ビジネスパーソンインタビュー
機械的な魅力って、代替可能なんです。
「3点で述べる」は、人間が“機械に成り下がる行為”だ。若新雄純がR25世代に伝えたいこと
新R25編集部
「ABEMA Prime」で木曜日のコメンテーターを務める若新雄純さん。
ニートの方々を取締役として雇用することで居場所をつくる「NEET株式会社」や、女子高生が主体となってまちづくりを進める「鯖江市役所JK課」などの社会的実験を多岐にわたり企画・実践する実業家です。
日々「コミュニケーション」をテーマに活動する若新さんが、主体的に仕事や人生をたのしみたいと思っているR25世代に“もっとも伝えたいこと”とは?
思わぬ切り口から納得感のあるお話をいただいたので、ぜひ最後までご覧ください。
「3点で述べる」のをやめたほうがいい
今の若手ビジネスパーソンの方々は、「3点で述べる」とか「簡潔に述べる」のをやめたほうがいいと思うんです。
みなさんは、自分が仲良くしたい人に「要するに何?」なんて言われたら悲しくないですか?
そんなことを求められてうれしい人なんていないですよね。
仕事って人間関係で成り立っているものなのに、「簡潔に話せるようになること」が優秀な人材になるためのステップだと思われている。
僕はそんな風潮を、ちょっと怖いとすら感じています。
合理性を求められるのは、「機械」として見られているから
そういう空気が広まっているのは、身の回りにあふれている機械のせいだと思うんです。
最近の家電とかスマホって、どんどんシンプルになっていますよね。
余計なものを極力省き、「1、2、3」とボタンを押せば自動でスタートする。
そんな効率化された社会のなかで、つい人間にも同じように効率を求めてしまっているのではないでしょうか。
上司からすると、それに応えてくれる部下はマネジメントしやすいですよね。
犬に「お手」と言ったら手をパシッと出してくれるのと同じように。
僕らが「3点で述べる」スキルを身につけることに必死になればなるほど、どんどん上司はあなたを「人間」ではなく「機械」として扱うようになってしまうと思います。
機械的な魅力は代替可能。マシンに成り下がってはいけない
「3点で述べる」とか「簡潔に話す」って、頭をシステムのように活用できるカッコよさがありますよね。
でもそれは、「iPhoneがカッコイイ」「洗練されたノートパソコンがカッコイイ」と言っているのと同じだと思うんです。
みんな、いくら気に入っているマシンでも、スペックが下がったらすぐに捨ててしまいますよね。
機械的な魅力って、代替可能なんです。
僕も上京したばかりのときには、よく「自分のことを簡潔に説明できたほうがいいよ」と言われていました。
でも寂しがり屋の僕は、「理解しやすい人」ではなく、「興味を持たれる人」になりたかった。
だから話を振られたときには、“ギリギリまで自分の時間を引き延ばす”ようにしていました。
もちろん、「若新って話が長いよね」と言われることもあります。
でもそんなときは、素直に凹みつつ、「話が長くても面白いと思ってもらうにはどうすればいいのか?」を考えるべきだと思うんです。
無理に短く話すのではなく、いかに“長くても聞いてもらえる話”をするか。
機械的な魅力を求められて、それにマシンとして応えてしまったら、マシンに成り下がってしまう。
僕はそれがイヤなんです。
喜怒哀楽を言葉にして、「自分は人間なんだ」と主張しよう
もちろん、みんながいきなり長くて面白い話ができるとは思っていません。
でも、短い言葉にまとまりきらない感情や感覚は、誰しもがたくさん持っている。
それを「どうしたら相手と共有できるか」という工夫をするのが人間らしい営みだと思うんです。
その努力をせずに簡潔に話すことを優先してしまったら、自分の内側にある“言葉にする前のもの”をどんどん忘れていってしまうじゃないですか。
だから、みんな喜怒哀楽に関する言葉をもっと口にして、「自分は人間なんだ」ともっと主張したほうがいい。
たとえば、「さみしい」ってとても人間らしい言葉ですよね。機械は「さみしい」なんて言いませんから。
自分の感情を表現するのは少し勇気がいることかもしれませんが、僕の経験上、どんな人でも伝えれば必ず反応してくれます。
マスコミの人だって、外コンの人だって、役所の人だって、みんな同じ人間ですから。
人に粘着することで運を引き寄せられる
僕はそうやって働いてきた結果、すごく運がいいキャリアを歩んできていると自信を持って言えます。
面倒くさい性格だし、締め切りを守れないことも多い自分ですが、幸いにも一度きりで終わる仕事はほとんどありません。
それは、常に人と働いていることを意識して、人に粘着してきたからだと思います。
アベプラに出演したときなんか、いつも若新の液でベチャベチャにしてますから(笑)。
こんな自分を受け入れてくれる人たちがいることはすごくありがたいし、その人たちのためには自分も心から頑張ろうと思える。
これってとてもいい循環ですよね。
たくさんの優秀な人たちがひしめいている社会で頭ひとつ抜け出すには、この粘り強さが大切だと思うんです。
令和になっても、なんだかんだ世界は人間関係で成り立っていると思います。
カタチは変わりつつも、根底にある「人間臭さ」や「愛おしさ」は失われていない。
だから、効率化された社会にあわせて進化することだけを考えるんじゃなくて、じっくり立ち止まって、ぜひ人間というものを深く味わおうとしてみてください。
新R25YouTubeチャンネルでインタビュー動画も公開中!
毎日忙しく働いていると、つい多方面に効率のよさを追い求めてしまうもの。
そんな世の中で、“自分はこういう人間なんだ”とまわりに理解してもらうことを諦めず、人との縁からチャンスを掴んできた若新さん。
人間関係を築くための小さな努力の積み重ねが、魅力的なキャリアにつながっていく。現代に生きる我々が忘れかけていた大切なことを教えてもらいました。
〈執筆=清水紗良(@r25_shimizusara)/取材・編集=渡辺将基(@mw19830720)〉
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