ビジネスパーソンインタビュー
「こういう時期に成果を出す人って、いるんだよね」
“肉を焼かないステーキ屋”がヒント。スドケンが教える「リモートワークで出世する方法」
新R25編集部
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を受けて、多くの会社では、リモートワークが推奨されています。
ただ、「不便」「集中できない」など、慣れないリモートワークに戸惑うビジネスパーソンの声も多数…。
そこで今回相談したのが、さまざまな企業の成長をハックするKaizen Platform社の代表取締役であり、3月には著書『ハック思考』を上梓した須藤憲司(スドケン)さん。
リクルート在籍時には、「会社が評価したい軸に合わせればカンタン」というハック術で、奇跡の「全社表彰四冠」を達成したスドケンさんなら、“リモートワークをハックする方法”、さらには“リモートワークだからこそ出世しちゃう方法”までも考えてくれるのでは…!?
「リクルートの表彰4冠も、コツがわかれば簡単」箕輪厚介も感服!須藤憲司の圧倒的“ハック思考”|新R25 - シゴトも人生
箕輪さんが「すげ~頭いい!」を連発
ハック思考とは、「エレベーターの待ち時間が長い」というクレームに対して、エレベーターを速くするのではなく、「ロビーに鏡をおけばみんな身だしなみをチェックするから、待ち時間が気にならなくなるはず」という発想の転換を行うこと。「表彰四冠」を達成したエピソードも、こちらの記事で詳しく語られています
全ビジネスパーソンが使える「ハック思考」を、オンライン取材できいてみました!
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
【須藤憲司(すどう・けんじ)】1980年生まれ。2003年、早稲田大学を卒業後、リクルート入社。史上最年少(当時)で、リクルートマーケティングパートナーズ執行役員に就任。2013年、アメリカでKaizen Platform社を起業。著書に『ハック思考』(幻冬舎)、『90日で成果をだす DX入門』(日本経済新聞出版社)
遠足と同じように、「○○するまでが仕事です」になる
天野
スドケンさんなら、「リモートワークのおかげで、逆に出世できる」みたいな方法をハックしてくれるんじゃないかと思い、連絡してしまいました。
須藤さん
面白いね。たしかに、もう変化にアジャストするしかないもんね…
まずカンタンなところから言うと、「自分の仕事の成果を発信する」のはマストになってくるはず。
須藤さん
もう、誰も“仕事して頑張ってる雰囲気”なんて評価できなくなったから、成果を発信するしかないんだよね。
「家に帰るまでが遠足です」みたいに「成果を発信するまでが仕事です」っていうのが当たり前になってくると思います。
天野
これまでも「成果をアピールして、名を上げたほうがいい」って流れはあったけど、より重要になってくるのか…
須藤さん
ただ、それ以上に「こういう時期に明確に成果をあげる人」っているんだよね。
どうすればなれるのか、考えてみましょうか。
天野
やっぱりハックの方法があるんだ…。よろしくお願いします!
「観察と発見」。今だからこそ起きている「ヤバいこと」がチャンスになる
須藤さん
まず、ハック思考の大前提は、「観察と発見」。
今回で言えば、“リモートワークの常識”を疑って、ハックの種を発見することですね。
天野
リモートワークの常識…?
須藤さん
今、多くの人が「家だと集中できない」って考えて、「なるべく会社にいたときのように集中しよう」としてるでしょ。
それを疑ったほうがいい。どんなに頑張ったって子供は部屋に入ってきちゃうんだから、努力しても仕方ないんだよ。
(※本当にお子さんが部屋に入ってきてビックリするスドケンさん)
須藤さん
営業する相手だってリモートワークなんだから、オフィスで商談してたような環境は作れない、と諦めるべき。
前提条件が変わってるんだから、動きを抜本的に変えたほうがいいですね。
ウチの会社は3月ぐらいから、「今どういうことが起きてる?」っていうのを社内でひたすら共有してたんだよね。
天野
起きていることを「観察」しようとしていたと。
須藤さん
そう。すると、1人の営業マンが「オンラインだと、営業資料を使ってプレゼンしてると間が持たない」って言ったんです。
ここに「発見」がある。間が持たないなら、短時間で説明できるものがあれば便利だな…と思って、今まで使ってた営業資料を90秒の動画にしてみたの。
須藤さん
それをお客さんとのMTGで流してみたら、「ウチの営業資料も、こういうふうに動画にしてほしい!」って言われて。
「こんなところにチャンスがあるんだ」ってわかったから、「営業資料を動画化する」サービスをすぐリリースした。いま、鬼のように問い合わせ来てるんだよね。
Kaizen Platform、リモート環境での営業活動を支援する「営業資料の動画化キャンペーン」を開始
株式会社Kaizen Platform(本社:東京都港区、代表取締役:須藤 憲司、以下 Kaizen Platform)は、新型コロナウイル
1本8万円~で、「営業資料を動画化するキャンペーン」を開始。なんと4月2日のことです
天野
不便を発見して、ビジネスにしてしまったんですね。すごいスピード感だ…
須藤さん
ほかにも、この前クライアントから「打ち合わせに来てほしい」って言われて、リアルに先方の会社に行かなきゃいけないことがあったのね。
「今リアルで行くの嫌だな…」って思ってたんだけど…
正直な心境。まあ嫌ですよね…
須藤さん
せっかくだからいろいろ観察してみることにしたんだけど…
会社のロビーに、リクルートスーツの学生がいたの。就活だから、来なきゃいけないんだろうね。
天野
ヤバい。かわいそうですね…
須藤さん
「これヤバいな~」って感じるじゃん。
ヤバいってことは、「そのうち解決策が求められる」ってこと。ビジネスになる可能性が高いんだよね。
それで、すぐに「採用説明会の資料を動画化する」っていうサービスも始めることにした。
これが4月15日のことです…はや
天野
つまり、今だから出てきてる「ヤバいこと」を発見すれば…
須藤さん
その通り。
こういうときだから「ヤバいこと」って山ほど発生してるから、注意深く観察して、発見する。
あとは解決する方法を売っていけば、すぐに“リモートワークでも売れる営業マン”になれるよね。
天野
「こういう事態だからこそ、ピンチがチャンスになる」みたいな話を聞いても「何が?」って感じであまりピンときてなかったんですが、めちゃくちゃ納得しました…!
ハック思考のキモは「テクよりコツ」。まさに、発想のコツで売れる商品が誕生しています
自分たちの価値を“アンバンドル”すれば、リモートでも成果が出せるはず
須藤さん
この前、イタリアンレストランをやっている知り合いに、「お客さんが減っててどうしよう」って相談されたのね。
天野
今、飲食業は本当に大変な状況ですよね…
須藤さん
それで、“パスタソースのサブスクリプション”っていうモデルはどうかって提案したの。
定額料金をもらって、毎週、袋に入ったパスタソースをユーザーにお届けする…みたいな。
家でパスタだけ茹でてソースを絡めればレストランの味が再現できる、ってウケそうじゃない?
人気出そうです
須藤さん
何を言ってるかっていうと、“既存のビジネスをアンバンドルする”視点も大事っていうことで…
天野
アンバンドル?
須藤さん
アンバンドルとは「分解」「細分化」っていう意味。
最近ウーバーイーツで、焼く前の「熟成肉」を届けてくれるステーキ屋があるのね。
冷蔵庫に入れておいて、食べたいときに焼けばいい。ステーキだったら焼き立てのほうがおいしいし、意外と便利なんだよ。
天野
そんなサービスあるんですね。
須藤さん
これ、提供する価値を分解すればするほどキャッシュポイントが作れるっていうことなんだよ。
レストランって、「プロが料理を作る」「サーブする人がいる」「食べる空間がある」という、いろんな価値が組み合わさってる業態でしょ。
天野
あ、たしかに…
須藤さん
レストランの価値を分解してみれば、売れるものがいくつも生まれるってことに気付くはず。
「料理をウーバーで届ける」のはその代表例だけど、「素材だけをパッケージングして売る」「パスタソースだけ売る」っていう分解の仕方もできるし…
「作るところを動画に撮ってオンライン料理教室」にしてもいいし、「レシピを書いてnoteで売る」こともできるよね。
ああ~、これはわかってきた
天野
なるほど!!!!!
そう考えたら、お客さんに直接会わなくてもお金を生み出す方法がたくさん出てきますね…!
須藤さん
価値を分解すれば、今の状況に合ったビジネスモデルにすることができるんだよね。
これはレストランに限らず、どんなビジネスでも同じだと思う。
「リモートだから売れない」で止まらずに、自分たちの提供している価値を冷静に分解できる人が、「リモートでも成果を出せる人」になると思うよ。
天野
またしてもすごい納得感です。
須藤さん
「孫子の兵法」に「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」っていう有名な言葉があるでしょ。あれはいつの世でも正しいなと思っていて。
ビジネスで言うと、「彼」は「市場、マーケット」。「己」は「自分たちが提供している価値」なんだよね。
世の中で今起きていることを知り、自分たちが提供しているものの本質を見極めれば、成果を上げることは難しくないはずなんだよ。
スドケンさんが新入社員世代に送るメッセージとは?
天野
ありがとうございます。
最後に、“こんな状況で社会に出されてしまった新入社員世代”にメッセージをいただければと思うんですが…。かなりアンラッキーな世代ですよね。
須藤さん
これはコロナと経済について考えてるときに思ったことなんだけど…
現代の戦争は、「アジリティ(敏捷性)が高い集団が勝つ」って言われてるのね。つまり、今まで進んでいたAっていう方向から、状況に合わせてBっていう方向に転換するまでの時間が短いほうが勝つ。
ビジネスに置き換えれば、大企業や設備産業の会社は“持っているもの”が大きいから方向転換しづらいのよ。
天野
変化に対応するスピードが重要だということですね。
須藤さん
それで、一番方向転換しやすいのはどんな組織かって考えたときに、「“個人”だな…!」って思ったの。
天野
あー、なるほど。
須藤さん
「自分の入った会社が大企業で、全然変化に対応できてません」っていう人は多いと思うんだけど、そういうときに先に個人として変化して、結果で見せちゃうのが大事なんじゃないかなと。
天野
個人として動きやすい今は、むしろチャンスかもしれませんね。
須藤さん
過去の蓄積が通じない瞬間だから、先輩たちとも“よーいドン”での勝負ができると思うんだよね。
こういうときこそ自分なりにハックしてみて、成果を出すことにチャレンジしてほしいと思います。
・今起きている「ヤバいこと」を発見する
・自分たちが提供している価値を分解する
・「アジリティが高いほうが勝つ」と心得る
スドケンさんが教えてくれた、「リモートワークでも成果を出す方法」は、この3点がキモ。
“集中できない”とモヤモヤするのではなく、“集中できないから何をやるのか”にフォーカスすれば、こんな苦しい状況でも乗り越えることができるかも…。
新R25ではこれからもさまざまな人に取材し、ポジティブに働ける術を読者の皆様に届けていきます!
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/取材時撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉
『ハック思考』を読んで、発想の転換を訓練しよう!
SNSでも話題になっている『ハック思考』。
奇抜すぎるカバーデザインで、書店では上下逆に置かれてしまうという事態も発生しているとか…!
ぜひ書籍or電子書籍でお楽しみください!
一見くだらない方法で、成果が劇的に変わる。あなたを助ける「ハック思考」の身につけ方|新R25 - シゴトも人生も、もっと
須藤憲司著『ハック思考』より
こちらの記事では一部がお読みいただけます!
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