ビジネスパーソンインタビュー

アカツキCEO「『魂の進化』はOSのアップデート。これからのビジネスには“感情”が必要になる」

塩田元規著『ハートドリブン』より

アカツキCEO「『魂の進化』はOSのアップデート。これからのビジネスには“感情”が必要になる」

新R25編集部

2019/10/04

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ビジネスの世界においては「合理的な思考」こそが正とされ、個人的な「感情」は二の次にされることがほとんど。

しかし、『八月のシンデレラナイン』などのヒットゲームを次々と世に送り出しているアカツキ社のCEO・塩田元規さんは「これからの時代は、ハートやつながりといった目に見えない“内面”が中心になる」と主張しています。

アカツキの売上高は281億円。塩田さん自身がまさに、「感情」を優先するマネジメントでも成果を上げられる、と証明しています。

そんな塩田さんが自身の人生から導き出した哲学を書き記したのが書籍『ハートドリブン』。

同書から、アカツキの成長を支える独自哲学を3記事でお届けします。

これからの時代を生きる鍵は「魂」にある

たくさんの葛藤に向き合って、僕が気づいたことがある。それは、これからの時代を生きる鍵は、外側の世界にはないってことだ!

多くの人が自分の内側の感情には気づかず、外側のことばかりに意識を向けがちだ。あなたの内側に意識を向けて、感情を丁寧に扱おう。

自分の本当の想いに気づいていく。それを見つめていく。

感情を丁寧に扱うと、自分の内側が成長・進化していく

それにより、世界の見方が変わる

見方が変わると、行動が変わり、人生が変わっていく

僕は、この内側の進化のことを、少し強い表現だけれど、「魂の進化」と呼んでいる。内側(魂)が進化すれば、あなたにとっての真実が変わる。

感情を鍵に、心の扉を開く

必要なことは、「感情を鍵に、心の扉を開く」ことだ。

自分の心の奥にある大切な想いとつながること。あなただけの大切な宝物を思い出すことだ。

ビジネスのチームであれば、自分たちが仕事をしている意味を思い出すこと。チームがここに集まっている理由を思い出すことと同じだ。

それは“思考で作るもの”じゃない。“感じることで思い出すもの”だ。

僕たちは大人になるにつれて、思考に支配されがちになる。

思考自体はすごいパワーを持ったものだ。でも、大人の世界では、思考だけを大切にして、感情は切り捨てられる。感情はコントロールして、抑えるものだと教えられる。

なぜなら、ビジネスや、大人の世界では、感情は“無駄なもの”だとされてきたからだ。

そして、気づくと自分の好きなものすらわからなくなってしまう。子供の頃は、好きか嫌いかなんて考えるまでもなくわかっていたはず。

志とは“心指し”だ。心が指し示している方向のことだ。ワクワクといった感情を丁寧に見れば、心は自分の進むべき道を教えてくれる。

多くの人は、自分の感情を丁寧に扱っていない。扱い方も知らない。だから、心の声が聞こえない。心の声は、すごく小さいから、意識しないとすぐ消えてしまうんだ。

あなたは最近、自分の心の声に静かに耳を傾けた時間がどれくらいあるだろうか。

行く手を阻む「観念のモンスター」

内的成長と進化はすごく大切だけど、感情を丁寧に扱うことは現実社会では難しいと思う。

なぜなら、思考を超えて感情につながるには、たくさんの障害が存在するからだ。

その障害には、環境が持つ罠もあるし、過去の経験や観念からくる思い込みもある。

僕は、この思い込みを“モンスター”と表現している。

観念のモンスターは、自分の中で、色んなことをささやいて、その人の進化を阻んでしまう。巧妙に姿を隠しているので気づくのが難しい。

まず、認識しなければいけないことは、思考は簡単に嘘をつくということだ。アルニセスという脳科学者は「脳は幻想を作りだす機械である」と表現している。

思考は、過去の経験から未来を予測する。現実以上に、自分の信念(観念)と期待に基づいて、推測する。

だから、思考は絶対的に正しいものというわけじゃない

モンスターは可能性を大きく制限する

メンタルモデルという言葉を聞いたことがあるだろうか。認知心理学の用語だが、メンタルモデルとは、幼い頃から培ってきた経験によって形作られる思考パターンのこと。

これは物事の見方や行動に大きく影響を与える。

たとえば、子供の頃に犬に噛まれたことがあると、大人になっても犬を怖がり避けるようになるし、逆に犬になつかれたことがある人は、犬を見かけると自ら寄っていく。

メンタルモデルは時として、自分の可能性を大きく制限してしまい、マイナスの影響を及ぼす。自分が心に従おうとすると、モンスターのように抵抗する。

たとえば、こんな言葉もそうだ。

前もうまくいかなかったんだから、今回もうまくいくはずがない

そのままの自分で愛されるはずがない」。

周りからするとそんなことないのにと思うことも、その人の中ではそれが絶対的な真実のようになっている。

それが観念のモンスターだ。モンスターは、幼少期に作られることが多い。親との関係、友達との出来事、さまざまなことが子供にとっては強烈な体験として残るからだ。

色んな形になっている観念のモンスターたち

僕自身や友人にもよくある、観念のモンスターをいくつかあげてみる。

自分はいいからと人や周りを優先する

僕自身もそうだけど、たとえば、長男・長女には、責任感が強い人が多い。その分、我慢して自己犠牲的になる人も多くいる。

その結果、自分の願望は我慢して他人を優先してしまうこともあるし、自己犠牲を美徳だと思ってしまうこともある。

周りに合わせないといけない」「本音を言うと人を傷つけてしまう

人と違うことが否定された場合、周りと違うことはダメなことだと思い込むことがある。

自分が他と違う考えや感情を持っていた時に、それを抑圧して、周りに同調してしまう。

自分の意見を主張することを避け、周りの意見をとにかく承認してしまう。

また、人に本音を伝えて、相手を傷つけてしまったことがある場合も、同じようなメンタルモデルを生むことがある。

自己表現することが誰かを不幸にするという思い込みだ。そのために、自分の想いを表現することが怖くなってしまうことがある。

苦労や我慢の分だけ何かを得られる

「テストでいい点を取ったら、ゲームを買ってあげる」「宿題が終わったらおやつを食べていいよ」という言葉をよく耳にする。

この言葉は、勉強や宿題が嫌なものであるという前提に加えて、嫌なことを我慢してやれば、ご褒美がもらえるというメンタルモデルを作ることがある。

逆にいえば、嫌なことや苦労をせずに、欲しいものは手に入らないという観念が生まれる。

その場合、周りが理由なく何かくれても、それを受け取ることに罪悪感を覚えることもある。なぜなら自分が何も苦労をしていないからだ。

モンスターも嫌なやつじゃない。切り離さず、認識しよう

他にも多くの観念のモンスターがいると思う。メンタルモデルが作られると、それに自動反応してしまう。

観念があなたを守ることも多い。モンスターは最初自分を守るために作られるものだ。

たとえば、周りに合わせるモンスターだって、子供の頃は、それが自分を守ってくれたと思う。

特に、日本だと、周りに合わせないことは、色んな人に否定される可能性も大きい。

そういう外的な環境に適合することで、自分の安心・安全が守られていた。でも、これからの時代は、環境が違うし、あなたももう大人になった。

メンタルモデルは無意識の自動反応だ。無意識だから、自動反応してしまう。モンスターを認識することが大切だ。

認識していけば、徐々に意識的に生きられるようになる。認識することがまずはスタートだ。

認識し続けると、モンスターは消えていく

一番大切なことは、意識的に自分の行動を認識する、つまり「メタ認知」することだ。

ほとんどの行動が無意識下の行動である中で、自分の観念やパターンを認識している人は少ない。

だから、モンスターは暴れ続けるし、コントロールドラマの中で、役割を演じていることにも気づいていない。

同じような課題が発生した時に、自分の行動パターンを、「このパターンもあるな」と一歩引いた目で認識できるかどうかがとても大切だ。

面白いことに、このパターンを認識し続けると、徐々にモンスターは消えていく。意識的に生きると、立ち止まって、自分の内側に目を向けていくことができる。

頭で考えて、無理やり変えていくのは難しい。一時的に思考によって変えても、またすぐに戻ってしまう。

無理して考え方を変える必要はない。自分の感情を丁寧に扱い、意識的に生きていくこと。それが内側の進化を促して、結果として見方を変える。

パソコンでいえば、オペレーティングシステム(OS)をアップデートするようなものだ。

自分の内側にある基本のシステムのバグを修正して、バージョンアップする。OSが変わると、パラダイム(物事の見方)が変わる。行動も発言も、在り方がどんどん変わっていく。

経営者、起業家、リーダーは、自分の内側が変わると、自分の在り方が変わり、会社、組織が大きく変わっていくことを体感していると思う。

売り上げ、KPI…ビジネスマンの指標を“否定”する哲学を学ぼう

塩田さんの経験談をもとに、「魂の進化」の重要性をビジネスマンに説く『ハートドリブン』。

担当編集の箕輪厚介さんが「マジで売りたい本ができました!」と太鼓判を押すほどの一冊です。

変化するビジネストレンドの最先端をゆく思考・哲学を吸収して、自身の仕事観をアップデートしましょう!

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