ビジネスパーソンインタビュー
「男性80%女性20%」→「女性60%男性40%」に。なぜ?
SKE→総FW数1000万AV女優→起業。「三上悠亜のキャリア」はなぜ“話題が絶えない”のか?
新R25編集部
今年6月、「所属事務所からの独立」「株式会社Missの設立」「アパレルブランド『ミストレアス(MISTREASS)』」など、AVデビュー7年目にして新たな挑戦を大々的に打ち出したトップAV女優・三上悠亜さん。
「SKE48」→「AV女優」「アパレルブランド立ち上げ」「SNS総フォロワー数1000万超え」、そして今回の「独立」。シンプルに浮かぶ疑問は、「なぜこんなに途切れることなく“キャリアの山場”をつくりつづけられるのか?」。
我々R25世代のビジネスパーソンも、年を重ねるごとに振られるチャンスが減り、自らのキャリアに「デカい山場」をつくることが年々難しくなっていくもの。
今回は私たちと同じひとりの“ビジネスパーソン”として、三上悠亜式「話題が絶えないキャリアのつくり方」を徹底的に言語化してもらいました。
〈聞き手=サノトモキ〉
【三上悠亜(みかみ・ゆあ)】2015年6月にAVデビュー。キャッチフレーズは、“元国民的アイドルグループ”。「DMM.R18 アダルトアワード2016」最優秀新人女優賞と最優秀作品賞を合わせて4冠受賞。2018年、ガールズユニット「HONEY POPCORN」を結成し、韓国でデビュー。現在SNSのフォロワー総数は1000万人超え。2022年6月に独立を発表、株式会社Missを設立し活動の幅を広げている
三上悠亜式“キャリアの山のつくり方”①「焦りをデザインせよ」
サノ
今日は、三上さんに「キャリアの山場のつくり方」を教えてもらいたいんです。
ここまで次から次へと再現性高く“キャリアの話題”を生み出しつづけているご活躍ぶりを見ると…やはり何かコツがあるのでしょうか?
三上さん
私、基本直感で決断するタイプなのでカッコいいコツとかなくて申し訳ないんですけど…(笑)。
自分の経験を振り返ってひとつ言えるのは、「人は“焦り”がなければ絶対に動きださない」ってことですね。
「何をやるか」以前に、「いかに“焦り”をデザインするか」が圧倒的に大事だなって。
三上さん
それこそ今回の独立も、「2、3年悩みに悩んで、ようやく今年決心できた」というのがリアルなお話なんですよ。じつは(笑)。
サノ
そうなんですか!?
三上さん
今回の独立って、「会社に決めてもらうんじゃなくて、自分で意思決定したい」というのが一番の理由だったんです。
事務所に支えてもらってた部分もたくさんある一方、大事な意思決定が全部上で決まってしまうことがすごくもどかしかったんですね。
アパレルブランドにしても、私が関われない範囲とか、やりたかったけど結局ぽしゃっちゃったこととかがけっこうあって。
サノ
ほうほう。
三上さん
でも結局そこから2、3年、「独立したい」って思える時期と「今のままでいいや…」って思う時期とですごく波があって、何もできなかったんですよ。
「事務所にいるのが一番安定してる状態だし…」って自分を説得したりして。
三上さんほどのトッププレイヤーでもそんなふうに悩むんだな…
サノ
そこから独立に踏み出せたのは、いったい何がきっかけだったんですか?
三上さん
“タイムリミット”を設定していたおかげです。
私今年で29歳なんですけど、20歳でアダルト業界に入ったときに「30歳で引退する」ってインタビューで宣言していたんですよ。
そのリミットが近づいてくるにつれて、「何か行動を起こして次につなげなきゃ」って焦りがどんどん膨れ上がってきて、昨年くらいにやっと本気で考えはじめて。
サノ
たしかに、「追い込まれてはじめて本気出す」はすごくわかる気がします…。
三上さん
やっぱり人間って、決断を迫られてはじめて危機を感じるじゃないですか。「まだ大丈夫」と数パーセントでも思ってるうちは、絶対動かないんですよね。
だから、自分でタイムリミットを引いて、「時間との戦い」に持ち込んで、“焦り”を意識的にデザインする。
これが「キャリアの山場」をつくる一歩目かなって、私は思ってます。
想像以上に実践的な内容から取材がスタート。次なるコツは…?
三上悠亜式“キャリアの山のつくり方”②「やるべきことはニーズのなかにあり」
サノ
ただ、焦りはあるけど、「どんな山場をつくればいいかわからない」という理由で動き出せない人もけっこういる気がしていて。
三上さんは、どうしてそんなに「次何に挑戦するか」を思いつくんですか…?
三上さん
じつはこれ、私なりの“鉄板の見つけ方”がありまして。
なにそれ知りたい…!
三上さん
必ず「求められること」を見つけてから「やりたいこと」を探すんです。
サノ
求められること…自分のニーズ的なことですよね。
でも、「やりたいこと」より「求められること」を優先しちゃうとモチベーションが上がらないのでは…?
三上さん
私は、そこが逆だと思ってるんですよ。
「やりたいこと」から探しはじめてしまうと、結局「うまくいくかわかんないから」って理由でやめちゃうことが多い気がしていて。
「やってみたいけど食べていけるかわかんないし…」みたいな。
サノ
…たしかにそうかもしれません。
三上さん
でも、他人から求められてることって少なからず「できること」じゃないですか。
自分の何かしらの実績を見て、需要って発生してるわけで。
“やってみたい”より、そういう“できそう”のほうが新しいスタートを切るエンジンとしてじつは強いって私は思うんですよね。
もしかして、次々と挑戦できる人の特徴ってこれなのかも
三上さん
だから私、「三上悠亜」としてデビューしてから本当に毎日毎日エゴサして自分の需要をリサーチして、「求められていること×やりたいこと」を見つけてきたんですよ。
それこそ今回、思い切って「株式会社Miss」という“女性ファンに向けた社名”で設立したのも、完全にその流れで。
サノ
どういうことですか?
三上さん
前回の取材でもお話ししたんですけど、私の究極の目標は「“AV女優”というキャリアの先でも、女性が自立して生きていけると証明すること」なんですね。
そのためには、「今観てもらえてるからいいや」じゃなく、30代、40代、自分がAVに出られなくなったときに長くつづけられることを見つけておかなきゃいけない。
そういう視点で需要をリサーチしつづけていたら、3年前くらいに、私を求めてくれる“熱量の度合い”に、男性と女性で差があると気づいて。
サノ
熱量の度合い、ですか。
三上さん
考え方や生き方が好きと言ってくださるのは明らかに女性ファンが多かったですし、何より注目したのは女性の「反応速度」。
当時は、イベントを開催すればお客さんは「男性80%、女性20%」くらいの割合。
でも、チケットをいち早く購入してくださるのは圧倒的に“女性”だったんですよ。
急に一流マーケターみたいな分析角度
三上さん
もちろん80%を占める男性のAV需要もうれしいけど、アダルト業界を卒業したあとでも私を応援してくれるのはきっと20%の女性ファンの方々だと思ったんですね。
なので、「女性に熱量高く応援していただいている」という需要と、私のやりたいアパレルを掛け合わせて、“女性に支持されるAV女優”というキャリアの山場を本気でつくってきたんですけど…
じつは今、比率がひっくり返ってるんですよ。「女性60%、男性40%」に。
サノ
需要とやりたいことをかけあわせて、着実に究極目標に近づいてる…
かっこよすぎる。
三上さん
AV女優である自分が「女性ファンのほうを向いた会社を設立する」という挑戦に踏み切れたのって、「女性60%」まで需要を育てたからこそ“できそう”と思えた部分が絶対あるんですよね。
だからやっぱり、つねに「求められていること」を起点に考えるというのは大事かなって。
「三上悠亜」の需要を見極める力に関しては、事務所よりも自分の方があったと思ってますし、これからも常に自分が一番自分の需要をわかっていようと思ってます。
「アイドル時代にこれができてたら、また違ったのかな…(笑)」
三上悠亜式“キャリアの山のつくり方”③「小さな成功体験を見つけよ」
サノ
三上さんが想像以上にストイックな分析家でびっくりしてるのですが…
ほかにも何かポイントってあったりしますか?
三上さん
お話ししてて思ったんですけど、ストイックに自分を追い込んだり分析したりする一方で…
「“継続力”の成功体験を上手に見つける」ことも、私は大切にしてる気がします。
三上さん
何事も、成功の肝になるのって結局は「継続力」以外にないと思うんですけど…
「自分は継続できる」という自信を持てているかどうかで、スタートを切れるかどうかもけっこう左右されると思っていて。
サノ
めっちゃわかります…ダメな意味で…
三上さん
あっいや、私も継続するのって本当に苦手で!(笑)
ダイエットも、日記も失敗してきて。プライベートではだめだめなんです。
トッププレイヤーにも意外な隙が?
三上さん
でもこと仕事に関しては、じつは「継続できていること」って意外とあるんですよ。
私の場合「SNSは毎日欠かさず更新してる」なんですけど、仕事をしてる以上絶対何かあって。
どれだけ小さなことでもいいから「自分の継続してきた仕事」を肯定してあげる。ここは、ちょっとだけ自分に甘くなっていいと思うんですよね。
サノ
「自分にも何か一つは継続してきたものがある」と自信を持てと。
三上さん
私も何度も折れそうになって、「もうやだ」とか「もう無理」とか思うんですけど。
でもそういうときほど、仕事で大きな成果がなくても「数年前よりはマシになってる」とか、「ここまでなんとかやってきたじゃん」とか…
“これまでのキャリアの肯定”も、挑戦のエンジンとして欠かせないって最近思うんです。
「これまでのキャリアの肯定」。やさしくて素敵な視点だ…
三上さん
リミットを決めて「このままじゃまずいぞ」と自分のおしりを叩く一方で、自分の過去は認めてあげる。
この2つで一歩を踏み出す勇気をつくったら、「求められるなかで見つけたやりたいこと」に向かうだけ。
…って感じなのかな、私の場合。こんな感じで大丈夫ですかね!?
サノ
●「焦りをデザインせよ」
●「やるべきことはニーズのなかにあり」
●「小さな成功体験を見つけよ」
三上さんが高速回転で“キャリアの山場”をつくれる理由、めちゃくちゃ納得度高かったです…!
三上さん
いえいえ、私本当に伝えたいことを言葉にするのが苦手なので、こうやって言語化していただけるのは本当にありがたいです。
また何かお願いしたい…(笑)。
最後にこちらを上げてくださるホスピタリティ、プロすぎる。今日はありがとうございました!
最近キャリアが停滞している…そんな焦りが募ったときには、タイムリミットを引いて、求められていることのなかからやりたいことを見つける。そして「少なくともここまでやってきた」と自分を認めて、一歩を踏み出す勇気をつくる。
そんな強かさと優しさが両方詰まった“三上式”をぜひ試してみたいと思いました。
ちなみに、三上さんが株式会社Missの設立とともに発表した新アパレルブランド「MISTRESS(ミストレアス)」には、「MISS(理想の女性を)×TRACE(映し出す)」という隠しメッセージが込められています。
いまだ向かい風にさらされることも多い“AV女優”という職業で戦う三上さんが、「理想の女性を映し出す」と宣言すること。その決意に尊敬の念を表しつつ、終わりとさせていただきます。
〈取材・文=サノトモキ(@mlby_sns)/文・編集=ケイ・ライターズクラブ/撮影=森カズシゲ〉
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