ビジネスパーソンインタビュー
村上臣著『転職2.0』より
“ゆるくて広いネットワーク”が肝。「誰もが4回は転職する時代」を生き抜くコツとは
新R25編集部
「我慢しながら働く時代はもう終わった」
「変わらないことのほうがリスクの時代」
と、「LinkedIn(リンクトイン)」の日本代表を務める村上臣さんは言います。
村上さんは、国内外の雇用事情に精通したキャリアのプロ。
そんな村上さんが考える「正しい転職の価値観」とは、どのようなものなのでしょうか?
著書『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』より、「転職1.0(旧型のキャリアの価値観)」から「転職2.0(新型のキャリアの価値観)」へとシフトする「転職のあり方」について抜粋します。
誰もが4回は転職を経験する時代
これまで日本の新卒学生は、実際に配属されるまで自分がどんな仕事をするのかわからないまま会社に入社していました。
どんな仕事をさせられるかわからないデメリットよりも、雇用の安定や会社のネームバリューといったメリットを重視していたからです。
まさに就職ではなく「就社」です。
そして、とにかく大企業に入社すれば一生安泰というムードがありました。
しかし、これからはそうはいきません。
もはや上場企業も倒産リスクと無縁ではない時代です。
しかも、今は「人生100年時代」と言われています。
企業の平均寿命よりも、個人の労働寿命のほうが長くなっており、新卒で入社した企業で定年を迎えたとして、それ以降も働き続けたいと思ったら、必然的に転職を経験することになるわけです。
今後、一人の人が職業人生において転職を経験する機会は確実に増えていくはずです。
世界的に見ると、アメリカの労働者の平均勤続年数は最も短く4.2年。
日本は11.9年(データブック国際労働比較2018より)。
大学を卒業して65歳まで約40年間働くとして、12年刻みで転職していけば、約3.6回転職する計算になります。
現状では、1社でキャリアを続ける人と平均以上の転職を繰り返している人に二極化しているのかもしれませんが、いずれは一人が3〜4回くらいの転職を経験することが当たり前になると予想しています。
転職のチャンスはネットワークから生まれる
会社が出すオフィシャルな情報には、基本的に「よく見せよう」というバイアスがかかっています。
いい・悪いの問題ではなく、会社は自社をできるだけよく見せようとするものです。
転職先候補となる会社の実像を知ることができるかどうかは、自分が持つネットワークにかかっています。
精度が高い情報を入手できれば、転職時のミスマッチは起こりづらくなります。
また、ネットワークがあれば転職のチャンス自体が増えます。
「転職したい」「自分に変化を起こしたい」と思ったとき、自分が持つネットワークに情報を流せば、「それならこういう会社でこういう人を欲しがっていたよ」という話が寄せられる可能性があります。
つまり、転職先を紹介してもらえる確率が高まるのです。
実際、私は自分のネットワークの中で、誰かに転職先を紹介する機会を日常的に持っています。
私自身、ヘッドハンティングを本業にするつもりはないのですが、何度かリファラルに関わるようになって気づいたことがいくつかあります。
一つは、重要なポジションほど、最初は水面下で採用が進められるということ。
会社はまず水面下(つまり推薦や紹介)で人材を確保しようとします。
それでも思うような人がいなかった段階になって、初めてオープンな場で募集するのです。
ですから、最も重要な情報を得るためにはネットワークを作っておくことが一番なのです。
転職をサポートする「ゆるくて広いネットワーク」の築き方
「ネットワークづくり」というと、一般的には学生時代の同級生や、自分が働いている会社の中など近しい人間関係を深めていくようなイメージがあると思います。
しかし、ここでいうネットワークづくりは、「ゆるいつながりを広範囲に広げていく」行為を意味します。
① 他社で働く同じ業界の人とつながる
つながりを広げていく際には、まずは他社で働く同じ業界の人、もしくは関連する業界の人からつながっていくのが望ましいでしょう。
こういった人たちとつながることで、自分がやっている仕事を客観視できるだけでなく、自分が働いている会社自体も俯瞰できるからです。
例えば、「競合他社がすでに取り組んでいるのに、自社では取り組んでいない」ことが多ければ、自社の動きが遅れているのがわかります。
逆に、他社の話を聞くことによって初めて、自社が先進的な取り組みをしていると知る場合もあるでしょう。
いずれにせよ、ネットワークを通じて得られる情報は、市場の現状を知るための生命線となります。
② 異業種を含めた業界横断でつながる
ある程度、近いところでつながりができたなら、今度は異業種を含めた業界横断でのネットワークづくりにもチャレンジしてみましょう。
この場合は、同じ職種同士でつながるところからスタートするのがよいかもしれません。
営業職であれば、まったくかけ離れた、特に興味のない業界の営業職に就いている人とつながってみるのです。
実際に営業職同士でコミュニケーションを取ってみると、セールスのスタイル、値段の付け方、顧客管理の手法など、業界ごとの違いが明らかになります。
「こんな新しくて面白いやり方があったのか! 自分の仕事でも取り入れてみよう」
と気づいたり、
「こういう環境で自分も仕事をしてみたい」
と思ったりする可能性もあります。
実際に、ポジションを固定して異業種への転職を考えたときに、直接話を聞いて業界の内情を確認できるのも大きな利点です。
つまり、ゆるくて広いネットワークは、これからのキャリアアップを考える上では不可欠な要素なのです。
ネットワークがあれば、大胆なキャリアチェンジもできる
私は「今の自分にとっての最適な働き方」を求めて、約10年ごとのスパンで大きなキャリアチェンジを経験してきました。
40代の現在はリンクトインで仕事をしていますが、50代になったらまた別の働き方を模索するかもしれません。
私がおおよそ10年をキャリアの節目としているのは、大きく2つの根拠があります。
一つは、ITの世界でのテクノロジーの大きなトレンドが10〜12年周期で訪れるということ。
この周期にうまく乗れれば、常に成長分野で仕事をすることができます。
そしてもう一つは、成果を出すまでの時間です。
私は、転職にあたって大きなテーマを持ち、腰を据えて取り組む働き方をしてきました。
例えば、今は経営者として組織を変革する役割を担っているため、私が満足する圧倒的な成果を出すためには最低でも5〜7年くらいの時間を要します。
成果を出してから次のテーマを見据えて移行する時間を考えれば、必然的に約10年のスパンになる計算です。
逆にいうと、大きくキャリアチェンジをする際には、「今後10年を投じる価値はあるか」を考えながらテーマを設定しています。
もっとも、このように長期的な視点でキャリアを考えることができるのは、ネットワークがあればこそです。
ネットワークがあれば大胆なキャリアチェンジも可能となります。
会社からキャリアを与えられるのを待つのではなく、主体的にキャリアをつくっていくためにも、今からネットワークづくりを意識して行動していきましょう。
転職が“トレードオフ”の時代は終わった。新時代のキャリアの指南書
やりがい、年収、人間関係、ワークライフバランス…。
転職とは、何かを得ると何かを失う“トレードオフ”なもので、妥協して働くのがかつてのキャリアの常識でした。
しかし村上さんは『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』の中で、
「新時代には、“正しい転職の価値観”と“正しい転職の方法論”を知れば、これまでの経歴に関係なく誰もが“我慢しない自由な働き方”を手にすることができる」
と主張しており、正しい転職の“価値観”と“方法論”の考え方を丁寧に紹介しています。
転職に悩んでいる方はもちろん、これからのキャリアを考えるビジネスパーソンは、ぜひ読んでみてください。
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