ビジネスパーソンインタビュー

田端信太郎「仕事を依頼されたときにこの“2つ”を質問したら、君は『デキる社員』だ」

田端信太郎著『これからの会社員の教科書』より

田端信太郎「仕事を依頼されたときにこの“2つ”を質問したら、君は『デキる社員』だ」

新R25編集部

2019/12/15

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最強のサラリーマン・田端信太郎さんの経歴です。

時代を動かす企業を渡り歩いた経験と、圧倒的な発信力をあわせ持つ田端さんは、新R25のインタビューでも必ず新しい学びを届けてくれます。

そんな田端さんが上梓したのが『これからの会社員の教科書』。

田端さんが経験から導き出した「仕事の基本」をまとめた同書より、「仕事の基礎」「ビジネスの常識」「情報収集」「会議の立ち振るまい」を4記事にわたってご紹介します。

仕事を振られたときに確認すべきこと

きみは、目の前でやっている今の仕事、そもそも何のためにやっていますか?

そう聞かれたら、パッと答えられるでしょうか?

仕事では、なによりもきちんと「ゴール」を把握しておかないといけません。

この仕事は何がどうなったら成功なのか?

誰のために、何をすればいいのか?

その「ゴール確認」は仕事の必須事項です。

ここがふわっとしたまま仕事をしている人は、若手に限らず多くいます。

あなたは広告代理店の新人営業マンです。

ある日、営業部長が机にやってきて「今度コンペがあるから3週間後にA社に提案よろしく」と言って去っていきました。

そのとき、きみはよくわかっていないのに「わかりました」と言ってはいけません。

ゴールが明確でなかったら、こう聞き返すべきです。

「すみません、部長。営業の提案コンペということは、受注したいということですよね?これを受注したらどうなりますか? どうなったら成功なのでしょうか?

もし「とにかく受注すればいいから!」と言われたら、真っ先に思いつくのは「値下げ」です。

その場合は「値下げはどこまでしていいものでしょうか?」と聞く必要がありそうです。受注してからも仕事が継続するなら、安易に値下げはできません。

値下げ以外でコンペに勝つ方法を考えるべきでしょう。

もしかすると営業部長からすれば「いっちょ実力を見るためにダメもとで若手に振ってみるか」という感じなのかもしれません。そのときは失敗を気にせず思い切りやればいいでしょう。

仕事を依頼されたときに、その「ゴール」と「制約条件」(使える費用、納期までの時間、動員可能な人材等)をセットで聞くことのできる社員は「できる社員」です。

そこをハッキリさせないまま、一人で悩んでいても時間の無駄。どんなに深夜まで残業して提案書を書いても意味がないのです。

仕事を振られたとき、確認すべきことはいろいろあります。

たとえば「これまでにA社からの受注実績ってあるんですか?」と部長に聞いてみる。

「それがないんだよ」と言われたら「そうか。なら、別の角度からの提案が必要かもしれないな」とわかります。

「コンペの競合ってどこですか?」と聞けば「電通も、博報堂もいる。だから、今回はぶっちゃけ勝てなくてもいい。その代わりクライアントに、ウチの会社ってなんかおもしろい会社だな!と思わせてほしい。特徴をアピールして、目にとまることが大事なんだ」と言われるかもしれません。

そうやっていろいろ聞いていくことで、目指すべきゴールが見えてきます。

「仕事を振られる」というのは「パスが回ってきている」ということです。ボールが飛んできて、自分がボールを預かる。

そのときに「ゴールポストはどちらにあるのか」「今はどっちが何点差で勝っているのか?」「残り時間は?」といった基本的な状況を必ず意識できなければ、プロのサッカー選手とは言えません。

ゴールがどこにあるのかを確認せずに、サッカーする人なんていません。しかし、ビジネスの場面ではそういうことが多くあります。

ボールを持って何となくフィールドを走り回って汗をかいているだけで「仕事した」と勘違いしている人が多いのです。

「目的」と「制約条件」を明確にするために、「よりイヤな結果」を聞け

何かを指示されたときは「目的」と「制約条件」をおさえておくことが大切だといいました。大切なことなのでもう少し詳しくお話しします。

きみが広報担当だとします。

社長から「この新商品を話題にしたいから、いろんなメディアで新発売のことを拡散してほしい」と言われたとしましょう。そのときの「目的」は何でしょうか?

話題にしたい」といってもいろいろあります。

正確性は置いておいて老若男女、あらゆる層に届けたい」ということなのか、「きちんと正確性を担保したうえで、なるべく多くの人に届けたい」なのか――。

前者であれば、ワイドショーも含めて情報番組にとにかくたくさん出ればいいかもしれません。しかし、正確に理解されることは難しくなります。

後者であれば、業界専門のメディアや日経新聞に掲載されるほうがいいでしょう。

もちろん、正確に理解されて、かつ、世の中でもたくさん話題になれば言うことなしです。

ただ現実問題として、完璧に両立することは難しい。そのとき「どっちかに倒れるんだったら、どちらがイヤですか?」と聞いておかなければいけません。

話題にならないほうがイヤなのか、正確に理解されないほうがイヤなのか。そこをきちっと把握しておくことです。

頭脳労働の仕事というのは、だいたいこういう「どちらかを立てれば、どちらかが立たない」トレードオフの関係になっています。

部下の育成」と「その部署の短期的な業績」はかならずしも両立しません。また、「新規の顧客獲得」と「既存顧客の満足度」も、だいたいトレードオフです。

こういう両立できないものを振り子のように行ったり来たりしながらレベルアップしていくことが大事なのです。

ちなみに、ダメな上司は「どちらを優先すべきですか?」と部下から聞かれたときにハッキリ言えません。

「次の3カ月間の営業方針で、新規の顧客と既存の顧客、どちらの満足度が大切ですか?」と聞かれたときに、「うーん、そりゃあ、どっちも大事に決まってるだろ!うまくやれ!」というようにハッキリ言わないような上司はダメです。

「うまくやれ」「なんとかしろ」という指示は、後々で現場の言い訳を生み出すことにもなります。

上司たるもの、どちらかを明言して、やり切らせないといけないのです。ビジネスは全方向で100点満点をとることなんて無理です

この「捨てるジャッジ」ができるかどうかが大切なのです。そして部下ならば、上司から適切に「捨てるジャッジ」を引き出すように誘導すべきなのです。

マネジメント論に話が逸れてしまいました。

さて、部下としてもし仮にそのような「ゴールや優先順位を明確にしていない上司」を持ったときには、振られた仕事に対してどうすればいいでしょうか?

それは自分なりのゴールを設定して臨むしかありません。納得できるように、自分なりに意味をつくるしかない。

そのときに「こんな仕事しても意味ないよな」と思いながら仕事をしていては、もったいない時間を過ごすだけです。

会社にとっては意味がないかもしれないけれど、個人にとっての意味を設定すればいいのです。

企画書の作成でも、営業でも、プレゼンでも、新人にとってはすべてが「ありがたい経験」です。

場数をこなして、自分のスキルアップをするチャンスだととらえればいい。それによって自分が何を得るのかを考えれば、すべての仕事に意味が出てきます。

丸投げされた案件に対して若手ががんばって資料を作成しても、起案者が課長の名前になることがあります。

そういうときに「俺が書いたのに、課長は仕事をせず名前だけ出してズルい!」などと言っている若手がいます。

しかし、課長の起案だけど中身は若手の田端君が書いている、というケースは多くの企業でよくあることです。

そのときに「若手をこき使って課長はラクしてる」と思う人は三流です。そうではなく、丸投げされているということは好きにやれるチャンスなのです。

自分は無限の自由を得ているのに、決裁者が課長であれば失敗したり問題が発生した場合の責任は課長になる。こんなにいいことはありません。

丸投げ仕事に資料や提案を出して、もしダメを出しされたら「なにがダメだったんだろう」というように学習できます。もしスルっと、そのまま通ったら通ったで、自分の思いどおりにできます。

どちらに転んでも「おいしい」のです。白紙の小切手を渡されたようなもの。

「丸投げされた」ということは「自由を得た」と思ったほうがいいのです。

21世紀のビジネスパーソンのあり方を考えさせてくれる一冊

ビジネスマン同士の「ルール」や「マナー」を教えてくれる『これからの会社員の教科書』。

同書には「ロジックで勝てると思ってるやつは0点」「おっさんはメンツが8割」など、田端さんの経験から得た学びがユニークな切り口で落とし込まれています。

年末年始に同書を読むことで、これまでの自分の働き方を振り返るきっかけになるはずです!

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