ビジネスパーソンインタビュー
寺田有希著『対峙力』より
フリーランス女優が見つけた「これまでの成功してきた考え方が通用しない」という壁の突破法
新R25編集部
初対面、会議、プレゼン、面接など、目上の人や大勢の人の前だと緊張してうまく話ができないと感じたことはありませんか?
働き方や生き方が多様化しているこれからの時代では、「どんな相手にも物怖じせず、フラットに接する力」、いわば「対峙力」が、人との関わりのなかでチャンスを掴むためのカギになります。
そんな「対峙力」を使い、どんな人にも物怖じせずにコミュニケーションをとっているのが、堀江貴文さんのYouTubeチャンネル「ホリエモンチャンネル」のMCをはじめ、女優、タレントとして幅広く活躍している寺田有希さん。
自身の著書『対峙力 誰にでも堂々と振る舞えるコミュニケーション術』のなかで、「実は根は人見知りで小心者。しかし、工夫を重ねることでコミュニケーションの自信と勇気を手に入れた」と話しています。
どんな相手とも物怖じせずにやり取りするにはどうしたらいいのか。ノウハウが詰まった同書から抜粋してお届けします!
考えが凝り固まっていたデビュー当時
「好きを仕事に」っていうフレーズ、最近よく聞きますよね。
各分野で活躍している人たちを見て、「自分も好きなことを仕事にしたい」と考える人はたくさんいると思います。
私も子供のときからドラマや音楽番組を見るのが大好きで、私もあの場所に行きたいと夢見て活動してきました。
ただ、その中で失敗したからこそ、好きなことをしたいとき、気をつけないといけないこともあると知ったんです。
『SPEED 』や『モーニング娘。』を見ながら育った私は、「ステージに立つ人はキラキラしていていいな」と憧れを感じて、将来の夢が歌手になりました。
いつしかその夢が女優へと変化したんですが、とにかくステージに立つようなキラキラ輝ける仕事に就きたいと、思い続けていたんです。
ただ、当時は閉鎖的な田舎に住んでいたし、メガネをかけていて目立つタイプでもなく、自分の夢を口に出せばいじめられそうで、周りにはなかなか言い出せなくて。
実際小学6年生のときの文集に「将来は歌手になりたい」と思い切って書いたら、 クラスメイトから「寺田が歌手って書いてるぞ!」と馬鹿にされたりもしたんです。
ただ、中学生になっても夢を諦めることができませんでした。
中学3年生のとき「このまま高校に進学する道もあるけど、そうじゃない道を選ぶなら今年しかない」と思い、スターへの登竜門と言われる2大オーディションを受けてみることにしたんです。
結果、片方のオーディションは二次審査で落選。
もう片方は大阪地区のグランプリになって決勝大会まで進むことができたものの、結局、賞を取れずに落選しました。
一度は夢を諦め、進学校の受験を決意しましたが、その後、アイドルの登竜門だった番組のプロデューサーさんに目をかけてもらえたことで、芸能界デビューを果たすことができたのです。
ありがたいことに、そこからの勢いがすごくて。トントン拍子で仕事が決まりました。デビューしてすぐ、週刊ヤングジャンプの『制コレ』でグランプリを獲得。
オーディションを勝ち抜いて朝ドラに出演し、昼の連ドラに出演し、写真集を出したらたくさん売れ…DVDの発売イベントも、会場に入りきらないほどのファンの方が来てくださったりしました。
いま思えば、その17歳のときが人生のピークでしたね。
もちろん当時の私は、そのときがピークだなんて知るよしもありません。
デビューするまでギリギリのところで落とされてきた経験があったからこそ、私にとっては、こうした1回1回の成功体験がとても大きいものでした。
だからこそ、「うまくいっているということは、いまのやり方が正しいんだ」と思うようになって。
それでまた成功体験が積み重なるもんだから、「自分なりの方法で成功してきたから、誰が何と言おうと、自分のやり方を突き通さなきゃいけないんだ」と、感覚と考え方がどんどん凝り固まっていきました。
気づけば、人の言葉に素直に耳を傾けられない、頑丈な殻に閉じこもった自分ができあがっていたんです。
結果、徐々に仕事は減り始め、いつしか思い描いていた道筋から外れてしまっていました。
成功パターンが通用しなくなったときこそ、柔軟性を忘れない
もちろん、成功体験や自分の信念を貫くことは大切なこと。
だけど、それ以外を全てシャットダウンしてしまって、全く周りが見えなくなったり、周りの意見を聞けなくなってしまうことって、すごく怖いことだなっていまは思います。
たとえばピークが少し過ぎたころ、当時のマネージャーさんから「クイズ番組に出てみない?」と相談されたことがあって。
いま思えば、勉強好きな私の適性を見抜いて、それを活かせるお仕事を持ちかけてくれたんだと思います。いまの自分なら、間違いなく受けています。
芸能のお仕事には違いないし、自分に向いているのなら、その経験が自分にとってプラスになると判断できるから。
それなのに当時は、「私は女優だから、芝居以外の仕事はするべきではないんだ。 夢が叶いにくくなってしまう」と思い込んでいて、断ってしまったんです。
20代半ばを過ぎると、「これまでの成功体験では通用していた考え方が通用しなくなってきた」と感じる人も多いかもしれませんね。
そんなときほどさらに視野が狭くなって、過去の成功体験を無理に追いかけようとしてしまったり、信念を貫くことにしか目がいかなくなってしまうかもしれません。
夢や目標に向かってがむしゃらに突き進んでいればいるほど、「これ以外はしちゃいけない」とか「ほかのことも始めれば、夢が叶いにくくなる」と思ってしまいがちです。
そんなときほど、周りから「あなたに合っているんじゃない?」と言われたことは、 たとえ理想の道からは外れていても、「やってみようかな」と始めてみる。
そんな柔軟性も大切だなと、いま強く思っています。
周りの声は、可能性の種
周りが見抜いている適性は、当たっていることが多いんですよね。
違う自分を見つけられたり、仕事の幅が広がったりするかもしれない、可能性の種です。であれば、 その意見に耳を傾けて、チャレンジしてみたほうが絶対にいい。
もちろん、なんでもかんでも引き受ければいいということではないけれど、「いままで成功してきたやり方とは違うから」「信じてきた道と違うから」という理由だけで シャットダウンしてしまうのは、もったいないと思うんです。
好きを仕事にしたいときほど、可能性があることは全てやってみる!
でも、新しいチャレンジをするべきかどうか、悩んでしまうのも当たり前です。
そんな判断を強いられたとき、「自分の理解度」が役に立ちます。
自分を理解できていればできているほど、新しい選択肢を前にしても、「自分に合っていそうかどうか」を判断できるんです。
「やったことはないけれど、たしかにできるかもしれない。よし、やってみよう」
そんなふうに、新しいチャレンジの手助けをしてくれますよ。逆に直感で飛び込めないときは、何かが引っかかっているということ。
その場合は、何が引っかかっているのか、理由を探す手助けになってくれます。
だから好きを仕事にしたいときこそ、常に自分のことを知ろうとすること。
そして、考えが凝り固まらないよう、いろいろな分野の人から客観的な意見に耳を傾けることが大切です。
自分を信じて突き進む信念は大切です。
ただ、視野が狭くなってしまうというリスクも高い。それでは、逃すチャンスも多いと知りました。
周りの意見に耳を傾け、その道もありかもしれないと考えてみること。
1つではない道を柔軟に歩んでいけることが、自分が本当に目指す場所への近道だったりします。
コミュニケーションの工夫が満載! 勇気をもらえる一冊
『対峙力』は、10年近くフリーランス女優として活動する中で培った、「人・仕事・自分・夢」と対峙する方法について、ジャンル別に詳しく紹介されています。
寺田さんの体験談とともに綴られるメッセージは、勇気をもらえるものばかり。今日から実践できるヒントが満載の一冊です。
コミュニケーションに悩んでいる人はぜひ手に取ってみてください!
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