ビジネスパーソンインタビュー
江口勝彦著『30代から地元で暮らす 幸せのUターン転職』より
「地元のお宝企業は、大手サイトにはない」Uターン転職を成功させる“情報”との出会い方
新R25編集部
「地元に帰っても、いい企業はない」「年収が下がる」
上京して働くビジネスパーソンのなかには、このような印象を持っている方いませんか?
自身が地方転職した経験を活かし、地方特化型の人材紹介会社エンリージョンを設立(リージョナルスタイル加盟)している江口勝彦さんによると、それは単なる情報不足だと言います。
今回は江口さんの著書『30代から地元で暮らす 幸せのUターン転職』より、地元企業に転職するときに、知っておきたい「いい企業との出会い方」を抜粋してご紹介。
Uターン転職がなかなかうまくいかないのは、情報の取得方法に問題があったのかもしれません…。
この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・転職を考えているビジネスパーソン
・Uターン転職に興味がある人
・Uターン転職に良いイメージを持たない人
Uターン転職がうまくいかないのは情報不足
30代になると結婚や親の介護、子どもの誕生・進学、マイホームの購入などのライフイベントを迎え、都会から地元に戻るためUターン転職を考える人が増えてきます。
しかし、Uターン転職希望者のなかには途中で転職を諦めてしまう人も少なくありません。
希望年収に合った、経験・スキルを活かせる転職先が、地元ではなかなか見つからないからです。
実は、Uターン転職希望者の多くが地元企業について正しい情報を十分に得られていません。
そもそも大手の転職エージェントや大手の転職サイトで希望の職種や年収などを入力して検索しても、東京本社の支社、営業所採用の掲載が多く、高キャリアで高年収の人ほど自分に合う企業はなかなか見つかりません。
そのため「自分の働ける会社は地元にはない……」と断念してしまいます。
一方で、大手の転職サイトには掲載されていないだけで地方でも魅力的な条件でUターン人材を歓迎する企業は多く、希望どおりの転職先を見つけた人もいるのです。
なぜ、Uターン転職がうまくいかないのか。
Uターン転職には、越えなければならない課題がいくつもあるからです。
正しい情報と手順に従って進めればいずれもクリアできるのですが、それを知らないと挫折したり諦めたりしてしまうリスクを孕んでいます。
単身でのUターン転職なら失敗してもリカバリーが効きますが、家族を連れてのUターン転職で失敗すると、再び都会に戻ってやり直しをするにも、また引っ越しや転校などのハードルがあって困難を極めます。
地元に期待できないのは大手転職サイトが関係している?
Uターン転職で最もつまずく人が多いのが「情報収集」や「企業選定」のステップです。
転職活動の入口でつまずくと先に進めないため、まずはここをクリアする必要があります。
そもそも地方に転職する人たちの意識の根底に、「地元に期待していない」というのがあります。
どうせ自分のキャリアを活かせる求人なんてないという諦めモードからスタートする人が多いのです。
もっと率直にいうと、都会でバリバリ仕事をして人からも頼られるポジションにいた人にとって、地元にはまともな仕事が一つもないというのが正直なイメージです。
私も転職セミナーなどで参加者に、「あなたの地元で知っている企業を10社挙げてみてください」といった問い掛けをすることがありますが、たいてい有名どころの企業が数社挙がって終わりです。
中小企業になると絶望的な認知度です。
そのため、どうせ地元に自分の仕事なんてないと悲観的になってしまうのです。
自分のキャリアを活かせる仕事がないという問題は、大手の転職サイトしか利用していない人に起こりがちです。
大手の転職サイトは30代からのUターン転職にはあまり向いていません。
大手転職サイトの情報提供の方法は、全国にいるクライアント企業から上がってくる求人票を集めて、サイトに掲載するという仕組みになっています。
当然、掲載料を多く払ってくれる企業や人気の高い有名企業や一流企業、全国に支店があって大量募集をする企業などの求人票を大きく扱うことになり、小さな企業の求人は埋もれてしまいます。
つまり大手サイトに地方企業の求人情報がないわけではないのですが、母数がかなり少なくなってしまうのです。
そして、大手の転職エージェントはどうかというと、確かにサイトには出ない非公開の求人情報ももっています。
また、求職者の条件に合わせて詳細な検索もしてくれます。
しかしながら、基本的に大都市圏にあるエージェントは扱っている求人票も大都市圏の企業のものが多いため、地方への転職は手薄になってしまいます。
今都内で働いていて、同じ都内で転職したい人と地方へ転職したい人、どちらが多いかといえば圧倒的に前者が多くなります。
転職エージェントもニーズの高いほうに力を入れますから、どうしても地方の転職相談は難しくなってしまうのです。
地元特化型の転職エージェントにはお宝が眠っている
大手転職エージェントの強みが、情報量が多いため大都市での職探しが効率的にできる点なら、地方の小さなエージェントの強みは地元に特化した職探しができる点と、地元に眠っている求人ニーズを掘り起こすことができる点です。
地元に特化しているというのは、地元の求人票を多く扱っているという意味です。
私の会社の場合でいうと、クライアント企業の9割が地元に本社をおいています。
全国的な知名度はなくても、知る人ぞ知る優良企業も少なくありません。
眠っている求人ニーズを掘り起こすというのは、表には出てこないけれども潜在的にある求人を見つけて来ることです。
キャリアコンサルタントが地元の企業を1件ずつ回って、どこの会社がどういう人材を欲しがっているかをリサーチします。
あるいは「こういう人材がUターンしたがっているのですが、御社ではお役に立てませんか?」というように採用をもちかけて、雇用そのものを創り出すこともあります。
地方の中小企業では常に人手が足りないのですが、それが常態化していることもあって求人票を出していないところも実は多いのです。
仕事が回らないほどの人材不足なら当然求人票を出しますが、今のところなんとか回ってはいるので求人票までは出していないことのほか、出したものの応募がないというケースもたくさんあります。
そういうところの社長に話を聞くと、良い人材がいたらいつでも採用したいのでうちの会社に合いそうな人がいたら紹介してほしいといった、ざっくりとした希望を言われる場合が多々あります。
そうした眠っているニーズを掘り起こすのが、地方特化型エージェントの得意分野です。
地方の小さなエージェントがどこも私の会社と同じやり方をしているかは分かりませんが、Uターン転職に実績のあるエージェントなら、おおむねこれに近いやり方をしているところが多いのではないかと思います。
このように、実は大手には出ない求人というのが地元にはたくさん埋まっているのです。
「大手を探したのにない」のではなく、「大手しか探さないから(本当はあるのに)ない」というのが真実です。
転職後の年収の考え方は「地方水準」で考えるべき
転職後の年収の考え方も、重要なポイントの一つです。
東京で夫だけの稼ぎで年収1000万円をもらっている家庭は、手取りがだいたい720万円になります。
23区で720万円の暮らしというと、平均よりは良いですが、そこまで贅沢できるほどではありません。
周りの人たちのお金の使い方や都会ならではの価値観につられてしまうので、出費も多くなりがちです。
これが地方に行って720万円となると、かなり余裕のある暮らしができます。
子どもは公立なので学費もそんなに掛かりませんし、同居や近所に両親がいれば育児や家事のヘルプラインも付いてきます。
30代でも庭付きの一戸建てが普通に買えます。
経済的な余裕というのは精神的な余裕にもつながりますから、結果としてワークライフバランスが良くなります。
地方転職についてよく「ワークライフバランスがいい」といわれるのは、私生活を充実させるために転職するという意味ではなく、転職した結果、お金の余裕やヘルプラインができて私生活が豊かになるという意味なのです。
鶏が先か卵が先かの話に見えますが、ライフが先に来ると転職(ワーク)はうまくいかないことが多いので、大違いです。
そこの部分の優先順位だけは間違わないでほしいと思います。
Uターン転職は、今よりも幸せになるためのもの
『最も幸せなUターン転職のかたちは、「都会でも幸せだったけれど、地元に帰ったらもっと幸せだった」と思えること』
ご自身も転職の経験がある江口さんは、そう考えます。
今よりももっと幸せになれる方法を、同書で探してみてはいかがでしょうか?
ビジネスパーソンインタビュー
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