ビジネスパーソンインタビュー
田端信太郎著『部下を育ててはいけない』より
田端信太郎が「マネージャーの仕事は“飲み会の幹事”だけ」と断言する理由
新R25編集部
NTTデータ、リクルート、ライブドア、LINE、ZOZOなど名だたる大手企業を渡り歩いてきた田端信太郎さんの新著『部下を育ててはいけない』。
田端さんは同書のなかで「これからのリーダーは、“部下を育てる”というこれまで正しいと信じられてきた価値観から、真逆に転換しなければならない」と、強く主張しています。
ただ、部下を育てずにパフォーマンスを発揮させるマネジメントとは、一体どのようなものなのでしょうか…?
これからの時代に成果を上げるマネジメントの指南書である同書より、田端さんが考える「一目置かれるリーダーの鉄則」を抜粋してお届けします。
マネージャーは「同じ釜の飯を食う」ことの威力を心得よ
マネージャーにとって、チームで目標達成するためには、いかにチームメンバーのやる気に火をつけるかが鍵を握る。
給料が1万円上がるのもうれしいが、給与アップよりも客単価1万円のレストランに行って、みんなで一緒にご飯を食べる方がより一層団結力が高まり、いざという時に、踏ん張りが利くチームができる!というのが私の信念だ。
最近はコロナ禍の影響もあり、チームのみんなでおいしいものを食べながらのお祝いもしにくくなっているようだが、みんなで一緒に「同じ釜の飯を食う」ことの威力は、マネージャーたるものよく理解しておくべきだ。
結局、人間の気持ちが「盛り上がる」ためには、そんなに難しいことは必要ない。
「これを達成したらみんなでおいしいものを食べに行こうよ」(あるいは沖縄へ社員旅行に行こうよ! でもいい)というように、お互いが共通して体験可能なゴールを共有するだけでも十分に盛り上がることができるし、「同じ釜の飯を食った仲間」とは精神的な結束も自然と強まっていく。
人間のやる気など、案外とこんな簡単なゲームで火がつくものなのだ。
これは一種のゲームだ。
でも、壁に貼り出した無味乾燥なグラフを見せられて、しかめっ面のリーダーに詰められるよりもよっぽど楽しい。
良いマネージャーは「記憶に残るいい飲み会」で「心のツボ」を押せる
「チーム内にいい空気をつくり、メンバーが自分から動き出すような空気をつくることこそが最高のリーダーシップ」というのが私の持論だ。
マネージャーの仕事を突き詰めていくと、最終的には「飲み会の幹事」だけになる。
なぜかというと、「人に仕事をさせることが仕事」である以上、マネージャーが心がけるべきは部下の管理でも監督でも監視でもなくて、チームメンバーが動き出したくなる 「いい空気づくり」をすることだからだ。
その意味ではマネジメントというのはDJに似ているし、メンバーを応援するという点ではチアリーダーにも似ている。
イケてるDJというのは、その場にいる人たちが自然と踊り出したくなる、 いい感じの空気を醸成するのに長けている。
会社組織のリーダーに必要なのはこうした感覚だ。
今は新型コロナウイルス感染症の影響で、会食の機会自体が減っているが、それを抜きにしても近年は、そもそも上司と一緒に飲みに行くのを嫌がる部下が増えているため、会社の「飲み会」というものが失われてきている。
「飲み会や社内パーティの幹事なんて絶対にやりたくない」と思う人はかなり多いが、そうした人は重要なことに気づいていない。
飲み会やパーティ、社員旅行の幹事というのは、満場一致で全員が 100%満足する正解が存在しない「マネジメントそのもの」であり、あらゆる仕事の中で最も難しい仕事の1つなのである。
幹事を任された若手社員なら、まずは「そもそも、何のためにこの飲み会をするんだろう?」という目的を考え、飲み会に参加する上司や先輩、同僚の趣味嗜好や普段の生活にイマジネーションを働かせて店を選ぶ。
そうすれば「飲み会なんて面倒くさいなあ」と、いやいや参加したはずの人の「心のツボ」を押せる、「記憶に残るいい飲み会」が可能になる。
もちろんどんなに考え抜いて飲み会をセッティングしたとしても、参加者全員が100点満点で満足するわけではない。
しかし、参加した人間の大半が「今日は楽しかったなあ」「ずいぶん盛り上がったなあ」と思って帰ったとしたら、その幹事は参加者に対して「影響力」を発揮したことになるし、「あいつは意外とやるじゃないか」という評価を得ることもできる。
マネージャーとしていい仕事をするために、「飲み会の幹事力」を上げることは非常に重要なのである。
リーダーが毎回の飲み会にどれだけの意味とメッセージを込められるかが勝負だ。
それさえうまくいけば、リーダーが細かく指図しなくてもメンバーが自然と自分で動きはじめ、勝手に期待以上の力を発揮してくれる、生産性の高いチーム運営ができるはずである。
バックオフィスの頑張りに感謝する「お疲れさま会」
忘れてはいけないのが、どのような企業でも必ず存在する、戦闘部隊を支えるバックオフィスの人たちだ。
多少乱暴な言い方ではあるが、フロントで前線に立つ営業部隊というのは、ドーンと盛り上げて士気を上げれば成果につながる。
そして成果が上がれば、ボーナスや昇給といった「わかりやすいかたち」での対価も得られる。
しかし、彼らを裏で支えるバックオフィスの人たちは、懸命に営業部隊を助ける仕事をしてくれていても、なかなかほめられもせず、給与面でも大きなリターンは得にくい。
このような人たちに対して、リーダーが「仕事だから当然でしょ」と冷ややかな態度で接し、とりたててほめることもしないというのはNGだ。
営業に比べて、バックオフィスの仕事は地味ではある。
しかし、一見、売り上げ数字は上がっていても、事務作業が苦手だったり、決められた期日を守らなかったりと、バックオフィスに迷惑をかけている営業社員は少なくない。
そんな営業社員のミスを懸命にカバーしてくれるバックオフィスの人たちがいてはじめて、営業セクションの仕事は成り立っているのだが、そこにあまり目が向かないリーダーは多い。
私自身、営業部隊を率いていた時にはそんなバックオフィスの苦労がわからなかったし、自分から進んで目を向けようともしなかったわけだが、ある時、バックオフィスで働く女性社員から日ごろの苦労を聞いて、やっと気づくことができた。
こうした苦労を知った時、上司が絶対にやってはいけないのは、バックオフィスに面倒ばかりをかけている営業社員を呼び出して、「なぜルール通りにやらないんだ!」と叱りつけることだ。
これでは逆に、フロントの営業社員が萎縮してしまい、かえって売り上げが下がってしまいかねない。
もちろん、あまりに度が過ぎるようだと注意することも必要ではある。
ただ、より優先すべきは、バックオフィスのメンバーに、「みんなの頑張りのお陰で仕事が進んでいるよ、本当にありがとう」という感謝を伝え、一緒においしいものでも、食べに行くことだ。
営業部隊の達成会がとことん盛り上げて、その成果を祝う祝勝会であるとすれば、 バックオフィスの部隊に関しては日ごろの頑張りに感謝する、一種の「お疲れさま会」 になる。
こうした会を折に触れて実施していると、営業部隊、バックオフィス双方のチームともにムードが良好になるし、メンバーはそれぞれ次の目標に向かって「さあ、頑張ろう」という気分になるものだ。
リーダーに必要なのは日ごろからのこうした良いムードづくりである。
もう迷わない。田端さんの「上司力改革25箇条」で上司道を学ぼう
これまでいくつもの企業で、新規事業の立ち上げやマネジメントに携わってきた田端さん。
同書には、実体験を通して身につけた「部下を通して圧倒的な成果を上げる方法」が、驚愕のエピソードとともにまとめられています。
部下とのコミュニケーションをうまく図りながら、常に「最善の選択」を迫られて悩む上司にとって、田端さんの言葉は解決のヒントになるはずです。
「迷える上司」を「成果を上げる上司」に変える「上司力改革25箇条」を、ぜひご自身の目で確かめてみてください!
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