ビジネスパーソンインタビュー
堀江貴文著『やりきる力』より
「父親が自己破産寸前でも助けません」堀江貴文が考える“本当の親孝行”
新R25編集部
社会人として働きはじめ、自分でお金を稼げるようになった今、「そろそろ親孝行をしよう」と考えている人もいるはず。
親にプレゼントを送ったり、旅行に連れていったりして、これまでの感謝を伝えたいですよね。
ただ、実業家の堀江貴文さんはそれに対し、「親のほうは、子どもからの贈り物を、親孝行とは考えていないんじゃないか?」と、新著『やりきる力』のなかで疑問を呈しています。
今回は同書より、堀江さんの考える「本当の親孝行」について抜粋してお届け。父の日が近づいている今こそご覧ください。
「感謝の言葉」や「形のあるプレゼント」だけが親孝行ではない
親孝行とは、何だろう?
普通に学生生活を過ごし、一定の年齢になり自立して生活できるようになると、多くの人はそんなことを考え始めるのではないかと思う。
親孝行の代表的な行為は、感謝を述べることだ。
親の誕生日には必ずお祝いLINEを送ったり、感謝の言葉を添えてプレゼントを届ける人も少なくないだろう。
僕も両親には、定期的ではないけれど、旅行とか、クイズ番組で獲得した優勝賞品とかを贈ったりしている。
特に親に感謝を伝えることはないけれど、世間一般の人がやっているような贈り物とかメッセージは、最低限渡してきたつもりだ。
だが親のほうは、子どもからの贈り物を、親孝行とは考えていないんじゃないか?
もちろん親孝行として嬉しい親も多いとは思うけれど、子どもからの働きかけで本当に心が満たされるものは、形のあるプレゼントではないだろう。
質問者「父親が自己破産寸前だったら助けますか?」堀江貴文「助けません」
やりきる力
以前、僕のメルマガに
「堀江さんがライブドアの社長をしていた頃、もし父親に数千万円の借金があって自己破産寸前の状況だったら、助けていたでしょうか?」という質問が届いた。
僕は「助けません」と、即答した。
僕の知らない貸し付け担保とかがあったら別だが、普通に自己破産して借金を整理してもらうだろう。
それを親不孝だと、僕の親は思うだろうか?
きっと思わない。
「それでいいんだ」と納得するはずだ。
息子が毅然と、親の借金を自分とは切り離す。
そして、最も法的に正しい自己破産を勧めるリテラシーを身につけてくれることこそ、本当の親孝行ではないだろうか。
むしろ、子どもが借金を嫌がらず引き受け、債務者となることを親孝行だと感じるような親だったら、親としての資格を大きく損失している。
縁を切るべきだ。
親を物質的に満たしたり、親の言うことを聞いたり、欲しいものに応じることが親孝行ではない。
僕も一応は人の親なので、わかる。
子どもがモノをくれたり、言うことを聞いてくれたって、そんなに嬉しくはない。
親の感じる理想の親孝行は、ただひとつ。
子どもが元気で、思うままに、好きなように生きていることだ。
本当の親孝行は「子どもが自己肯定感を持って伸び伸びと生きる」こと
子どもが自己肯定感を持って伸び伸びと生きていることが、親の一番の喜びだ。
チャレンジ精神がなく、親の機嫌を伺い、何事にも臆病。
好きなことを見つけられず、自信も意欲も好奇心も失った人生を子どもに過ごしてほしい、などと願う親がどこに存在するだろう?
もしいるのだとしたら、完全に無視していい。
親に気に入られようとして、やりたいことをやらず聞き分けのいい子のふりをするなん て、親不孝のはるか前に人生の損害だ。
親の制止なんか振りほどき、親を怒らせるぐらい、思い通りに生きろ!
それは、思いついたら何をやってもいい「自由な時代」にタイミングよく生まれた、あなたたちの責任でもある。
僕は子どもの頃から、親や教師が仕掛けてきた「〇〇してはダメだ!」の禁止の縄を振りほどいて、好きなように生きてきた。
どれだけ大人から言葉巧みに禁止を押しつけられても、その言い分の論理破綻を言い当て、断固として拒否してきた。
大人の言い分が、論理的に通っているなら従おう。
でも、理屈が通らないものには、絶対に従わない。
そのように自分のポリシーを貫いて決断を繰り返し、自由に行動できる環境を得たときこそ、大人への本当の感謝が湧き上がるものだろう。
親に借金をしてパソコンを購入。堀江さんが感謝する、中学生時代の親の教訓
やりきる力
中学生時代、パソコンにのめり込んだ僕は、高度なプログラムができる「PC‐88FR」が欲しくなった。
しかし本体とモニターを合わせれば、廉価版でも20万円以上した。
僕はダメ元で親に相談してみた。
ダメ元だから半分あきらめていたが、意外な答えが返ってきた。
「お金を貸してやるから、新聞配達のバイトで返せ」。
僕は即、了承した。
新聞配達は毎朝早くに起きて、基本的に休みの取れない仕事だ。
学校に通いながらの配達は本当に大変だったが、挫けずにやり続けた。
そして、親が「PC‐88FR」を買ってくれたのだ。
もちろん、代金は配達で「完済」した。
この体験をもとに、僕は起業家としての指針にもなる大事な教訓を学んだ。
借金は悪いことではない。
むしろスピーディーに目的を達成したり、いい体験を先行して得られるなら、借金をためらってはいけない。
親に借金して高いスペックのパソコンを買い、その後アルバイトに励んだ。
これは、確かな成功体験だった。
お金を使って、時間をショートカットする。
この合理性を僕は学んだのだ。
この「ショートカット思考」は、現在まで活かされている。
一番役立ったのは、会社の買収事業のときだろう。
ゼロから会社を成長させていくよりも、お金を使ってある程度の信用値を持った企業を買ってしまうほうが、ビジネスとしては合理的だ。
ここでショートカットされた時間の価値は、計り知れない。
また、このショートカット思考はお金だけでなく、人的資源にも通じるものがある。
僕は他人に力を借りる名人だから、自分でできないことや時間を取られそうなことは、 即断で他人にお願いする。
決して、自分で何とかしようと、もがいたりしない。
「できないから、ちょっと助けてください」と、どんなときでも頭を下げられる。
とにかく、僕にしかできないことを消化するための時間が最優先なのだ。
僕ほどプライドやメンツにこだわらず、他人の手を借りるのに躊躇しないビジネスパーソンは少ないかもしれない。
時間を先取りできる行動法を教えてくれた親には、とりあえず感謝している。
コツ・正解・近道なんか、ない。「やりきる」と覚悟を決めて淡々と実行するだけ
「ホリエモンは成功するための上手いコツとか、ショートカットの方法を知っているんじゃないの?」
堀江さんに対してそんなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実際は「驚くほどに何のひねりもないことしかやっていない」のだそうです。
すぐに諦めてしまう人や集中力が続かない人は、「誰でも“やりきる人”になれる方法」がわかる同書を、ぜひ読んでみてください。
堀江さんの心強いアドバイスを受けて、なんだかやりきれそうな気持ちが湧いてくるはずです!
ビジネスパーソンインタビュー
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