ビジネスパーソンインタビュー

「離れたい人とは“同じクラス”にいなくていい」kemioが語る、自分らしくいる人間関係

「人間関係って、傷つくことが当たり前」

「離れたい人とは“同じクラス”にいなくていい」kemioが語る、自分らしくいる人間関係

新R25編集部

2020/02/20

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2019年、以前からの「109渋谷のデカい看板娘になりたい」という夢を叶え、「SHIBUYA 109」の外壁にYouTubeの広告として掲示されたkemioさん。

同じく昨年上梓した著書『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』(KADOKAWA)では、自身がゲイであることをカミングアウトし、話題になりました。

今回はそんなkemioさんに、「自分らしさ」についてのお話を伺ってきました。

〈聞き手=ほしゆき〉

【kemio】1995年生まれ、東京都出身。高校生時代、動画投稿サービス「Vine」にUPした動画が注目され、雑誌モデルや俳優としても活動を開始。アメリカに移住してからはYouTubeで動画投稿をはじめ、登録者は160万人以上(2020年2月)。2019年には初の著書『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』(KADOKAWA)を上梓

「“好きなもの”って、自分を現実逃避させてくれる大切なもの」変える必要はない

ほし

過去の動画で、kemioさんは「子どものころからカワイイものが好きだった」と言ってましたよね。自分の好みが多くの男の子たちとは違うかも…と意識したのは、何歳のときでしたか?

kemioさん

最初は、たぶん5歳くらい。

親戚が家に来たときに、僕が持っていたプリンセスのお人形や『おジャ魔女どれみ』のおもちゃを見て、「なんで男なのに仮面ライダーやベイブレードを持ってないんだ?」って言ったんです。そのときに「カワイイものを選ぶのは変なんだ」って思ったことを覚えてます。

kemioさん

小学校に上がってから、何度か男の子っぽいおもちゃにトライしたこともあります。

「ベイブレード」とか「遊戯王カード」買ってみたり。

でも夢中になれなくて、「お前ルールわかってないからあっちいけよ!」「シッシッ」って結局男の子たちから仲間はずれにされちゃいました。

ほし

歩み寄ったのに、切ないですね…

kemioさん

でも、小学校を卒業するくらいのころに吹っ切れました。

“好きなもの”って、自分を現実逃避させてくれる大切なものじゃないですかそこまで変えたくないし、変える必要ないって気付いたんです。

ほし

“好きなものは大切なもの”、まさにそうですね。

kemioさん

それからは、大好きな原宿に行きまくって好みの合う友達が増えたり、SNSで世界中の人とつながれるようになったりして自分の世界が広くなっていったので、嫌なこと言ってくる人がいても気にならなくなりました。

ほし

自分の世界を持てるようになったんですね。

kemioさん

そうですね。やっぱり子どものときって世界が家と学校だけだから、学校でうまくいかないと「もう自分終わった死んだ」って思うんですよ。

でも、成長するにつれて世界はどんどんどんどん広がる。

ウチらって大人になるほど最強になっていくんだな~」って感じます!

kemioさん

2016年、アメリカに行く直前に、友だちに初めて自分のジェンダーを話したんです。21歳のときですね。

友だちが集まってパーティーをしてくれて、酔っ払ってたんでポロっと言っちゃって(笑)。

ほし

伝えたときはどんな反応だったんでしょうか?

kemioさん

みんな、「そんなのとっくに知ってるし」って感じでした(笑)。「わざわざ言うほどのこと?」みたいな。

そう言われて、すごいエモくなりました

言えずに隠してることがあっても、自分のことをちゃんと見ててくれたり、考えてくれてたりする人はいるんだなって。

本心を伝えただけで離れていく人は、「離れてくれてラッキー」

ほし

ただ、自分の好きなものや考えを打ち明けたときに、まわりの人が離れていってしまうこともありますよね。

だから本当の気持ちが言えない…という人もいると思うんですが、kemioさんはどう考えますか?

kemioさん

うーん…もしかしたら残酷なことを言っているのかもしれないけど、自分の気持ちを言っただけで離れていくような人は、“離れてくれたほうがラッキー”じゃないですか?

ほし

えっ…!

kemioさん

自分のことをシェアしただけで離れてしまうなんて、ヘンじゃない?というか普通に悲しい。別に借金して迷惑かけたわけでもないのに!

そんな人は「早めに教えてくれてありがとう!」「オッケーバイバーイ」って感じ。

ほし

今まで仲良くても、離れたほうがいいと。

kemioさん

うん、付き合いつづけて老後になってから「そんなふうに思ってたんだ」って発覚するより、今のうちに気づけたほうが絶対よくないですか?

「はいお疲れ様です、さようなら~って感じ」

ほし

たしかに…そうですね。

kemioさん

人間関係で凹むときもあるけど、いちいち立ち止まってたらあっという間に棺桶じゃないですか

ウチら基本時間ない」っていつも思ってます。

「ウチら基本時間ない」。なんて名言なんだ

kemioさん

こういうこと言うと英語で「Cut and dry」(冷たい)って言われちゃうんですけど、ウチら、もう小学生とか高校生じゃないんですよね。同じクラスにいなくていいんですよ

離れたい人とは離れたほうがいい。自分をそこに押し込める必要なんて、きっとないです。

社会っていうバカデケェところにいるので、価値観とか考え方が変わっていくのは普通。まわりにいる人も、どんどん変わってもいいと思います。

ほし

間違いない。

でも、長い付き合いであれば思い出もあるし、スパッと離れるのはなかなか難しいと感じてしまいます…

kemioさん

今バイバイってしたからって「一生会わない」とかにしなくていいと思います。長い目で見て「今は違う」ってだけ!

ほし

あ、一時的に離れるっていう選択肢もアリなんですね。

kemioさん

アリです! 僕もそういう気持ちで決めます。

人間関係って、「傷つくことが当たり前」。すべての問題を上手にかわすことは誰にもできないし、傷つくことに慣れたりもしない。

だから、「どれだけ自分で自分をヒールできるか(癒やせるか)」が大事になってくるんだと思います。

ほし

マジで好きがこぼれ落ちます。

「多様性って難しいし、『無知は罪』っていうのも違くない?」

ほし

アメリカと比べると、やっぱり日本ではまだまだジェンダーについて話しにくい空気があると思いますか?

kemioさん

積極的には話しにくい環境だと思います。それは、“わからない人”が多いから。

でも「無知は罪」みたいな…「知らないのが悪いんだよ」とか、そうも言えないなって思います。

「無知は罪だっけ…? そういう言葉ありますよね…?」

kemioさん

やっぱり、実際にLGBTQ+の友だちがいたり、相談されたことがあったりする人じゃないと、それが具体的にどんなものかとか、わからないじゃないですか。

知らないからって「お前悪い」って言われたら、何も話せなくなっちゃう。

ほし

ただ、無知だからって人を傷つけてしまうのは「仕方がない」とは言えないですよね…

kemioさん

そうですね…

でも、最近そういうことを気にしすぎて、初対面の人とうまく話せなくなっちゃったんですよね。頭の中で勝手にいろいろ考えすぎて、“結果すごい静かなヤツ”みたいな。

だから、やっぱりみんないろいろ失敗して傷つくべきなんだと思うんです失敗は後から謝ればいい

kemioさん

ジェンダーの話でいえば、「みんなが目の前の人を知ろうとすること」が大事なんだと思います。認める認めないじゃなくて、知ってあげること。その思いやりって今一番必要な気がします

その人にとって何が嫌で、何がうれしいのか、ポジティブなのかを、ちゃんと見られる人は強いって、アメリカで学んだことのひとつです。僕もそうなりたい。

ほし

「目の前の人を知ろうとすること」が思いやり。間違いない。シンプルなのに、気をつけないとおろそかになってしまうことですね。

kemioさん

わかってるのに、今すぐ上手にコミュニケーションとれるようになるわけでもないから…マジ一生ムズいですよね、人間関係(笑)

kemioさん

ちゃんとコミュニケーションできるようにならないと、このままじゃ「気の強いかわいくないおじさん」になっちゃうから、頑張ります(笑)。

「絶対イヤじゃないですか、そんなの」

残酷な言葉で傷つけられたり、うまくいかなくて臆病になってしまったり…いろんな痛みや葛藤と向き合いながらも、kemioさんはポジティブに考えつづけていました。

2018年12月ぶりに、新R25で実現したインタビュー。この約1年間でものすごい飛躍を遂げたkemioさんからいただいたパワーワード「ウチら基本時間ない」を胸に、私も常に考え、行動しつづけようと思いました。

〈取材・文=ほしゆき(@yknk_st)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=Yusuke(@yusuke_wj)〉

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