ビジネスパーソンインタビュー
藤野義明著『エガちゃんねる革命』より
エガちゃんねるが「もっとも視聴者不在の時間帯」である深夜2時50分に動画を公開する意味
新R25編集部
企業でもYouTubeチャンネルを運営するのがスタンダードになりつつある今、どうしたらバズる企画を生みだせるのか、頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか?
そんな方へのおすすめ本が、「エガちゃん」こと江頭2:50さんのYouTubeチャンネル「エガちゃんねる」(チャンネル登録者数278万人/2022年2月時点)の仕掛け人・藤野義明(ふじの・よしあき)さんが上梓した『エガちゃんねる革命』(宝島社)です。
これまで「内村プロデュース」「『ぷっ』すま」などの人気番組を手掛けてきたプロのテレビマンである藤野さんが、作り手視点で人気YouTubeの裏側を語り尽くす一冊。
そのこだわりや仕掛け方を、一部抜粋してご紹介します。
ゴールデンタイムではなく“深夜2時50分”に「エガちゃんねる」を公開する意味
「お前ら!死にたくなったら俺を見ろ!死ぬのがバカバカしくなるから!」
毎週日曜(月曜になった)深夜2時50分。
孤高の笑わせ屋、江頭2:50のユーチューブ「エガちゃんねる」の幕が開きます。
そして、このチャンネルの節目節目で江頭さんが叫ぶ言葉、それが冒頭の「死にたくなったら…」です。
初回動画でも、「神回1位」と評価いただいた花火大会でも、登録者250万人を突破した節目でも、江頭さんは“あたおか”のみんなに向けて、「死にたくなったら俺を見ろ!」「俺を見て笑え!」と叫んできました。
ちなみに“あたおか”とは、こんな「エガちゃんねる」を愛してくれる“頭のおかしい奴ら”のこと。
深夜2時50分というふざけた時間にもかかわらず、たくさんのあたおかのみなさんがこの時間に駆けつけ、応援してくれています。
本当に感謝しかありません。
更新頻度はチャンネル開設当初の週3回から週2回に減りましたが、日曜深夜2時50分に公開、という点は、江頭さんの芸名「2:50」以外にも理由があって、開設当初から守り続けているこだわりです。
地上波テレビでもそうですが、ユーチューブにもゴールデンタイムがありまして、18時〜21時頃がもっともユーチューブを見ている人が多く、その時間に動画を公開すると、たくさんの人に見てもらうチャンスがあります。
そのため、多くのユーチューバーはこの時間に動画を公開しています。
一方でこの日曜深夜は、数時間後にはみなさん仕事や学校のある日常が始まるので、もっとも視聴者不在の時間帯。
ではなぜ、更新頻度を変えるタイミングでこの「もっとも視聴者不在の時間帯」は変えなかったのか。
日曜深夜、この時間は統計的に「1週間で一番自殺者が多い時間帯」とされています。
多くの人が「仕事や学校に行くのがつらい」と悩んでいる時間帯。
だからこそ、「この日曜深夜2:50は外さない」と江頭さんと話し合い決めました。
悩んだり苦しんでいる人を一人でも笑顔にさせたい。
それはユーチューブを始めたときの江頭さんの目標でもありました。
人生にやさぐれたエガちゃんを救った、ビートたけしのラジオ
江頭さん自身、大学生のときに人生がイヤになり、やさぐれた時期があったそうです。
そんなときに救いになったのが、ビートたけしさんのラジオ番組。
つらいときにたけしさんのラジオを聴いて生きる希望が湧いたことこそ、「芸人になりたい」と思った原体験なのだとか。
そして、夢を叶かなえて芸人になってみると、“江頭ファン”はかつての自分のような人ばかり。
江頭さんは「俺のライブに来ている奴は、結婚はおろか、恋愛もまともにできないんじゃないか?って奴らばかり。俺はそんな奴らの救いになりたくてお笑いをやっているんだ」と語ったことがあります。
そんな江頭さんの思いのもと、「エガちゃんねる」は日曜深夜2時50分公開を守り続けています。
実際、ユーチューブのコメント欄でも「うつ病だったけど、江頭さんに励まされました」「会社に行くのがイヤだったけどエガちゃんを見て元気が出ました」といった投稿を見かけることは多く、僕ら自身もそんなコメントから勇気と力をいただいています。
「嫌いな男ランキング1位」のエガちゃんが「好きなYouTuberランキング1位」に
嫌いな男ランキング1位。抱かれたくない男1位…
数々の「嫌われた」逸話を持つ江頭2:50が「エガちゃんねる」を立ち上げたのは2020年2月1日のこと。
嫌われる男が、「好き」「LIKE」を評価軸とするユーチューブでやっていけるのか?
広告収益は得られるのか?
正直言って最初は不安の多い立ち上がりでした。
それがまさか、好きなユーチューバーランキングで1位になれるとは!
これには江頭さん本人が一番驚いています。
最初に投稿した「江頭2:50、YouTubeに参上!」のテーマは“お尻習字”。
お尻に極太の筆を挿し、額縁用に「エガちゃんねる」と一筆啓上してもらう動画は500万回再生に迫る大反響を呼びました。
が、グーグルの広告は審査落ち。
さらに2日後に公開した「ペットボトルロケット股間で白羽取り」も、18禁の年齢制限を受けて広告NGという散々な立ち上がりで、動画を2本公開して収益はゼロ。
正直このときは、自分たちが始めたことは間違っているのか、と心が折れかけました。
そんななかでも希望を見いだせたのが、開始9日でチャンネル登録者100万人を突破できたこと。
当初は1年くらいで達成できれば、と考えていたのでまさかの早さ。
100万人突破の日本最速は嵐さんの「開始1日」で、さすがにこれは抜けませんでしたが、それまで2位だった本田翼さんの「18日」を上回るスピード。
個人のチャンネルとしては日本新記録でした。
また、僕らと同日に、江頭さんにとって特別な盟友と言える草彅剛さんのチャンネルも登録者100万人を突破。
同じ日の大台到達には特別な縁を感じますし、とても嬉しいできごとでした。
この大きな節目の日に、江頭さんはこんな言葉をチャンネル内で叫んでいます。
「100万人突破したぜ!! いいか、お前ら!人間、すべてを失ってからが面白いんだよ!! 俺はどん底から這い上がっていくぜ!そして、これからもどんどん伝説作るぜぇー!」
この言葉は、まさに江頭さんの心の叫び。
ユーチューブ開始以前、江頭さんはまさに「すべてを失った」どん底状態にあり、そこから這い上がっていったのです。
エガちゃんねる革命この本を手にしてる頭のおかしいお前たちへ
「『ぷっ』すま」「めちゃ×2イケてるッ!」…俺が出てた数少ないレギュラー番組が全部終わって凹んでたとき、「ユーチューブやりませんか?」と誘ってくれたのが藤野D。
俺は今「エガちゃんねる」があるおかげで、毎日、楽しく生きている。
本屋でこの本を立ち読みしてる、お前!
いいか、もし死にたくなったら「エガちゃんねる」を見ろ!
死ぬのがバカバカしくなるから。
それと、この本を買おうか迷ってるなら「エガちゃんねる」を見ろ。
迷ってるのがバカバカしくなるから。
江頭2:50
ワクワク探って、着実に結果を残すチャンネル運用の裏側
ワクワクすることを追い求めて手探りで新しいチャレンジをしながら、登録者数や再生回数を伸ばしてきた「エガちゃんねる」。
『エガちゃんねる革命』(宝島社)は、“伝説の神回の誕生秘話”や“ボツにしたサムネ案”など、「こんなネタバラシして大丈夫?」の声もあがったというほど、チャンネル制作の裏側をたっぷり知れる一冊です。
YouTubeに限らず、逆境をチャンスに変えて面白い企画を打ち出したい方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
ビジネスパーソンインタビュー
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