ビジネスパーソンインタビュー

「何を売るか?」の時代は終わった。堀江貴文が世界の飲食ビジネスから学んだ次のトレンド

堀江貴文著『それでも君はどこにでも行ける』より

「何を売るか?」の時代は終わった。堀江貴文が世界の飲食ビジネスから学んだ次のトレンド

新R25編集部

2020/12/27

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新型コロナウイルスの第3波が到来し、再三にわたる外出自粛の呼びかけが続いています。

日常生活のすべてがまた大きく制限されるのではないかと噂される今、「もっと自由に活動したい」と歯痒い思いをしているのではないでしょうか?

そんななか、堀江貴文さんは今年11月に上梓した新著『それでも君はどこにでも行ける』で、こんな状況下でも動き・考えることの重要性を訴えかけています。

国境をはじめとする、分断のラインは地図にはない。あるのは君の頭のなかだ。立ち止まってはいけない。分断を越えていけるかどうかは、君の行動次第だ

世界中が閉塞的な空気感に包まれているときに、堀江さんが伝えたいこととは?

世界各地を巡ってきた堀江さんの「紀行文」をまとめた同書から、一部抜粋してお届けします。

味は普通でも繁盛する理由

2018年の初め、フランスを訪れた。

ボルドー、サンテミリオン、マルゴーなど各地を巡り、名産地のワインを楽しんできた。

そんななか、ボルドーでUber Eatsのドライバーが行列している店があった。

日本式のラーメン屋だ。試しに何品かテイクアウトしてみたが、味はさほど美味しくも不味くもない、普通な感じだった。しかし、店はすごく繁盛しているようだ。

フランスでは、タイ料理などアジア系のレストランが流行っている。 特に日本料理はブランドとして認知されているのか、人気が高い。

ランチの客単価を2000円ぐらいの高めに設定していても、客はあふれている。

1日300人ほどの回転をうまく続けられれば、年商1億円、収益2000万~3000万円ぐらいを維持するのは難しくなさそうだ。

日本人が欧米で一発逆転狙いのビジネスを興すには、日本料理レストランが一番確実かもしれない

最近は日本人の進出も増えたが、まだ勝てる可能性はあるだろう。

日本では飲食店オープンのハードルは低い。食品衛生責任者の講習を受けた人が店に1人いれば、基本的には問題ない。行政の飲食店に対するハードルの低さは、世界でも上位だろう。

簡単なぶん、続けるのは超過酷、これが日本の飲食業のリアルだ。

対して、欧米は飲食店の規制が厳しく、特に酒を出すのはハードルが高い。

例えばアメリカなら、蒸留酒などのハードリカーの販売許可は外国人の経営者の場合、まず下りないと考えていい。 いずれにせよ、肝心なのは、料理のクオリティではなくパフォーマンスだ。

グルメビジネスは味よりも、店での体験を重視する方向に変わってきている。

変に味にこだわってしまう日本人の料理人は、逆に邪魔になる。

そこは現地の人間に任せて、日本人はプロデュースにのみ専念すると、うまくいくのではないだろうか。

昔ながらのスナックの仕組みが一番強い

韓国では、個室スナック風のカラオケに行ってきた。

まったく豪華でもなくシャビーな雰囲気の店だったが、意外と盛り上がって楽しんだ。

数年前から友人に誘われて、地方のスナックにしばしば顔を出している。

飲食ビジネスのなかで、スナックの業態は、実は最強に近い

飲食ビジネスでは長く、料理の味にこだわるのが正解とされてきた。 間違いではないのだけど、料理の提供だけがお店の付加価値を生んでいるわけではない。

料理を出すに至るまでのプレゼンテーションが大事なのだ。

その点で、スナックは理想的スタイルだ。

例えば、大阪に超人気の飲食店がある。メニューはないけれど、和洋中なんでも出てきて、すべてが美味しい。

どんな人たちが料理しているの?と、厨房を覗くと、電子レンジと冷蔵庫が置いてあるだけだった。

店主は近くのデパ地下の食品売り場で調達した惣菜を温めて出していたのだ。秘密がバレても、料理の味は問題ないし、客足も減らなかった。

要は、そういうことだ。

ハイエンドグルメならデパ地下でいいし、ローエンドグルメならコンビニの冷凍食品で充分という時代だ。

「うちの店は味で勝負!」だとか、激安居酒屋のやり方に、付加価値があるのだろうか。

料理を含めた、店の総合的なプレゼンテーションを工夫しなければ、生き残れなくなっている。

その意味で、スナックは優れている。

出す料理は主に乾き物でOK。お客さんの目的は店の雰囲気と、ママの存在だ。 ママによる、場のプレゼンテーションが価値となっていて、景気にさほど影響されない。

加えて、在庫を出入りの酒屋と直結させ、フードロスを極力、生まない仕組みをつくっている。

客同士のコミュニティ化も経営の堅調を支えている。

全方位的に、ビジネスの弾力性に富んでいるのだ。

イノベーションが進んだ果てに、昔ながらのスナックの仕組みが一番強いというのは、面白い現象だ。

「何を売るか? よりも、どう売っていくか?」という時代に入っている。

サラリーマン も自覚して、仕事に取り組んでいかなくてはいけない。

分断の扉は必ず開く! 堀江さんによる世界紀行文

堀江さんは書籍のなかで次のように語っています。

行きたいところへ行き、見たいものを見られる世界は、決して失われない。

それが人の願いの真実だからだ。

(中略)不安は杞憂だ。僕たちはしばらく不便を強いられるかもしれないが、分断の扉を開く能力を、捨ててはいないからだ。

『それでも君はどこにでも行ける』より

各国を旅するなかで、多くの文化と人々に触れてきた堀江さんの紀行文。

世界のどこでも生きていけるような柔軟な思考を、この本から学んでみてはいかがでしょうか?

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