ビジネスパーソンインタビュー
“空気壊し”のお作法とは…?
「置きにいった失敗は、誰もフォローできない」くっきー!流“空気を読まない仕事論”が深かった
新R25編集部
現在ABEMAで放送中の番組『BAZOOKA!!!』。
「空気を読まないジャーナリズム番組」を標榜しており、「10文字猥談」「放送NG演芸」などエッジの効いた企画を繰り広げています。
新R25では、そんな『BAZOOKA!!!』とのコラボ企画として、「空気を読まない仕事論」を実施。『BAZOOKA!!!』キャストの方々に「これまでの仕事で、空気を読んで良かったこと」などについて聞いていきます。
今回のゲストはくっきー!さんです。
【くっきー!】1976年、滋賀県守山市生まれ。吉本興業所属のコンビ「野性爆弾」のボケ担当。ネタや小道具作りまで担い、独特のクセになる芸風が人気を集めている。そのほか、画家やミュージシャンなど幅広い分野で活躍中
空気を読まない“奇抜な芸風”でおなじみのくっきー!さん。
そういう異端児的な存在って自分とは遠い世界の人のように思えてしまうけど、ビジネスの世界で考えても、ときに空気を読まず「言うべきことを言える」人が最終的には評価されているイメージがあります。
やっぱり、「空気を読まない人」のほうが成功するのか…?
この疑問に、くっきー!さんが答えます。
〈聞き手=サノトモキ(新R25編集部)〉
「僕が一番テクニカルなお笑いやってる」くっきー!の“空気壊し”の作法
サノ
「仕事で成功したかったら空気を読むな」とよく言われるし、実際に“ときに空気を読まずにぶっこめる人”が成功してる気がしていて…
やはりくっきー!さんも、空気を読まずに壊してきたから成功できたのでしょうか?
くっきー!さん
いやいやいや、空気を壊してる人=空気を読んでないというのは勘違いですわ。
僕が一番空気読んだお笑いやってるんちゃいます?
そうだったんですか?
くっきー!さん
番組のスタッフから「空気をぶっ壊してください」って言われても、ほんまにぶっ壊すわけじゃないですからね。
“壊すというテイの「賑やかし隊長」”みたいな感じで、人に迷惑かけないように壊してるんで。
サノ
人に迷惑かけないように壊すというのは…?
くっきー!さん
「ここはぶっこもう」「ここは引いとこう」のバランスはめちゃくちゃ考えてます。
信頼できる大ツッコミさんがいるとか、自分でボケを回収できるときはぶっこむけど…誰かがしゃべってるときは絶対に邪魔しません。
ちゃんとおとなしくして、腕も手羽先くらい小さくたたんでますよ。
大怪鳥の手羽先
サノ
空気を壊すには、繊細に空気を読むスキルが必要なんですね。
くっきー!さん
そうなんです。
僕とかザコシ(ハリウッドザコシショウ)みたいな奇芸人ほど、空気を読んだうえで「空気読まないキャラ」を提供するっていう、一番テクニカルなお笑いやってるんですよ。
ええ、どテクニカルです。
めちゃくちゃはっきり自分で言う
「地獄すべりの繰り返しでやっとたどり着いた」“空気壊しスキル”の習得法
サノ
ただ、「空気を壊して言うべきことを言う」ってめちゃくちゃ怖いというか、難しいと思うんです。
ビジネスパーソンが今から“空気壊しスキル”を身につけるとしたら、何から始めたらいいのでしょうか…?
くっきー!さん
そもそも、無理に身につけようとしなくていいんじゃないですかね。
わざとマニアックなことする人って、ダサいじゃないですか。
くっきー!さん
空気を壊したくて壊してるっていうよりは、もともと持っとった素養とか培ってきた発想とかで“壊しちゃってる”って感じなんで…
逆張りしてあえて流れと違う発言をする「注目を浴びたいだけの人」と、ここは絶対こうすべきだと「強い意志を持って流れと違う発言をしている人」との差は、どうしても出ちゃうとは思いますけどね。
ここにきて素養の壁が立ちはだかった
くっきー!さん
それでも身につけたいなら、もう徐々にしかないですよ。
僕も最初は、「空気読まない」を履き違えて好き勝手やってて…
ゴリすべり、地獄すべり、焼け野原すべりを繰り返して、やっとここまでたどり着きましたからね。
サノ
地獄…焼け野原…それはどういう…?
くっきー!さん
いまだに、これはあかんかったなと思ってるのが…
大阪の『オールザッツ漫才』っていう生放送のネタ番組に、野性爆弾として出させてもらうことがあったんですけど。
※オールザッツ漫才…1990年からスタートした、毎年12/29深夜〜12/30早朝にかけて放送される関西ローカルのバラエティ番組。吉本興業大阪の若手芸人らが集結し、ネタバトルを繰り広げる。過去には「FUJIWARA」「陣内智則」「霜降り明星」など多くの人気芸人を排出している
くっきー!さん
面白いかなと思って、漫才が終わって相方がハケた後も、しばらくその場で静止してたんです。
そしたら慌てたスタッフが、腕を回して「巻いてサイン」を出してきて。それもずっと無視して静止してたら、サインがどんどんでかくなって…
生放送のテレビ画面に、慌てたスタッフのグルングルンの腕が映りこんでたんですよ。
大事故
くっきー!さん
当時はそういう、でっかい岩をそこらへんにドン!って投げるようなことばっかやって怒られてたんですけど…
「何があかんかったんやろ」「じゃあ次はこのパターンで行ってみよか」っていうのを繰り返すうちに、いびつな引き出しがだんだん増えてって。
みんなが潰れないようにうまく穴に入れられるまで、投げ方をコントロールできるようになってきたんですよね。
くっきーさんの「空気壊し力」、センスじゃなく完全に“スキル”だった
“次も期待される人”が心得ている「良すべり」と「邪すべり」
サノ
僕もよく会議とかで、「本当はこうしたほうがいいんじゃないか…?」と思うことがあるんです。
でも、「流れを切ってまで出した自分のアイデアがすべったら」と思うと怖くて、結局いつも発言できなくなっちゃって…
くっきー!さん
空気を読まない発言をすると、大体すべりますよ。
でも、同じすべるんでも「良(りょう)すべり」と「邪(じゃ)すべり」ってのがあって。
「これは僕の造語なんですけど」
くっきー!さん
「良すべり」っていうのは、ホームラン打つためにフルスイングしてすべってる状態。いま生き残ってる芸人のほとんどが、じつはこれやと思います。
さっきの話でいうと、会議で「こうしたほうがいいんじゃない?」って自信満々に言って、堂々とすべるってことですね。
サノ
ここぞで思いきりすべっちゃって大丈夫なんですか…?
くっきー!さん
フルスイングしてることが伝われば、みんながフォローしてくれるし、次も期待してもらえるもんなんですよ。
逆に…三振しないようにビビりながら当てにいってすべるのが一番キツい。これが「邪すべり」ですね。
くっきー!さん
「良すべり」か「邪すべり」かは、まわりの反応ですぐわかります。
「良すべり」のときは楽屋に戻ったときも「お前何してんねん!」って盛り上がるんだけど、「邪すべり」のときはみんな「見てられへん」って感じで触れもしない。
サノ
ああ、これ仕事の現場でもあるあるかもしれない…
くっきー!さん
同じ業界でずっと生き残れてる人は、「邪すべり」してないんだと思いますよ。
「邪すべり」ばっかしてる人はだんだん周りとも気まずくなってきて、結果辞めていってしまいますからね。3回「邪すべり」したら、「邪引退」なんで。
聞いたことない怖い言葉がどんどん出てくる
サノ
できれば、空気を壊してでも言うべきことを言って、なおかつすべりたくないんですが…
そういうパターンはないんですか?
くっきー!さん
ああ、「良ウケ」したいってことですね?
サノ
「良ウケ」?
くっきー!さん
ホームラン狙いの大空振りを「良すべり」とするならば、ここぞの出番で“100点満点のど特大ホームラン”を打つのが「良ウケ」。
滋賀県でいう琵琶湖部分。あれが「良ウケ」にあたります。
琵琶湖ってそうだったんだ
くっきー!さん
ただね、もちろん僕もつねに「良ウケ」を狙ってますけど、相当難しいんですよ。
ダウンタウンさんみたいに、片手でバット振ってもバカスカホームラン打てる「ウケ人」もいるけど…そんな怪物ほんまに一握りなんで。
サノ
たしかに…
くっきー!さん
でも、だからこそ僕たちは、フルスイングして「良ウケ」を狙いにいかなきゃいけないんですよ。「良ウケ」狙って結果すべったとしても、「良すべり」にさえなれば必ずまた次につながるんで。
空気を読まずに空気壊すのもダメだし、変な空気の読み方して「邪すべり」になるのもダメ。
“チームのためにホームランを打つ”。このために「空気読まない」をやれてる人が、評価されていくんちゃうかと思いますね。
後半、めちゃくちゃかっこよく見えてきた…今日はありがとうございました!
高度な「空気を読まないスキル」があるからこそ、幅広い人に愛されているくっきー!さん。みんなに喜ばれる空気の変え方があるということがよくわかりました。
みなさんも「ここぞ」の勝負どころが来たときには、あえて空気を読まず果敢にフルスイングしてみてはいかがでしょうか!
〈取材・編集=サノトモキ(@mlby_sns)/文=ケイ・ライターズクラブ/編集=山田三奈(@l_okbj)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉
禁断のジャーナリズムバラエティ「BAZOOKA!!!」がABEMAで復活
2011年から2019年までBSスカパー!で放送され、過激な企画が話題を集めた番組『BAZOOKA!!!』が6月からABEMAで復活。絶賛放送中です。
くっきー!さんがベースを担当するスーパーバンド「ジェニーハイ」が誕生したきっかけともなったこの番組。
ABEMA版では小籔千豊がMCを務めるほか、くっきー!(野性爆弾)、中嶋イッキュウ(tricot)といったおなじみの面子に加え、新メンバーも参戦。
モデルで女優の“キコキコ”こと水原希子と、復活第1回から生まれたままの姿を晒すことになった格闘家・平本蓮が早速大活躍しています。
なおくっきー!さんのコメントはコチラ。
くっきー!さん
エロとかアングラとか、ぶっとんだ企画ばっかりなんでね…
『BAZOOKA!!!』こそ「良ウケ」狙いのフルスイング番組じゃないですか?(笑)
縮み上がってる若者にこそ、“恐れない”っていう姿勢を番組から感じ取ってほしいですね。
名物企画「高校生RAP選手権」をはじめ、ほかでは見られないアブない企画を続々オンエア。放送をお見逃しなく!
Don’t be afraid!
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