ビジネスパーソンインタビュー
認知広告の“しっくり来ない”を解決。AJAが挑む「テレビCMのDX化」
新R25編集部
AI技術の進化により、広告クリエイティブがかつてないスピードで量産される時代になりました。効率化が進む一方で、企業にとって「愛されるブランドづくり」の重要性が改めて見直されています。
そんななか、マーケティングの新たな一手として注目を集めているのが、「ABEMA」「TVer」「Netflix」など、信頼性の高い動画配信サービスの「プレミアム配信面」での広告配信です。SNSなどのユーザー投稿型の配信面と比べて、コンテンツや広告掲載環境の品質が担保されやすく、ブランドメッセージを届けられる手法として期待されています。
今回は、そういったプレミアムメディア向けの健全性・透明性の高いアドテクノロジー事業に取り組む株式会社AJAのキーマン2人に、AI時代のブランド構築とプレミアム配信面が持つ真の価値についてお話を伺いました。
認知施策をやっている企業の多くは“しっくり来ていない”

渡辺
認知広告に意欲的な企業とお話しするなかで、企業側はどんなマーケティングの課題感を持っていると感じますか?

松岡さん
大きく2つあると思っています。
ひとつは、獲得偏重のデジタルマーケティングに限界を感じているケース。
もうひとつは、すでに認知広告に取り組んでいるけれど、「今よりもっと有効な方法があるはずだ」と感じているケースですね。
株式会社AJA「インクリー」プロダクト責任者・松岡竜也さん(左)、「ミエルTV」責任者・植松このみさん(右)

渡辺
たしかに、認知広告の必要性は感じているけど、効果が見えづらいから「本当にこのやり方でいいのか?」と確信を持てていない企業は多そうですね。

松岡さん
もともと認知広告の領域は、効果が可視化されづらいものではあったんです。ただ、デジタル化によって少しずつそれが改善されるようになってきました。
とはいえ、まだ可視化できるようになってから歴史が浅いので、お客さまも「これが最適なやり方だ」と自信を持ちきれていない部分があるのではないかと。
だからこそ、我々が新しい分析手法や評価軸を提示すると、関心を持ってくださるお客さまが多いんです。

渡辺
AIでクリエイティブが大量生産できるようになったことで、これからは「ブランドづくり」が大事になるという論調も強くなっている気がします。

松岡さん
愛されるブランドづくりって、もともとテレビCMが担ってきた役割が大きいと思うんです。
その役割が、最近はデジタル上にも広がってきたと感じていて。ブランドを知って、興味を持つ人を増やすという意味では、たとえば指名検索などを増やすことが次の成長につながるという認識が広まってきたように思います。
SNS広告との違いは?プレミアム配信面がブランディングに効く理由

渡辺
認知に効く広告配信先として、AJAは「プレミアム配信面」を束ねたアドテク事業を展開していますよね。
SNS広告とプレミアムメディア広告は、広告主の観点でどういった違いがあるんでしょうか?

松岡さん
まず、動画の視聴完了率が大きく違います。
プレミアムメディアの広告はスキップができないので、動画の内容を90%以上視聴してもらえます。
ABEMAの運用形テレビCM 公式サイト

渡辺
そんなに違うんですか…!
最後まで見てもらえる前提でメッセージを届けられるなら、SNS広告のように無理に表現を刺激的にしなくてもいいですし、ブランドの世界観をきちんと伝えられますね。

松岡さん
もちろんSNS広告にも、リーチ単価が安く、ターゲティング精度が高いというメリットがあります。
一方で、広く世界観を伝えてブランドを好きになってもらうという目的であれば、プレミアムメディアのほうが相性はいいと思っています。


渡辺
ユーザーの視聴態度にも違いがありそうですよね。

松岡さん
プレミアムメディアは、SNSのようにスキマ時間で見るというより、目的とする長尺コンテンツを見るためにアクセスするケースが多いです。
そうなると、CMが始まったからといって、すぐに違うコンテンツを見ようとはなりにくいんですよね。

植松さん
視聴デバイスの違いも大きいです。
SNSはスマホでの視聴が中心ですが、プレミアムメディアはコネクテッドTV(※1)での視聴が増えています。
博報堂の「TV AaaS Lab」によると、2025年時点で、個人全体の約74%がコネクテッドTVを利用できる環境にあるという調査データ(※2)も出ています。
大きい画面で見たほうが広告も記憶に残りますし、テレビならではの信頼感も醸成されます。
※1 インターネットに接続されたテレビ端末のこと。動画配信サービスなどをテレビの大画面で視聴できる。
※2 コネクテッドTVにおけるデジタル動画メディア利用状況レポート2025(https://www.hakuhodo.co.jp/aaas/tv/article/35/)


渡辺
たしかに、スマホで見るSNS広告はスルーされやすいし、嫌われやすい印象がありますが、テレビCMで見た商品は「ちゃんとしたサービスなんだろうな」という認知が形成されやすい気がします。

松岡さん
それがまさに、テレビがつくってきたブランドの価値だと思います。
「ABEMA」や「TVer」、「Netflix」なども、テレビに近い世界観をつくっていて、プロが制作する高品質なコンテンツが配信されているうえに、CMを出稿する企業や広告内容もしっかり考査されています。
だからこそ、広告主にとっても“信頼されるブランドづくり”がしやすい環境になっているんです。


渡辺
ちなみに、コネクテッドTVに広告配信したいと考えているのは、どんな企業なんでしょうか?

松岡さん
やはり、これまでテレビCMへ継続的に出稿してきたお客さまが多いです。
従来のテレビCMだけでは届きにくくなっている層がいて、その穴を埋めるために、コネクテッドTVでネット動画を見ているユーザーにリーチしたいと考えているケースですね。

渡辺
なるほど。従来のテレビCMを補完する形で、コネクテッドTVへの広告配信を活用するケースが増えているんですね。
「プレミアム配信面」に可能性を感じたAJAが立ち上げた2つのサービス

渡辺
ここで改めて、AJAが展開している「インクリー」と「ミエルTV」のサービス概要を教えてください。

松岡さん
「インクリー」は、「ABEMA」や「TVer」、「Netflix」といった動画配信サービスに横断して広告配信し、効果測定までできるプラットフォームです。


植松さん
「ミエルTV」は、地上波テレビCMの効果をデジタル広告のように可視化し、リアルタイムに運用できるサービスです。


渡辺
それぞれ、具体的にどんな効果測定ができるんでしょうか?

松岡さん
「インクリー」では、媒体を横断したリーチ数や視聴者の属性はもちろん、CMを見たあとにサイトへ来訪したか、指名検索をしたかといったアクションまで可視化できます。
さらに、反応したユーザー像をペルソナ形式でレポーティングできるのも特長です。
単に「何人に届いたか」だけではなく、「どんな人に届き、その人たちがどう動いたのか」まで見えるようにしています。
「インクリー」で出力できるペルソナレポートのサンプル。広告接触後にコンバージョンしたユーザーの属性や利用デバイス、視聴行動などを可視化できる。

植松さん
「ミエルTV」も、CMを出した番組ごとにどのくらいのユーザーがページに来訪したのか、どのくらいアプリをインストールしたのかなどが見られます。
最近では位置情報を活用して、CM接触ユーザーがどのくらい店舗に来たのかというオフライン計測もできるようになりました。

渡辺
プレミアム配信面でもテレビでも、出して終わりではなく、その後の行動まで見えるようになっているんですね。
そのほかに、両サービスの強みになっている特長はありますか?

松岡さん
フルマネージド(※)のサポート体制ですね。
お客さまのやりたいことや課題感をヒアリングして、提案から配信設定、レポーティングまですべてAJAで対応することが可能です。
(※)フルマネージド サービスの導入から運用、効果測定、改善提案までのすべての工程を、専門の担当者が全面的にサポートする体制のこと。

渡辺
ツールだけ渡されても、企業としては「ちゃんと使いこなせるのかな?」と不安になりますよね。
人が直接伴走してくれるのは、安心感があります。


渡辺
そもそも、AJAがこれらのサービスをつくろうと思ったきっかけは何だったんですか?

松岡さん
「インクリー」は、もともと「ABEMA」や「TVer」のような動画配信プラットフォームが立ち上がり、ユーザーを集めながら広告でマネタイズするモデルが広がっていくタイミングで始まりました。
当時、テレビCMのようにブランドメッセージを多くの人に届ける広告体験が、インターネット上でも広がっていくだろうと考えていました。
一方で、インターネット広告が伸びてきた背景には、広告効果を計測・可視化できるという強みがあります。
その強みを動画配信サービス上の広告にも活かせれば、広告主にとってより価値のある広告体験を提供できるのではないか。そう考えたんです。

渡辺
テレビCMのような広告体験がインターネット上に広がるなら、その効果もデジタルらしく見えるようにできるはずだ、と。

松岡さん
その通りです。
現在は「ABEMA」「TVer」「FOD」など、複数のプレミアムメディアに横断して配信し、効果計測までできるプラットフォームとして展開しています。
さらに2025年10月からは、「インクリー」のDSP(※)を利用する広告主が「Netflix」内の広告在庫に国内から直接入札・配信できるようになりました。
(※)DSP 広告主の広告効果を最大化するためのプラットフォーム。ターゲット層に合わせてリアルタイムで広告枠を自動買い付けし、配信を行う。

渡辺
そこから「ミエルTV」で地上波テレビCMの領域にも参入したのはなぜですか?

植松さん
先ほど「インクリー」を使っていただいているお客さまはテレビCMをやっていることが多いとお伝えしましたが、普段営業活動をするなかで、「テレビは効果が見えない」「マスデジ(※)の最適解がわからない」「正しい投資判断ができているかわからない」という声をよく聞いていたんです。
(※)マスデジ マスメディアとデジタルメディアを組み合わせたマーケティング手法のこと。


植松さん
その課題感を起点に、日本テレビさんと協業して「ミエルTV」を立ち上げました。
AJAに相談すれば、マスデジ両方の効果が見えて、最適な広告投資ができる。そういう状態をつくりたかったんです。
AJAが目指す、納得感のある投資と“三方良し”の広告体験

渡辺
「インクリー」や「ミエルTV」をさらに進化させることで、AJAはこれからどんな世界をつくっていきたいと考えていますか?

松岡さん
AJAでは、「テレビCMのDX」というビジョンを掲げています。
これまでのテレビCMやプレミアムメディアの広告は、ブランドづくりにおいてすごく価値のあるものだった一方で、効果が見えづらいというのが課題でした。
だからこそ、我々がこのマーケットをDXして、ブランドづくりにつながる広告クリエイティブの効果を、透明性を持って測定できるようにしていきたいんです。


松岡さん
広告のなかでも認知広告やブランド広告は、特に成果が見えづらいと思われがちです。
でも、出稿した広告が誰に届いて、どんな行動につながったのかが見えるようになれば、お客さまもより納得感を持って広告投資ができるようになると思います。

渡辺
投資した広告の効果がクリアになれば、これまで認知広告に踏み切れなかった企業もチャレンジしやすくなりそうですね。

松岡さん
そうですね。
さらに言えば、質の高い広告出稿が増えればメディアに収益が生まれ、コンテンツづくりにも還元できる。そしてユーザーは、信頼できるメディアのなかで、きちんと考査されたブランド広告に触れられる。
そんな“三方良し”の広告体験をつくっていきたいと考えています。

渡辺
なるほど!
最近は、詐欺っぽく見える広告や煽りの強い広告を目にすることもあって、正直いちユーザーとしてはモヤモヤすることが多かったです。
だからこそ、信頼できる配信面できちんとブランドメッセージが届くことの価値は大きいですね。

松岡さん
“三方”それぞれにとっての価値がきちんと発揮される環境をつくるために、これからもチーム一同で「テレビCMのDX」に取り組んでいきたいです。

AJAが目指す“三方良し”の広告体験は、「広告は嫌われるもの」という常識に抗い、広告主・メディア・ユーザーのよりよい関係を築いていく。その意思と可能性を感じるインタビューでした。
AIによる効率化が進み、広告クリエイティブを量産しやすくなったからこそ、人の心を動かす「ブランドづくり」の価値は、より一層高まっていくはずです。だからこそ、広告をどんな場に出し、どんな体験として届けるのか。その設計まで含めて考えることが、これからのブランドコミュニケーションには欠かせません。
自社のブランド価値を正しく届け、生活者との間に確かな信頼関係を築きたいと考えているマーケターの皆さんは、ぜひAJAの「インクリー」や「ミエルTV」を活用し、プレミアム配信面やテレビCMでの新たなコミュニケーションに挑戦してみてはいかがでしょうか。
〈取材=渡辺将基(新R25編集長)/編集・文=鳥山可南子/写真=長谷英史〉

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