

松下東子&林裕之著『日本の消費者はどう変わったか 生活者1万人アンケートでわかる最新の消費動向』より
「オンライン飲み会を続けたい」は少数。1万人に聞いた“コロナ禍収束後に戻るもの&戻らないもの”
新R25編集部
「アフターコロナ」
「ウィズコロナ」や「ビフォーコロナ」とともに、この言葉を耳にする機会が増えた気がします。
観光業などではすでにアフターコロナを見据えた動きを始めるなど、段々と新型コロナウイルス感染症に対応した世の中へと変化しています。
では、どこまで新型コロナウイルス感染症発生前の生活に戻ることができるのでしょうか?
NRI(野村総合研究所)シングルソースパネルで調査した「コロナ禍収束後の生活様式の変化についての考え方」によると、「コロナ禍前の生活に戻る」と回答したのはわずか1割だったそうです。
今回は、多くの国民が考える新型コロナウイルス感染症後の生活様式について、松下東子さんと、林裕之さんの著書『日本の消費者はどう変わったか 生活者1万人アンケートでわかる最新の消費動向』(東洋経済新報社)より一部抜粋して紹介。
日本人の国民性が大きく影響した結果となっていました…!
この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・消費者の動向を把握したいマーケター
・アフターコロナの生活に興味がある人

「コロナ禍前には戻らない」が9割
コロナ禍による消費・行動の「変化」は収束後に何が、どこまで戻るのだろうか。
コロナ禍収束後に現在の自粛行動をどこまで戻すか、について、第5波がいったん収束した2021年9月にNRI(野村総合研究所)シングルソースパネルで調査した結果が図表3‐1‐4だ。
「コロナ禍前の生活に戻る」と回答したのはわずか1割。
8割が、「ある程度はコロナ禍前の生活に戻るが、完全には戻らない」と回答、「コロナ禍と同じ生活を送り続ける」の1割と合わせると、生活者の実に9割は「コロナ禍前には戻らない」と回答している。
感染警戒・自粛生活も2年を超え、もはや一時的なものというよりは、ライフスタイルが不可逆的に再構成され、「もう戻れない、戻らない」と感じる消費者も多いとみることができよう。

収束後に戻るもの&戻らないもの予想
コロナ禍収束後に元に戻るもの/戻らないものとその理由を予想してみたものが図表3‐1‐6である。
コロナ禍で大きく増えたオンラインアクティビティであるが、自粛期の代替行動としてやってみたものの、「本当はリアル実施がしたい」という次善の行動として行われているものは、当たり前ではあるが収束時に戻る。
たとえば、「オンライン飲み会」などはコロナ禍収束後に「続けたい」とする人の割合が低い。
また、料理・裁縫やDIYなども、コロナ禍初期では月次でみた際に趣味としての実施率が高まっていたが、その後は落ち着いてきている(ともにNRIシングルソースパネル調査より)。
一方、コロナ禍で増えた行動の一部には「やってみたら意外に便利/簡単/楽しい」として根づいたものもある。
はじめるのに知識が必要な金融投資や、登録や機器の購入が必要なオンラインサービスなど、「導入」行動が必要な商品・サービスもこれにあたるだろう。
特にこれまでオンライン活用が若年層に比べて進んでいなかった中高年層では、コロナ禍によってある意味強制的に「河を渡らされた」ことから、オンラインアクティビティが大きく活性化・根づいていくことが予想される。
外食・食べ歩きや旅行、街レジャーなどは、コロナ禍で大きく減ってしまったが、今後の意向としては伸長し続けており、「自粛しているが本当はやりたいこと」として収束後には元に戻ることが予想される。
おしゃれ(メイクアップ)も収束後に増やしたい項目として挙がっている。
リベンジ消費が起こりやすいのもこの分野だ。
また、「やってみたら意外に必要なかったこと」については、単に今後衰退していく行動とみるのではなく、コロナ禍で行動・価値観の変容した消費者に対して新たなベネフィットを提供していくことが求められるカテゴリといえよう。

政府からのお墨付きが収束のカギになる?
それでは、消費者は何をもって「収束」と判断し、行動を戻すようになるのだろうか。
第5波収束期、日本人の50%で2回接種が完了した2021年9月にNRIシングルソースパネルの月次調査で外出状況について調べた結果では、ワクチンを1回以上接種した場合、未接種の人と比べてコンビニエンスストアやデパート、本屋、大型家庭電器店、ファストフード店などの嗜好品チャネル、渋谷、池袋、新宿などのショッピング街の月間利用頻度が、コロナ禍前の水準に近づく傾向がみられた。
特に、コンビニエンスストアやファストフード店などは、「これまで我慢していた分」として、むしろコロナ禍前より一時的に頻度がアップする、いわゆる「リベンジ消費」が観測されたのである。
その後流行したオミクロン株以降の新型株については、ワクチンの有効性や必要接種回数等、2021年9月の状況と異なる議論もあるが、ワクチン接種は行動を「戻す」ための一つのきっかけになっていることがうかがえる。
ワクチン以外では何が再始動のきっかけとなるか、図表3‐1‐7は第6波がやや落ち着きはじめた2022年3月末に、コロナ禍で減少した行動に対し、「どのようなタイミングで再び増やそうと思うか」を質問したものである。
まず、すべての行動において、突出して多かったのが、「自分の居住地や外出先の感染者数が減ったら」と「政府が終息宣言を出したら」の2つである。
前者の感染者数は主要なバロメーターになっており、日本の消費者は自律的に判断しながら、行動解禁のタイミングを計ろうとしている。
しかし、「政府が終息宣言を出したら」という回答も同じぐらい多数を占め、特に海外旅行や国内旅行については「感染者数が減少したら」を上回る。
日本人は「世間体を気にする」意識が強いため、3密を避けリスクの高い行動はとらない、マスクを必ず着用するなどのあるべき行動が内発されており、感染拡大の抑制にはよい意味で働いていた。
GoToキャンペーンなども、金銭的メリットもさることながら、公式に推奨されたという許され感・安心感があったことから行動促進につながったとみられる。
やはり感染者数が減るだけでなく、「大手をふって」再始動できるようなきっかけとして、政府のお墨付きとしてここまでは動いてよいとの明確な指針が必要ということだろう。
直近3年間の消費者意識・行動を追いかけてきて思うことは、出口のみえないコロナ禍で、消費者はうまくストレスとつきあい、生活行動様式を変容させているということだ。
そして、ビフォアコロナには戻らないし戻れないとの意識の下、ウィズコロナ、ポストコロナの新しいライフスタイルを模索する中で消費の見直しがなされている。
こうした消費の取捨選択、優先順位づけの中で、企業にとっては自社商品・サービスをいかにアピールし、あるいは新しい価値をもたせ、生き残らせるかが重要になる。
日本人のリアルがわかる一冊
1997年より、3年に一度、生活者1万人アンケート調査を実施しているNRI(野村総合研究所)。
同書では、その豊富なデータから見えてくる消費者の動向について詳しくまとめています。
消費者を対象にした仕事を行うマーケターなどはもちろん、コロナ禍で変化した世の中について知りたい人などにおすすめの一冊になっています。
なんとなく感じていること・わかることを、データからきちんと読み取ることで根拠を持った意見にしてみてはいかがでしょうか。

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