ビジネスパーソンインタビュー
ひろゆき著『1%の努力』より
「睡眠」を最重視したことで、僕の人生は開けていった。今の“ひろゆき”ができるまで
新R25編集部
「幸せになりたい」「楽しく生きたい」それは誰もが求めてやまない願いでしょう。
しかし、その「幸せ」や「楽しい」の基準は誰が定めているのでしょうか? まわりと見比べて、「あの人は幸せそうだ」などと感じることはないでしょうか?
ひろゆきさんの新著『1%の努力』では、そんなまわりと比べる生き方について、「比較対象がないほうが、人は幸せなんじゃないか」と否定しています。
「2ちゃんねる」や「ニコニコ動画」といったインターネットの文化を築きあげたのち、現在はフランスで悠々自適な生活を送っているひろゆきさん。
「レールを外れて幸せに生きるコツ」について書かれた同書より、努力を最小限にしてラクに生きる考え方について抜粋してお届けします。
大学生に話しておきたいこと
若い人、特に大学生からよく聞かれることがある。
「いまのうちに何をしておけばいいですか?」という質問だ。
答えは簡単だ。
大学生なら普通に勉強して卒業すればいいし、基本的に「やりたいこと」をやればいい。
本音ではそう思うものの、何をすべきかを決めるための思考法がある。
もし、僕が学生たちの前で講演をすることがあったら、1つの話を披露しようと思っている。
ネット上で有名な「この壺は満杯か?」の話だ。
『1%の努力』ある大学でこんな授業があったという。
「クイズの時間だ」教授はそう言って、大きな壺を取り出し教壇に置いた。
その壺に、彼は一つひとつ岩を詰めた。壺がいっぱいになるまで岩を詰めて、彼は学生に聞いた。
「この壺は満杯か?」教室中の学生が「はい」と答えた。
「本当に?」そう言いながら教授は、教壇の下からバケツいっぱいの砂利を取り出した。
そしてその砂利を壺の中に流し込み、壺を振りながら、岩と岩の間を砂利で埋めていく。
そしてもう一度聞いた。
「この壺は満杯か?」学生は答えられない。
一人の生徒が「たぶん違うだろう」と答えた。
教授は「そうだ」と笑い、教壇の下から砂の入ったバケツを取り出した。
それを岩と砂利の隙間に流し込んだ後、三度目の質問を投げかけた。
「この壺は満杯になったか?」
学生は声を揃えて、「いや」と答えた。教授は水差しを取り出し、壺の縁までなみなみと水を注いだ。彼は学生に最後の質問を投げかける。
「僕が何を言いたいのかわかるだろうか?」
一人の学生が手を挙げた。
「どんなにスケジュールが厳しいときでも、最大限の努力をすれば、いつでも予定を詰め込むことは可能だということです」
「それは違う」と教授は言った。
「重要なポイントはそこではないんだよ。この例が私たちに示してくれる真実は、大きな岩を先に入れない限り、それが入る余地は、その後二度とないということなんだ」
君たちの人生にとって「大きな岩」とは何だろう、と教授は話しはじめる。
それは、仕事であったり、志であったり、愛する人であったり、家庭であったり、自分の夢であったり…。
ここでいう「大きな岩」とは、君たちにとって一番大事なものだ。
それを最初に壺の中に入れなさい。さもないと、君たちはそれを永遠に失うことになる。
もし君たちが小さな砂利や砂、つまり、自分にとって重要性の低いものから壺を満たしていけば、君たちの人生は重要でない「何か」に満たされたものになるだろう。
そして大きな岩、つまり自分にとって一番大事なものに割く時間を失い、その結果、それ自体を失うだろう。
さあ、どう感じただろう。
人生において何を優先させるかは、一度じっくりと考えておいたほうがいい。
「自分にとっての『大きな岩』はなんだろう?」
つねにそれを問いかけてみよう。
優先することを決めて、そのとおりに動く。
「優先順位」がこの話のキモである。
それこそが、毎日を幸せに生きるコツだと思うからだ。
僕にとっての大きな岩は、「睡眠」だ。
遅刻しようが何をしようが、「いま、寝たい」という気持ちを一番大事にしている。
後で怒られたら、土下座してでも謝る。そのことは知人や友人、仕事相手にも、堂々と宣言している。
仕事なんてものは、僕にとって砂利や砂や水にすぎない。
それらを先に壺に入れてしまうと、どうしたって睡眠を削らなくてはいけない。そんな人生は、死んでもイヤだ。
捨てるものを決める思考法
意外かもしれないが、大学はほぼフル単位で卒業した。
すべての授業に出ていたわけではない。出なくても単位が取れる授業を選び、最短距離で卒業をしたと思っている。
卒業証書をもらうために大学に入ったので、出席した授業の単位を落とすことほど時間のムダはない。だから出る以上は全部取る。
成績は悪かったが、卒業証書には成績は書かれないのでオッケーだった。
大学生活では、たくさんの時間が余った。
「睡眠をとる」「大学を卒業する」と、優先順位をハッキリさせたことで、僕の人生は開けていった。
とはいえ、“大事なこと” が多すぎて、頭の中がぐちゃぐちゃになる人も多い。
それはなぜ起こるのか。
理由の1つは情報が多いからだ。
「この本は読んでおかないといけない」
「英語と中国語が話せないと生きられない」
そうやって情報の刺激を受け続けると、優先順位の軸は揺らぐことだろう。
優先順位がハッキリせずに、できないことが増えていき、人生が不幸になっていく。
そこで、僕から「考え方の考え方」を1つ教えよう。
「それは修復可能か?」
という判断軸だ。
もし修復が可能だったら、後回しにしてもいいというルールである。
前述の「大きな岩」の話と組み合わせるといいだろう。
僕の場合、寝不足で頭の冴えない状態は、他の方法で修復ができない。
寝ないとボーッとするのだから寝るしかない。だから、睡眠を大事にする。
また、世の中の流れ的には、禁煙ムードだが、僕は僕の基準でタバコをやめない。
タバコの吸いすぎで真っ黒になった肺の写真を見たことがあるだろう。
しかし、禁煙して10年くらい経つとキレイになることはあまり知られていない。肺だって細胞でできているので、10年もすれば全部入れ替わるのだ。
つまり、肺も修復可能だと認識しているのでタバコはやめないのだ。
そうやって不可逆的に戻らないものを優先させると後悔が減る。
「勉強していなくて焦る」
「物を買ってしまいそうになる」
そんな瞬間に、「大きな岩はなんだろう?」「それは修復可能か?」と自問自答することで乗り切れる。
7日後にテストがあるとする。
まずやることは、「どれだけの時間があればいい点数がとれるか」を俯瞰して考えることだ。
もし、1日あれば大丈夫なのであれば、前日だけ勉強するようにして、それまでは思い切り遊べばいい。多少の罪悪感を持ちながら遊ぶことほど楽しいことはない。
もし、早くから手を付けるタイプなら、最初の1日にやればいいのだ。
とはいえ世の中、何がムダなのかは定義が難しい。
学校の勉強が一生役に立たず、マンガで読んだ知識が使えることも多い。
ただ、後から手に入ったり修復が可能なものは、とりあえずムダのほうに入れておけばいいだろう。
物を買うにしても、別に明日でも買えるのであれば、いま買わなくていい。
優先順位を決めるための思考法を持っておくと人生に有利だ。
利子だけで暮らそうとした
優先順位を決めたら、次はゴールだ。
ダラダラと大学生活を続けていた僕は、あることをきっかけに人生のゴールが決まってしまう。
それは、郵便局の定期預金の話だった。
綴じ、3%の利子が付く定期預金があったのだ。
「5000万円の貯金があれば、何もしなくても毎年150万円が手に入る」
そうなれば、一生ダラダラと過ごせると考えた。
夢のような話に聞こえるかもしれないが、1980年代のチラシを見るともっとすごい。
当時、ワリシンやワリショーなどで知られた「割引金融債」では、6%の利子になるものだってあった。100万円を預けるだけで、毎年6万円がもらえるのだ。
そんな時代だったら、貯金をしておけば、あとは何もしなくてもお金が入るようになるから、いったん就職して頑張って貯金しようと思えたかもしれない。
ということで、大学生のときに、5000万円を貯めて利子で暮らそうと考えた。
学生時代なんて、ひと月6万円も使わない生活だったから、5000万円を貯めれば、いまと同じ生活が永遠にできると強く信じた。
「じゃあ、5000万円を貯めるにはどうすればいいだろう?」
そんなことを考えるようになった。人生のゴールが定まった瞬間だった。
「自分はどこのゴールに向かっているか?」
ゴールがあると、なんとなくでも向かって行っている方向がハッキリする。絵に描いた餅くらいのほうがちょうどいい。
あまりに具体的過ぎる目標よりは、漠然と「こうなっていればいいな」という状態を想像してみる。
すると、なんとなくその方向に一つひとつの行動がつながっていくようになる。
「5000万円に向けて、特許を取って一発当てる必要がある」
頭の片隅にそのことがあるのと、ないのでは、日々の過ごし方が変わってくるのだ。
しかし、いまとなっては銀行の利子は、0.1%もない。
1億円を貯めたとしても、10万円。10億円でやっと100万円。当時の僕のような考え方になることは難しいかもしれない。
ただ、根本的には、「お金を使わない生活をしながら、ワンチャン狙って生きる」ということに変わりはないだろう。
一般的なサラリーマンのロールモデルはこうだった。
退職までに5000万円を貯金して、退職金で5000万円をもらえて1億円があり、利子は10万円で、年金が少しもらえる。
そんな豊かな生活が1つのモデルだったが、それもいまや一部の勝ち組サラリーマンに限られる。
さっさと考え方を変えて、自分のゴールと自分がやりたくないことをハッキリさせて、毎日を楽しく暮らしたほうが手っ取り早いかもしれない。
結局、学生時代の起業仲間は、みんな普通に就職していった。
社長の僕だけが1人、会社に残った。
まわりに合わせるようなことはしなかった。
自分にとって大事なことは、自分で決めたのだ。
基準を下げて生きる
ひろゆきさんは学生時代からいままで、一貫してムダを排除してきました。
それは私たちが無意識に行なっていることのようで、実はムダだと思いたいものをムダだと思い、そう思いたくないもの大事にしているだけなのかもしれません。
ムダの是非を問うことは、実は物事の本質を自分軸で判断する重要な選択でもあるのだと、ひろゆきさんは教えてくれます。
ひろゆきさんの『1%の努力』。
背負っていた荷物が途端に軽くなるような一書です。ぜひお手に取ってみてください。
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