ビジネスパーソンインタビュー
ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー著『時間術大全』より
たったひとつのことをするだけ。1日の充実感が変わる時間のデザイン術を元Google社員が伝授
新R25編集部
いくら仕事を頑張っても、時間がない…というのは、多くの社会人に当てはまる悩みだと思います。
決してサボっているわけではないのに、当日中に終わらない。自分の持っている仕事量を減らせれば解決するかもしれませんが、しかしそれも簡単ではないはず。
だったら、自分の時間の使い方を変えるしかありません。
著書『時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』には、Googleで働いていたジェイク・ナップさん、YouTubeで働いていたジョン・ゼラツキーさんの2人が見つけた「自分の時間をデザインする方法」がまとめられています。
起業家・けんすうさんも絶賛するこの時間術。
新R25では著書のなかから3記事を抜粋して、その内容をご紹介します。
ハイライト:毎日「最重要事項」を選ぶ
メイクタイムの最初のステップでは、何のために時間をつくるのかを決める。
毎日、その日の優先事項としてスケジュールを確保する活動(=ハイライト)を1つ決めよう。
大事な仕事(プレゼンテーションの準備など)でもいいし、家庭での活動(夕飯づくり、ガーデニングなど)でもいい。やる必要はないがやりたいこと(子どもと遊ぶ、読書など)でもいい。
また、ハイライトは複数のタスクを含むものでもかまわない。
たとえばプレゼンテーションの準備を仕上げるには「結びの言葉を書く」「スライドを完成させる」「リハーサルをする」といったタスクが含まれるかもしれない。
ならば、「プレゼンテーションの仕上げ」をハイライトに選べば、必要なすべてのタスクが対象になる。
1日中ハイライトだけに取り組むわけではないが、とにかくそれが最優先事項になる。
「今日のハイライトを何にしよう?」と考えることで、自分の大事なことに時間を使えるようになり、他人の優先事項に反応してまる1日を無駄にしたりせずにすむ。
ハイライトを選ぶことで、前向きで積極的な気持ちになれるのだ。
今日の「ハイライト」は何にしよう?
1日の初めに、その日のスポットライトをどこに当てたいかを考えよう。
1日の終わりに「今日のハイライトは何だった?」と誰かに聞かれたとき、どう答えられたらうれしいだろう? その日を振り返るときにしみじみ噛みしめたいのはどんな活動や成果、瞬間だろう? それがあなたのハイライトになる。
毎日、ハイライト以外にも、やることはたくさんある。受信箱を無視し、上司の要請を断り続けるなんてできない。
でもハイライトを選ぶことで、自分のやるべきことをテクノロジーや職場のしきたり、他人によって一方的に指図されるのではなく、時間の使い方を自分で主体的に決められるようになる。
多忙中毒のカルチャーでは、日々の生産性をできるだけ高めることがよしとされる。
でもたとえやるべきことを全部片づけられなかったとしても、優先事項に集中したほうが、よい1日を送れるはずだ。
ハイライトを決めると、毎日に焦点ができる。
ある研究によると、人が1日をどう感じるかは、自分の身に起こる「できごと」によって決まるのではない。
人は「何に注意を向けるか」によって、みずからの現実をつくりあげているのだ。これはあたりまえのようだが、とても大事なことだと僕らは思う。
あなたはどこに注意を向けるかによって、自分の時間をデザインできるのだ。その注意を向ける対象が、毎日のハイライトになる。
ハイライトの「3つの選び方」
1日のハイライト選びは、次の質問で始まる。
「今日1日のハイライトを何にしたいか?」
この質問にいつも簡単に答えられるとは限らない。とくにメイクタイムを初めてやるときは難しい。大事な仕事がたくさんあるときもそうだ。
また、とてもやりたいこと(バースデーケーキを焼く)と、締め切りが迫っていること(スライドを仕上げる)、やらなくてはと思いながら先送りにしてきた厄介なこと(ガレージにねずみとりを仕掛ける)がある場合も難しい。
そんなときは、どうやって決めればいいだろう? 僕らは3つの基準をもとにハイライトを選んでいる。
基準1つめ:緊急性
1つめの基準は、急を要するかどうかだ。
今日やらなくてはいけない、最も急を要することは何か?
あなたはこんな経験をしたことがないだろうか?
長い時間をかけてメールを処理し、ミーティングに出席したあげく、1日の終わりになって、本当にやらなくてはいけなかった仕事が終わっていないことに気づく…。
僕らはある、それも何度もだ。そのたび惨めになる。あの恨めしい気持ちといったら!
今日中に絶対終わらせなくてはならないことがあるなら、それをハイライトにしよう。やることリストやメール、予定表のなかから、急を要するハイライトが見つかることも多い。
時間的制約のある、中くらいの規模(10分では終わらないが10時間はかからない)の重要なプロジェクトがないか探してみよう。
急を要するハイライトには、たとえばこんなものがある。
→見積もりを作成し、週末までにほしがっている顧客に送付する
→仕事で企画しているイベントの会場とケータリングの提案書を作成する
→夕食の材料をそろえ、友人たちが来る前に料理する
→娘が明日学校に提出する課題を手伝う
→家族が見たがっている旅行の写真を編集、共有する
基準2つめ:満足感
ハイライトを選ぶ2つめの基準が、満足感だ。
何をハイライトに選べば、1日の終わりに最大の満足感が得られるだろう?
1つめの基準は「やらなくてはいけないこと」だったが、この基準では「やりたいこと」を考える。
ここでもやることリストを出発点にしていい。
ただし締め切りや優先事項は忘れて、違う考え方をする。それぞれの項目をやり遂げたとき、どんな満足感が得られるかを想像するのだ。
急を要しないプロジェクトを探そう。
かねがねやりたいと思っていながらも時間をつくれずにいることはないだろうか。そのうち活用したいと思っているスキルや、完成前に一度みんなの反応を確認したいと思っているプロジェクトがあるかもしれない。
この種のプロジェクトは緊急性がないため、先延ばしにされがちだ。ハイライトを利用して、「いつか」のサイクルを断ち切ろう。
満足感の大きいハイライトにはこんなものがある。
→有望な新プロジェクトの企画書を仕上げ、信頼できる同僚に見てもらう
→次の家族旅行の行き先をリサーチする
→執筆中の小説の次の章を1500語書く
基準3つめ:喜び
3番めの基準は、喜びに注目する。
今日という日を振り返ったとき、いちばん喜びを感じられるのは何をしたときだろう?
すべての時間を有効活用して効率的にすごそうとしなくていい。
メイクタイムがめざすことの1つは、「毎日を完璧に計画する」というあり得ない考えを捨て、ただ目の前のものごとに反応するだけでない、もっと喜びにあふれた生活を送ることだ。
つまり、何かを好きだからやるということだ。
喜びをくれるハイライトは、他人には時間の無駄と思われるようなことかもしれない。
たとえば家にこもって読書にふける、友人と待ち合わせて公園でフリスビーをする、クロスワードパズルを解くなど。
でも、僕らはそれを無駄と思わない。意識的に時間を使う限り、時間を無駄にしたことにはならない。喜びが得られるハイライトはいろいろある。
たとえば…
→友人の新居お披露目パーティーに行く
→ギターで新しい曲をマスターする
→愉快な同僚と楽しいランチをする
→子どもを遊び場に連れて行く
「直感」を信じて最高のハイライトを選ぶ
では、これらの基準をどう使えばいいだろう?
ハイライト選びでいちばん重要なのは、今日は「緊急性」「満足感」「喜び」のどれをメインに置いた1日にするのかを、直感で決めることだ。
(*——基準を3つとも満たすものがあるなら、それで決まりだ!)
1つの目安として、60分から90分程度でできることを選ぶといい。
60分未満だと「ゾーン」に入らないまま終わってしまうかもしれないし、90分以上集中すると休憩が必要になる。
60〜90分が、最高の成果が得られるスイートスポットだ。
それだけあれば意味のあることができるし、それくらいの時間なら無理なく予定に入れられるだろう。
初めてのときは、ハイライトを選ぶことに抵抗を感じたり、難しいと思ったりするかもしれない。でも大丈夫、それはごく自然な感情だ。
そのうちコツをつかんで簡単に選べるようになる。
忘れないでほしい、メイクタイムはしくじりようがないのだ。
1日単位のシステムだから、何が起こっても翌日やり方を調整して、いくらでもやり直すことができる。
もちろん、ハイライトは魔法じゃない。エネルギーを集中する対象を決めたからといって、自動的にすばらしい1日をすごせるわけじゃない。
だが意識的になることは、時間をつくるための重要な一歩だ。
ハイライトをみずから選ぶことで、自分の優先事項に集中することがデフォルトになり、気を散らすものや現代生活の要求に振り回されることなく、大事なことに時間とエネルギーを費やせるようになる。
仕事量が変わらないなら、自分の時間を生み出すしかない
GoogleとYouTubeで情熱を注いで働いてきた2人。
スマホやPCで「人の時間をいかに奪うか」ということに注力してきた彼らだからこそ、そのテクノロジーとうまく向き合って、自分の時間を生み出す方法を見つけられました。
彼らが「メイクタイム」と称する、時間を生み出す4つのステップ。
このステップを実践して、自分の時間の使い方を最適な形にデザインしましょう!
(C)Graham Hancock
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