ビジネスパーソンインタビュー
冨山 真由著『シャキッ!つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法』より
行動科学に基づくリモートマネジメント術4選。離れていてもチームを円滑に動かすには?
新R25編集部
リモートワークにより家で仕事をすることになったことで、やる気が出なかったり、オンオフの切り替えができなかったりしていませんか?
日本では数少ない行動科学コンサルタントの冨山真由さんによると、人の行動に着目した分析から生まれた「行動科学マネジメント」によって、在宅ワークでも上手に時間管理・自己管理ができるようになるのだそう。
冨山さんの著書『シャキッ!つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法』から、「在宅ワークでも生産性を落とすことなく、効率的に仕事をする方法」を一部抜粋します。
在宅ワークでも成果を出せるリーダー・マネジャーの「職場コミュニケーション」4つ
一メンバーとして、あるいはリーダー、マネジャーという立場の方々が、行動科学に基づいて適切に行動していくことで、リモート環境に慣れ、効率的に仕事をこなすことで、必ずや成果を生み出すことができます。
その結果、リーダー、マネジャーにとって最高の達成感・自己効力感を得ることができます。
この記事では、とくにリーダー、マネジャーのための「職場コミュニケーション」のお話をします。
リモートワークで、どうしたらチームメンバーを“シャキッ”に導けるのか?
さまざまなビジネスマネジメント手法を紹介します。
職場コミュニケーション① 接触回数を多くする
いうまでもなく、リーダー、マネジャーにとって、メンバーとコミュニケーションを取ることは非常に大事な仕事です。
ここでいうコミュニケーションとは、メンバーと仲良くすることだとか、メンバーから好かれようとすることではありません。
シャキッ!つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法
シャキッ!つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法・相手の業務の進捗を把握して、的確な指示やアドバイスができるようにする
・「何でも話せる」という信頼関係を築く
これらのための取り組みが、リーダー、マネジャーの最大の目的である「メンバーに成果を挙げてもらう」ために必要なコミュニケーションです。
心理学者ロバート・ザイアンスの「ザイアンスの法則」によれば、「人は面識のない相手に対しては攻撃的になるけれど、接触回数が多ければ多いほど、相手に対して親近感を覚える」「相手の人間的な部分を見ると、好意を持つ」といいます。
メンバーへのマネジメントも、やはり接触回数が要となります。
接触といっても、何もわざわざお酒の席に誘ったりしなければならないわけではありません。
職場内やオンライン会議で名前を呼んで声をかける。
これを続けるだけでいいのです。
「職場だったら、ちょっとした声かけもできるけど、リモートワークでメンバーと“直接”会わない働き方の場合は?」
そう思うかもしれませんね。
でも、人間の心理、行動原理は、直接であろうとリモートであろうと、変わることはありません。
違うのはシチュエーションだけ。
やることは同じです。
「リモートワークでのマネジメントも、大切なのはメンバーとのコミュニケーションの数」
まずはこのことを念頭に置いてくださいね。
職場コミュニケーション② メンバーの役割を明確にする
同じ職場で働いているなかで、自然と役割分担ができてくることって、ありませんか?
たとえば、Aさんが慌ててプレゼンの資料を作っていると、「じゃ私は」といってBさんが資料作りに必要な材料を集めてくる。
それを見ていたCさんは、資料づくりは2人に任せて、プレゼン会場の準備を進める...。
チームでひとつの仕事をする際に、臨機応変に手分けして作業をする、というのは、ビジネスにおいてはよくあるケースです。
ただしそれは、同じ職場で各々のメンバーがお互いの仕事を“見ている”からこそできるもの。
他のメンバーが何をしているか、何でつまずいているか、どんな業務を抱えているかという現在進行形が見えにくいリモートワークでは、どうしても「今、自分が何をやればチーム全体の仕事がスムーズに進むか」がわかりづらくなります。
そこで、リーダー、マネジャーの出番です。
各メンバーの進捗状況は共通のフォーマットのスケジュールで、誰もが閲覧できるようにする。
毎日の朝礼でのそれぞれのTO DO報告を欠かさない。
ここでのポイントは進捗状況を書き込むフォーマットは共通のものを使うこと。
たとえば、Dropbox、Excelシート、Googleドライブ、OneDriveなど、チームに共通のフォーマットを用意して、メンバーは全員、報告、連絡、相談はそこに記載してもらうようにします。
仕事の役割分担は、最初から明確にすることが大切です。
Aさんはこの業務を、Bさんはこの業務を、Cさんはこの業務を、と、それぞれの業務を従来よりもより明確にし、進捗状況に応じて適宜ヘルプをさせるようにします。
業務の指示は、具体的に。
そして報告に対する反応も確実に。
リーダー、マネジャーはみんなの司令塔になるつもりで。
腕の見せどころですよ!
職場コミュニケーション③ 情報交換の場をつくる
職場であれば、リーダー、マネジャーの思いつきで「みんな、ちょっといいかな」なんて、そこにいるメンバーを緊急で招集することもできました。
やはりリモートワークでは、「みんなで集まる」ことは、気軽にはできません。
そこで、「チームのメンバー全員が集まって情報交換をする場」を、リーダー、マネジャーがあえて設定しましょう。
頻度としては週1回。
時間は15分程度でかまいません。
たとえば「毎週木曜日の16:45〜17:00は、フリーの意見交換の時間」というように、ルール化してしまうのです。
一人、自宅で仕事をしているだけでは、どうしても行き詰まったり、一人で考え込んだりする場面が出てくるもの。
週1回のフリーミーティングは、メンバーの気分転換の場にもなりますし、お互い顔を合わせる関係構築の場ともなります。
働きやすい環境づくりとしてこうしたオンライン上の「場」「機会」を与えてあげることは、リモートワークにおけるリーダー、マネジャーの大事な役目です。
職場コミュニケーション④ 指摘をするときは個別で明確に
リモートでもリアルでも、リーダー、マネジャーの「メンバーの誤った行動を指摘し、あらためてもらう」という役目は変わることはありません。
しかし今は“ハラスメント”の問題がクローズアップされている時代。
リーダー、マネジャーの声としてよく聞くのが「人事(部)から、ハラスメントではないかと言われるのが怖いから、あまり注意したくない」というものです。
メンバーに注意を与える際に気をつけるべきは、以下の4点です。
シャキッ!つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法・イライラや憤りといった“感情”は省く
・メンバーのどの行動を直すべきなのか、具体的に伝える
・代わりにどんな行動を取ればいいのか、あいまいにではなく、明確に伝える
・(間違った行動について)どこを改善してほしいのかを、相手に対して依頼する
この4点を守れば、リーダー、マネジャーの言葉は頭ごなしの命令にもならず、メンバーにとって「助言」となります。
感情のままに注意をすると、どうしても言葉があいまいなものになりがちです。
「こんなんじゃ、ダメだろ?」「前にも言ったでしょう」「何回言えばわかるのかな」「もっと自分で考えてほしい」「もういい加減にしてよ〜」などなど。
...言葉に具体性がなく、相手は「何を、どうすればいいか?」もわかりません。
行動科学マネジメントでは、リーダー、マネジャーに最も必要な能力は「言語化能力」だとされています。
言語化能力とはつまり、言わずもがなの暗黙知であっても、具体的な行動として表現できる力です。
「あいまいな言葉」は、使わないようにしましょう。
そして、メンバーを注意する際にもうひとつ大事なことが。
それは「個別に注意する」ということ。
多人数の前で注意するのは、相手にとっては立場をなくすことになります。
リーダー、マネジャーに対する信頼もなくしてしまうことでしょう。
リアルでもオンラインでも、人間の行動原理は同じ、です。
科学的に有効な行動習慣を知って、シャキッ!と在宅ワークしよう
同書では、在宅ワークがはかどる「時間やストレスのセルフマネジメント」から、仕事を円滑にすすめるための「職場コミュニケーション」まで、科学に基づいた行動習慣が紹介されています。
「自宅だとついだらけてしまう...」「集中力が切れやすい」「リモートでもしっかり成果を出したい」という方でも、行動を少し変えるだけでシャキッ!と在宅ワークにのぞめるはずです。
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