ビジネスパーソンインタビュー
澤田智洋著『わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術』より
名だたる広告コピーから学ぶ「上手な褒め方」5選。相手を“ハッ”とさせる目の付け所とは?
新R25編集部
「ホメるのが苦手」「どうホメてよいかわからない」「セクハラにならないか心配」など、ホメることが難しいと感じる瞬間はありませんか?
そんなとき、コピーライター・澤田智洋(さわだ・ともひろ)さんが実践する思考法「ホメ出し」で、悩みを解決できるかもしれません。
澤田さんの著書『わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術』から、プロが解説する「広告コピーのうまいホメ出し」を一部抜粋してお届けします。
この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・コピーライターになりたい人
・ヒットするコピーを作りたいコピーライター
コピーライターは「ホメ出し」のプロ
コピーライターはどうやってコピーを書くのでしょうか?
そこには、基本姿勢とステップがあります。
まずは対象となる商品や企業に「惚れる」こと。
そして徹底的に「観察」をする。
すると、必ず魅力の「発見」へとたどり着きます。
あとは適切な言葉でそれを「表現」する。
これでコピーの完成です。
徹底的に相手の魅力を観察し、発見し、そして言葉にする。
この仕事をつづけるうちに、知らず知らずのうちに、私は広告作業だけではなく、周りの大切な人とのコミュニケーションにも、この前向きなコピーライター思考を応用するようになっていきました。
ホメるとは、相手のキャッチコピーを考えるようなものなのです。
一連のコピーライター思考を人に対して行うことを、私は「ホメ出し」と呼んでいます。
私の場合は、惚れレンズを装着して、観察魔になって、ハッとした瞬間を逃さない。
この、ホメ出しのホップステップジャンプを繰り返しています。
ただの意識改革と努力の積み重ねなんです。
だから、誰でもコピーライターになれるし、誰でもホメ出しができる。
私はそう確信しています。
うまいホメ出しコピー① 品川区×新発見
「相手にこんな魅力があったんだ!」というあなたの新発見が、「私こんな魅力あったんだ!」と、相手にとっても新発見である。
だけど、いちばん難易度は高い。
でも、不可能ということではありません。
例えばこちらのコピー。
わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術名古屋まで2駅
大阪まで3駅(品川区)
見た瞬間「そうきたか!」と思いました。
品川区の魅力は、しなわが水族館や、品川プリンスホテルのプールなど、わかりやすいものが山ほどあるわけですが、「その魅力があったか!」という点を突いていますよね。
しかも鮮やかな表現で。
このコピーのような新発見は、なかなかできるものではありませんが、好例として自分の中に持っておくだけで、ホメ出しの精度は上がります。
うまいホメ出しコピー② ダスキンの天然水×ストレート
「ストレート系」
発見した相手の魅力をまっすぐ表現する。
ホメ出しの9割は、この伝え方で大丈夫です。
「いいなあ!」とハッとしたら、なぜそう感じたかを、そのまま言葉にします。
「どんどんアイデアが出てきて頼もしいよ」
「先輩が会議をリードしてくれると、みんな安心して発言できます」
「ドリブル突破するとき、よく周囲を見ているよね」
これは、
「ハッ!Aさんってどんなときもアイデアがわいてくるんだな!」
「ハッ!先輩がいると、みんな安心して闊達に意見を言うようになる!」
「ハッ!B君って、ドリブルするとき細かくあちこち見てる!」
という発見を、そのままストレートに伝えています。
もう、十分伝わりますよね。
しかもそれが、「え、自分ってアイデアそんなに出しているっけ?」「私がいることでみんなが安心して発言できるなんて知らなかった」と、相手にとって新発見系のホメ出しであればなおのこと。
手の込んだ表現はいりません。
素材が美味しければ、そのまま塩もかけずに食べるのが一番の贅沢なのです。
キャッチコピーをお手本に見ていきます。
わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術どれだけ料理が上手でも、
水の味はつくれません。(ダスキンの天然水)
表現としては直球です。
だけど、やはりそこには発見があります。
確かに水の味はつくれません。
「確かに、◯◯さんは気配りが上手だ」のように、確信を持ってホメ出しするときには、直球で十分なのです。
ホメ出しも同じです。
発見に至った場合、それ自体にニュース性があるため、まずは直球勝負でいいのです。
うまいホメ出しコピー③ カロリーメイト×例える
「例える」
ストレートにホメるのではなく、何かに例えて伝える手段です。
わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術それは、小さな栄養士。(カロリーメイト)
「カロリーメイトさんって、栄養満点ですよね」とホメる代わりに、「カロリーメイトさんって、小さな栄養士ですよね」と例えているわけです。
例えることによって、一層印象的に伝わりますよね。
コピーライターって、伝えるプロだな、と改めて思います。
例えるときのコツは、「一番極端な対象物」を持ってくることです。
例えば、ホメる相手が「誰よりも優しい」というよさを持っていたとしましょう。
優しいものは何だろう?と考えるのです。
なんでもいいのですが、「Aさんって優しすぎて、ある意味平和活動家ですよね」と伝えてみる。
もちろん、直接的に「Aさんって優しいですよね」と伝えてもいいです。
しかし、「例える」とは、再発見系ホメ出しにおいて有効です。
つまり、相手がもう何度も「優しいよね」と言われているであろう場合。
その魅力が自明で、相手が言われ慣れている場合。
例えを使ってホメ出しすることで、相手の印象に残りやすくなります。
うまいホメ出しコピー④ 金沢市×遠回りな近道
「遠回りな近道」という手法もあります。
ちょっとニッチですが、面白い表現法です。
直接伝えるとありきたりになってしまうことを遠回しに伝えることで、そのもどかしさにより、言葉がチャーミングになります。
わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術金沢に来るなら、
春か夏か秋か冬が
いいと思います。(金沢市)
これが直線的な表現だったら、どうなっていたでしょうか。
「金沢は、一年中おすすめ。」などになるでしょう。
でも、遠回りをすることにより、「春」「夏」「秋」「冬」という言葉たちを拾うことができます。
結果、「金沢は年中最高!」というメッセージを、直接伝えるよりも深い伝達度で伝えています。
そう、「遠回りすることによる近道」なのです。
これも、再発見系のホメ出しにおいて有効です。
相手が言われ飽きているかもしれないホメにおいて使ってみる。
例えば後輩に対して、「面倒見がいいよね!」と近道するのではなく、「父性と母性、両方あるよね!私の両親になってほしい」と、遠回りする。
まどろっこしいんだけど、その分印象的に相手の魅力を指摘する。
ニッチですが、こういう一手も持っておくと、ホメ手が増えます。
うまいホメ出しコピー⑤ セメダイン×細分化
やはりコピーを書くときにも、企業や商品の魅力をとにかく細かく分解して、言語化することがよくあります。
その方が、具体性を持って魅力が伝わるからです。
例を見ていきましょう。
例えばみんなが知っている接着剤のセメダイン。
過去、こんなコピーがありました。
わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術ビールと同じくらい、「とりあえず」が似合う。(セメダイン)
セメダインのよさってなんだろう、と細部を探った結果、「代替品がない」というポイントに行き着いたのでしょう。
名作です。
このコピーは、これ以上細かく分解できないぐらい、木というよりも枝葉に着目しています。
細部の輝きを求めることで、ハッとする表現にたどり着くことがあるんです。
例えば丁寧な仕事に定評がある後輩がいたときに、「いつも丁寧に仕事するよね、ありがとう」と森を見るホメ出しをしてももちろんいいです。
十分相手に伝わります。
ただ、もしあなたに余裕があれば、この言葉を分解してください。
「何度も抜け漏れがないか資料チェックしてくれるよね」「毎朝誰よりも早く出社して、確認時間を多く取ってくれているよね、ありがとう」とホメ出ししてみましょう。
広告コピーに学ぶ「ホメ出し」のテクニック
「ダメ出しから、ホメ出しへ」
「ホメ出しすることにより、前向きなドミノ倒しの連鎖がはじまる」
同書では、広告キャッチコピーからホメ出しの技術をわかりやすく紐解いていきます。
明日からホメたくなる技が存分に詰まった一冊です!
ビジネスパーソンインタビュー
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