ビジネスパーソンインタビュー

友近に“仕事での雑談スキル”を学びに行ったら「ムリに喋らなくていい」と諭された

「スナックのママなんて、一番向いてない!」

友近に“仕事での雑談スキル”を学びに行ったら「ムリに喋らなくていい」と諭された

新R25編集部

2020/08/26

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雑談力が欲しい」と思うことが、多々あります。

あまり接点のない上司やクライアント相手に気まずい時間が訪れるたびに、「何か気の利いたことを言えたら…」と思ってしまいます。

立派なビジネススキルのひとつである“雑談力”を学ぶために、今回は芸能界のなかでもずば抜けてトーク力が高いイメージのある友近さんに、「雑談スキル」についてきいてきました!

〈聞き手=ほしゆき〉

【友近(ともちか)】1973年生まれ、愛媛県出身。2001年にNSCを卒業し、芸人として活動開始。2002年、「R-1ぐらんぷり2002」でファイナル進出。2003年、「NHK上方漫才コンテスト」優秀賞、「NHK新人演芸大賞」大賞を受賞。架空のキャラクターになりきる憑依芸を得意とし、名物キャラに「ディラン&キャサリン」「西尾一男」など

年齢差がある人との雑談は「ワードチョイス」だけでいい

ほし

今日は友近さんに、「雑談を盛り上げるためのポイント」を伝授していただきたくて来ました!

友近さん

雑談ですか…

なぜか気乗りしない様子の友近さん。その理由は後ほど明らかに…

ほし

友近さんは、「街ぶらロケ」とかでいろんな世代の方と雑談してますよね。

私は歳が離れた人と雑談するのが苦手なんですけど…何かワザがあるんでしょうか…?

友近さん

世代が違う人とは、話題を合わせるのが大変なんですよね。

まず、「ワード」を用意しましょう。私の場合は、相手が話したくなりそうなワードだけ準備しますね。

ほし

たとえばR25世代の上司になりそうな、50代ぐらいの男性にはどんなワードを…?

友近さん

第三セクター」ですよ。

もしくは「マークII」。

ほし

……?

友近さん

知らない? 第三セクター。

知りませんでした(第三セクター=国と民間が共同出資する企業。バブル期に地域開発などの分野で設立された。宮崎県のリゾート施設「シーガイア」などの経営悪化が有名)

友近さん

「あの建物は第三セクターやな」って話ばっかり永遠にしてるおじさんとかいるのよ!

ほし

なるほど…「マークII」はなんですか?

友近さん

マークIIはうちの父親が乗ってたトヨタの車です。おじさんに人気の車種。

1968年に製造開始。1980年代にはチェイサー、クレスタと「マークII三兄弟」と呼ばれ、人気を博したとのことです(調べました)

ほし

やばい、無知すぎている)では年配の女性好みのワードは、どんなものがあるんでしょうか…?

友近さん

道の駅」ですね。

ほし

道の駅!!(笑)

友近さん

もしくは花ね。

花のなかでも、ある程度の年齢になるとやっぱり「藤」それか「菊」あたりが好きな人が増えてくるのね。

「上司世代にはマークIIか“藤”の話」。こんなテク使えませんって

友近さん

…こんな感じで、世代別にウケるワードとか、よく会話に出てくるモノについて普段から気にしてみると、引き出しが増えるかもしれないですね。

飲み会での“フリ”についてきいてみたら、友近さんが意外な答えを…

ほし

正直まだピンときてないので、もう少し教えてください!

たとえば会社の飲み会で無茶振りされるときがあるじゃないですか。一言コメントとか、乾杯のあいさつとか、すごく苦手なんですけど、何かうまいワザはありませんか?

友近さん

乾杯の一言を求められたときは、上岡龍太郎さんのモノマネがいいんじゃないですか。

ほし

上岡龍太郎さん…

友近さん

上岡龍太郎さんのモノマネで「献杯!」って言って、「いや、横山ノックさんの弔辞読んだときやないねんから!」ってツッコんでもらうとか…

ほし

……?

「ちょっと不謹慎でしたかね…」

友近さん

…というかね…

そもそも私、初対面の人と雑談するって苦手なんですよ。

だから、大人数の飲み会とか食事もほとんど行かないんです。

ほし

え…!!

「飲み会でムリに会話しても面白くならない」

友近さん

…私、「この人と話すの苦手だな」って人とは、距離を置いてなるべく話さないんですよ。

ネタのイメージで「スナックのママになればいいのに!」って言われることが多いんですけど、一番向いてない(笑)!

めちゃくちゃ嫌そう

友近さん

飲み会も、歓送迎会とか大きな忘年会ぐらいしか参加しないので、まわりからは「友近は飲み会にあまり行かない人」ってイメージがついてると思います。

ほし

意外すぎます。飲み会に行かないのはどうしてですか?

芸人さんだったら、先輩芸人やプロデューサーと飲み会で仲良くなってるイメージがあるんですけど…

友近さん

どうも、飲み会から仕事につなげるっていうことに抵抗がありまして…

私は、「その間ネタを考えたい」と思ってしまうんで、行きません。カッコよく言いすぎですかね?

ほし

カッコいいです…

ただ、若手のうちは「飲み会を盛り上げなきゃいけないのかな」って思ったりもすると思うんですが…

友近さん

「盛り上げるために何かしろ」と強要する空気って、居心地よくないですよね。

私は、若手であろうとなかろうと、嫌なら飲み会は行かなくていいと思います

みなさん他に努力すべき自分の持ち場があるはずだし、自分がやるべき仕事に打ち込めばいいんです。

ほし

実務と関係のない飲み会で、ムリにトークを盛り上げる必要はないと。

友近さん

あくまでも私はそう思うということですけど…

自分にウソをつきながらトーク運びをするのって、プロでも難しいですよ。私も、“ウソの共感”で場をつなごうとしたら、まったく喋れなくなってしまう

バラエティ番組で、「女の人はこういうときこう思うんですよ~」みたいなトークの流れになって、女性タレントさんたちがそれに同調する流れがあっても、私は自分がそう思わなかったら「いや私の場合はそんなことないんですよ!」って言っちゃいます

友近さん

「お前も場に合わせて『そう思う』って言えばええやろ」って言われたとしても、ぜっっったいにウソをつかないようにしてますね

ほし

友近さんがそうなら、ムリに場に合わせる必要ってないのかもと思ってきました。

友近さん

会社での雑談とか、飲み会でも一緒だと思います。

「雑談力を鍛えないとコミュニケーションできない」という相手とは、ムリして喋らなくていいと思うんですよ。

私も「合わない」と思ったら、その人とあまり喋らないようにします。疲れますから…

「この人たちとは笑いのツボが違うだけ」ウケる場所でウケればいい

ほし

友近さんは、芸人として雑談力があるはずなのに、どうして「ムリに他人と合わせない」というスタンスを貫けるんですか?

友近さん

う~ん、成功体験があったからですね。

友近さん

デビュー当時に、自分が面白いと思うネタを舞台で披露したら、まったくウケなかったんです

そのときのお客さんは、女子高生とか若い子たちが多かったんですけど…

大スベりをしたときに、「目の前の人たちが笑っていないからって、このネタが面白くないと思うのはやめよう。この人たちとは笑いのツボが違うだけ」って思うようにしたんです。

ほし

お客さんの好みには寄せずに?

友近さん

そう。まあ、ガンコなんですよ(笑)。

それである日、バッファロー吾郎さんが主催したイベントに呼んでいただいて、同じネタを披露したんです。そしたらお客さんにすっごく笑ってもらえて。

そのときに「これこれ! 私は本当にお笑いをずっと見てきた人たちに笑ってほしかったのよ!」って答え合わせができたんです。

友近さん

その体験があってから、「自分の価値観を受け入れてくれる理解者を見つけるのが大事」って感覚が強くなりました。

“誰にとってもウケる人”とか、“みんなに合わせられる人”とか、目指さなくていいんだって。

ほし

もし今自分が置かれている環境下で、そういう理解者が見つけられなかったらどうしたらいいんでしょう?

友近さん

自信を持てなくなると思うので、環境を変えたらいいと思います。

勇気いると思いますけど、仕事自体を変えるとか。

ほし

環境を変えることが、「逃げ」だとは思わないですか?

友近さん

思わないです! なんとなく人に合わせていくことのほうが怖いので

自分の面白さを理解してくれる、ウケる場所で、ウケればいいんです。

もちろん雑談力があれば仕事で役に立つ場面もあると思うんですけど、前提として「自分を殺してまで鍛えることではない」というのは伝えたいですね。

「その状況自体を楽しむ」という目線が、コミュニケーションを面白くする

ほし

あらためて…

そんなふうに語る友近さんがテレビではコミュニケーション上手に見えるのがすごいですね…。ロケ番組で、見知らぬおじさんとすぐに打ち解けていることが多々ありますよね?

友近さん

うーん、それはムリに雑談しようとしてるんじゃなくて、「どうぞみなさん自由に話しかけてきてください」っていうウェルカムな気持ちを送ってるんですよ。目で(笑)。

あとは、そういう番組でいろんなおじさんと喋るのは好きなので、ムリしてないのかな。

そうすると、ロケ行くたんびに個性の強い人が私のまわりに集まってきてくれるサイクルになるっていうか。

友近さん

トーク力よりもまずは、「会話をしやすい相手だ」と思ってもらうことが大切なんでしょうね。

心をオープンにして、自分から目を合わせに行く。笑顔を見せる。「あ、この人なら話を聞いてくれそうだな」って感じてもらえれば、会話のハードルが下がりますよね。

あとは、「別に会話が成立しなくてもいい」と思うこと。よく知らんおっちゃんと、噛み合わない会話をしてるだけで面白くないですか?

ほし

たしかに友近さんのコントって、「その状況がシュールすぎて面白い」という笑いが多いですね。

友近さん

ありがとうございます! たとえ天気の話しかできなくても、「天気の話しかできない私たち」を俯瞰すると、会話自体を楽しめるようになるかもしれないですね。

R25世代に“無理に雑談力を鍛えようとしなくていい”と伝えてくださったのは、とても心強かったです。

大事なのは、自分の持ち場で努力すること」。

友近さんの強い言葉を念頭に置きつつ、「第3セクター」「マークII」「(上岡龍太郎さんの)献杯」…などなど、せっかく教えてくださった具体的なワードたちを、もう少し勉強してみてもいいかなと思いました…!

〈取材・文=ほしゆき(@yknk_st)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉

そんな友近さんが、YouTubeチャンネルを開設!

記事中で語られた「ガンコな笑いのツボ」によって築き上げられた独特の世界観…。

昭和ポップスを紹介する「西尾一男」。連続ライブ小説「おそかれはやかれ」など、友近さんらしい笑いの視点を、新R25読者の皆さんもぜひ体感してみてください!

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