近藤麻理恵著『人生がときめく片づけの魔法』より
こんまり「散らかすという行為は、問題の本質から目をそらすための人間の防衛本能です」
新R25編集部
東京オリンピック開催年であり、日本経済にとっても大きな変化がおとずれそうな2020年が始まりました。
昨年を振り返ってみると、「人生を変えるような転機があった」「成長した実感がある」「なんとなく過ごしてしまった…」など、さまざまな思いがあるはず。
そこで、新R25では、これまでの自分の働き方を振り返ったり、心機一転してスタートダッシュをきったりできるような書籍をピックアップする特集を考えました。
その名も「2020年 ジブン改革」。
今回ご紹介するのは、片づけコンサルタント・近藤麻理恵さんの著書『人生がときめく片づけの魔法』。
世界42ヵ国で出版され、累計1200万部を超える世界的なベストセラーになっている同シリーズ。
著者の近藤さんは「こんまり」の愛称でも親しまれ、ネットフリックスで配信中の『KonMari〜人生がときめく片づけの魔法〜』は、2019年のノンフィクションランキングで全米1位を獲得しました。
「片づけで人生がときめくってなに?」
そんな疑問の声に丁寧に答えるように、こんまりさんは著書の中で片づけが人生に与える影響を細かく解説しています。
「子どものころからの夢に気づき、会社を辞めて、なんと起業しちゃいました」
「今あるモノを捨てるだけで、こんなにも自分自身が変われることに驚いています」
「なぜか3キロやせました」
これは、こんまりさんの個人レッスンを受けた人たちの、ほんの一部の声。
どうして、片づけがそこまで人生に影響を与えるのか?
その理由を、片づけられない人の特徴と合わせて抜粋してお届けします!
部屋を片づけると、なぜかやりたいことが見つかる
私のお客様で、学生時代から仲よくしているAちゃんという子がいます。
彼女はもともと大手IT企業に勤めていたのですが、片づけをして自分の本当に好きなことを発見した一人です。
片づけを終えた彼女が気づいたのは、ときめくモノだけ残した本棚には、社会福祉関係の本ばかりがズラリ並んでいたという事実。
そのことがきっかけで彼女は、中学生の頃から社会人になるまでベビーシッターのボランティアを続けていたことをあらためて思い出したといいます。
「子どもを産んだ女性でも、安心して働ける社会をつくりたい」。
自分に秘められたそんな情熱に気づいた彼女は、レッスンを卒業してから一年間、独立のための勉強など準備を続け、ついに会社を辞めてベビーシッター事業の会社を設立。
今ではたくさんのお客様に頼りにされ、手探りながらも毎日仕事を楽しんでいます。
「片づけをしたら、自分のやりたいことが見つかりました」
じつはこんな声が私のお客様からは絶えないのです。
実際、レッスン卒業後は独立したり転職したり、今までの仕事にもっと真剣に取り組むようになったり、何かしら仕事について意識が変わったという方がほとんどです。
もちろん仕事でなくても、趣味でも家事でも、毎日の中で「好きなこと」を意識する時間が自然と増えて、ふだんの生活がいきいきとしてくるのです。
自分という人間を知るには、机に向かって自己分析したり、人に話を聞いたりするのももちろんよいけれど、片づけするのが一番の近道だと私は思います。
持ちモノは自分の選択の歴史を正確に語ってくれるもの。
片づけは、本当に好きなモノを見つける自分の棚卸しでもあるのです。
「モノがなくてもなんとかなる」と思えるようになる
片づけを始めると、次から次へとどんどん出てくるゴミ袋。
私の片づけレッスンのなかでお客様が捨てたり手放したりするモノの数は、半端な数ではありません。45リットルサイズのゴミ袋2、30袋はあたりまえ。
ひとり暮らしの方で平均40袋以上、3人家族なら70袋近くは軽く出てきます。
しかし、これだけモノが少なくなったのにもかかわらず、「こんまりさんが捨てろというから捨てたら、あとで困った」というクレームをいただいたことは、じつは一度もありません。
お客様が「うっかり捨ててしまったモノ」の話をするときの共通点は、明るいこと。
ほとんどの場合、「いやー、一瞬しまったと思っても、死ぬようなことにはならないんですよね」と笑っているのです。
これはもともとお客様が明るく前向きな性格だったからでも、モノがなくなった際のトラブルに対して、いい加減に対応するようになったからでもありません。
むしろその逆で、モノを捨てることでマインドが変わっていったのです。
たとえば、捨ててしまった書類の内容があとから必要になったとき。
まず、持っている書類自体が少ないので、家の中をガサガサ探すまでもなく「持っていない」ことは明らかです。
この「探す必要がない」ことによるストレス軽減効果は計り知れません。
散らかった状態が人の心を蝕ばむ理由の一つは、あるのかないのかわからないのに探さなくてはならず、しかも、探しても探しても出てこないことにあるのです。
時間をかけて探したけれども見つからなかった、というストレスを感じることもなく、それどころか、調べ直したら新しい情報を発見したり、知り合いに連絡をとることで関係が深まったり、「そのことについてならもっと詳しい人を紹介するよ」と新たなご縁がつながったりと、思わぬプラスアルファの効果が得られることも多いのです。
こうした経験を繰り返すと、とにかく行動すれば、自分にとって必要な情報は必要なときに得られる、ということが感覚としてわかるようになります。
この「モノがなくても、どうにかなるんだな」という感覚、一度わかってしまうと生きることがグッとラクになります。
片づけはじめたそのときから、人は人生のリセットを迫られる
試験前日の夜。どうにも勉強に手がつかず、無性に片づけたくなった経験、ありませんか。
この試験前の「片づけたい衝動」、片づけに興味がある私だけかと思いきや、ああ私もあった、あった、という人があまりに多く、けっこう一般的な現象だということがわかりました。
どうやら試験前にかぎらず、せっぱつまった状況になると片づけたくなる人が多いようです。
このように、無性に片づけがしたくなるとき、それは部屋を片づけたいときではありません。
心理的に片づけたい「別の何か」があるときです。
本当は勉強をしなければいけないから心がざわざわしているのだけれど、目の前が散らかっていることで「部屋を片づけなきゃ」という心のざわざわが起こり、問題のすり替えが起きていると考えられます。
その証拠に、試験前の片づけたい衝動が試験後にも続いているケースはまれです。
無事に試験が終わって家に帰ってくると、昨夜の情熱はどこ吹く風と、片づけのことなどすっかり忘れてしまい、また元の生活に戻ってしまっているのではないでしょうか。
これは、試験勉強をしなくてはならないという問題が「片づいてしまった」からです。
しかし、じつのところ、部屋の乱れを直しただけでは心の乱れがなくなるわけではありません。
たしかに部屋をスッキリさせると、一時的に気分はスッキリします。
でも、これが落とし穴で、心が乱れていた本当の原因は解決されていません。
毎回、物理的な片づけに向き合っていては、心理的な片づけにまで考えが到達しないまま、一時のスッキリ感にごまかされてやり過ごしてしまうのです。
そもそも、部屋が自然に散らかることはありません。住んでいる自分が部屋を散らかしているのです。
「部屋の乱れは心の乱れ」という言葉がありますが、散らかっている状態というのは、物理的なこと以外に本当は問題があるのだけれど、目の前のごちゃごちゃ感でごまかされてしまっている状態だと考えられます。
散らかすという行為は、問題の本質から目をそらすための人間の防衛本能です。
片づけをして部屋がさっぱりきれいになると、自然と自分の気持ちや内面に向き合わざるをえなくなります。
目をそらしていた問題に気づかされ、いやがおうでも解決せざるをえなくなる。
片づけはじめたそのときから、人生のリセットを迫られるのです。
そしてその結果、人生が大きく動きはじめていきます。
だから、片づけはさっさと完了させる。そして、本当に自分の向き合うべき問題に向き合っていく。片づけはたんなる手法であって、それ自体が目的ではありません。
本当の目的は、片づけたあと、どう生きるかにあるはずだと思いませんか。
本当の人生は「片づけたあと」に始まる
人は、そんなに多くのモノを大事にはできません。
私なんかはまったくの面倒くさがりやでうっかり者なので、たくさんのモノを大切にすることができないのです。
だから、自分にとって本当に大切なモノだけはせめて大切にしたい、だから片づけにこだわって生きてきました。
でも、私は、部屋の片づけなんてさっさと終わらせたほうがいいと思っています。
なぜなら、片づけは人生の目的ではないからです。
部屋の片づけは、毎日やらなければならないもの、一生ついてまわるもの。
そういう思い込みからは早く目を覚ましてください。断言しますが、片づけは一気に、短期に、完璧に終わらせることができます。
一生ついてまわるものは、「捨てるか残すかを判断すること」、そして「残すと決めたモノを大切にすること」で、今、部屋の中にあるモノの片づけは、一度は完璧に終わらせることができるのです。
あなたは「あなたが本当にときめくこと」に大いに時間と情熱を注いでください。
それは、あなたの使命といってもいいかもしれません。あなたが心底ときめく使命を見つけるために、片づけが大いに役立つことを、私は声を大にしていいたいと思います。
本当の人生は「片づけたあと」に始まるのです。
片づけが人生に影響をあたえることを教えてくれる一冊
「やりたいことが見つからない」
「時間に追われていつもイライラしている」
『人生がときめく片づけの魔法』は、一見片づけと関係なさそうな悩みを、パッと明るく照らしてくれる本です。
具体的な片づけのアドバイスも、たっぷり詰まった同書。スッキリした部屋で、気持ちよく人生を再スタートさせましょう!
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