう
副会長でした。
ゆとりさん
ああ。会長じゃなくて副会長っていいっすね。
りんたろう
おいしいから。
ゆとりさん
おいしいっていう解釈なんだ。
りんたろう
本当は会長をやろうとして、落ちて、副会長になったんですけど、結果的にそこのポジションがいちばんよかったんです。
ゆとりさん
そういう話を聞くと、りんたろうさんは副会長を「おいしい」と思うタイプだということからも、価値観がわかってきますよね。
天野
ゆとりさんは社員の方たちとも、話す機会を設けているんですか?
ゆとりさん
いや全然話さないです。とくに若い子とは、日常的に話す機会はないかな。
ただ、普段実際に話をしていなくても、社員はインスタでもつながっていて見続けてるし。
天野
インスタで何か見えるものってあるんですか。
ゆとりさん
浮ついてるなとか。
天野
調子乗ってる的な。
ゆとりさん
たとえば僕らはファッションの会社なので、その子のスタイルが変わってきて、自分のつくっているブランドとちょっと乖離があるなとかね。
クリエイティブな職場なので、いろいろな発信が示唆になってると思います。
天野
発露というか。
ゆとりさん
「フォローしてくれる」ってことは、それもまた情報になり得ますし。
天野
ああ、自分の発信も見ていいですよということですもんね。
ゆとりさん
そうそう。僕は一個一個、結構細かくその人のことをとらえてるかもしれない。
「なんか、言葉が入ってこないんだよな…」“叱られたい若者”は何を意識すればいい?
天野
叱られたい側は、フィードバックをもらうためにどう動けばいいんだろう。
りんたろう
理解されたい場合に、上の人に対して、どういうボスマネジメントをすべきかっていうか…
ゆとりさん
ボスマネジメントってとんでもねぇ言葉だよな…
りんたろう
いや、上の人とどう付き合っていけばいいのかを知りたいんです。
ゆとりさん
うーん、「叱られたい」って言うけど…
なんだろう? 全然入ってこないんだよな、その言葉が。
りんたろう
えっ…
ゆとりさん
天野さん側の話はすごいリアリティがあるけど、こっちの話はパフォーマンス的な感じに聞こえちゃう。
「叱られたい」って思ってないわけじゃないんだろうけど…叱られたいというよりも、何かもっと別の言葉の気がするんだよね…
褒めてほしいんじゃないの? 逆に。
りんたろう
でも褒められはするんですよね。表面で褒められてる気がする。「なんか優秀そうだね」とか。
ゆとりさん
ああ~、叱られたいというよりも、自分のことを解像度高くとらえてほしいってことじゃない?
りんたろう
あ、そうですね。
ゆとりさん
レッテルを貼らないで自分を理解してほしいということかな。これまで「イケメン」とか「優秀そう」とか、ガワのところで判断された経験が多すぎたから。
りんたろう
たしかに、そういうのめちゃくちゃ多かったですね…
ゆとりさん
けど、あるんすか? そんな深み。逆に(笑)。
りんたろう
(爆笑)
ゆとりさん
深淵はあるんですか?(笑)
別にないでしょ。傷がついてないもん。顔に。
りんたろう
ないな~~…
天野
内側があるないっていうよりも、とにかく内側を見てほしいんだなっていうのはわかった。
ゆとりさん
結論、欲張りすぎだね。
りんたろう
でもどうしたら内側を見てくれるんでしょう?
ゆとりさん
僕は、20代前半は「ゾス」的な考え方で、自分について内省なんていらないっていうスタンスなんですよね。
悩む気持ちもわかるけど、悩みなんかいらない。“悩んでるブランディング”でしょっていう感じ。
一個一個の仕事を練度高く向き合っていったら、傷もいっぱいついてくる。それだけでいいと思いますけどね。
社員にもそう伝えてます。「お前は今、自己のアイデンティティーに悩むフェーズじゃない。目の前の仕事をマジで120点でやり続けろ」みたいな話をしますけど。
りんたろうさんは、仕事の環境がぬるいんじゃないですか?
天野
たぶんそうかも。
傷がついたら、それに対するリアルな悩みが出てくるけど、まだその傷がない。
ゆとりさん
うん、だから…ヒマなのかな。もっといっぱい仕事をさせてもらうのがいいんじゃない?
天野
それは、どうなの?
りんたろう
まあまあ…その通りだと思います。
自分のやることをやるしかないとは思ってるんですけど、言われた通りに120%やってた人と、何も言われないで120%やってる人って、どっちが成長するもんですかね?
ゆとりさん
それは言われたほうがいいんじゃない。インプットが多ければ多いほどいいので。
りんたろう
言われるためにはどうしたらいいんでしょうか。120%頑張るのは前提として。
ゆとりさん
単純に、言われてないってのは気を遣われてるってことだから。
つまり、まだ“見習い君”みたいな感じで、一人前として認められていないフェーズにいるだけだと思う。
自分の仕事のスタンスが、「こいつやる気だな」「向き合ってるな」って思われたら、みんなも自分たちと同じ視点だと認識するけど、そういうアウトプットが足りてない。
だから、「どうしたら言ってくれるのかな」って考えること自体がナンセンス。
りんたろう
ああ……
ゆとりさん
だったら、今撮影してるこの動画を面白くするために自分が何か工夫して…みたいな。ないじゃないですか。
りんたろう
いや~~……ないっすね…(笑)。
天野
ないんかい(笑)。
ゆとりさん
この撮影の企画書は誰が書いたんですか?
りんたろう
僕です。
ゆとりさん
これは、すごくちゃんとしてるなと好印象だったので、こういうことを一個一個積み重ねて、「僕は本気で仕事してるんだから、ナメないでくださいよ」っていう気迫が周囲に伝わっていったら、「お前これもっとやれよ!」みたいな感じになると思う。
りんたろう
こっちの熱量の問題だったのか…
ゆとりさん
「熱量」と「気迫」みたいなことだと思うけどな。
天野
本気でケンカできるか、みたいな。
ゆとりさん
そうそう。弱い者いじめになっちゃうのか、ケンカになるのかっていう。
ケンカにするためには、下から突き上げないといけないわけだから。
ショートカットするなら、けしかける、突っかかっていくっていう手段もありますよ。「自分、Z世代で候。Z世代的にこんなのおもろくないで候」って。
Z世代侍になるりんたろう
ゆとりさん
それはスタンスをとって、面白くさせようとする勇敢な行為ではあるから。
天野
「理解してください」って言われるよりは、まだ“返す刀”がありそう。
ゆとりさん
「理解してください」って怖い。
人によるとは思うけど、そういう(けしかける)やり方もいいんじゃないかな。
それを言うことによって、自分にも「もっとちゃんとやらなきゃ」ってプレッシャーがかかるし、糧になっていくっていうのはあると思う。
ゆとりさん
(上が)りんたろうさんのことを「Z世代代表」として出たほうがおいしいって思ってるからこういうキャスティングをされているんでしょうけど…
その感じで出続けてることの“罪”を自分で理解しないと、間違った方向にいく危うさがある。老婆心ながら、変なコメンテーターみたいになっちゃわないでほしいなと。
天野
スタンスに食われちゃうというか。
ゆとりさん
そうそう。自分をプロデュースしていかないと、「それで許されるんだ」みたいな感じになっちゃいかねないというか。
天野
「ゆとり」っていう言葉もまさにそうですよね。
ゆとりさん
僕はもう、“カウンター”でゆとりって名前をつけてるんですけど。
ゆとりって本来、めっちゃいい意味じゃないですか。でも、(「ゆとり教育」当時)大人が勝手に“ゆとり世代”をつくって、気がついたら大人が勝手に悪いイメージにしてて。
自分の「ゆとり」という名前には、その感じを反転させるような意味合いを込めているんです。
ある側面からしか物事を見られないやつってセンスないよねっていう。
天野
なるほど。
ゆとりさん
僕の会社は古着から始まってるんですけど、古着ってある人から見たらゴミだけど、ある人から見たら欲しいものなわけです。
「ハグレモノをツワモノに」っていうyutoriの企業理念は、もちろん成長していきたいという想いもあるんですけど、視点の転換を提案したいっていうことで。
AをAとしか解釈できないやつってバカじゃん。「俺らはいろんな解釈しちゃうよ〜」みたいなアティテュードではあるんですよね。
りんたろう
かっけぇ…
天野
だから今名乗っているZ世代も、割と一面的な「Z世代でーす!」っていう。
ゆとりさん
そう。メディアのおもちゃになってるだけ。こういう新R25の。
天野
でもそれをちゃんと自分で理解して、半分はリアルだけど、リアルじゃない側面もあるっていうことを包括できれば、めちゃくちゃおもしろい時代性をとらえることになる。
ゆとりさん
めっちゃおいしいと思いますけどね。
りんたろう
頑張ります。
ゆとりさん
結局、「減点法の上司」と「本気でやってない部下」だったってことか(笑)。
天野
でもマジで、今日の話は今の会社のリアルだと思います。日本の東京とか渋谷にある会社の、30代と20代そこらの。
ゆとりさん
だけど、俺も昔はこういう(りんたろうのような)感じでした。
情報量が多いから、いろいろ知った気になっちゃってて、仕事に向き合うよりも自分が大事みたいな、内側に向かっちゃってて。
一個一個の仕事に120%で向き合うことができないから、仕事を抱えまくることによってアイデンティティーを自分でつくって、でも全部できなくて…上司に泣かされたことがありました。
で、「お前には1ミリも期待してないから、まず目の前のことを120%でやってみろ」って言われて、一回うわーって泣いて。でも、そこからマインドが変わった。
ゆとりさん
要は、どういう成長プランを自分でプロデュースするかっていうことだから。
僕は“愛され新卒”をやりたかったんで、そういうプロデュースを自分のなかでしてた。1年目は苦手なことをしまくって、壊れて、V字回復みたいなストーリーを。
りんたろう
えっ、狙ってたんですか?
ゆとりさん
そう。なんか引き寄せちゃったというか。
だから、お二人は「加点法の上司」と「本気でやってる部下」になってください。
でも今日の話を聞いていて、昔の自分を思い出したな…僕ももっと頑張ります。
天野
ぼくは動物占いやります…!
「叱ってほしい」「内側をみてほしい」「理解されたい」というのは、全部相手に「〇〇してほしい」と求めているばかりだった、ということに気づいたりんたろう。
そして、自分の影響を過信しすぎて、思いやりハラスメントをしていた天野。
このパターン、当てはまる人も多いのでは…? お互い歩み寄ることができれば、上司と部下の関係はもっと良くなるはず。
上司側は「叱るという概念を捨てて、相手を理解しようとする」、部下側は「成長プランを自分でプロデュースする」。悩んでいる方は、ぜひ明日から実践してみてください。
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